「うお!!」「!!」聞こえたタズナの声に目を見開くサスケ。(今のはタズナさんの声!!何かあったのか!カカシのヤローは何をしている!?)体中に千本が刺さり血だらけ傷だらけになっているサスケが心の中で怒鳴る。実はヒナタに突然体当たりされた為なのだが当然そんな事サスケには分からない。(畜生!このままじゃマジでヤバイ。オレが何とかするしかない)「おいサスケ!これじゃ逃げ回ってるだけだってばよ!」隣で同じように体中に千本を刺し息を切らしているナルトの言葉はサスケの考えを肯定しているだけだった。(目は不思議と慣れてきた・・・)しゃがみこんでいたサスケはゆっくりと立ち上がる。(致命傷となる秘孔を狙っているのに・・・ことごとく外されている・・・それどころかナルト君を気遣いながら戦っている・・・・・的外れだけど・・・。・・・・だんだんと僕の動きを・・・あの少年には何かが見えている?)それを見ながら面の少年、白は冷静に考えている。が、すぐに聞こえた再不斬の「スクラップ」発言に心中涙を流す。『ちょっと抜けるぞ』僅かに唇を震わせ"白のいる鏡に向かって"言われる。何度場所を変えてもナルトの目は白を捉えている事はよく分かっていた。『いつまでかけるんだ?』と何度もすれ違いざまに言われているのだから。そして鏡に写る多くの白のうちの"1人"が僅かに頷くとサスケの目がそれた隙に影分身と入れ替わって行ってしまった。(ナルト君が抜けた今のうちに・・)そして白は心の内を隠して言葉を紡ぐ。「君はよく動く・・・けれど次で止めます・・・」(運動機能・反射神経・状況判断能力・・・君の全てはもう限界のはず・・・・・・僕だって休みたいんです・・・悪いけど寝てて下さい・・)両手に千本を構える。(来る!!落ち着け・・・集中しろ・・・そして見切れ!!)たった一つ写る白を睨みつけるように見るサスケ。そして・・バッ空振りに終わる白の攻撃。(完全に見切った!?そんな!!)向けた視線の先には『瞳孔と並ぶ2つの巴』(あの両眼・・・まさか車輪眼!!?)「キミは・・・そうかキミも血継限界の血を・・・」(なんて子だ・・・まだ不完全だけど・・・闘いの中でその才能を目覚めさせるなんて・・・)驚きながら感心している白。(少しだが・・・見えた!!)そして自分に起こっている事を理解はしていないが攻撃が見えた事に、本当に僅かだが余裕を取り戻すサスケ。「だとすればそう長くは戦えません・・・僕の術はかなりのチャクラを使うので・・・術による移動スピードを保つのにも限界があります。おそらく戦いが長引けば長引くほど、僕の動きはキミの"読み"の範疇に入ってしまう。・・・キミの眼はもう僕を捕らえ始めている。ならば・・・」(ストレートに彼を狙っても駄目でしょうね・・・ナルト君を使いますか・・・・・本人じゃないし大丈夫・・・・・・・・・ですよね)かなり自信なさげである。が、千本を構える白。「これでカタをつけます!!」(何だとっ!ナルトに!?・・・間に合え!!)ナルトに向かって駆け出すサスケ。ドカッ「何が・・・」頭を振り顔を上げる白。「こいつは殺すなって言ったよな?」最初に目に入ったのは倒れている黒髪と黒い服。そして降ってきた声。「ナルト君」(戻ってきてたんですか・・・)冷たい目で白を見下ろしているナルト。どう見ても機嫌は良くなさそうだ。「しかも俺を利用してこいつ殺ろうとは・・・俺に喧嘩売ってる?」「そんなつもりは・・」「なら何で今の攻撃は殺気こもってたんだ?ん?」自分でも自覚のあったことだけに言い訳が浮かばない白。ナルトからはとんでもない程のチャクラが溢れ出している。「俺は腕も含めてお前を信用したから出掛けてたんだぞ?」溢れ出したチャクラが渦を巻き地面を、鏡を壊していく。「・・・僕も疲れてて・・・」「そうか・・・・ゆっくり休ませてやる」(駄目か ・・・再不斬さんすみません。僕はここまでです)諦めたように目をつぶる白。「!!」「!」カカシと再不斬の動きが一瞬止まる。「再不斬の奴か・・・!?」(違う!この強大なチャクラは・・・まさか!!)カカシの眼光が鋭くなる。(何だ!?このチャクラは・・・カカシ!?いや・・・カカシにしちゃデカ過ぎる・・・・・誰だ!?)再不斬も突然現れたチャクラに思いを馳せていた。「もしかして・・・封印が解けたのか!?」(だとしたら今はまずい!再不斬もいるし・・・九尾を相手に出来るほどオレは完全じゃない)ギリッと奥歯を噛み締める。「だがこの感じ・・・九尾の禍々しさがない・・?違うのか?ならなんだ!!?だが・・・」手にした巻物を勢い良く開き、傷口に親指を突っ込む。そして指を染めた血を巻物に擦り付ける。(まずはこっちを片付ける!!)「聞こえるか再不斬・・・お互い忙しい身だ・・・お前の流儀には反するだろーが、楽しむのはやめにして・・・」血をつけた巻物を再び巻き、指で挟みながらカカシは印を組む。「次で白黒つけるってのはどうだ!」「フン・・・面白い・・・この状況でお前に何が出来るのか・・・見せてもらおう・・・カカシ」「なにしてんだ?」「え?」だが掛けられた声に目を開ける。「え?」そこに立っているのはナルトと白。「ぼく?」そう、座り込んでいる白の目に前に立っているのは確かに白だ。「俺の影分身だ」ナルトが説明する。「なぜです?」「君にも倒れてもらいたいんですよ」声と共にナルトの隣に立つのは、ずっと見学してきた蒼い髪の少年と大きな瓢箪を背負った少年。「ナルトの影分身が変化した君をナルトが本気で殴り飛ばす。地面に落ちたら入れ替わって」「それでどうするんですか?」「そのまま寝てていいよ。多分この鏡なんて軽く突き破るから。その衝撃で気絶って事にしておけば休めるでしょ」「俺は?」「ナルトは・・・そして悪巧みが行われ。「白いいか?」「はい」すぐに動き出せるように身構えた白が返事をする。バキィナルトの拳を受けた「白」が吹き飛ばされガキィィン氷の鏡を突き破ってもなお飛ばされていく。そして同時に身構えていた白の姿も消える。「後は任すな」「リョーカイ」「任された」そう答えたのは黒い雨合羽のようなものを着た、尖った嘴の黒い面を着けた2人の人間。2人の返事を聞くとナルトはその場に横になった。次々と印を組んでいくカカシ。バンそして巻物ごと地面に両手を叩きつける。巻物から広がっていく文字達。『忍法 口寄せ 土遁 追牙の術』「フン 何をやっても意味ねーぜ。お前にはオレの気配は全く摑めていない。だがオレはお前のことは手に取るように分かる・・・カカシ・・・お前は完璧にオレの術中にはまった」霧の中からカカシを哂う再不斬。「!!」だがおかしな音が迫ってくる。ドコッ突然地面が崩れ、次々と現れた犬が再不斬に飛び掛る。「目でも耳でもダメなら鼻で追うまでのこと」「ぐっ・・・」そして姿を現したのは、無数の犬によって両手両足・肩を噛まれ、拘束されている再不斬だった。「霧の中で目なんかつむっているからそうなる・・・これは追尾専用の口寄せの術だ」「オレがお前の攻撃をわざわざ2度も血を流して止めたのもこのためだ・・・そいつらはオレのかわいい忍犬たちでね。どの犬より鼻が効く。"術中にはまっていた"のはお前の方だ」「ぐっ・・・」「もはや霧は晴れた。お前の未来は・・・死だ」「オレの未来が死だと・・・お前のハッタリはもういい」「強がるな。この状況でお前はどうすることもできないよ。お前の死は確実だ」「・・・・・・・」「再不斬・・・お前の野望は大きすぎた・・・霧の国を抜け"抜け忍"となったお前の名はすぐに木の葉にも伝えられたよ・・・水影暗殺・・・そしてクーデターに失敗したお前は数人の部下とともに野へ下った・・・と。報復のための資金作り。そして"追い忍"の追討から逃れるため・・・そんな所だろう。ガトーのような害虫にお前が与したのは・・・」そしてカカシが印を組むとチャクラが右手に収束する。『忍法 雷切』集まったチャクラはバチバチと音を立て、放電しているかのように見える。(なっ・・・何だ!!チャクラが手に・・・目に見えるほど・・・)再不斬もその光景に驚いている。「お前は危険すぎる・・・ お前が殺そうとしているタズナさんはこの国の"勇気"だ。タズナさんの架ける橋はこの国の"希望"だ」「・・・・・・・」「お前の野望は多くの人を犠牲にする。そうゆうのは・・・忍のやることじゃあないんだよ・・・」「・・・そんなこと知るか・・・オレは理想のために闘ってきた・・・そしてそれはこれからも変わらん!!」はっきりと言い切る再不斬。「もう一度言う」「あ!?」「あきらめろ・・・ お前の未来は・・・死だ」カカシが再不斬に向かって駆け出す。パチパチと音を立てるチャクラの集まった右手が再不斬に繰り出される。ズギシャ飛び散る血。カカシの腕が貫通したのは・・・白だった。再不斬を拘束していた犬達は消え、その場に残っているのは千本の刺さった巻物だけだ。「再不斬さん・・・」腹部を腕に貫かれ、地を吐きながらもカカシの腕を捕まえる白。「・・・オレ様の未来が死だと・・・また外れたな・・・・カカシ」白の血に染まりながらニヤリと哂う再不斬。「見事だ・・・白」(この子・・・もう・・死んでる)白によって押さえられている腕を抜こうとしたカカシが気づく。カカシに向かう再不斬。(この子ごとオレを斬るつもりか)「まったくオレはよくよくいい拾いものをしたもんだ!最後の最後でこんなチャンスを与えてくれるとは!!」叫んだ再不斬の言葉に倒れていたナルトが起き上がる。その目付きは鋭い。((ナルト))「なんでそんな事言うんだ!!」掛けられた家族からの声に頭を軽く振ると怒鳴る。「ガキが・・・無事だったのか・・・」ナルトに目を向けた再不斬の言葉。「ふらふらしてるってば。・・・そんなのどうでもいい!そいつはお前の事大好きだったんだぞ!!」「それがどうした。こいつはオレの道具だ!」「なんだとォ!お前のこと命懸けで守ったのに!」「うるさい!!」ナルトの言葉に再不斬が怒鳴る。「あんなにお前の事大好きだったのに、お前はそんな風にしか思わないのかよぉ!!」「黙れ!!」「何度だって言ってやる!あいつはお前のことが大好きだったんだ!」ふらふらしているはずのナルトの身体からチャクラが溢れ出す。「分かってるから黙れ!!」再び再不斬が怒鳴る。「・・・それ以上何も言うな・・・」そして小さく呟く。ドサッそれを合図にしたようにナルトが倒れる。「無理をするから」腰を屈めナルトの様子を確認する黒尽くめの人物。そしてその隣に同じ格好をした人物が立っている。「お前は・・・」カカシには見覚えがある姿。特に尖った嘴の黒い面が。2人居るとは思っても見なかったが・・・「封印は大丈夫」屈んでいた方がカカシに顔(といっても面)を向け言う。その言葉にホッとするカカシ。「なんだお前等は」初めて見る再不斬はもちろん警戒している。「この子の守護者」屈んでいた方がスッと立ち上がるともう1人の姿が消え「箍が外れるほどあいつを怒らせた罪は重い」次の瞬間には再不斬の背後に立っていた。「なっ!」振り返った再不斬の首から吹き出す血。背後に立っていた人物の手にはクナイがある。(車輪眼でもとらえられなかっただと!?)そのスピードに目を見開いているカカシ。「せめて一緒に埋葬してやろう」(何時の間に・・・)ナルトの隣に現れた同じ格好、同じ面の人物。「そうですね」「わかった」そして血塗れの再不斬と白を抱えた2人が消える。「君は何で残ってるの?」1人残った人物にカカシが尋ねる。軽い調子とは裏腹に、車輪眼まで使ってその人物を見ている。「起きたら消える。気にするな」「そうもいかないでしょ」「なぜ?お前に客だぞ」「客?」「こうも計画通りにいくとはな」カカシが首を傾げるのと同時に声が割込む。