「目つきの悪い君、ちょっと待ってくれ!」頭上からの声に目的地(301)へ向かっているサスケ・ヒナタ・ナルトが顔を上げる。「誰?」「見た事ある気が・・・」「何だ?」ナルトとヒナタが小声で話している隣で平然と答えるサスケ。「今ここで──僕と勝負しませんか?」「今ここで勝負だと・・・」「ハイ」答えると1階にいる3人の前に飛び降りる。「ボクの名はロック・リー。人に名を尋ねる時は自分から名乗るもんでしたよね。うちはサスケ君」「知ってたのか・・・」「君と闘いたい!あの天才忍者とうたわれた一族の末裔にボクの技がどこまで通用するのか試したい・・・」サスケの言葉に構えを取ると気持ちを告げるリー。「サスケ君に用みたいだね・・・」「じゃああいつが言った目つきの悪いのってサスケの事か・・・ 的を得てるな」「そうだね」「”うちは”の名を知ってて挑んでくるなんてな。はっきり言って無知な輩だな・・・お前。この名がどんなもんか・・・思い知るか、ゲジマユ」「是非!」ナルトとヒナタの会話が聞こえていながらもきれいに無視してリーを睨むサスケとその言葉に応じるリー。「宣言します。君たちはボクに絶対敵いません。なぜなら、今ボクは木の葉に下忍で一番強いですからね」「面白い やってやる」サスケが答える。「サスケ君、受付の4時までにあと30分もないよ」「5分で終わる・・・」それだけ言うとリーに向かい駆け出すサスケ。『木の葉旋風』向かってくるサスケに後ろ回し蹴りを放つリー。(上!)飛び出した勢いを殺ししゃがんだサスケの目の前には遠心力を利用した下段の回し蹴りが迫っていた。(くっ避けきれねぇ・・・ガードだ!)瞬時に顔の横に腕を回すサスケ。ドカッだが次の瞬間サスケは飛ばされていた。リーの蹴りによって。「早いね・・・」「見えたか」「うん。けどどうする?」「5分は待ってやる」そんな観客の言葉からも分かる通り、何が起こったのか分からなかったのはサスケ唯1人だった。焦った顔をしていたサスケだが、立ち上がった時には笑みが浮かんでいた。その理由は「車輪眼だね」「だな」「両目だけど・・・今意味あるの?」「無いな」余裕の笑みを浮かべたサスケにも冷たい(一応の)チームメイト2人。だが、正しいのだから仕方が無いだろう。(幻術か忍術か・・・いずれにしても何らかのマジック・・・ それを暴いてやる!!)だが2人の会話など当然聞こえていないサスケは自信を隠さずリーに再び向かっていく。バキッだが次の瞬間、サスケはリーに顎を蹴り上げられ宙を舞っていた。(車輪眼で見切れねーなんて・・・ まさかこいつの技は・・・!)「そう・・・ ボクの技は忍術でも幻術でもない」サスケの心を読んだかのように言うとリーの姿が消える。「くっ 影舞葉」敵を木の葉に見立てその影を舞うかの如く動き追跡する木の葉流体術の1つ、影舞葉。その通りリーが現れたのは宙を舞うサスケの背後だ。「そう。ボクの技は単なる体術ですよ・・・サスケ君。にわかには信じられないかもしれませんが・・・」サスケの背後に現れ口を開くリー。「車輪眼には幻・体・忍術の全てを見通す能力があるといわれます。確かに印を結びチャクラを練るという法則性が必要な忍術や幻術は見破って確実に対処できるでしょう。しかし体術だけはちょっと違うんですよ」「ど・・・ どういうことだ!?」見えないがサスケの顔にも声にも動揺が現れている。「たとえ車輪眼でボクの動きを見切っても君の体はボクの体術に反応できるスピードを備えていない・・・ つまり目で分かっていても体が動かないんじゃどうしようもないワケです」説明しながら左手の包帯を解くリー。「知っていますか?強い奴には天才型と努力型がいます。君の車輪眼がうちはの血を引く天才型なら・・・ ボクはただひたすらに体術だけを極めた努力型です。言ってみれば君の車輪眼とボクの究極の体術は最悪の相性・・・そしてこの技で証明しましょう。努力が天才を上回ることを」(何をする気だ・・・!?)(え?)だがその時、どこからか飛んで来た風車がリーの包帯の端を壁に縫い止める。「クッ!」縫い止められた包帯に引っ張られ体勢を崩すリー。だがすぐにバランスを取り戻し綺麗に着地する。サスケの方はそのまま背中から落下していた。受身も取れないだけ動揺しているのだろう。まあ、そこで助けてくれるほど班員との仲が良くないのもあるが。「み・・・ 見てらしたんですか・・・」綺麗に着地を決めたリーだが、ばつの悪そうな顔でいつの間にか来ていた亀に頭を下げている。「リー!今の技は禁じ手であろうが!」「す・・・すみません。つい・・・」亀の怒鳴り声にさらに謝るリー。「し・・・ しかしボクは”裏”の技の方を使う気はこれっぽっちも・・・」「馬鹿め!!そんな言い逃れが通用すると思うか!忍が己の技を明かすという事はお前も良く知っているハズじゃ・・・」「オ・・・押忍!」(クッ・・・ こんなふざけた奴等にオレは・・・)どう見ても教師に見える亀と、平謝りするリーにサスケは苛立ちを募らせる。表面的にしか物を捕らえられていない事に気づけよ。「覚悟ができたであろうな?」「オ・・・オス・・・」「では、ガイ先生お願いします!」言葉が終わると同時に亀の甲羅の上に煙が巻き上がり・・・「まったく!青春してるなーー!お前等ーー!!!」妙なポーズをつけた男が立っていた。彼を見た7班の感想「激濃ゆ・・・」「激オカッパ・・・」「スゲー激眉 あんなの初めて見た」「コラー!!君達ガイ先生をバカにするなーー!!」その反応にリーは怒るが。「ウッセーてばよ!!変なのばっか出てくっからリアクションに困ってんだよ!!」逆切れしたようにナルトが怒鳴る。「リー!」反論しようとしたリーを呼ぶガイ。そして「バカヤローー!!」腰の入ったパンチでリーを殴り飛ばす。「お前って奴ぁ・・・」「先生・・・ ボクは・・・ボクは・・・」見詰め合う2人は涙を流している。「もういいリー!何も言うな!!」「先生!!」そしてガシッと音が聞こえそうなほど強く抱き合う2人。無理やり観客にされてしまった3人は何とも言えない顔をしている。「・・・そーいえば・・・5分経ってるな・・・」「そうだね」おもむろに歩き出すナルトとヒナタ。「どこ行くんだ」取り残されるのが嫌なのか後を追うサスケ。「301」「志願書の受付」「そうだな」簡潔な2人の言葉にも突っかかる事無く同意する。サスケも動揺しているらしい。「待ちたまえ君達!」瞬間動きを止めたがそのまま何事も無かったかのように歩くサスケ・ヒナタ・ナルト。「君達!ガイ先生を無視するなんて失礼じゃないですか!」リーがその背中に怒鳴る。「・・・なんだ?」仕方なく足を止めながらもナルトとヒナタの視線を受け、口を開くサスケ。「カカシ先生は元気かい?」「カカシを知ってんのか?」答えたのはやはりサスケだ。隣に立つ2人は『関わる気無し』を身体中から発している。「知ってるも何も・・・クク・・・」顎に手を当てると喉の奥で笑うガイ。「人は僕らのことを「永遠のライバル」と呼ぶよ・・・」だが次の瞬間には3人の背後に立っている。(こいつ・・・いつの間に後ろに・・・)驚いているサスケ。だがナルトとヒナタは『我関せず』を貫いている。「50勝49敗 カカシより強いよ、オレは・・・」(速い!!スピードならカカシ以上だ!!・・・人間か・・・!?)1人サスケだけが動揺を顕にしている。「今回はリーが迷惑を掛けたがオレの顔に免じて許してくれ」(あのカカシより上だと・・・ ちくしょうこいつ・・・ ハッタリじゃない・・・)1人自分の考えに没頭しているサスケ。「んじゃ行っていい?」「ああ。リーも君達もそろそろ教室へ行った方がいいな」そんなサスケに構う事無くナルトが尋ね。ガイが答える。「じゃガンバレよ、リー」そしてガイは姿を消す。「サスケ君・・・ 最後に一言言っておきます。実のところボクは自分の能力を確かめるためにここへ出てきました。さっきボクは嘘を言いました。おそらく木の葉の下忍で最も強い男はボクのチームにいる。そいつを倒すために出場するんです。・・・そして君も・・・ターゲットの1人。試験!覚悟しといて下さい!!」解いた包帯を巻きなおしたリーはそれだけ言うと飛び降りた2階へ飛び上がる。悔しさか屈辱か、何を感じているのかは分からないがサスケは睨むような目をして震えるほど強く拳を握り締めている。「さっさといこーぜ」「うん」そして歩き出すナルトとヒナタ。サスケはその後ろを黙ってついていく。((あれ鬱陶しいな))((うん))((仕方ねー))「お前あいつの手見なかったのかよ」大きく溜息を吐くと振り向かずナルトが言う。「あいつはすっげー特訓したんだろ。毎日毎日・・・ お前よりも。それだけのことだろ」「フン 面白くなって来たじゃなえーか・・・ 中忍試験、この先がよ!」平素の自信に溢れた顔と声。だが前を歩く2人にとっては「鬱陶しく無くなった」それだけ。「全員来たか」301の前に立っていたカカシが3人を見るという。「中忍試験。これで正式に申し込みできるな・・・」「どういうことだってば?」「実のところこの試験、初めからスリーマンセルでしか受験できないことになってる・・・」「じゃあ・・・もし誰かいなかったらどうしてたんですか?」「ここで試験は中止にした。だがお前等は自分の意思でここに来たオレの自慢のチームだ。さぁ 行って来い!」カカシの言葉に不敵に笑うと3人は扉を開いた。