<はやて> 食事が終わって、皆で花火して、そのときから気付いとったんやけど。「せっちゃん? 何か目ぇ赤いで?」「え!? あ、ほら、海の塩にやられてね?」 ……相変わらず、せっちゃん嘘つきや。あれは、盛大に泣いた後や。 最近ずっと思ってたことがある。 なのはちゃんもフェイトちゃんも、アリサちゃんやすずかちゃんも気付いとる。 せっちゃん。また無理し始めよる。「……うん。せつな。無理してる。前のときと同じ顔してる」「また、何か問題起きたのかなぁ……」「前のときはあたしらが問題やったからな。けど、今回はあたしらに何も話してくれへん」「異常事態ねこれは。……問い詰める?」「だめだよ。せつなちゃん、言わないときはとことん言わないから……」 ……しゃあない。ここは、可愛い妹分の為に一肌脱ごう。「古代ベルカの魔法の一つにな? 人の夢に入る魔法があんねん。定員は術者含めて五名。……これで、せっちゃんの夢を見て、何があったか探ったる」「ちょ、それって……いいの?」「ほんまはあかんし、あたしも使いとおない。……せやけど、せっちゃん何もゆうてくれへんから。……入る人は手ぇ上げて? あたしは術者やから当然入るで?」 ……全員手を上げた。 皆、せっちゃんが心配なんや。 決行は深夜。 皆が寝静まった頃に、あたしたちだけ起きて、術式を開始する。 もちろん、リインにサポートしてもらっとる。「……夢の雲よ、彼の者を包み、我らに、その心を映せ」 もちろん、パラディンには承諾済み。【……マスターの心を、見てあげてください】 パートナーデバイスとして褒められた行為ちゃうけど、パラディンにまで心配かけてんで、せっちゃん。 ……やけど、あたし知らんかったんや。 人の心がどれだけ醜いかってことを。「『心の鏡』!」 術式が完成する。あたしら五人が次々に倒れこむ。 ……気がついたとき、部屋におった。 ……皆一緒や。 部屋の中には、机に向かっている一人の男性。「……この人、誰?」「永森刹那。……せっちゃんの前世や」 闇の書の閉じ込める闇の中で会った人。 そんなにかっこいいわけではないが、せっちゃんとよく似た瞳が印象的な人や。「確かに、せつなと同じ寝ぼけ眼ね」「じゃあ、この部屋、せつなちゃんの部屋?」 刹那さんの部屋やね。……せっちゃん、前世の夢見とるんか。『おにいちゃ~ん! バイトの時間じゃないの~!?』『あ、お~う。わかった~……たく、いいところで』「何見とるん……は? アニメかい」「せつなちゃん、オタクの人だったんだ……」「……ね、ねえなのは? この画面の人、なのはに似てない?」「あ、本当だ。……て、これ、フェイトちゃんだよね?」「……なんでなのはちゃんとフェイトちゃんが大人になっとるアニメ見とるん?」 分からん……他人の空似やろか? でも、画面のなのはちゃんが持っとるん、どう見てもレイジングハートそっくりなんやけど……あ、電源切りおった。 おのれ~。もっと見せ~!「あ、あれ? なんか、引っ張られてない?」 刹那さんの行動にあわせて、私らの体が動いとる。 多分、せっちゃんの夢やから、せっちゃんの行動に引きずられるんや。『お兄ちゃん、遅刻しちゃうよ?』『あすか。分かってるから大声出すな……姉さん、行ってくる』『ええ、気をつけてね?』 刹那さんに話しかける二人の女性。多分、刹那さんのお姉さんと妹さん。「お姉さん美人だね」「あすかさんも可愛い。……でも、確か……」 そうや。せっちゃんの記憶なら、この二人は殺される。 ……現実では、死んどるはずの二人や。 刹那さんが外に出る……バイト先の店に入って、レジ打ちの仕事。 始めたんが午後二時で……終わったんが午後十時。 ……嫌な予感がする。「まさか、この夢……刹那さんの死ぬ日の夢じゃ……」 フェイトちゃん鋭い。 あたしもそう思い、すぐに夢から出るように術式を……!?「しもた。リインと連絡とれん」「え!? じゃ、じゃあ、出れないの!?」「せっちゃん起きるまで、出られへん!」 あかん。 せっちゃんの記憶が確かなら、この先にあるんは…… そうこうしとるうちに、刹那さんが、家の玄関に……「せっちゃん! そのドア開けたらあかん!」 あたしの声は届かず、そのドアを開けて……「「「「「!?」」」」」 声が出んかった。 これはなんや? これはなんや? これはなんや!? 女の子が……妹さんが泣きながら裸で倒れとる。 その側には、男の人が一人。『……ち、家の奴か。悪いけど死ねや』 強盗がよくかぶっとる目だけ開いた帽子。その目に、殺意だけがうつっとる。 その人が包丁振り上げて……刹那さんを刺した。 奥からもう一人、下半身丸出しで出てきた。 ……所々に血がついとる……誰の血や?『うわ、兄貴いきなりかよ……』『しかたねえだろ? それより、そっちはどうしたんだ?』『ああ、あんまりうるせえから……』 その先を言わんといて!『殺しちまったよ』『けけ、お前も充分鬼だよ』 な、なんでや!? 何でこんなひどいことするん!?『……? あ? んだ……ぶお!』 刹那さんを刺した人が吹っ飛んだ。 ……刹那さんが殴り飛ばしたんや。『……な、なんだよ!? やんのか!?』 奥から出てきた男がナイフを構えて…… 刹那さんはそのままその男に突っ込んだ!『こ、ギャァァ!!』 ……股間蹴り上げよった。男の人、あれやられるとほんま痛い聞くけど……むっちゃ痛がってる。『え、て、め……お、おい、それ、どうするつも……』 台所の椅子を持ち上げる刹那さん。 ふと、顔が見えた……泣いてる。『ひ、ぎゃ!』 椅子を振り下ろす。また振り上げる、そして振り下ろす。 何度も何度も繰り返す……鈍い音に、水音が加わりだした……「も、もうやめて! せつな! もうやめなさいよ!」「せつなちゃんやめてぇ! 死んじゃうよぉ!」 ……なのはちゃんとアリサちゃんが叫ぶ。 すずかちゃんは何も言わん。「止まらないよ……せつな、もう、何も見えてない……」 フェイトちゃんのゆうとおりや。 きっと、何も見えてへん。『……て、めぇえ……』 あ、後ろの男が起き上がった! せっちゃん危ない!『死ねぇ!』『………? ……!』 背中刺されたんも構わず、今度はその椅子の残骸を後ろの男に叩きつけた。 ……椅子には、血がべっとりとついてる。『あお……おい、やめろよ……い、痛いよ……いてぇんだよ……』 人を刺しといて……人を殺しといて、命乞いするんか、こいつは!?『な、なな、やめてくれよ……俺、悪かったよぉ!』『……』 刹那さん、無言で椅子を振り下ろした。 男の顔にめり込んで、男は悲鳴を上げる。 後は……さっきと同じ。 椅子が砕けたら、今度は拳で。 ひたすらに殴り続ける…… 『……死、んだ……か……』 ようやく刹那さんが声を上げる。 二人の男は、ピクリとも動かん。 ……刹那さんのお腹と背中から、血が流れでよる……『……あ、すか……生きてる……か?』 そ、そうや! 最初、あすかさん生きとったやん! 泣いとったんで!? 生きとったんで!?『あすか……? おい、あすか……?』 ……見たら、あすかさんの口から……血が……『舌……噛み切るとか……漫画じゃねえんだからよ……』 そんな……自分で死んでもたんか!?「こんなことって……こんなことって……」「……せっちゃん、こんな記憶……四歳の頃に見たんか!?」 今のあたしらでも、これはショックや。 しかも、せっちゃん、今も見とるってことは……たびたび見とるんか!? こんな悪夢を!?『……姉さん? ……はは、悪い夢でも見てんのか、これ……』 刹那さんの視点に引っ張られる。 奥のベッドで、お姉さんが死んどった…… 目を見開いて、裸で……首に、真っ赤なあざ。 体の所々に、白い液体と……刺し傷…… 猛烈に吐き気がする。 視覚だけで、頭が痛くなる。 『ああ、クロノ。あんたホントにいいこと言った。人生、こんな筈じゃなかった事ばかりか……』 え? 何で刹那さんがクロノ君の事知っとるん!?『あ、はは、なあ、助けてくれよ……俺を、助けてくれよ……なんでこんな目に会うんだよ……』 刹那さん、身体を引きずりながら、外に出て行きよる……夢の最後や……『……なのはさん、フェイトさん、はやてさん、アニメの……アニメはいいなぁ、力があって……』 刹那さんがあたしらを呼んどる。 せやけど、それは、刹那さんにとってはアニメの話で……『力が、あれば……姉さんも、あすかも、助け、られ、たのかな……魔法、さえ、あ、れば……』 刹那さんに、近づく、ライトの、光…… 世界が、ぶれる。 ……もう一度、ぶれる。『……いきなり死に掛けてるって……どういうことだよ……』 刹那さん? まさか今の今まで、夢うつつやったんか? 夢やと……思ったんか?『……まあ、これでもいいか……』 ええんか? こんなんでええんか!? こんな結末、ほんまにええんか!?『まあ、地獄行きは決定かな……』 あかん、死んでまう。 刹那さんが死んでしまう!「死んだら、死んだらあかんよ!? こんな結末、あかんよ!?」『……でもさ、もう、家族に会えないんだぜ……?」「せやけど、せやけど……」「……はやて、一つだけ」 あれ? 刹那さんが、あたしを見とる……「……これは、ただの、夢だよ……」 瞬間。世界が砕けた。 ……気がつくと、真っ白な空間の中にいた。 この空間は、見覚えがある……ああ、閉じ込める闇の中や。「……まったく、人の夢に入るとか。プライバシーの侵害って言葉、知ってるか?」「……刹那さん……」 夢の中で、会った、刹那さんがそこに立っとった。 あれ? これも……夢なんか?「夢だよ。そして、俺の深層意識……な、せつな?」「そう、そして、私の深層意識……」 刹那さんの隣に、せっちゃんが……立っている。「他の面々は既に外に出したよ。……後は、お前だけ」「はやて、夢見の魔法は、マナー違反なんだよ?」「……せやけど! せっちゃん、あたしらに何も話してくれへんやん!」 皆、皆、せっちゃん心配して……「迷惑なん? あたしらがせっちゃん心配したら、迷惑なんか!?」「……ありがとう、嬉しいよ……」「悪い。お前らを守るつもりだったんだけど……逆に心配させちまったな」 ……せっちゃんは、刹那さんと二人で一人なんや。 ここでは、二人の意見が同時に聞こえる。 「私は、はやてや皆を守りたかっただけ。……心配かけたなら、謝る」「とりあえず、なんとか目処立ちそうだからさ、起きたら話すよ」「……えっと、別々に話してくれへん? 聞き取り辛いんやけど……」「「あ、ごめん」」「はやて。この場で聞きたいことある?」「……ここなら、お前の疑問に、制限なしで答えてやるぞ?」 いきなりそんなこと……あ、そうや。「じゃ、じゃあ刹那さん。さっきの夢は……」「散々お前らに話した、前世の夢さ。……前話したとき、お前たちには見せたくない夢って言ったろ? ……理解できただろ?」「……今も、ああやって見よるん?」「ああ、時々な? 特に、起きてるときに感情が高ぶったら、必ず見てる……今日も、いろいろあったし」「……刹那さん。夢の中で、あたしらの事知っとったんは何で?」「う~ん。それは言っていいものかどうか……まあいいか?」「よくない。あまりにも荒唐無稽。信じられない……私もいまだ信じられない」「あ、そう? ……つーわけで特秘事項だ。悪いな?」 さっき制限なしゆーたやん。 夢の中でもせっちゃんは意地悪や。「……せっちゃん。こうやって刹那さんと話しながら物事決めたりしとるん?」「今日だけ特別。普段は二人一緒に思考して、最善だと思う選択をしてる。……時々裏目に出たり、話に矛盾が起こったりして、混乱する」「まあそのときその時に修正はしてるつもりなんだが……まあ、言動不一致になる場合もある。それは許せ」 あたしに言われても……あ、あれ?「なんか、体が引っ張られよるんやけど……」「ああ、目が覚めるんだろ? そろそろ朝じゃないか?」「多分そう……はやて」「「またあとで」」 二人同時に同じ仕草で腕を振る。 ……二人は一人の思考なんや。 引っ張られながら……せっちゃんの、刹那さんの笑顔を目に焼き付けた…… <せつな> ……? 誰か、泣いてる? ……あ、そう言えば、「はやて、おま……うぁ」 目を開けると、子供組全員泣いてた。 いや、全員って、……あ、ヴィータだけおろおろしてる。はやては……ぐう、やっぱ泣いてる。「あ、せつな? 何だよこれ……何で皆泣いて、おあ!」「「「「せつな」」ちゃん!!」」「は、せ、ちゃ、ん……」 なのは達同年代組が飛びついてくるとか。「「せつなおねぇちゃ~ん」」「せつなさ~ん」 アリシア、ギンガ、スバルとか遅れて近寄って泣いてるし……「……な、なにがあったんだよ? せつな?」「……はやてたちは自業自得だからいいとして、アリシアたちは何で泣いてるんだ?」「お、起きたら、え、えいとたち、ないでで……」「皆な、いてて……悲しく……なって……」「おねぇちゃんたちなぁいたらめ~~~~」 ……釣られ泣きか。「はいはい、お前ら泣き止めって! せつなちゃん今日は元気だから!」「「「「「嘘ついたらだめ~~~~~!!」」」」」 いや、嘘とか……「せつなちゃん! あんな夢、悲しいの! 悲しすぎるの! あんなゆめみたたらだめなの!」 なのは、噛んでる噛んでる。「せつな~~~。しんじゃやら~~~~~」 フェイト、死なないから、死んでないから、あれ前世でもう死んだから。「せっちゃんの嘘つき! 意地悪! すっとこどっこい! あたしに心配かけたらあかんやん!」 はやて、お前は後でじっくり話そうな?「せつなちゃん、せつなちゃんせつなちゃん! ずっと、一緒にいるから、あんな怖い顔しないで!」 いや、すずか、それは……そんなに怖かったか?「せつなの馬鹿! 私を好きにしていいから、あんな夢見ちゃだめだから!」 相変わらず女王様だなアリサ! 後自分は大切にしろ!「「「「「うわぁぁぁぁっぁぁあぁん」」」」」「……はいはい。私は……俺は大丈夫だから。今は幸せだから。もう泣き止めって……な?」 まったく。 愛されてますことで。「……せ、せつな? どうしたの?」「あ、母さん……たしけて……」 俺も泣くぞ、もう。 ……二十分ぐらい泣いてました。こいつら。「……さて、落ち着いたところで、はやて?」「う!? ご、ごめん」「……はぁ。まあ、心配かけた私も悪いから、今回は見逃すよ」「……そ、そうよ! 大体、あんたが何も言わないから!」「え? やっぱり私が全面的に悪い?」「……せつな、私たちに言えない事?」「……どっちかって言うと、言いたくないこと……かな」 うう、またこいつら泣かせる結果になるから。「……せつな?」「な、なんですかお母さん?」「まだ私に隠してる事、ある?」 ……す、鋭い……たくさんあります。「……あるみたいね?」「なんでばれるの!?」「顔に出てるわ。後、母親を舐めないでね?」 ……た、たった数日しか暮らしてないのに……「母親すげぇ……」「ごめん。今のは私でも分かった」 クイントさんまで!?「う~ん。私も分かったって言ったら、駄目?」 桃子さんもか……「母親つえぇよ……」「にゃははは、おかーさん最強だから」 うん、将来はお前もそうなる。「ねえ、せつなちゃん?」「……なんですか、忍さん?」「ここに、忍さん印の自白剤が」「……おねえちゃん!?」「じ、冗談よう……」 すまん、冗談に聞こえんかった。「まあ、忍さんの冗談はともかく。話してないことがあるなら、全部出しちゃいなさい」「……お母さん……」「ここには、関係者しかいないし、男の人は外に出てもらってる。小さい子達は、エイミィとアルフさんに遊んでもらってる……ね? 貴方が知ってること、全部話して?」 ……えっと、話していいこと悪いことを整理しよう。 まず、ドクター関連は……アウト、言えない。 聖王系は……これもアウト、ついでにドクターの事も話さなくちゃならない。 ミスリルの作戦参加は……セーフ、てか、リンディさん知ってる。 管理局の参加もセーフ。リンディさんは承知済み…… 前世のアニメの話はアウト。未来の話になる…… ……どうする!? リンディさんが知ってること以外なの、全部話せないジャン!?「……言えないこと、多い?」「お母さんが知ってること以外で、言えない事が二件ほど……」「……言ったら、あなたは捕まる?」「……捕まらないけど、私の身がやばくなるのが一件。逆に、私が保護対象になるのが一件」「じゃあ、両方とも言って?」 言えない言ったじゃん!?「やはりここはじは「お姉ちゃん……噛むよ?」……す、すずかがこあい」 うん、俺も怖い。「ここにいるのは、貴方のお母さんだから。……ね?」「そうそう。私は……年の離れたお姉さんで」「私はそのまま、友達のお母さんだから」 ……うう、お母様がたが強すぎるんだもん。 仕方ない、話す。 危険があっても、私が守ればいいや。……命を張っても。「じゃあ、まず、一件目……」 まずは、聖王関係から。「はやて。魔導師登録の事、覚えてる?」「ん? ああ、覚えてるで? せっちゃんが聖王の血族やないかって、大騒ぎしたときやろ?」「え!? そんなことあったの!?」 あ、そう言えば話してなかったか。「はい。いろいろ検査した結果、違うって事になって、肩透かしくろて……」「ああ、騒いでたよな? パラディン持ってかれて、せつなが暴れだそうとして……」「せつな……それを言いたかったの?」 いや、それは伏線。「実は、その結果、嘘だったんです」「「「え!?」」」「じゃ、じゃあ、せつなちゃんはその聖王の血を引いてる人なの!?」「正確には、聖王分家『銀の剣』と呼ばれる一族の末裔です……私の母方に、その血が流れてたそうです」「フォルテ先輩ね?」 あの後ちょっと調べた。 フォルテ・ヴァーミリオン。本部の防衛隊所属。結婚後退職。最終階級二等陸尉。 闇の書防衛戦で父さんと出会い、その後結婚。私を生んで、数日後死亡。享年二十五歳。「クイントさん。母さんの魔力光、私と同じ銀色じゃありませんでした?」「うん。本部でのあだ名が『白銀の戦乙女』って呼ばれて、バリアジャケットも銀色で。みんなの憧れだったのよ」「……その『銀の剣』って一族も、虹を伴う銀色の魔力光が特長だったらしいです」「で、でもまってえ!? あの時は違うって、騎士カリムが言うてたやん!」 うん。カリムさんは言った。違うと。 けど。「その検査結果ね、別人の物が使われたんだ。私とまったく関係のない人の」「……誰かにすり替えられた?」 リンディさん鋭い。正解。「はい。本当の私の血液と、魔力データは、別の人に手渡され、……私は、その人からその事実を聞きました」 ここからが二件目。「その人って、一体……」「その前に……ここから先は、私の身もそうだけど、下手したら、皆さんも危険になる可能性のある話です」 特に、管理局組には。「……その相手、ひょっとして、犯罪者?」「はい、広域次元犯罪者です。……私自身は、友好的に接してるんですけど」「は、犯罪者と友好的って……」 や、ドクター意外にいい人だし。 チンクさんたちも基本はいい人だし。「……それでも、聞きますか?」「……ええ、聞きます。母親舐めないで頂戴」 やっぱり。「……わかりました。その人は……1.言い切った! 原作レイプ上等!2.撃たれた。世の中そんなに甘くない。