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No.6377の一覧
[0] Flag of the Dead(Fate×学園黙示録 Highschool of the Dead)[ふぉるく](2010/08/17 18:40)
[5] 1-1[ふぉるく](2010/07/11 17:03)
[6] 1-2A[ふぉるく](2010/07/16 00:27)
[7] 1-2B[ふぉるく](2010/07/16 00:27)
[8] 1-3C[ふぉるく](2010/07/16 00:27)
[9] 1-4A[ふぉるく](2010/07/16 00:28)
[10] 1-4B[ふぉるく](2010/07/16 00:28)
[11] 1-5[ふぉるく](2010/07/16 00:28)
[12] 1-6A[ふぉるく](2010/07/21 09:26)
[13] フローチャート:学校脱出まで[ふぉるく](2010/07/16 00:30)
[14] 2-1[ふぉるく](2010/07/21 09:25)
[15] 2-2A[ふぉるく](2010/07/26 06:56)
[16] 2-2B[ふぉるく](2010/07/26 06:55)
[17] 2-3B[ふぉるく](2010/07/31 17:54)
[18] 2-4A(前編)[ふぉるく](2010/08/06 19:54)
[19] 2-4A(後編)[ふぉるく](2010/08/11 22:21)
[20] Extra 1[ふぉるく](2010/08/17 18:41)
[21] フローチャート:南リカの部屋まで[ふぉるく](2010/08/17 18:39)
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[6377] 2-1
Name: ふぉるく◆f250e2d7 ID:b82d47da 前を表示する / 次を表示する
Date: 2010/07/21 09:25




 ■Chapter 2...



 惨劇の坩堝と化した学園を脱出した俺と毒島先輩は結局それが地獄への門をくぐったに過ぎないことを徐々に感じ始めていた。

 藤美学園はどちらかと言えば郊外に位置し、校門を出てしばらくは開けた景色の中にスクーターを走らせることになる。
 広い土地には民家よりも田畑が多く、強引な土地再開発で築かれたマンションが点在する以外は道も広く閑散としている地区だ。
 <奴ら>の姿もほとんど見えずのどかな風情さえ感じてしまうほどだ。

 だが、確かに俺たちの知っている街とは違っている。

 遠くに見える市街地からはいく筋も黒煙が立ち上り、道のところどころでは車同士が衝突して大破している。
 時折道端におびただしい量の血痕を見かけることもあった。

 そしてなによりも。


 あまりに人の気配がなさ過ぎた。


 常であれば畑仕事をする人々ぐらい目にするものだが、人影はおろか対向車とすれ違うことさえない。
 ここまでで見かけた動くものと言えば大破した車の中でもがく人影くらいだが、それは既に<奴ら>となっていた運転手だった。

 ここはそんな、よく見慣れた異界だった。

 その中をひたすらスクーターで飛ばしていく。
 学園から市街地まではほぼ一本道だ。バスを追いかける以上この道を走り続けざるを得ない。





 得ないのだが。





 正直、俺はすごく困っていた。



「あの……毒島先輩、そんなにくっつかなくても……っ」

 当たってるのだ。色々とこう、やわらかくてあったかいものとか、ぴっとり、いや、みっとりと。

「何か言ったか? エンジンと風の音でよく聞こえないんだ」

 だからって肩ごしに顔を耳に寄せてささやかないで欲しい。
 確かにそのほうがよく聞こえるが吐息が、吐息が……ッ!

 俺の腰に手を回し隙間ないほど体を密着させているせいで先輩の熱が、存在がダイレクトに伝わってきて気を抜けば運転から意識がそれてしまいそうだ。


 ────体は剣、体は剣、体は剣。でも心は硝子。


 どこかで聞いたような聞いてないようなフレーズを繰り返し刻んでどうにか運転に集中する。
 しかしスクーターを転がすのなど初めてなのにもかかわらずこの状況は正直ハードルが高すぎる。もしかして何かの罰か。

「しかし拍子抜けするほど静かだな。このまま何事もなく追いつければ幸いなのだが」

「ど、どうかな。確かにそれが一番だけど」

 ただし俺限定で現在エマージェンシー発動中ですが!

 吹き付ける風にぱたぱたと布のはためく音がする。

「ん……やはりスカートでバイクに跨るものではないな」

 なんかさらっと聞き捨てならないことをおっしゃるうさぎさん。
 いや待て、考えてみるとさっき毒島先輩は走るときにスカートを引き裂いていたような……。

 いやいやいやいやいや待て待て考えるな考えるな見るな俺!

「衛宮君」

「うぁい!?」

 またぽそりと耳元で名を呼ばれ思わず変な声が出てしまう。
 すわ不埒な考えに気づかれたかと思ったがそうではなく、その声音に真剣なものが含まれていることには続いた言葉を聞いてやっと気づいた。

「2つ聞きたいことがある。構わないか」

「…………俺に答えられることなら」

「君にしか答えられないことだ。まずはこのスクーターの鍵……それはどこから取り出した?」

 予想はしていたことだが……やっぱり聞かれるよな。
 毒島先輩はハンドルの下に差さったキーを指差している。

「それは……カウルのポケットに、」

「言えない、ということか?」

 あらかじめ用意していた答えも言い切る前に斬って捨てられる。
 彼女も薄々気づいてはいるのだろう。
 この鍵が真っ当な手段でもって手に入れたものではないことに。

 毒島先輩はそれ以上口を開くことはしなかった。追求しようともせず、ただ俺の答えを待っている。

 話しておいたほうがいいのだろうか。
 あまり口外すべきことでも、進んで話そうと思う内容ではないのは確かだ。
 だが、こう思うのは自惚れかもしれないが、俺と彼女は今互いに命を預けあっている。2人とも武器はなく、辛うじて足を確保できているに過ぎない。
 状況が状況だ、相手のことを信頼できなければすぐに破滅が訪れるだろう。

 "魔術"のことを口にすることで、彼女の信頼を得られるか失うことになるかはわからない。


 ────ただ、


 スクーターのアクセルを緩め徐々にスピードを落としていく。
 若干ふらつきながら足を外に出し、車体を完全に停止させた。

「……衛宮君?」

「少し込み入った話になるから、運転しながらだと話しにくいんだ」

 あまり上手い手ではないが、このあたりは見晴らしも良いし周囲に<奴ら>もいない。奇襲を喰らう心配はまずないだろう。
 バスに追いつけるかどうかだけがネックだが……毒島先輩はひとつ頷くとひらりとスクーターのタンデムシートを飛び降りた。

「わかった、それなら歩きながらにしよう」

 続いてシートを降りスクーターを押しながら毒島先輩と並び歩き始める。
 そして、どこから話したものか考えながら口を開いた。





「説明、っていっても俺もこれが何なのか分かっているわけじゃないんだ」

「……どういうことだ?」

 ごろごろとタイヤが転がる音を聞きながら、かいつまんで俺の"能力"について、自分でも改めて整理しながら説明していく。

 まずものの構造を読み取ることができ、それを複製することが出来ること。ただし出来上がるもののほとんどは出来損ないのガラクタになってしまうこと。
 力を行使するには強く意識を集中させ擬似的な神経のようなものを作る必要があり、それには多大な労力と命の危険が伴うこと。
 スクーターのキーはそれらを応用して作った"コピー"であること。

 そしてそれらを、俺は"魔術"と呼んでいること。

 毒島先輩は口を挟むことなく最後まで聞き終えると、目頭を押さえて軽く俯いてしまう。

「…………真っ当にいけば、君がごまかそうとしているか私をおちょくろうとして適当な話をしていると思うところだが」

 まあ、信じろというほうが無茶な話だろう。

「ウソだと思うならそれでいい。ただ少なくとも俺にとってはこれが真実なんだ」

「……いや、そうだな。すまない、君がそんな嘘で他人を貶めようとする人間でないことは知っていたのに」

 予想を上回る荒唐無稽さで少し動転してしまった、と先輩は謝ってくる。
 いやその辺は全然これっぽっちも気にしていないので構わないが、むしろ妙に高く評価されている気がしてこそばゆいものを感じる。
 だが知っていたというのはどういうことだろう?
 こっちとしては先輩の噂は色々と耳にしているものの、こうして直接話すのは今日が始めてのはずだ。そして異変が起きてからの半日、彼女の信を得るほどのことをした覚えがない。

「しかし、生まれつきなのか? その……まじゅつ、というのは」

「いや、4年くらい前かな……思いっきり頭をぶん殴られたことがあってさ」

 正直あのときのことはこっ恥ずかしいばかりであまり思い出したくはないのだが。
 4年前、本当にたまたま引ったくりの現場を目撃した俺は、とっさに犯人を追いかけ……結果見事に返り討ちにされた。
 曲がり角で待ち伏せていた犯人に棒切れで一撃喰らってそのまま昏倒してしまうという情けないオチだ。

「けどそのときに"思い出しかけた"んだ。俺はこれを……魔術を誰かに習ったことがあるって」

「? 思い出しかけた?」

「俺には、10歳以前の……沙耶のところに引き取られた7年前より以前の記憶がないんだ」

 さらっと言ってしまったが他人の口から聞くには少々ショッキングというか、唐突な話だったかもしれない。
 ほら、あの毒島先輩が目を丸くして口を開きっぱなしにしてしまっている。ちょっとこれはレア過ぎる、森田が生きてここにいれば大騒ぎだったろうに。

 そもそも俺は高城家に引き取られる以前、隣県の冬木市という街に住んでいたらしい。
 だがある日、家も家族も、何もかもが焼け落ち、父の知り合いだった高城宗一郎……親父さんのところに引き取られたということだ。

「焼け……まさか、冬木の大火災か?」

「そう聞いてる」

 市の一角をまるまる飲み込んだ炎は、市民会館を含む家屋134棟を焼き払い、死者500余名を出す未曾有の大災害を生み出した。
 その大火災の数少ない生存者の1人が、俺らしい。

「あの火事のことは私も覚えている、祖父の知人も巻き込まれ……いや待て、あれは10年前じゃなかったか? さっき7年前に引き取られたと、」

「ずっと不思議には思ってた。火事より前のことはともかく、そのあとの空白の3年間。けど4年前、俺は少しだけど思い出したんだ」

 記憶からすっぽりと抜け落ちてしまった3年間。

 俺はその間、誰かと暮らしていたような気がしている。
 誰かに魔術を習い……そして何か、とても大切な約束をしたような。

「……では君が命の危険を犯してまで、得体の知れない力を使うのは」

「ああ、知りたい……いや、思い出したいんだ。俺が誰と、どんな約束をしていたのか」




 しばらくの間お互い無言で道を歩いていく。
 そろそろスクーターを動かし始めないとどんどんバスと距離が開いてしまう気がするのだが、どうもそんな雰囲気ではなった。
 先輩が俺の言葉を聞いてどう思ったのか、何を考えているのかはよくわからない。ただ何か吟味するように黙考している。
 だがどれほど歩いた頃か、毒島先輩はふっと顔を上げると、

「この件は口外しないと約束しよう」

 やにわにそんなことを言った。

「それは、助かるけど……信じるのか?」

「事実なのだろう? 少なくとも君にとってそうなら、私はそれを信じよう。だが君の姉や養父母は知っているのか?」

「……どうしようかと思ったこともあるけど、話してない。引き取られる前のことも聞いてみたことはないんだ」

 知りたいと思う気持ちは確かにあるが、俺にとって沙耶も親父さん、お袋さんも間違いなく家族なのだ。
 ならばこそ聞いてしまうべきなのか、それともただ知らぬフリを通すべきなのか、まだ自分の中で決着がついていなかった。

「そうか、配慮しよう。しかし君もずいぶんと波乱に満ちた人生を送っているようだ」

「そうか? 記憶がないってこと以外は普通だと思うけど……」

 魔術にしたって、単に他人が知らない力を知っているというだけの話だ。これまで大した役に立ったことはなかった。
 それよりは毒島先輩の剣の腕や宮本の槍……あるいは沙耶の知性の方がよっぽど凄いし自慢できると思うものだ。せめて俺にその半分あればまだ役に立てると思うのに。

「君にとってはそうかもしれないが、私を含め他人にとってその力は異質なのだ。そしてこの状況も」

 何が言いたいかわかるか、と先輩は真剣な表情でまっすぐにこちらを見つめている。

「もし君の力が人々に露見すれば君がこの異常を引き起こした犯人にされかねないといっているんだ」

「な、まさか……!」

 いくらなんでも話が大げさではないだろうか。
 大体、そんなことが出来る能力ではない。

 だが毒島先輩の顔から鋭すぎるほどの視線を決して緩めようとはしない。

「この狂った状況の中、人々はどこかに"原因"を求めたがる。そして常識では説明できない大きな異常の中で、君という異常が発覚すれば……どうなるかは自明の理だ」

「………………」

 異常呼ばわりは反論したい部分であるものの、大筋で納得できない話ではなかった。
 ただ、したくはなかった。

 何もかもが捻れ狂った世界で。
 人間まで狂ってしまうなんてことは。

「私に話したこともそうだが、いささか君の行動は軽率に過ぎるところがある」

「いや、それは毒島先輩を信じてたからだ。流石に誰彼構わず話すつもりはないぞ」

「そ、そういうことを言っているのではない。そうだ、もうひとつの質問もそうだが君に言いたいのは、」

 やばい、この空気、沙耶のお説教スタートのときと同じ気配をセンサーが感知している……ッ!
 折角だから埋まってる地雷の場所も探知してくれたらどれほど良いか……?

「あ」

「ん?」

 前方に、人影が見えた。











「どこもかしこもこんな状態ってわけか。まあ店のものは好きに持っていっていいから」

「感謝します」

「助かります、ええと……才門さん」

 であった相手は<奴ら>ではなかった。
 道中に店を構えるこのコンビニは、周辺の人口密度の薄さもあってか幸いにも<奴ら>の攻撃は受けず、店長の才門氏と共にいまだ健全な様子を保っていた。
 まあなぜか店内にクリケットのバットが転がっているあたり全く無事というわけではなかったようだが。

「シャツ、真っ赤ですよ」

「ん、ああ……」

 彼の話では少し前に店の前をバスが通り過ぎたのを見たそうだ。
 そうとわかった時点で早く追いかけたいところだったのだが、この先何があるか分からないためここで少し物資を補給しようという運びになった。
 言い出したのは俺でも毒島先輩でもなく、才門氏だった。彼の好意には感謝だ。

「しかし貴方は逃げないのか? もし何か起きればここではひとたまりもないと思うが」

 確かに、食糧の類は豊富かもしれないがなんせ前面がガラス張りなのだ。
 <奴ら>に気づかれればすぐさま押し破られてしまうだろう。

「<奴ら>?」

「ああ、えーと……だからあの、ゾン」

「ああわかったわかった、ゾのつく言葉は言わないでくれ。<奴ら>だな、<奴ら>……いざとなったら倉庫に逃げ込むか……パブだな」

「は、パブ?」

「ああ、行きつけの店があるんだ。あそこなら壁も頑丈だし、ニックの話じゃマスターは元マタギで猟銃を隠し持ってるらしい」

 それはまたなんとも胡散臭い話だ。
 ビールでも飲みながら救助を待つさ、という店長はどことなく無気力に見える。

 しかし銃か。
 ゲームや映画じゃ定番だが、いかんせんここは日本だ。とても現実的ではない。
 もし手に入るとしたら警察か自衛隊か、猟師か……俺の貧困な発想ではこんなものだが、いや……親父さんが持ってた、か……?

 まあ考えても仕方がないだろう。
 手ぶらの今、武器になるものは欲しいが銃は流石に想定外だ。手に入れても逆に困ってしまうだろう。
 何か棒状のものがあればいいが……店内にはあまり見当たらない。
 あとでモップでも借りられないか聞いてみようか。

「……?」

 不意に物音がして振り返った。店の奥のほうからだ。

「どうした、衛宮君」

「いや……今何か聞こえたような気がして」

「ああ、多分ニックのヤツだ」

 さっきも話に出てきた名前だった。

「二階堂つってガキの頃からのダチなんだが、どうしようもないヤツでな。人の店にゲーム機持ち込むわ……あいつは俺が面倒見てやってるようなもんだ」

 店長は困ったように肩をすくめている。
 だが親友……なのだろう。
 ニートで麻薬を売って小遣い稼ぎしてたとか、サルの真似が上手いとか、話を聞くだにろくでもない人物像が浮かぶが、彼の言葉の端々には親しみが感じられた。
 そして最後にこう付け加えた。

「まあ、悪いヤツじゃないんだ。何だったら紹介するけど?」

 ……どう答えるべきだろうか。


 1.挨拶くらいはしておいたほうが良いだろう。
 2.いや、時間が惜しい。遠慮しておこう。




/*/


 これ書くためにショーン・オブ・ザ・デッド見直した。


>フローチャートSugeeeee!

・ありがとうございます! ありがとうございます!
 でも実はあんまり凄くないです!
 章が進むにつれ生存者の顔ぶれもルートによって変わることがありますが、例えば前の章で死んだキャラAが生き残ってたパターン……とかは書かないつもりです。
 プロットは先まで考えてますがチャートは章ごとに書いてますので。
 ちなみにBLOOD THE LAST VAMPIREを参考にしました。


>選択肢多くない? 全部書けるの?

・私を殺す気か!
 流石に全部は書きません。チャートも選ばれなかった選択肢の先がどうなってるか知りたいとの声にあわせて公開したものなので……。
 ただ、一通り進めてから「ここのバッドエンドはどんなのだったの?」という声が多いところくらいは書いてもいいかなと思ってますが。 


>誤字報告。

・直します!


>更新停止か!?

・ごめんなさい色々うっちゃってたりしてマジごめんなさい。
 ここまで更新が早かったのは休日だからで、ぴたっと止まったのは休日がなかったからです……。
 次回からはもそっと早めに更新できるようがんばります。







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