六月に入り、お隣さんが引越しした。 高町家に近い分譲マンションの一室を買い、そこに移った。 ……私の家族の引越しはまだまだ先になるそうだ。 まだしばらくは一人暮らしが続く。 ……さて、メールチェックした後寝ますか……? 一件サイズがでかいのが来てる。 あ、こないだの恭子さんだ。 この間の写真データを送ってくれたようだ。どれどれ…… データを確認後、すぐにUSBメモリに保存。明日写真屋に持って行き、現像してもらおう。 ……これが、今回の事件の始まりだったとは、夢にも思いませんでした。 さて、フェイトが転校してきました。 自己紹介と共に歓声の上がる我がクラス。 ……下の階からも歓声上がってる……一年のクラスだな? そしてフェイトに群がる人人人……ええい、うっとおしい!「はいはい! そんなに皆で質問したら、フェイトが困るでしょ! 順番よ順番!」 女王様降臨。見事に仕切るアリサ。 ……途中怪しいところもあったが、なんとか質問を捌き終えたフェイト。ご苦労様。「つ、疲れたよ」「お疲れ。……後、転入おめでとう」「ありがと。……えへへ。どうかな、私の制服姿」 うん、それ三回ぐらい家で見せてもらったよね?「可愛いよ。よく似合ってる」「……うん。ありがとう」 毎回同じ台詞だというのに、毎回嬉しそうにするものだから、とても可愛いんだよもん。 思わず抱きついてしまっても罪じゃないよね?「またあんたわ! フェイトも、嫌なら嫌って言わないと、調子に乗るわよ?」「え? 嫌じゃないよ?」「……く、もうフェイトは手遅れだったか……」 何が手遅れか失礼な。「ふふふふふ。フェイトは私の嫁だからね。既に調教済みだよ?」「ちょ、あ、あんたって人はぁぁぁぁぁぁ!!」「……なのはちゃんは?」「なのはは私の恋人!」「……何かフェイトちゃんとグレードが落ちたような気がするの……」 呼び方の違いだが、愛情度は同じだよ?「じゃあ、はやてちゃんは?」「はやては私の妻!」「「……な、何か負けた気がする」の」 いやあ、あの気の合い方は尋常じゃないしね?「じゃあ、私は?」「すずかは私の……愛人で」「……うん、いいね」「いいんだ!?」 いいのか? 愛人で。「……ちなみに聞くけど、私は?」「アリサは私の、えとお……ペット?」「こらぁ!」 ぺちっとはたかれた。「じゃあ、相方?」「漫才師か!」 またはたかれた。「えと、えと……じゃあ、肉ど」「それは禁則事項!」「みくるさん!」 ローリングソバットが華麗に決まり、見事に吹っ飛ばされる私。 ……なのはたちに吹っ飛ばされた、アースラ武装隊の気持ちが少しわかりました。「あ、アリサ……ぐ、グッドクマさん」「……! こ、このセクハラ魔神~~~!! 記憶を失えーーーー!!」「ちょ、まって、死んじゃう、ホントに死んじゃう! あ、でも感じちゃう!?」「死ねぇ、死んでしまえぇぇぇ!!」 スタンピングはマジまずいと思うんだ。 とにかく、フェイトとすずかが止めてくれなければ、そろそろまずかった。「……せ、せつなちゃん。こうなるって解ってたのに、何でそこまでアリサちゃんをからかうの?」「あ、愛故に……ほら、怒ったアリサも可愛いだろ……?」「ボロボロになるまでやることじゃないと思うなぁ……」 まあ、一種の愛情表現だよ、なのは。 で、帰り道。 なのは達と別れ、家路に着く。 バス停からは一人。フェイトがまだ引越ししてなければ、一緒に帰れたんだけど……「まあ、仕方ないか」 そう言えば、この間の写真が今日あたりできるだろう。 取りに行くかな……「……」 しかし、いくらまだ春だからって、ロングコートは暑くないか? いや、今そんな人が通り過ぎて……「んぐ!?」 !! 後ろから羽交い絞めされた!? 口に何か押し当て……薬品のにおい? まさか!?【barrier burst】 パラディンの自動魔法で変質者(仮)を弾き飛ばす! 身体に違和感……と、言うより、頭くらくらする。 ええい、情けない! 逃げないと……そう思って足に命令する。 なんとか動ける……と、思ったら、足元が破裂した。 ……え?「……」 男の手には鉄の塊。所謂……拳銃。 幸い、当たらなかったが、まずいだろこれは!「……」 今ので完全に体が硬直した。 ちくしょ、変なもん嗅がされてなければ…… 近寄ってくる変質者。 手詰まりかよ……「諦めるにはまだ早いぜ、せつなちゃん!」 !? 聞き覚えのある軽い声。 私を抱きとめてくれる……男の人。 ……よりにもよって、「あんたかよ……クルツさん」「へ、ヒーロー登場ってな? 少し寝てな?」 その体温を感じながら。 ぷつんと意識が消えた。 ……? なに? なんかうるさい?「? お、目が覚めたか?」 ……何この音? バリバリうるさいなぁ……「おーい、せつなちゃん? 聞こえてるか?」 ? クルツさん?「あれ、何でクルツさんが……!」 そうだ、変質者に襲われて……て、この音って、ヘリの音!?「何でヘリ!?」「ああ、今俺らの基地に移動中だ。……悪ぃな、巻き込んじまって」 巻き込んだって何!? 「何? 俺、何で巻き込まれたの!?」 状況がぜんぜんわからない。 何で俺が襲われた? 都合よくクルツさんが助けてくれたのは? 俺とクルツさんをつなげる線は……「まさか、旅行のときの写真!?」「……まあ、実はそうなんだけどよ。落ち着いて聞いてくれな?」 クルツさんの説明に耳を傾ける。 ……実は、恭子さんから発信されたあのメールに、ウィルスが乗っけてあったらしい。 ウィルスは送信先の住所を割り出し、ある機関に転送される物で、どうも私の住所はそれで知られたらしい。 ウィルスの存在に気づいたのは同じメールを受け取ったカナメさん。 このウィルス。どうも、クルツさんたちの敵(例のデバイス作成推進派)の仕掛けたものらしく、先日、カナメさんが襲われた。 この襲撃はソースケさんが側にいたため、未遂で終わったが、そのウィルスの特性を知り、恭子さんに聞いたところ、私にも送ったことが判明。 急いでクルツさんが派遣されたところ、丁度襲われている私を発見。無事保護して、こうして別の場所に搬送されているそうだ。 ……て、ことは。「写真に移ってる、他の子たちもまずいんじゃ……」「一応、あの町には俺の部隊の連中が散って不審者を見張ってる。……大丈夫だ」 ……それでも、気にはなる。 遠距離念話でまずはシグナム。「(シグナム! 聞こえる!?)」『(!? どうした!)』「(さっき、私、誘拐目的の男性に襲われた。ターゲット予測は温泉旅行に同行した子達。それで、シグナムとザフィーラに非魔導師……特に、アリサの護衛にまわってほしい。後、すずかの様子も見に行って。それから、シャマルさんになのは達と連絡を取ってもらって、無事かどうかの確認。終わったら私に連絡。お願い!)」『(……了解した。お前は大丈夫なのか?)』「(クルツさんに保護してもらったから、大丈夫。……とにかく急いで。アリサとか、誘拐癖あるから、特にまずい!)」『(誘拐癖? ……とにかく、バニングスと合流して、しばらく護衛に着く。それでいいな?)』「(お願い。……あと、ごめん。本来なら、私が動くことなんだけど……)」『(気にするな。騎士の頼みだ。……お前は自分の身を優先させろ)』「(ありがとう。健闘を祈るよ)」『(そっちもな)』 ……たぶん、これでよし。 高町家は恭也さんたちがいるから、大丈夫だろう。 フェイトたちは……アルフがいるし、フェイト自身の戦闘能力も高い。 はやては鉄壁の守護騎士がいるから、シグナムとザフィーラがいなくても平気だ。 すずかは本人の運動能力はもちろん、ちょっと不安だがファリンさんがついてる。 問題はアリサ。鮫島さんを疑うわけじゃないけど、誘拐イベント起きると必ずさらわれるのがアリサだ。 けど、シグナムとザッフィー向かわせたから、多分大丈夫だろう……多分。 ……まさか、自分がさらわれそうになるとは、思いもよらなかったYO!「……おい、せつなちゃん? まだ具合悪いか? 寝ててもいいんだぜ?」「いえ、大丈夫です。……今、シグナムに連絡入れて、みんなの護衛に回ってもらってます」「シグナムって……あのポニーテールの? てか連絡って……どうやって?」「私たちは念話って言って、ある程度距離が離れていても会話できるんです。……私が魔法少女だということ、忘れました?」「……そういやそうだったな。……と。もうすぐ着くぜ?」 クルツさんの視線の先、一見何もない無人島らしき島。 ……よく目を凝らしてみると、所々人の手が加えられている……あ、森の中に穴が開いた。「ここがメリダ島。俺たち『ミスリル』のアジトさ」 ……ただの軍人さんじゃなかったんですね……むしろ、秘密結社? <アリサ>「鮫島! しっかりしなさい! 鮫島!」 ちょっと、いきなり接触事故ってなんなのよ! 完全に向こうから突っ込んできたわよ今の! お陰で鮫島が……血で、怪我して……く、落ち着け私!「さめじ……え?」 いきなりドアが開き、サングラスの男が手を伸ばしてきた。 私を掴もうと……!?「い、いや! 離しなさいよ!」 手にハンカチみたいな物持って、私に組み付いてくる。 あれを口に押さえられたらまずい。 どこかのドラマで、似たような手段見たことある。 これって、誘拐だ!「やだ! やめてよ!」 駄目だ、捕まる……!「この……痴れ者がぁ!」 いきなりの怒号。……聞いた事のある声。 男が車内から引きずり出され、その人に殴り倒される。「無事か? バニングス?」 ……車の中を覗き込んだのは、はやての家族で、せつなの友人のシグナムさんだった。「シグナム、残りは全て片付けた。……負傷者は?」「鮫島が!」「……鮫島殿? 無事……ではないな。今シャマルを呼ぶ。……大丈夫だ。バニングス。我々が来たからには、もう大丈夫」 ザフィーラさんも来てくれた。……でも、どうして?「どうしてシグナムさんたちが……」「ああ、せつなに頼まれてな。……君を守って欲しいと」 せつなが!?「あいつ自身襲われて、今、別の者に救出されたらしい。それで、君たちも襲われていないかと、連絡が入った。……動けないせつなに代わって、我々が来たと、そういうわけだ」 動けないって……「せつなは無事なんですか!?」「ああ、無事だと言っていた。……心配することはない。あいつは強いからな」 襲われておいて何が強いというのか。 ……ま、まあ、悪運は強そうだけど。「しばらく、私とザフィーラが君の護衛に着く。……しばらく窮屈だろうが、我慢して欲しい」 ……それはありがたいけど……「はやては?」「主はやてにはリインフォースとヴィータが就いている。……主にも頼まれている。気にするな」 はやてにも……ああ、もう、私を何だと思っているのか、あの二人は。「そんなに、私、か弱く見えるのかしら……?」「……せつなは、君は誘拐癖があるといっていたが?」 ……なるほど。 あいつが顔見せたときには、ちゃんと話し合いが必要なようね。なのは的に!「……ともかく、助かります。ありがとうございます」「何、構わん」 ……頭を押さえつけるように撫でるシグナムさん。 彼女なりに照れてる? ……まあ、私を心配してくれた、二人の友人には、感謝しておこう。 ……それと、無事でいなさいよ。せつな。 <せつな>『(……と、いうわけで、なのはちゃんたちは無事よ? 心配しないでくださいね?)』「(ありがとう、シャマルさん。恩に着ます)」『(同じベルカの騎士として、あなたの力になれて嬉しいわ……特に、私最近出番ないし)』 それは言うな。「(また何かあったら連絡よろしく。……流石に、この距離じゃあシャマルさんぐらいじゃないと念話届かないし)」『(そうね。わかった。……後、なのはちゃんとフェイトちゃん、はやてちゃんが心配してたけど……何か伝えることある?)』「(えっと、とにかく、人の心配する前に、自分の身を心配することを言っておいてください。後、心配してくれてありがとうと)」『(……微妙に厳しいけど、わかったわ。じゃあ、頑張ってね?)』「(ああ、ありがとう)」 ……よかった。皆無事か。 メリダ島に入って、基地内の一室に通されたときに、シャマルさんからの念話。 アリサがやばかったらしいけど、なんとかシグナムたちが間に合ったそうだ。 ……後、犯人は軒並み自害したと報告も入った。 徹底している。どこの工作員かと。 ……北?「せつなさん!」 と、部屋に入ってきたのは、旅行中に仲良くなった銀髪美少女テッサさん。「テッサさん。援軍ありがとうございます。助かりました」「いえ、こちらこそごめんなさい。巻き込んでしまって……後、例の組織には、誤情報を送っておきました」「誤情報?」 なんだそれは?「写真に写っている者は、私たちとは無関係の一般人だと。……これで、本腰を入れて誘拐はしないと思います」「それでも、私の友人の一人が誘拐されそうになっている。……気を抜かないほうがいい」「そんな!? ……無事だったのですか?」「ああ、無事だ。仲間が間に合った。……ホントに誘拐癖があるとは、アリサ、不憫な」 冗談だったのに。 「……わかりました。海鳴市の隊員に、警戒を怠らないように指示します」「お願いします。……この間、管理局で登録しちゃったから、やたらむやみに魔法使えないんで。……こっちで魔法使うと、事後報告でも罰金きついんです」 状況次第で反省文に変わるけどね? 管理外だから、言わなきゃばれないし。「……ところで、その厄介な組織は壊滅の目処つきます?」「それが、彼らの所在地は発見できたんですけど……」「大佐。失礼します」 入ってきたのは、渋めのおじ様。……白髭が渋さを増している。どこの将軍かと思った。 でも、将軍というより……神父?「カリーニン少佐? どうしましたか?」「はい。降下部隊準備できました。いつでも発進できます。後、『アーバレスト』ですが、本当に相良でいいのですか?」 ? あーばれすと? ……攻城弩をソースケさんに持たせるのだろうか?「ええ、相良さんが一番相性がいいみたいですし、そのまま彼に運用してもらってください」 ……いや、違う、となると……「アームスレイブ?」「!? 君? 何故それを?」「あ、少佐。彼女です。……次元世界と縁を持つ純正魔導師」「そうか、君が……失礼した。私は、『ミスリル』の作戦指揮官、アンドレイ・カリーニン。階級は少佐。相良やウェーバーの上司に当たる。今回はすまなかった」 敬礼してから、握手を求めてくるおじ様。 ……案外、はやての言ってた渋好みってあってるかもしれん。 かっこよさすぎる。 握手を返しながら、その仕草に見とれていた。 いやまて。「て、こらテッサさん? やっぱり使うんかい『アームスレイブ』」「……仕方ないんです。向こうも、使ってきますし……それに、通常兵器が効かないんです」 ほわっと? おいおい、まだ実戦に向かないんじゃ?「……どうも、防御専用のASを準備してきたらしく、海上基地に大陸弾道弾を打ち込んでみたのですが……防がれました」 マジですかい。 てか、ICBM防御できるってStsなのはクラスの防壁じゃん。 ……いや、なのはでも無理か? ……まずい、マジで実用段階まで目の前じゃないか。 嘘から出た真? そんなの諺だけで充分だぞ?「……それで、『ミスリル』のASなら、その防御は貫通できるのか?」「……分かりません。ですが、内部からなら、問題はないかと……」 どうかなぁ……不安だなぁ…… ……でも、ここで潰しておかないと、またアリサたちが誘拐される可能性もあるんだよな。 ……はぁ、ばれたら身売りするか。「テッサさん。いや、テスタロッサ大佐。……この作戦だけ、私を雇いませんか?」「……協力をお願いしても?」「もちろん。あ、報酬はお願いします。お金は大事ですから。……どうでしょう?」「……少佐。彼女をメリッサ曹長の所へ。作戦概要を説明してあげてください」「よろしいので?」「願ってもないことです。……せつなさん。御協力、感謝します。報酬は期待して置いてください」 よし、交渉成立。 さてと。「俺を敵にまわした事を、地獄で後悔させてやる。……ベルカの騎士、舐めんなよ」 戦闘開始だ。 作戦概要は単純だ。「海上要塞周辺海域までヘリで飛び、そこから降下。海上から侵入する。ウルズ2、6、7。そして今回参加するベルカ1は要塞中央部防御施設を破壊。破壊確認後、離脱し、ポイント336へ移動。そこに回収班を準備しておく。離脱後、要塞にICBMを打ち込み、作戦終了だ。装備は陸戦兵装Bタイプ。そして、AS『ガーンズパック』『アーバレスト』を持っていけ。……ベルカ1。本当に陸戦兵装はいいのか?」「ええ、いりません。……私のデバイスは、質量兵器以上の力がありますから」 正直、オーバーキルだ。 ……本当に、八歳児のやることじゃねぇよなぁ……「……いいのかい? ここから先は、泣いても誰も助けてくれない地獄だよ?」「……はい。もう、決めましたから。……友達を守る為にも、私は、剣になると」 この世界に来て、いつも言ってたことじゃないか。 私の平穏を脅かすものは。 殺してでも排除すると。「永遠。お前の背中は俺たちが守る。……安心してくれ」「期待してます。ソースケさん。……それと、できれば名前で呼んでくれませんか?」「……了解した、せつな」「よっしゃ! じゃあ派手な花火を打ち上げようぜ!」「「「おう!!」」」 ……ちなみに。 実は私一人で充分なんだけどな~て、意見は黙っておいた。 輸送ヘリで、作戦ポイントへ。 望遠鏡から例の要塞を見る。 ……要塞?「あれがそうなんですか? どうみても……」 沈没しかけの戦艦にしか見えない。 そう、タイタニックのように艦首が天を向いてて…… 「あそこ、実は浅瀬なのよ。よっくあの周り見てみな?」 ……うわ。戦艦の周り、よく見るといろいろとなんか人工物が……「ね? で、ミサイル打ち込むと、あの戦艦の中央部からバリアが出て、防いじゃうって訳」 面倒な。 ……なのはとフェイトがいれば楽勝かな?「降下ポイントまで、後3分です!」 ヘリパイロットからの通達。 パラシュートをつけ始めるソースケさんたち。「? せつなちゃん。パラシュートつけ方分かるか?」「あ、私要りません。空、飛べますから」 一応空戦魔導師だ。でも、Stsのなのは達みたいに空中でジャケット着るようなあほなことはしない。「パラディン【アヴェンジャー】セットアップ」【get set Avenger form ignition. ……さて、暴れますか、マスター】 漆黒の鎧を纏い、オプション装備のバイザーを展開する。 ……顔がばれないようにね?「降下ポイント後30! カウントいきます!」 ソースケさんたちの準備も終わった。 さて、まずは……「【ブレイブハート】スタンバイ」【stand by brave-heats set up】 騎士杖を準備。……さて、パーティの開催だ。「降下開始! ウルズ2、出るよ!」 まずはマオさんが降下。「ウルズ6、いくぜ!」 続いてクルツさん。「ウルズ7、出る」 そしてソースケさん。「……ベルカ1。いきます!」 最後に私。……広がる青い海に、ちょっと見とれた。 三人の降下ポイントを割り出す……割り出し完了。「パラディン。翼を」【wild wing】 背中から翼を具現化させ、そのポイントに降下する。 なお、この翼、なのは達曰く。『天使みたいなの』 とかいわれた。……魔力光銀色だしなぁ…… さて、何の障害もなく降下終了。 パラシュート装備をはずしたソースケさん達と、要塞に突入。 ……侵入口は地上のエレベーターから。 見張りを黙らせて、エレベーターを作動させる。「じゃあ、ここからは二手に分かれるよ。私とクルツで電装系を破壊する。ソースケとせつなで中央防御室を破壊。ソースケ。エスコートは任せたわよ?」「了解だ。せつな。俺から離れるなよ?」「ソースケさんこそ、ちゃんと付いて来て下さいね?」「上等だ」「ひゅ~。せつなちゃんかっこいい~」 茶化さないでください、クルツさん。「ところで一つ確認いいですか?」「なんだい?」「……隠密戦ですか? それとも、派手に打ち上げていいですか?」 こっちの装備だと、派手に行った方が楽なんだけど。「……ソースケはどっちがいい?」「む。せつなはどっちがいいんだ?」「できれば派手に」「了解だ。こちらが囮になろう」 あ、その役目も引き受けちゃうのか。 ……でもまあ。「ソースケさんに、弾丸一つも通しませんから。安心してください」「……頼む」「頼まれました。じゃあ、着いたと同時に花火撃ちますね?」 実は、前々から使ってみたかった術式がある。 あまりの派手さに、使うのは躊躇われたのだが……ここなら使える。「よぅし。それじゃ、一発でかいの頼むわ。せつなちゃん」「任せてください。ブレイブハート! ロードカートリッジ! 収束開始!」【magic charge】 使うのは収束砲。名前が某普通の魔法使いの主砲と同じなので、使いたいけど使えなかった。 チャージ時間長いし。カートリッジ三発も使うし。 だけど、こういう場合なら……「エレベーター、着くぜ!」「皆さん、私の後ろへ!」 全員に対ショックバリア展開。 バレル展開。チャージ完了。 ……扉が開き、銃口を構えている皆さんがその光に驚きの顔を浮かべ……「【星光轟砲】……マスタァァァァァァスパァァァァァク!!!」【master spake】 白銀の光の奔流が、一直線に打ち出される! ……どう見てもスターライトブレイカーのパクリです本当にあr うん。あれを意識して組んでみた。ただ、私自身の魔力の少なさもあって、本家よりちょっと幅が狭い。 その代わり、空間爆砕属性を組み込み、破壊力で本家に迫っている。 なお、非殺傷設定は……切ってある。「……すげぇ……これが本物の力かよ……」「た、確かに派手だわ」 カードリッジをもう一発使って、魔力スフィアを四つ形成。術式を流し、私とソースケさんに二つずつ付ける。「【自動防壁】【反撃雷球】」【auto shield/counter shot】 続いて、杖をしまい、中距離装備に。「【ブリューナク】スタンバイ」【stand by brionac set up】 アヴェンジャーフォルムのブリューナクは突撃槍の姿だ。エリオ君のストラーダと似たような奴。 「じゃあ、突撃します。ソースケさん、援護お願いします!」「りょ、了解した!」 さて、中央を目指しますかね?「……ひょっとして、せつなちゃん一人で充分だったんじゃあ……」「同感……あんた、あの子の友達に手出ししたら……死ぬんじゃない?」「……い、命がけは必至だな……くわばらくわばら」 ……次から次から沸いてくる兵士たちを魔力斬撃で切り倒す。 通路なら一気にACSドライバーで駆け抜ける。 広場に出たら広域射撃で沈黙させる。 ……いい加減疲れてきた。「ま、まだ着かないの……? ソースケさん? 弾数平気?」「肯定だ。しかし、君のほうは大丈夫か?」 魔力はまだ平気。 ほとんどカートリッジで済ませてるから。 ……全部で20ダースほどストックしてあるし。 ここまでで4ダースは使った。「……? マオか? ……ああ、わかった」 マオさんから通信?「ウルズ2、6、電装室の破壊が終わったそうだ。後、要塞内の地図を送ってもらった」 ラッキー。それで、中央ブロックは?「……ここからすぐ近くに中央ブロックの入り口がある。この部屋の……あのドアを出て、左だ」 じゃあ、向かいますか。「……お前は、人を殺すことに、何も躊躇しないな……慣れているのか?」「……慣れませんよ。慣れたくないです。……本当は、非殺傷で倒したいところですけど」 でもそれだと、後ろから撃たれる可能性もある。 ……容赦は命取りだ。「それに、私、これでも怒ってるんですよ? ……私の平穏、返しやがれってやつです」 今頃、出来上がった写真見て、にんまりしたり、思い出し笑いしたり、我慢できなくなって翠屋行ったり!「今日まで頑張って、しばらくは普通の女の子でいようと決めた矢先に……」「……巻き込んですまなかった」 ふふふふふふ。 ソースケさんが謝る必要ありません。「この恨みは、全部ここの人たちにぶつけてあげます。女の子の恨みは怖いんですから」 さあ、戦闘再開。 ドアを蹴破り、通路の警備兵に魔力弾を打ち付ける。「all handed! Gun parred mace!!」 高らかに声を上げ、詩を歌おう。 其は戦の歌声、ガンパレード・マーチ。 ……てね? 中央ブロック、防衛管理室。 最終目標のドアを蹴破る。 ……中を見て、唖然とした。「……なんだ、この部屋は……」 むせ返るのは薬品の匂い。周囲に組み込まれた機械のパイプ。 ……そしてその中央に、それはあった。「……うそ……」 緑色に光る溶液の中に入れられた……一つの脳。 コードにつなげられているということは、あれもシステムの一つなんだろう。 ……と、なると、あれは……「まさか、リンカーコアの……」『そのとおりだよ。ミスリルの傭兵君』 いきなりの音声。スピーカーからの男の声……「せつな、上だ!」 見上げると、ガラスの向こうに、悪役然とした科学者の姿。 その隣には、軍服を纏った恰幅のいい男の姿も見える。「……あなたが、この要塞の主?」『まあ、管理しているのは隣の将軍だがね。しかし驚いた。まさか君たちが実戦で使えるアームスレイブを開発できていたとは……』 ……つまり、私のパラディンをASと誤認してくれているのだろう。 それは助かる。「じゃあ、あなたはAS開発専門の人ですね? 悪いことは言いません。今すぐに研究を中止し、その技術を手放してください」『ふん。馬鹿を行っては困る』 声が変わった。 隣の将軍だろう。『ASは新しい兵器の形だ。弾丸のいらない、無制限の武器。人の精神力が威力を決める、新世代の力だ。それをやすやすと捨てるわけにはいかん』『現に、その威力は君が示してくれた。君単体でこの要塞を落とせる威力……実にすばらしい』 ……駄目だ。 完全にマッドと独裁者だ。 ……最終幻想の七作目の社長と専属科学者思い出した。『さて、君たちには、ここでサンプルとなってもらう。エレン。縛りなさい』『はい。マスター』 !? 見たこともない魔力テンプレートが奔り、私とソースケさんを魔力の鎖が縛り上げる。 ……今のは、誰が……いや、目の前にいるじゃないか。「エレンって……それのこと?」『それとは酷いな。彼女は生きているんだよ?』 ……あっはっは。マジかい。 確かに、そういう技術あるとは知ってるけどさ。 明らかにオーバーテクノロジーだろ。この世界では。『彼女は地球で三人目のリンカーコア所持者だ。今は、私たちの可愛い娘だよ』 娘? こんな姿にしておいて娘?『我々の研究で、リンカーコアが一番強くなるのは、無駄な機能を全て取り払ったときと判明した。二人目は残念ながら、研究中に死亡してしまったが、エレンは違うぞ? 何せ、この姿でも、ちゃんと我々に従順に従ってくれる。……確かに、君らのASは高性能だろうが、エレンの前にはまったくの無力』「いい加減黙りなさい。痴れ者」 ……マジで頭キタ。 「一ついいことを教えます。この子の魔力ランク。A+を記録しています。……そうでしょう? パラディン?」【そうですね。……惜しいです。ちゃんと訓練していれば、Sランクにも届くかもしれないのに】『な、誰だ!? 他に誰かいるのか!?』 パラディンの音声にびっくりするのか。 ……管制人格なんて、こいつらの頭にないんだろうなぁ。「そして、私の魔力ランクはAA+……つまり!」 魔力放出だけでバインドブレイク。 これなら、先日の強盗魔導師のほうが強かった。『何だと!?』「……あなたの研究は間違っています。リンカーコアは、ちゃんとした訓練でその保有魔力量をあげることができます。ですが、威力は別問題。威力は全て、術式の構成力で決まります。……構成の甘いバインドで、私を無力化することなどできません」 槍をしまい、剣を呼ぶ。「【アロンダイト】スタンバイ。1stフォルム」【stand by alondite set up feast form】 いつもの騎士剣で呼び出したアロンダイトを彼女に……いや、そのユニットに向ける。『む、無駄だ! エレンの防御障壁はICBMを防げるのだぞ!』「じゃあ、試してみてください。アロンダイト、ロードカートリッジ」 連続で六発。 馬鹿みたいな魔力が、体と、リンカーコアに漲る。 ……それを、アロンダイトの魔力刃として、圧縮する!『エレン! 防壁を!』『はい、マスター』 ユニットに張られる魔力障壁……話には聞いてたけど、よく見ると、なのはのより粗い。 ……よかった。これなら、彼女を眠らせれる。「ごめんね? 人間を恨まないでね……今度は、優しい人たちの下に生まれることを、祈ってるから」 これは、私の、傲慢な祈り。「……おやすみ。……【聖光一閃】……セイクリッドォ・スレイヤァァァァァァァァ!!!」【sacred slayer】 銀光一閃。障壁を容赦なく切り裂き、そのポッドを破砕した。『え、エレン!? そんな! ICBMを防ぐ壁を斬っただと!? そんな馬鹿な話が!』「【フェイルノート】スタンバイ。【穿空六射】ラピッドショット」【stand by Fail naught set up. variable shot】 そのうるさい声を出す男と、その隣の男を、魔力の矢で打ち抜いた。 それぞれ、額、喉、心臓。寸分狂わず、ガラスを突き抜けて男たちを射抜いた。 ……静寂が戻る。「……さて、仕上げに移りましょうか? ソースケ……さん?」 振り向くと、いまだバインドに縛られているソースケさん。「……すまん、といてくれると助かる」 ……構成が甘くても、持続力は強かったようだ。 後、締まらなかった。 その後、防御室はソースケさんの手持ちの爆薬をセットし、マオさんたちと合流した後、防御室の爆弾を点火。 轟音を聞きつつ、私たちは離脱ポイントへ。「ウルズ2、6、7。ベルカ1。作戦終了! 離脱して!」「了解!」 ヘリが上昇し、要塞から離れていく。 そして、近づいてくる、爆音。「全員、対ショック姿勢!」 閃光。轟音。 ……メリダ島から放たれた、ICBMだろう。 その沈みかけの戦艦が、跡形もなくなっていった。 立ち上るきのこ雲を見ながら、ようやく、戦闘が終わったことを確信した。「パラディン、シャットダウン。……お疲れ様」【shat down. ……ええ、疲れました。しばらく、お休みしたいです】 管制人格って言うか、デバイスに疲れるとかあるのだろうか? まあ、疲れたというなら疲れたのだろう。 彼女も元騎士だ。「……ねえ、パラディン。私も、あのマッドと同じなのかな?」 私も、パラディンを同じように扱っているのだろうか?【まずないですね。あなたとあれの違いなど、一目瞭然です】「……ありがと。否定して欲しかっただけだから」 分かりきってた答えでも、聞けて満足した。「お疲れ様。せつな。……辛かったみたいね」「……そんなこと、ないです」「嘘つかない。……泣きたいなら、泣きなさい。辛かったんでしょ?」 ……辛かった。 あんな、人を人と思わない人間が、本当にいた事実が辛かった。 人を、いっぱい殺した、この手が辛かった。 何も知らない、人の幸せも知らない、少女の命を絶ったのが、辛かった。 人間として、一つ、汚れた事実が、辛かった。「ごめんなさい……ごめん、ごめんな……う、うああああああああああああ!!」 今日、永遠せつなとして。初めて、人を、コロシタ。 後日の事。「はい、永遠です」『あ、せつなさん。こんにちわ』「現在この電話は使われていません、以上!」 がっちゃん。 プルプルプル! プルプルプル!「……なんですか?」『いきなり切るなんて酷いです! 私が何かしましたか!?』「勧誘がうるさいからでしょうが! 私は、軍人なんかになりません!」『そんな!? あれだけの戦果を挙げておきながら、今更逃げられませんよ!?』「逃げます。ではこれで」『待ってください切らないでーーーー!?』 報酬はかなりの額をいただいた。 全部で三百万……ユーロで。 しかも、銀行振り込みだから、国税局が飛びついた。 ガッツリ税金取られました……ちくしょう。 これで、しばらく普通の少女だ……と思いきや。 テッサからの勧誘ラッシュ。 もーね? リンディさんのほうがまだ可愛いくらいの猛攻。 正直ウザイ。「……勧誘以外の話なら聞きます」『……うう、せつなさんが意地悪です』 もう少ししたら私にも家族ができるんです。 海鳴で一緒に暮らすんです。 そんなところに傭兵になりましたーなんて言ったら、確実に捕まる。 しかも、一緒に暮らすから、そんなに頻繁に家開けれません。 勘弁してあげてください。『えっと、まず、先日の件ですが、要塞の出所が割れました。……どうも、北のようですね』 やっぱりか。 てか、よくもまあ、あんなもん作れたな。 本国よりかなり遠かったぞ?『今本国に潜入している仲間が、データの洗い出しを行っています。……それらの抹消が終われば、後は小さな研究所だけです。後、私たちの上層部と』「……そっちの上層部は、本当に大丈夫なのか? 今度はミスリルが敵~なんて事になっても、俺容赦しないよ?」『大丈夫です。私の知識使って、デバイス理論の穴を広げますから』 そりゃ助かる。 理論なんてものは穴があればあるほど、信用できないものになる。 信用できない理論を使う科学者はいない。 ならば、開発も行われない。「じゃあ、なおさら、私がそっちに入る必要はないですね」『それとこれとは別問題です。マオも相良さんも、あなたの力を認めてるんですよ?』「八歳児を紛争地帯に送らんでください! 雇用法違反で訴えますよ!? そして勝ちますよ!?」『えっと、戦争に雇用法はありません!』「あるよ! てか、私日本人! 日本普通に戦争しない! OK?」『NOです!』 NO言われた。 「却下であ~る! ……じゃ、切りますね? おやすみなさ~い」『あ、ちょ、ま』 がっちゃん。 後、はやての誕生日に誕生石のネックレス送った。 凄い喜ばれたが、お金の出所を聞かれて少し焦った。 バイトってことで許してもらった。 ちょっとやばかった。「え!? せっかくの誕生日イベントこれだけ!? しかも、今回私台詞こんだけやん!?」 うん、マジでごめん。 後、絶対今回はリリカルなのはの話じゃなかったと思うんだ。 ……リリカルにこんな展開あったかなぁ?*注意・この主人公は、フルメタルパニックを読んでません。