綺麗に何もなくなった部屋を見渡す。 四年間。ずっとこの部屋にいた。 ……その大半の記憶はないけど、こうなると、感慨深いものがある。「せつな。……そろそろ行こうか?」 クロノが顔を出す。 ……よし、感傷は終わり。 新しい環境を受け入れよう。「はい。……じゃあね」 部屋に挨拶をして、外に出よう。 明日からは、この部屋には来ない。 私は今日、旅立ちます…… まあ、同じ町内だし。「あ、せつな! またお隣さんだね?」 フェイトの家の隣だし。 リンディさんが買った家って言うかマンションの一室。 テスタロッサ家の隣の部屋だったりする。 間取りも隣とほぼ同じ。 全部で五部屋。リビング、ダイニング、システムキッチン。 バスもトイレも新品の綺麗な部屋だ。 ……と言うか、これってマンションじゃなくて億ションだよねぇ? ドンだけ金もちなんだハラオウン家。そして、テスタロッサ家も。 ……私は玄関からちょっと奥の部屋を陣取った。 クロノはその隣。リンディさんは一番奥の部屋。 空き部屋二つあるけど、その一つは居候……と、言うか、ほぼ家族の、「うぅわ! 綺麗な部屋だねぇ~。エイミィさん感激だぁ」 彼女が住むことになった。 残り一つに、トランスポーターを設置して、いつでも跳べるようにするらしい。 まあ、私以外全員管理局員だし。 「でも、どんな心境の変化なの? あれだけ管理局に入るの拒否してたのに?」「……まあ、いろいろ」 私も、来週には嘱託試験受けて、管理局員になるし。 まあ、その後、すぐにミッドの訓練校に短期入学。小学校と平行して通うことになるが。 ……また、なのは達が聞いたら怒るだろうなぁ…… そんなこんなで、私の引越しは完了した。 そして、お盆前の八月二週目。 ついに、待ち望んでいた日がやってきた! きっかけはテッサからの電話。……引越ししたことはこちらから伝え、連絡は携帯にかけて貰う様にしたが。 彼女の誘いは以下の通り。『メリダ島で海水浴とキャンプでもしませんか? お友達を誘ってもかまいませんよ?』 それはいいのか軍事部隊!?『ふふふ。ある程度の機密さえ漏れなければ、個人所有の無人島ってことをアピールする理由で可能なのですよ?』 ……なるほど。カモフラージュか。 さすがだ。 というわけで、まずは家族に。 「……お前、余裕だな。嘱託試験今週末だぞ?」「あら、いいじゃない。海、楽しみだわ。クロノとエイミィも休暇中だし、ぜひ参加するわ」「地球の海は楽しみだねぇ!」 ハラオウン家、全員参加。 次はお隣さんに。「え? テッサさんの? ……行くよ。楽しみだなぁ」「わーい! 海だぁ~!」「楽しみだねぇフェイト。てか、あんたから誘ってくるのは珍しいねぇ?」「……し、仕事がなければ……せつな? 私がいないからって、フェイトに悪戯したら……わかってるわね?」 テスタロッサ家は、フェイト、アリシア、アルフが参加。 プレシアさんお仕事で不参加。近場で、プログラムの仕事をしているらしい。 後、もう少し信用してくれ。……無理か。 続いて、電話ではやての家へ。『ん? ええよ~? ……参加できる人~!? ……うん、あたしとリインとヴィータ、後ザフィーラやな。シグナムとシャマルは教会の依頼で行けへんわ。……? ああ、ちょっと待って、シグナムと代わるな~?』『……せつなか? 私の代わりに、主を頼む。……それと、お前を信用しているが……主に不埒な真似をしたら……わかっているな?』 八神家は以上の結果に。 それと、シグナムさんや? もうそれ信用してないのと同意義だぞ? ……次はなのはに電話。『え? 海? うん! 行く! ちょっと待ってて…………あ、もしもし? 私とユーノ君と、お母さんが参加できるって。……あれ? うん。お兄ちゃんが話しあるって』『せつな。……なのはに手を出したら斬るからな? 以上だ』『ちょ、おにいちゃん! ……もう。ごめんね? 何かお兄ちゃん、せつなちゃんを誤解してるよね?』 高町家は以上の参加。 ……それは誤解じゃなく、極めて適切な判断だと思う。 そして高町兄の信用はゼロか……私、そんなにやばいレベル? ……次、アリサ。『……え? そう……よし、行くわ! 場所は? ……テッサさんの無人島? 面白そうね。……あ、後ね、水着姿に興奮して、襲い掛かったら承知しないわよ?』 バニングス家はアリサが参加。 と、とうとうアリサにまで警戒されてる……や、それはいつもの事か。 そして、すずかに。『あ、うん、大丈夫だよ? ……え? 恭也さんは行かないの? ……はあ、うん。えっと、うちは全員参加だよ。私とお姉ちゃんとノエルとファリン。……うん、お姉ちゃんも行くって。どうして?』『ん~? だって、せつなちゃんでしょ? 見張ってないとすずか危ないし~?』『お、お姉ちゃん……えっと、いつもの冗談だと思うから、気にしないでね?』 月村家は全員参加っと。 ……危ないのはすずかが? それとも俺が? ……どっちがだ? ……後は……よし、聞いてみるだけ聞いてみるか?『はい、ナカジマ……あ、せつなさん? え? お母さん? うん、いるよ? 代わるね?』『……はいせつなちゃん。どうしたの? ……え? 管理外世界の海? 遊びに? ……ふむ。グッドタイミングよ。有給貯まってるから、消化するわ。……もちろん。二人とも連れて行くわよ。あ、だんなは仕事あるから無理だけど。……うん、楽しみにしてるわ。じゃあ、その日に、本局に行けばいいのね? わかった、じゃあね~?」 ナカジマ家はクイントさんとスバル、ギンガが参加と。 ……まだ性癖がばれてない為、警戒されなかった。……ちょっと寂しいってそれはまずいだろいろいろと。 流石にドクターにまでは声かけないよ? あの人今の時点でもう、広域犯罪者じゃん。 そんな危ない人連れて行けるか。 そんなこんなで当日。 まず朝一で本局に跳んでナカジマ家を迎える。「「せつなさん(お姉ちゃん)おはようございます!」」「せつなちゃんおはよう。時間ぴったりね?」 バカンスモードのお嬢様方をエスコートして自宅転送ポートへ。 まずはお母さんに紹介。「あらあら。向こうのお友達って、本部の陸士さんだったの?」「は、ハラオウン提督!? は、はじめまして! クイント・ナカジマ準陸尉です!」「ああ、敬礼はいいわよ、クイントさん。今日はお休みだからね?」「……えっと、何これ、せつなちゃん流の虐め?」「そんなつもりはまったく。て、言うか、リンディさん今日はホントに子煩悩ママさんだから、気が合うと思うよ?」「……それは類友って意味かしら?」 否定はしない。 そして頭抱えるな兄さん。「……まさかと思うが、お前が管理局入り決めたの、彼女が関係してるとか?」「正確には彼女のだんなさん。……ちょっと、いろいろあってね?」 さらにテスタロッサ家と合流。「よし、スバル、ギンガ。フェイトお姉ちゃんにご挨拶」「「はじめまして!」」「……せつな、誘拐は犯罪だよ? いくら可愛いからって、私じゃ駄目なの?」「いや、母親後ろいるから」「そんな! 母親まで手篭めにするなんて!?」「ちょ、誰からそんな知識手に入れたの!?」「え? 母さん」「プレシアさーーーーーーん!!」 恩を仇で返しおってあの人は!? そして次の合流ポイントで高町、月村、八神、バニングス家と合流。 現在、海鳴湾船着場。「……ねえ、せつな? あの馬鹿みたいにでかい潜水艦っぽいの……何?」「……なんだろうねぇ?」 アリサの指差した先に、明らかに軍用の潜水艦が…… いや、浮上してていいのか? あれ、先日のメリダ島のドッグで見たぞ? そしてそこからハッチを開けて出てくるなソースケさん!「またせたな。案内を仰せつかった。案内する」「……千鳥印の不思議ハリセン!!」 パァーン!! 本家は不思議時空から呼び出すが、俺はパラディンの格納領域から取り出して、そのザンバラ頭に振り下ろした。「……どこから出した? と、言うか、それ千鳥の……」「やかましい! 何で潜水艦だよ!? しかも軍用艦だなあれ!?」「ああ、ミスリルの最新鋭原潜『トゥアハー・デ・ダナン』だ」 スパァーン!! 何怖いこと言ってんのこの人!「原潜!? 原子力潜水艦!? そんなやばいの持ち出すなよ!」「……た、大佐の指示だが……」「テッサ中にいるの?」「……か、艦長だからな……」「……よし、案内頼む……あのボケ娘、折檻したる」 ソースケさんに案内して(させて)、艦の中へ。 後、皆さん本当にすみません。この展開だけは予想できんかった。「潜水艦って初めて入ったよ。広いんだね」「テッサさんて、軍人さんだったんだ~」「ふぇ~? ごっついなぁ~」 ……おまいら順応早いね。 大人組は頭抱えております。「せ、せつなさんの交友関係って……」「こ、これが管理外の……て、これ、もしかして質量兵器じゃ?」「こっちの世界では合法ですから……しかし、まさか旅行で使うことになるとは……」「……操舵席見ちゃ駄目かな?」 とりあえず、皆を客室に案内してもらって、待ってもらい、私はボケ娘のところへ。「あ、せつなさん。お久しぶりです」 華やかに笑うその顔に、ハリセン一閃。 パァーン!!「「「「艦長!?」」」」 いい音に振り向くオペレーター&副長。「うむ、なかなかいい振りだ」 何感心してやがるカリーニンさん。「……い、痛いです……カナメさんでも私に手を上げなかったのに」「カナメさんでもこんな事されたらはたくわ。原潜で出迎えするなよ!? 何考えてやがる!?」「ちょ、丁度航路だったので、ついでに拾えばいいかなぁ~と……だ、駄目でしたか?」「駄目でしょ普通に! てかカリーニンさんもいるなら止める!」 常識人だと思ってたのに! だが彼は顎髭を撫でながら、残念そうに言った。「……やはり駄目だったか」「うう、駄目でしたぁ。……あ、カリーニンさんの案だったんですが」「よーし、そこ動くな少佐。カナメさん直伝のハリセンの餌食にしてくれる」「……ふ。仕留められるものならな」 逃げるカリーニンさん。……ベルカの騎士舐めるな。【sonic move】 高速移動魔法で回り込み、その額にハリセンを叩き込む。 スパパーーン!!「……我に、断てぬ物なし」「……見事」 自分でやっといてあれだが、何だこのコント。「……流石せつなさんです。やはりうちにぜひとも入隊を!」 スパコーン!「「「「ああ、また!?」」」」 いやあ、はたきがいがあるなぁ、このボケ娘。「い、痛いの……」「武士の情けだ。『美少女艦長全身微息の刑』にされないだけマシだと思え」「ど、どんな刑ですか、それは……」「……全身くまなく衆人環視の中で、舐めまわす」「……せ、セクハラです……」 セクハラ魔王舐めんな。「はぁ!?」「どうしたのはやてちゃん?」「今誰かにあたしのキャラ取られた様な気がする!?」「……きゃら?」 一時間後、メリダ島の湾岸部に接舷。 皆を下ろしてもらい、ついでにキャンプ用品も下ろす。 ……キャンプ用品が全部軍用だったのはもう目を瞑ることにした。 艦をドッグに入れるため、テッサとは一度別れて、キャンプ予定地へ。 ……そこには、先客の三人。「お。来たねせつな。皆さんも久しぶり~」「せつなちゃん、お久しぶり~」「おお! はじめましての美人さんがいるじゃないか! せつなちゃんでかした!」 マオねえにカナメさんにクルツさん。 そしてクルツさんに残念なお知らせ。「その人、人妻だから。後、格闘戦の達人だから、手出すと潰されるよ?」「……そ、そうかよ……」 クルツさん南無。 まずは皆でテント設営。 ……何故か手馴れているノエルさんが凄く謎。 「メイドですから」 いや、これ軍用……「メイドですから」 ……メイドすげぇ。 設営が終わったらひとまずお昼。 カナメさんたちがカレーを用意してくれたらしい。 そして、すぐに別の鍋で次の準備を開始する俺。「……え? ひょっとして、足りない?」「カナメさん、ご飯後六合ほど炊いて。……三人ほど、馬鹿食いする人いるから」 視線の先にはキングサイズ山盛りに盛るナカジマ家の姿。 あ、リンディさんひいた。「……すぐに準備するわ」「ごめん。ちょっと失念してた」「こりゃ、夜は豚の丸焼きかね?」 メリダ島の名産らしい。何故名産? 食事が終われば海水浴。その頃にはテッサも参加。「お待たせしました~」「お昼は?」「食べましたから。お気遣いなく」 ……ところで忍さんが先ほどからそわそわしてる。 何事?「え、えっと、テッサ? ちょっとお願いがあるんだけど……」「はい? なんですか?」「さっきの原潜、見学していい?」「……えっと、後でよかったら」「よっし! ふふふふふふ! 血が騒ぐわ~~!!」 ……もしかして、月村の血ってマッドの血族?「あれはお姉ちゃんだけだから……」 そうなんだ。……ホントに? そして、男子諸君必見の水着お披露目タイム! ……え? お前なら着替えシーンから見れるだろって? それがだな。「……えっと、何であたしらだけ別室なんやろうな?」「……私はともかく、はやてはほら……揉むから」「うううううう。それはあんなにええ乳があったら揉むやん。せっちゃんやったらわかるやろ?」「や、私は恥ずかしがる表情が好きだから、胸じゃなくても別に」「この変態ーーーー!!」 心外な。てか、お前に言われたくない。 なお、私は普通にワンピースの白色。はやてはグリーンセパレート。「うううう。せっちゃんはペッタンコやから揉みがいがない~」「じゃあ、揉むなよ。……十年後も似たようなもんなんだってさ……」「せっちゃんが不憫や……」 揉めば大きくなるなんて俗説なんだよ? ……まあ、少しは効果あるかもだけど。 さて、ビーチに出ると、まずはお子様組。 凹凸がないのと手入れが要らないので着替えるの早いな。「でも、フェイトちゃんのあれは反則やとおもうんや」 水着までも黒なのはあれか? やはりプレシアママの教育の賜物? セパレートだけど膨らみかけてるのがわかります。「ふ、二人とも、目がエッチだよ?」 ふふふふふ。羞恥に真っ赤になるフェイトは本当に可愛い。「こらこらこら! フェイトにセクハラしない!」 こちらはピンクのワンピース。 ……何気にアリサも海外産。膨らみだしてる。羨ましい。「こ、この足さえ自由に動けば~……」 松葉杖じゃあねぇ?「えへへ。せつなちゃん、わたしはどうかな?」 なのははピンクのスポーツタイプ。背中開いてて可愛い。 実にグッド。なお、まだまだペッタンコ。「くう、あれで膨らんでたら背中から手ぇ突っ込んで後ろから……」 それは完全に親父の発想だ。だが同感。 「せつなちゃんもはやてちゃんも鑑賞モードだね。楽しい?」 すずかは藍色のワンピース。スカート状のひらひらが可愛らしい。 「すずかちゃんは何着ても清楚に見えるなぁ。さすが純正お嬢様や」 同意する。さすが俺の愛人。「「「せつなおねえちゃ~ん!!」」」 チビども参戦。フェイトとお揃いの黒のワンピのアリシア。 青色セパレートのギンガ、スバル。 てか、子供はセパとワンピばかりか。例外がなのは。 ……ありゃ? ヴィータどこ行った?「ほんまや。どこ行ったんやろ?」 ……あ、沖のほうに。 ……手に持ってんの、ひょっとしてグラーフアイゼン? じゃなくてあれは……銛?「獲ったどーーーーーーーー!!」 浜口!? てか、何してやがるヴィータさん!?「今、家で黄金伝説大ブレイク中やから。影響されたんやね」 ……なんとまあ。 やたらでかい魚ぶっ刺して、こっちに来るのは海の女ヴィータ。 赤いスポーティタイプの水着が何故かかっこよく見える。「はやて、これ食えるのか?」 知らずに獲ったのかよ。てかクロマグロじゃないか!? 何で沖の方で泳いでんのさ? こいつ。「でかしたヴィータ! せっちゃん包丁持って来て!」 ここで調理する気かよ!? せめて夜まで待てと。「……【ブレイブハート】スタンバイ。【冷凍保存】」【ice box】 古代ベルカの生活の知恵魔法。関係者多いから今回だけ許せ。「うぅわ! 凄いの獲って来たね、ヴィータちゃん!?」 上から声。ヤングチーム第一弾はエイミィさん。 ……むぅ。美乳だ。 クリーム色のビキニがまぶしい。誰を誘惑する気ですか?「……と、言うか、魔法で保存するとか……いや、まあ、いいか」「いいのか兄さん?」「駄目とはもう言えないだろう。……今日は見逃す」「ありがたき幸せ……と言うか、何で目を逸らしてるの?」 必至にエイミィさんを視界に入れないようにするクロノ兄さん。 ……何気に私も入れようとしない。「……いや、この世界の海は綺麗だな」「兄さん……私はいいから、せめてエイミィさんは褒めよう。綺麗だの一言でいいから」「そ、そんなこと言えるか! ……く、目で訴えても無駄だからな!」 ち、お堅いやつめ。 「駄目よせつなさん。クロノの堅物は筋金入りだから。……まったく、誰に似たのだか」 来ましたリンディ母さん……相変わらず、経産婦とは思えないスタイル。 あれだ、エロかっこいい。空色のビキニは鼻血ものです。 そして、「ナイスバストや!」俺の台詞取るなはやて! 地の文に割り込むな!「……ま、負けた……」 何が? と、声の主を探すとクイントさん。 いえいえ。貴方も充分魅力的。 娘たちとお揃いの青色セパレートは本気でエロイ。 くそ~。あの胸があの親父の所有物なんだぜ、羨ましい。「あの親父って、あの時の渋いおっちゃんか?」「ゼストさんとは別の人だ。う~ん、渋いってより、とっつあんタイプ」 ゲンヤさんはまたゼストさんと違った渋さがあるけどね。 凄い大人の人だから。「はやて、お待たせしました」「お、待ってたでリイン。……どおやせっちゃん? あたしプロデュースの悩殺リインは!」「ナイスだはやてよくやった!」 証拠にクロノが全力で目を逸らした。 黒色のビキニをかっこよく着こなし、それを包み込みきれずに……よ、横乳が凄く犯罪です。 「……そ、その、あまりじろじろ見ないでくれ」 この恥じらいがさらに素敵だ。 ん? あれ?「なあ、はやて? ちょっとリインフォース胸大きくなってないか?」「設定ちょっと弄った!」 胸張っていうな! 偽乳か!?「え、ええやん! 大きいことはええ事やで!?」「同意するが設定弄ってまでするな! リインフォースも抗議くらいする!」「あ、いや、はやてが満足するなら……」 く、手遅れだったか……「いいか、ちびっ子共。私もそうだけど、このお姉ちゃんみたいならないようにね? 人の道は外れちゃ駄目ですよ?」「「「はーい!!」」」「いや、あんたが言うな」 だから、私もって言ってるじゃないかアリサさん。「あらあら。皆元気ねぇ」 海鳴組のトリを勤めるのは高町母、桃子さん。月村姉、忍さん。 桃子さんはやはりシンプル。花柄ビキニに、腰に同柄のパレオ。麦藁帽子で日差しもシャットアウト。 忍さんは藍色ビキニにシャツを羽織り、おへそで裾を縛っている。下はジーンズのホットパンツ。 二人とも南国仕様で登場して、その後ろに、荷物持ちのユーノ。……あ、珍しく人間型。「ユーノ? 今日は人間なんだな?」「……しばらく省エネモード禁止喰らって……」 何があったんだ?「……フェレットのときに美由希さんに捕まって、そのまま強制的にお風呂に……それがなのはにばれて……」「自業自得だ、この淫……と、思ったが、まあ、乙」「うん、ありがとう……」 美由希さん、ユーノが男の子でも平気で風呂入ろうとするからな……いや、同じ男としてちょっと同情する。 俺も男の姿だったら、女性と風呂なんか入れん。 ……あ、そう言えば。「フェイト、はやて。アルフとザフィーラはどうした?」「「……二人とも森の方に行ったよ」で?」 ……ああ、狼の血が騒いだか。 今日は豚肉パーティかなぁ…… て、これもデートになるのか?「飼い主としては二人の交際はオッケーなのか?」「……まあ、幸せなら」「いや、アルフさんは多分あまりその気やないと思うで。あれは完全に飯に釣られとるだけや」「そ、そうかなぁ? アルフ、最近ザフィーラの事ばかり話してるけど」「あれま。本気やったんか? ……それなら、認めるしかないなぁ」 飼い主公認カップル誕生。 おめでとう、ザフィーラ。頑張った甲斐があったな! 「……こ、ここはパラダイスか!?」「落ち着けクルツ。ほとんどが幼子だろう」 さて、ミスリルトップバッターはウルズ6、7。 後クルツさんに本当に残念なお知らせ。「さらに大人の女性は全員お手つきだ。残念でした」「……なに? ここは地獄か?」 手を出したくても出せない無間のジレンマ地獄。 ロリの称号を手に入れるか、はたまた、人妻を寝取れるか……!?「まあ、手を出したら、せつなちゃんが裏に行って折檻開始でしょ?」「問答無用ですね。弾幕地獄に付き合ってもら……おおう……」 姐さん、グッド、いやグゥレイトゥ! リインフォースと同じ黒ビキニなのだが、筋肉の付き具合でものごっつかっこいい。 そして、腰から伸びる太もものラインが涎もの。 「な、なんや!? あたしのおっぱいカウンターが振り切れとるやとぉ!?」 自他共に認めるおっぱい魔神、はやてですら恐れ戦くその凶悪なバスト。 歩くたびにぷるんぷるん揺れています。 マオねえ、あんた輝いてるよ……「……こっちじゃあ、マオさんには勝てないわね」「ま、まあ、メリッサはかっこいいですから……」 と、ミスリル組のラスト、カナメさんとテッサ。 カナメさんはスポーティなセパレート水着。何気にこっちも凄い胸。本気で国産か? テッサは……緑を基本としたワンピース。胸元のリボンがキュート。 彼女の肩に手を置き、「同士!」「失礼です!?」 ようこそ『成長してもペッタンコ同盟』へ!「ふふふふふ。仲良くしようよテッサ。海鳴組の女子は全員羨ましいぐらいに大きくなるんだよ? 理不尽だよねぇ?」「わ、私だってこれから大きくなるんです! まだ未来の希望があるんです!」 そんな希望は一刀両断。あんた十七歳だろ? その年齢でその胸じゃぁ……どうでしょう? おっぱい評論家の八神さん。「う~ん。微乳がせいぜいやね」「貧乳じゃないだけマシと。良かったね、私より上だ」「うううううう。やっぱりせつなさんが意地悪です」 当然です。その落ち込み顔が見たかった。 やっぱ美少女虐めは楽しいなぁ。「本物の変態さんやね。はーいちびっ子の皆~? こんなお姉さんみたいになったらあかんで~?」「はーい!」「「……?」」「あれ? ギンガちゃん、スバルちゃん? 返事はどしたん?」「え? 私、せつなさん好きですよ?」「せつなお姉ちゃん好き~!!」「な、なにぃ!? せっちゃん!? この子らに何したん!?」「むしろ何もしてないからじゃないか?」 ふふふ。この子らは大事に育てるのさ。 俺好みのストライカーに! ……またなのはの役とっちまうなぁ~?「む。何かいやな気配を感じたの。……せつなちゃん。ちょっとお話しようか?」「勘がいいじゃないか、なのは。……だが断わる! さらば!」 沖に走り去る私!「フェイトちゃん、すずかちゃん!」「まかせて!」「いくよ!」 追ってくるのは運動神経人外チーム! ……追いつかれる!「だが! 私を舐めるなぁ!」 その場で振り返り、二人に突撃、その間をすり抜け……「ひぃ!?」「きゃ!?」 二人を戦闘不能にする。具体的に言うと、撫でた。「ふ。敏感なのも困りものだねぇ?」「て、どこ撫でたの今!?」 ……そりゃあ、ねぇ?「……胸と尻」「この外道ぅぅぅぅぅ!!」 一瞬ですが堪能させてもらいました。「あーーー!! せっちゃんずっこい! あたしにも分けてぇな!」「はやてはだまらっしゃい! ええい、私が相手よ!」 アリサが持ち出したのは、海のお供ビーチボール。メイドイン月村。「喰らいなさい! バーニングサーブ!!」 それ卓球のときにもやりましたよね!? しかもただ叩きつけただけだし!「甘い! ローリングレシーブ!」 ビーチバレーに何の意味があるのか、転がりながらレシーブ。「なのは! いったわよ!」「まかせるの! ディバイン!」 なにぃ!? なのはのアタックだとぉ!?「アタァーーーーーーー……にゃぁ!?」 スカッ! ……綺麗にからぶって、顔面から落ちるなのは。 転がっていくボール、訪れる静寂……「なのは」「う、せ、せつなちゃん……」 うなだれるなのはに、笑顔を向けて。「グッジョブ」「せつなちゃんの意地悪ぅぅぅぅぅ!!」 爆笑が生まれました。そして私は萌えた。 その後は皆でビーチバレーしたり、ちびっ子共に砂山の城を作ってやったり、エイミィさんに声かけようとしたクルツさんをクロノと一緒に首だけ出して埋めたり。 ……後、ノエルさんがスイカ持ってきてくれてスイカ割り。 MVPはこの人。「せぇい!」 手刀で真っ二つとか何事だクイントさん。 巻き起こる拍手、震え上がる男性陣。 で、ワーストはもちろんこの人。「ふぅ!」 パァン! 立ち上る硝煙。真っ赤にはじけたスイカの残骸。 唖然とする海鳴組。真っ青になるミッド組。「……よし」「じゃない!!」 振り下ろされるカナメさんのハリセン。 吹っ飛ばされるソースケさん。「あんたはまだスイカ割りわかってなかったの!? そのネタ二度目じゃない! ライフル持ち出すな!」「な、なかなか痛いぞ千鳥」「どやかましい!」 ……二度目って、前にもやったのかよ。 確かに割ったけど食えないよこれ。 クルツさんの隣に埋めました。「お、お仲間だな、ソースケ」「……不覚……」 そしてその真ん中にスイカを置いて。「さあて、チビども。思う存分割ってあげなさい!」「「「わーーー!!」」」 手にスポーツちゃんばら用ゴム刀もたせて、アリシア、ギンガ、スバルを突撃させる。「いて! いってて! おまいら! スイカは隣だ隣!」「むぅ! ぐ! ご、拷問かこれは……!」 スイカが割れるまで続けさせました。 夕方。 ビーチを引き上げ、キャンプ地へ。「お、戻ってきたね。お疲れさ~ん」「……食事の準備はしておいた。存分に食べてくれ」 ……ざ、ザフィーラが料理人になりかかってる……!?「はやて……どこまで仕込んだんだ!?」「いやぁ……ちょっと暇やったから、『食王』に出てた様な訓練を施したらあんな感じに……」 五稜郭!? 伝説の再建人!?「次は『ザ・シェフ』あたりを攻めよか?」 いい加減にしなさい。 なお、ザフィーラの料理は野趣あふれる『野豚の丸焼き香草風味』、『豚串・各部位の炭焼き』と見事に焼き物ばかりでした。 スープとご飯はノエルさんとファリンさんで用意してくれた。 ……むう、普通に美味いし。「「「おかわり!!」」」 そしてナカジマ家容赦ねぇ。 人の3倍は食ってます。 ……あれで太らねぇんだから恐ろしい。「……? どうした、アリシア?」「あれくらい食べないと、私もママみたいになれない?」 ……プレシアさんもスタイルいいからな~。「いや、あれは特殊。……アリシアは、自分が食べられるだけ食べればいいよ?」「うん!」 普通にしてても美人になるのは確定してるからね、テスタロッサの遺伝子は。 ……あ、同じテスタロッサでも、「……な、何でこっち見るんですか?」「いや別に?」 こっちのテスタロッサは絶望的だが。「また意地悪なこと考えてます~」「べ~つ~に~?」「ううううう」 テッサは本当に可愛いなぁ。「せつな。少しいいか?」 あれ? 兄さん何事?「ああ……ちょっとな」 ? とにかくついていくことに。 キャンプ地から離れて……「ここならいいか。……さて、せつな。……彼らは何者だ?」 彼ら……って、ああ。「ソースケさんたち?」「潜水艦といい、ライフルといい、このキャンプ用品といい……真っ当な人間じゃないだろう」 隠す気ゼロですからね。 最初の俺らの隠密具合が馬鹿みたい。「向こうから見ても、私たちが真っ当な人間に見られてないのは、分かっての発言だよね?」「……まあ、それはそうだが」「彼らは、傭兵部隊。戦争屋だよ。……主に、テロ組織を相手取って戦争している、カウンターテロ特別部隊『ミスリル』。……この島は、その部隊のアジトの一つだよ」「……じゃあ、お前は、その傭兵たちと……戦った事があるんだな? ……魔法を使って!」 ……えっと?「どうしてそこまで跳ぶの? ただのお友達じゃ駄目?」「ただのお友達が、あそこまで無節操に手の内見せるか? ……お前は、この世界で魔法を使い……人を殺した。違うか?」「証拠は? ……勘とか言ったら、怒るよ?」「ああ、勘だ。お前は、人殺しを経験した。……その気配を、僕は知ってる。お前から、時々その気配が感じられる……それが、証拠だ!」 ……鋭い。 流石、アースラの切り札。敏腕執務官だけの事はある。「じゃあ、もしそうだとして、私をどうするの? 捕まえる?」「……僕は、お前がどんな暮らしをしていたのか、よく知らない。情状酌量の余地があるのなら、社会奉仕で勘弁してやる」 ……でも、甘いよ、兄さん。「そこまでだ」 クロノの後ろに現れる影。……ソースケさんが、クロノの頭に拳銃を突きつける。「……お前たちの言う質量兵器だ。武装を捨ててもらおう」「……問答無用か……仕方ないな……」 手に持ったデバイスカードを地面に捨てる。 そしてボディーチェックはちゃんとやるソースケさん。「せつなは我々の友人で、大切な仲間だ。……彼女を貴様らの法で縛らせるわけにはいかない」「……じゃあやはり……」「うん。兄さんの予想通り。私は魔法で人を殺した。……その必要があったから」「……なぜだ!? 何故、非殺傷を使わなかった!」 ……まあ、簡単な話。「あのね? 戦争って怖いんだよ? こっちが非殺傷を貫いて、手加減して……もし、気絶させられなかったら、後ろから撃たれるんだ。誰だって死ぬのはいやだからね。殺される前に殺すのは、当然なんだ。……戦場では、容赦が命取りになるんだよ」「……だが! お前が使う魔法は、確実にこの世界じゃ強すぎる! わかっているだろう!」「うん。……相手が、魔法を使わなければ」 オーバーキルは分かってる。 けれど、向こうが同じものを使うのなら……「……おい。この世界は管理外で……魔法は……ないはずだろう!?」 その言葉に、首を振る。「あるんだよ。誰が持ち込んだかは知らないし、どうしてあるのかも知らない。……でも、国家間で確実に注目の的になっている。リンカーコア、デバイス……そして、それらを基に作られた、非魔導師でも使える、魔導兵装『アームスレイブ』。……テッサはね? それらを排除する為に、私に協力してくれてる。この世界に、魔法は要らないから」「……その為に、お前が手を汚すのか!? こいつらに任せれば……」「そうすれば、『アームスレイブ』のぶつかり合いになる。知ってる? 技術の進歩は、戦争による技術向上によって発展するんだよ? より相手を多く殺すため、より相手を恐怖で竦ませるため、より相手の力を防ぐ為……研鑽を重ねて、この世界の魔法は、手がつけられなくなる。……そうなったら、ミッド古代史のベルカ戦争が、この地球上で行われるんだ。……私は、そんな未来要らない」 その為に。「この世界の魔法を一掃する為にも、強力な力を見せ付ける必要がある。……この間は、その第一撃。……あの時は、私だけじゃなく、私の友達にも、手を出そうとしたから。お仕置き」「……誘拐、されかかったのか?」「うん。私とアリサがね? 私はソースケさんたちに助けてもらって、アリサはシグナムたちが間に合った。……私は、ソースケさんに付き合って、その犯人の要塞に乗り込んで、破壊を手伝った。……この世界で破壊力のあるミサイルを防ぐ魔力障壁を破壊する必要があったから」「ミサイルを……防ぐ魔力障壁!? 馬鹿な! そんなデバイスがあるのか!?」 あ、やっぱりミッド人からしても驚きなんだ。「本当は、魔力障壁発生装置。私たちのデバイスより大きくて、持ち運びなんか無理な物。……使用者は、実験体になった、リンカーコア所持者」「……実験体……だと?」「うん。……リンカーコアはこの世界では未知の機関だから、たとえ人に宿る機関でも、実験が必要。……その装置の使用者は……もう、脳髄だけになってた。……その姿で……生かされてた」 そんな姿で生きているといった。 あの科学者は、そう言った。 あれに比べれば、スカリエッティはまだまだ優しいほうだ。「……そんな……」「ねえ、兄さん。人って怖いね? 自分の欲望の為に、他人を平気で犠牲にできる。……その牙を、へし折った私は……やっぱり、悪なのかな……」「…………」 もう、何も答えないクロノ。 しばらく俯いていたが、 「……僕も、そういう事件は、何度か見てきた」 口を開く。 執務官だから、それくらいはあるだろう。「たくさんの人を助けた。たくさんの人を……助けられなかった」「……うん」「でも、その犯人は皆、魔導師だった」「……うん」「……この世界に、魔導師はいないんだろう? その科学者は……ただの人間、非魔導師なんだろう!?」「……うん」「どうしてそんな非道ができる!? どうしてそこまで外道を行える!?」「それが、人の業だからだ。……人の、夢の形の一つだからだ」 ソースケさんが代弁する。 私の思いを、人の業を。「そんな夢、認めない! 認められない!」「なら、貴様はその力を捨てられるか? その魔法を捨てられるか?」「……」「捨てられないだろう。それは、この世界の人間も同じだ。……新しい、力を、捨てたがる人間はいない」「……この世界は、管理局法に違反する。僕は実態を調査して、管理できるように働きかける。それなら、せつなが無理する必要は」「……なら、ここで死ね」 トリガーに指をかける……させない!【sonic move】 発砲音。……私の腕の中には、クロノ。 良かった、間に合った。「……せつな。何故邪魔をする?」「するよ。せっかくできた、新しい家族だもん。……殺させはしないよ」「……お前の行動は矛盾する。こいつのやろうとすることは、戦争を肥大化するだけだといったのは、お前だろう?」 ……それ、テッサにしか喋ってないぞ? テッサ、話しやがったな?「どういうことだ?」「兄さん。兄さんが言ったことをすれば、この世界の人たちは、確実に反抗する。……その時に、どれだけ被害が出ると思うの? この世界にも、管理局にも。……この世界は、いまだ質量兵器は合法だし、核兵器だって廃絶されていないんだよ? ……そうなったら、兄さんは責任背負えるの? この世界を戦争に巻き込んだ責任を、背負いきれる? ……私は無理だよ。撃たれた銃弾が、隣の友達に当たるような世界になった責任、背負えないよ?」「……それは……」「だから、私は、私とテッサたちは、この世界の魔法を根絶する。せめて、その技術が、広がらないように食い止める。……お願い兄さん。この世界に干渉しないで。私は私の世界が、炎に焼かれるのはいやなの……」 それは誰しも思う願い。 誰だって、戦争は嫌だ。 殺されるのは嫌だ。殺すのも嫌だ。 そしてその原因を、身内から出すのはもっと嫌だ。「……僕は……」「クロノ。そこまで」 ……私たちの母親が、その場に姿を現した。「……母さん」「……ああ、もう。せつなさんは無理ばっかりしてるわね。……ソースケ君? うちの娘に悪い遊び教えちゃ駄目じゃない」「……娘と呼ぶつもりなら、もう少し母親らしいことしたらどうだ? ……せつなには悪いが、彼女の生活を調べさせてもらったが……とても、精神障害者に対する扱いではなかった。……飼い殺しもいいとこだ」「……そうね。それは反省するわ。……せつなさん大人っぽいから、子供だって事実、忘れちゃうのよね」 あくまであっけらかんと、でも真面目に、私の目を見据える。「せつなさん? ……せつなさんの魔法は、人殺しの道具?」「いえ。大切な人を守る、剣です」 それだけは、譲れない事実。「……そうね。……せつなさん。こっちきなさい」 ……叩かれる……そう思って近づいた。 そしたら……抱きつかれた。「……全部、大人が悪いのよね。貴方を守る人が、誰もいなかったから。……ごめんなさい」 ……クイントさんと、同じこと言ってる。「そうよ? クイントさんに説教されちゃった。『あんないい子を放置して、提督なんて何やってるんですかー!』てね? ……貴方が今までやったこと全て、私が責任持たなくちゃいけないのよね……」「そ、それは、ちがいます! 私も、私が奪った命は……私が背負わないと……」「話の、実験体にされた子?」 ……どこから聞いていたんだろう?「……あの子は、エレンは、大人のエゴに振り回されて……あんな姿になっても、それが非道なこととも知らず……あいつに命令されて、簡易デバイスの電子音みたいに、それなのに、生きてるって……だから、あの子の命は、私が……」「……そうね。じゃあその子の命は、貴方が背負いなさい。それ以外の責任は、全部私が背負ってあげるわ」「お、かあさん?」「……クロノ執務官? せつなを逮捕するというなら、まず私を逮捕しなさい。……この子に罪はないわ」「か、母さんそんな無茶な……」 本当に無茶苦茶だ。 理論を全部すっ飛ばしてる。「無茶じゃないわよ。……娘を助けるのは、母親の仕事なんだから」 ……なんて人だ。 なんて、強い……「お母さん……」「安心して? 貴方が願うとおりに、お母さんが守ってあげるわ。……母親って、この世で一番強いのよ?」 うん。知ってる。 世界最強の母親候補の卵と友達だから。 ……今は、甘えることにしよう。「……この世界の魔法はどうする気ですか?」「ふふん。当然、なんとかするわ。……ソースケ君。後でテッサさんとお話させてもらえる?」「……大佐に連絡します」「ありがと。私も向こうでは少将相当官だからそれなりの対応お願いね?」「!? 失礼しました! 自分は『ミスリル』所属、太平洋戦隊特務隊の、相良宗介軍曹であります!」「時空管理局時空航行艦『アースラ』艦長、リンディ・ハラオウン提督よ。じゃあ、お願いね?」「は!」 ……いや、本当に凄いわ。 ぜんぜん動じない。 もう、圧倒としか言いようがない。「……心配しなくても、上手くやるから。ね?」「ありがとう、ございます……」 お手上げ。降参。 この人には勝てません。 ……そして、自分の無力を感じるとともに、心強い母を持ったことに感謝した。