プロローグ
『嘘だ、最強の存在たるこの我が、こんな人間ごときに・・・』
そこは激戦を繰り広げたのか、大地は穴ぼこで、木々は全て折られてあり、この世のものとは思えぬ空間であった。
その中心に銀色の毛並みをした、一匹の狐がいた。
尾は9本あり、深紅の瞳、体長は5、6メートルと若干妖弧族にしては小さいほうだが、9本の尾から感じられるチャクラは、嘗ての九尾とは数倍の圧力を感じられる。
『何故だ、いくら我がライバルであった九尾と聖獣を宿しているとはいえ、何故こんなひ弱な人間ごときに・・・』
銀色の狐は叫び続ける。
己の敗北を認めようとしないかのように、目の前にいるただ一人の人間に叫び続ける。
『何故だ、何故だ何故だ何故だーーーーーー!!!』
銀色の狐は吼え続ける。
全身に血を噴き出しながら・・・
人間は自分よりも数メートル長い長刀を杖にしながら
「お前はここで、終わりだってばよ」
と、静かに応えた。
その人間は、容姿からまだ少年と言っていいほどであり、金髪に蒼空の色した瞳、そして腰には愛刀の《月影》の鞘と小太刀の《月夜》が抱えられていた。
「お前を倒すことで、全てが終わる、俺の復讐も・・・」
『黙れ、木の葉の生き残りめ』
狐は吼える、その人間を威嚇しながら・・・
「フッ、粋がるなよ、お前も俺ももう、立っていられるのも時間の問題、俺と一緒にあの世に行こうぜ」
少年の立っている所の地面は紅い血の池と化している。
『我は諦めぬ、この世を完全なる破壊に導くま・・・』
狐は最後まで言えずに、地面にへと倒れる。
それを見届けていた少年もまた、後を追うように倒れていった。
「・・・皆、敵は取ったてばよ・・・」
・・・ごめんってばよ、俺があの時、力があれば・・・
・・・誰も死なずにいられたのに・・・
少年の瞼はだんだんと下がっていく。
・・・あのころに戻れればな・・・
・・・でも、もう戻れないんだ、過去は変えようがないんだから・・・
少年の瞼は完全に閉じ去り、少年の息は潰えた。
少年の刀が光る。
その瞬間、少年の姿は無く、激戦を繰り広げられた戦場しか残っていなかった。
『NARUTO』~木の葉に燃え移る火を守りし者~
今、少年こと『うずまき ナルト』の戦いが再び始まろうとしている。
これらの戦いは全て序章にしか過ぎなかった。