さて、温泉宿である。部屋割りを決め、以下の通りになった。 士郎さんと桃子さん。恭也さんと忍さん。ノエルさんとファリンさん。美由希さんとリンディさん。 鮫島さんとザフィーラ。シグナムとシャマル。プレシアさんとアルフ。 子供たちは大部屋を占領。……そういえば。「……な、なのは? ユーノはどこ行ったの? そう言えば、朝から見てないんだけど……」「え? ……あ~~~~~!!」 突然叫ぶと、自分のカバンに一直線。 まさかと思い追いかける。 ……カバンにつめたまま忘れ去られていたか。「ユーノ君! しっかりして! ユーノ君!」「……あ、光が……」「ユーノ君!?」 ……酸欠か。むごいな。 とにかく、助かってよかったな、ユーノ。「で、出番ない上に、こんな死にかたいやだよ……」 サーセン。 とりあえず見つかったから、一応警告。「お前の身柄は、ザフィーラに預けとくから。……女風呂来たら、ディスペルかましてアイゼンの落ちない汚れにしてやる」「行かないよ!? 僕を何だと思ってるのさ!」「淫獣」「ひ、酷いや!?」 ほお~う? 酷いときたか。 じゃあ、確かめてやろう。「なのは。ユーノ連れてお風呂入ったことある?」「え? あるよ? なんで?」「……ヴィータ! グラーフアイゼン貸してくれ! この淫獣光にしてくれる!」「わぁぁぁぁ! 僕の意思じゃないんだってばぁぁぁ!!」「せつなちゃん! 落ち着いて! ユーノ君が悪いことしたの?」 ……なのは、あまりにも清純な…… それに漬け込んでこの淫獣は……「なのは。ユーノは男の子なんだよ?」「? それがどうしたの?」「……パラディン。【解呪縛鎖】」【stragur bind】 解呪付きの鎖がユーノを縛り上げる。 とたん。「……え? え? えええええええええ!?」 金髪で緑色の装束を着た幼顔の男の子一丁あがり。 ……さて、固まってるなのはは?「……ユーノ君。ちょっっっっっと頭冷やそうか?」 それは十年くらい早いと思うが、まあ、今回は許そう。 やっておしまい。「……せつなさん!? 今、何かものすごい魔力が!?」「気にしないでください。覗き魔が退治されただけですから」 南無南無。 ……でも、下手なこと言えば、俺も同じ穴の狢だってこと気付いてる人いないよな? ……はやてあたりは気付くかもしれない…… 荷物を置いて、一服したら、みんなで温泉に入ることになった。「? あれ? なのは、ユーノ君は? 洗ってあげようと思ったのに」「知りません! ……ユーノ君のエッチ」 顔真っ赤にして可愛いぞなのは。 でも、その意見には賛同する。「……ふ、ふふふふふふ!」「ちょ、怖いわよはやて!?」 おお!? はやてが燃えている!?「キタでキタで! これからがあたしの真価の見せ所や! さあ、揉むでぇ~、揉みまくるでぇ~。より取り見取りやぁ~」「……はやてちゃん。少しは自重しましょう? ほら、皆さん引いてますよ?」「反省せいよ?」「いや、お前だよ」 私に突っ込みさせるな。 第一。「どうやって、目標に近づくつもりだ。足動かないのに」「……リイン!」「ユニゾン使ってまでやるな! リインフォースもわざわざ来ない!」「……主の命には、従わなくては……」「なら、仕方ない。私は、はやてを性犯罪者にしないためにも、心を鬼にする」「……具体的には?」 そんなの決まってる。「リインフォースの胸を揉む」「リインの胸はあたしのや! 後キャラ被るからやめぇ!」 ち、駄目か。「……せつなさん。立派になって……」「せつなちゃんは話し出してから性格変わりましたから……」 ……すずか。性格変わったんじゃなく、地を出し始めたといったほうが的確だぞ? まあ、渋るはやてをリインフォースに任せ、露天風呂に突入。 ……広い。 絶景だ。「さて、温泉始めて組……フェイトとアリシア、後ヴィータ。湯船につかる前にまず身体を洗うのが基本だから、ちゃんと洗うこと……アルフ! いきなり湯船入ろうとするな!」「え~? 堅いこと言いっこなしだよ」「マナーぐらい守ろう。……ほれ。同じミッド組のプレシアさんやリンディさんでさえ、先に体洗ってるのに、お前だけ見逃すわけにはいかない」「むぅ。わかったよ」「わかればよろしい」 鍋将軍ならぬ風呂将軍見参。 シグナム何も言わないからな。「……さて、私も洗うか」「せつなさん。洗ってあげるわ。こっちきて?」「一人で洗えます。……けど、背中だけお願いします」「……せつながツンデレしてる……」「せつなお姉ちゃんツンデレ~」 やかましいぞそこの擬似双子。 ……リンディさんの手つきは凄く気持ちよかったです。「はい、終わり。どうだったかしら?」 うわ、凄く嬉しそうに溶けてはる。 ちくしょう、なんだか悔しい。「……リンディさん。背中流してあげるから、後ろ向いて?」「!? あ、ありがとう!」 そんな手放しで喜ばんでも。 ……しかし、肌きれいだな、シミ一つないぞ。 うう、男の身体であれば~!「……気のせいかしら? せつなから邪なオーラが……」「母さん、それたぶん正解……せつな、女の子大好きだし」「せつなお姉ちゃん変態?」「フェイト、アリシア、今のせつなに近寄るんじゃないよ? 食べられちゃうから」 ええい、うるさいぞテスタロッサ家! だが、今はリンディさんの背中を愛でる……じゃなく、洗うのが先決だ!「……い、痛く、ないですか?」「ええ、気持ちいいわよ? うふふ~。娘って欲しかったのよ~」「……そう思うなら、一人にしなければ甘えられたのに……」「……そうね。ごめんなさい。……事情があってね?」 はいはい。次元航行艦艦長は忙しいからね。 ……しかし、この玉の肌の前では、いつものツンモードもがたがたである。 ちくしょう、キレイだな、羨ましいな。「……なんでキャリアウーマンなのにここまで肌の手入ればっちりなんだ……」「あら? 女ですから、当然よ?」 元男にはわからん。 ……洗い終わってかけ湯。 ……み、水を弾いて玉に!? 絶対三十代じゃねえぞこの艦長。 魔法? 魔法なのか!?「どうでしたか?」「ええ、気持ちよかったわ。ありがとう」 ……くそう、押し倒したいぞ。 大人の女なのに可愛らしいんだよもん。 ……さて、のんびり入浴タイム。 ……さっきまで放置してたけど、シグナム。「幸せそうだね。……やっぱり、温泉気に入った?」「せつなか……ああ、この世の極楽だな、これは……」 そうだろうそうだろう。 日本の文化舐めるなよ?「海鳴市内にも、今度クアハウス……銭湯ができるらしいから、完成したら一緒に行こうか? はやても連れて」「ああ、それはいいな……この時代は、すばらしい」 ふふふ。古代ベルカの騎士をうならせる、日本文化すげぇ。 ……で、何をそんなにジト目してますかアリサにすずか。「いや、あんた、シグナムさんと一緒に溶けてるから、あんたも温泉好きなのかと思って……」「すっごく絵になりますよ? 二人とも……」 題名は『少女と騎士』で決まりだろう。 後、温泉は大好きだ。「この日のために、無理したんだから、これぐらいの役得はあってもいいんだよもん……」「……まあ、そうよね。で、上がったら、卓球の準備してあるから、覚悟しなさいよ?」「卓球? なんだそれは?」「流石にシグナムは知らんか。テーブルテニスともいって、木のラケットで球をテーブル上で打ち合う競技だ。温泉には、マージャンゲーム、カラオケに並ぶ、三大遊戯の一つだ。……覚えたら、美由希さんあたりとやるといい。強化なしなら、いい勝負になると思う」「……そうか、楽しみだ……」「て、いうか、何であんたマージャンとか知ってるのよ……」「うん? 忘れたのか? これでも前世で二十まで生きたお兄さんだぞ? 大体の事は知ってる……」「……今は、女の子だよ……ね?」 何故引く? 今は女の子だが?「……すずか。女の子でも、同性愛者というものがあってね?」「はいストーップ! すずかを怪しい道に進ませない!」 すずかを庇うアリサ。 そのシチュエーションは二度目だ。「こないだも言ったけど、アリサも十分射程範囲なんだよ? ……アリサ、きれいな肌だよね?」「あ、こら! 触るな……て、すずかはそんな期待の目を向けない! 助けなさいよ!?」「え? 喜んで前に出たんだと思った」「すずかーーーーーー!!」「……ふう。いい湯だ……」 マイペースだな、シグナム。 さて、弄れてないのは……なのは発見。 ? どうしたなのは?「……あそこに、きれいな人が……」 きれいな人……? ああ、凄いねぇ。あのバスト、あのお尻。 どこのグラビアモデルかと。 隣の銀髪美少女もランク高い。 もう一人のロングストレートの女性も堪らない。 どきどきものです。「せつなちゃん、邪なオーラ駄々漏れなの……」 おっと、こりゃ失礼。「こほん。他の宿泊客みたいだね。凄い美人ばかり……」「ね? カッコいいよね。……私も、あんなふうになれるかなぁ?」 ……そんなのきまってる。「なのはは、心配しなくても、凄い美人になるよ。私が保証する」「……えへへ。ありがとう、せつなちゃん」 うわ、照れた顔が可愛すぎるんだよもん。 やはりここはお持ち帰り……? ……視線を感じる……!「パラディン! 【フェイルノート】スタンバイ!」【stand by Fail naught set up】「せつなちゃん!?」 視線の先……いた! 金髪ウェーブショートの男!「【爆裂一射】! 燃え尽きろ!」【flame shot】 旅館の近くの木の上から、ご丁寧にライフルスコープで見ている男に炎の矢をぶち当てる。 ……悲鳴が聞こえ、ぽとりと落ちるデバガメ男。「……俺のなのはを邪な目で見るとは……愚かな」「真正面から堂々と見てるせつなちゃんに言われるのは、ものすごく納得いかないの」 ? 何か間違ってたか? ……フェイルノートをパラディンに戻し、髪の中にしまう。 ……そんなところに隠してたのかって突っ込みはなしの方向で。「……あんた凄いね~? いや、今の私らの連れなんだけど、迷惑かけたね」 と、話しかけてくるのはさっきのグラビアモデルさん。 ……せ、せめてバスタオルぐらいは巻いてください!「あ、圧倒的なの……」「なんて凶器だ……シグナム、いや、それ以上だと!?」「? まあ、デバガメ退治にご協力感謝するよ。あいつは後でたっぷりお仕置きしとくから、勘弁してね?」 かっこよくウインク&敬礼して、友達と思われる女性二人に合流するグラビアさん。 ……よく見ると、筋肉の付き具合が、格闘家のそれに似ている。 ……もしかして、軍人か?「……かっこよかったの……」「ああ……く、私だって、数年もすればあれくらい……」【ふふふ、マスターは私の生前とよく似てらっしゃいますから、ペッタンコは確定ですよ~?】 ぐは!? 貴様なんと言うことを!?「……私は、どうなるかな……」「なのはは大丈夫。桃子さんの遺伝子でペッタンコは免れるから……」「なら、平気だね!」 私の心配もして欲しいんだよ。なのは…… 後、いきなり魔法使ったことをリンディさんに怒られましたが。「デバガメ男は死刑でFAです!」 と力説したら納得された。 なかなか話のわかる人である。 温泉から上がってまずすることは、牛乳を飲む。 プレーンもいいんだが、ここはあえてコーヒー牛乳で! フルーツ牛乳は甘ったるすぎて後に残るのがいや。 「せつなはお子様ね~? 牛乳は、プレーンが一番よ!」「……白い液体を美味しそうに飲むアリサたんはぁはぁ」「ブフゥ! せ~つ~な~!!」「あら、こぼしたらはしたないわよ、アリサ? ほら、舐め取ってあ・げ・る」「近寄るな変態~!!」 ふん。人をお子様呼ばわりするからだ。「……やっぱり、教育って必要なのかしら……」「せつなちゃん。変態さんですから」 すずかが酷いんだよもん。 で。「さあ、覚悟しなさい、せつな! 私のスマッシュの餌食にしてあげるわ!」 卓球である。 とりあえず初戦はアリサたっての希望により、私対アリサ。 ちなみに隣のテーブルでは。「ふ!」「はぁ!」「まだまだ!」「甘いぞ恭也!」「やるな、父さん!」…… 高町人外親子対決の真っ最中。 シグナムはそれを見て勉強中。「ほな、アリサちゃん対せっちゃん試合開始や~」 審判にはやて。 自力で動けないので審判に徹してくれるらしい。 ……関係者しかいないから、後でユニゾンしてもいいぞ?「行くわよせつな! バーニング・サーブ!」 かっこよく言ったけど、ただの力任せのサーブだったり。「ほいっと」 軽く返す。「でぇい!」 一撃一撃気合を入れる元気なアリサ。 一生懸命な姿が可愛いなぁ。「よっと」 大してこちらはあくまで軽く。 力任せじゃいかんのよ。「ここよ!」 スマッシュを入れてくる。 じゃあ、返すか。「!」「え!?」 ……反応しきれず、呆然とするアリサ。 向こうのスマッシュを捉え、スマッシュ返し。 ……小学生の技じゃないね。「じゃあ、行くよ?」「く! 来なさい!」 ……十分後。「せっちゃんの勝ち~」「まだまだだね」 某王子様で決め。テーブルテニスだし。「くやしぃ~!! 何でそんなに強いのよ!」「ベルカの騎士舐めるなよ? これくらいできないと、シグナムと剣戟なんぞできるか」 暇なときに付き合ってもらってます。 7:3で負けてるけど。「くぅ! すずか! 任せたわよ!」「うん。……せつなちゃん。本気出すよ?」 ……こ、怖い。 なんか凄いオーラが出てるんだよもん。 ……結果。「すずかちゃんの勝ちや~」「えへ。勝っちゃった」 無念……運動神経のみだとすずかには勝てません。 うぬれ、ならば!「フェイト、ゴー! 私の仇を!」「任せて。せつな。……すずかを倒す」 フェイトの俊敏性なら、すずかを倒せる……かも。 ……二十分後。「勝者、すずかちゃん~!」「ありがとうございました」 うそん!? フェイトが負けたの!?「む、無念だよ……すずか、魔導師でも騎士でもないのに……」「くぅ……なら、こちらは、最終兵器ヴィータ!」「ルールは覚えたぜ! まかせな!」 ……いやな気配はするんだけどね? で、五分後。「すずかちゃん圧勝~」「ご、ごめんね?」 はや!? 後、よわ!「な、なんだあの動き……シグナム以上じゃねえか……」 ええい、月村の妹は化け物か!? ならば……「リベンジだ、すずか。勝負!」「せつなちゃん。いいよ。はじめようか」 ユーノ、私を導いてくれ!『僕はまだ死んでないよ!』 試合開始。 ! 四連戦だって言うのに、動きはまだ鈍らないすずか。 タフだな。だがしかし! 私には、ユーノが力を貸してくれてる! ……何故ユーノかって? それはもちろん。「浴衣から見える白い肌ハアハア」「ふぇ!?」 もらったぁ!『冤罪だぁぁぁぁぁぁぁ!!』 ばっちり決まった。一点先取。「ちょっとまてぇぇぇぇ! 言葉責めなんて卑怯よ!」「私は、勝負の為なら鬼になると決めた女! 後、ユーノの言葉を代弁しただけだよ!」『言いがかりだぁぁぁぁぁ!!』「ユーノ君。もう一回頭冷やしてこようか?」 ユーノ南無。「さあ、行くよ、すずか!」「ふ、ふぇぇぇぇん!」 結果。「せっちゃん勝利~。……やけども、納得いかんなぁ、これは」「ん。堪能しました。……顔真っ赤にして蹲るすずかたんはぁはぁ」「……せつなちゃんのエッチ」 ふふふふふふ。 真のエロスには褒め言葉にしか聞こえん!「しゃあない、ここはあたしの出番やな。リイン!」「はい」「「ユニゾン・イン」」 ! 来たなラスボス!「ふふふふふ! エロスであたしに勝とうとは、片腹痛いでせっちゃん! 真のセクハラ地獄はここからや!」「抜かせ、小娘。返り討ちだ!」 今ここに、史上最強のエロス小学生の戦いが切って落とされようとしていた!「……これが、卓球か……」「シグナム、間違った知識は覚えないでね?」 そうですねシャマルさん。少なくとも八歳児のやることじゃねえ。 ちなみに。「二人とも、エロスはほどほどに、よ?」「「すみませんでしたぁ!!」」 収拾は桃子さんがつけてくれました。 流石魔王の母。迫力が違いすぎる。