<レシア・クライティ>
時空間を突き抜けた先は、高い高い夜空でした。
唐突に広がった眼下の景色と自らの事態に、思わず硬直。
ただ呆然と、重力に引かれて落下してい……って寒い寒い寒い寒いっ! 気温が低いうえに風圧で肌が痛い!
「ス、スティレット! バリアジャケットお願いっ!」
『了解です、マスター』
首のあたりから小さく聞こえる機械的な音声の後に、身体が青い光に包まれる。
発光が止んで装着されるバリアジャケットと、右手に薙刀の形を模したスティレット。
「うぅ……助かった…………」
先ほどまで文字通り……痛いほど感じていた寒さと風圧がどこへやら。
うんうん、やっぱりバリアジャケットの性能は凄いよね。
見た目はさほど暖かそうじゃなくても、実際はぽっかぽか。さらに防風機能まで付属されているワケです。
こんなに便利なのに、魔法資質がないと使えないのがちょっと残念。イメージ次第でどんな服装にも出来るし。
そんな風にバリアジャケットの便利さを実感している間も、飛行魔法を発動していなかった俺は、ただただ下に落ちて行く。
眼下に広がる星空のような街明かりに、吸い込まれそうです。
そんな綺麗な風景なんだけど……さすがに怖い…………重力でぐんぐん加速して行ってるし……。
「スティレットー。飛行魔法もお願い」
『了解です』
機械的な音声が右手に握られたスティレットから聞こえ、少しづつ減速していく。
だって急に止まるのって結構怖いんですよ? 個人的に慣性で揺れる感覚が少し苦手ですし。
そんなことを考えながらも、十秒ほど掛けてようやく空中で停止。
ふわふわと浮かぶ身体を制御して…………広がる街並みを見下ろす。
……少しだけ。少しだけ前世に似た雰囲気を感じる風景を見て……大きく溜息。
「絶対にジュエルシード散らばっちゃたよね……」
俺のその言葉に、スティレットのコア部分がチカチカと明滅する。慰めてくれてるのかな。
気持ちは嬉しいけど、なんだかね……。
「さて、と……これからどうしようかな」
このまま空に居てもどうにもならないし、かといって単独行動なんてしたくはないし……。
うん、やっぱりユーノを待とう。
ユーノもここに来ると思うし……だけども、おそらくはフェイトも来るんだろうなぁ。
今更ながら不安になってきた。俺の知ってる"リリカルなのは"とだいぶ違うし……。
…………うん、今更悩んだって意味が無い気がしてきましたっ。
俺が出来ることをすればいいさっ。……ごめんなさい開き直りです。
さてさて、自分のどうでもいい思考に決着したし、そろそろ地面まで降りてみようかな。
この世界……感覚的に自分が住んでいた前世に非常に近いモノを感じるんだよね。
こういうのなんて言うんだっけ……既視感? デジャヴ?
上空から見る街並みは思いっきり地球のモノだし……ちょっと離れたところには海も見える。
原作にある"海鳴市"だとしたら、非常にラッキーなんだけれども。いろんな意味でね。
『マスター』
頭の中でそんなことを考えていると、不意にスティレットが話し掛けてきた。
「ん、どしたの? スティレット」
『マスターの上空より、魔力反応が接近しています』
「え?」
な、なんか来るみたいだよスティレットが言うにはっ!
ユーノだとしたら非常に助かるんだけど……フェイトが来たら交戦しそうで怖いっ!
もし戦ったら勝てるワケがないっ。フェイトはこの時点でランクとしてはAAAはあったはず。
しかもフェイトのアークセイバーの威力を考えたら、勝てる気がしないのですよ!
それに加えて、アルフまで来て二対一になったら……逃げることすら無理です! 一対一でもあやしいけどね!
「ス、スティレット! 隠れるよ!」
スティレットに一声掛けて、猛然と急降下。
途中でスティレットがなにか言っていたけど、逃げるときは迷ったらいけないような気がする!
飛行魔法に重力も加えて、かなりの速度で……どこに隠れればいいのさ!?
降下しつつ、視線をあっちこっちに移して……よしっ、あの森っぽいとこなんてよさそうっ。
直感を信じて、すぐさま行動。街の上空を滑空するように森に向かって飛ぶ。
冬だからか、葉っぱ一つ無い枝を避けつつも、なんとか枯れ葉が敷き詰められた地面に着地。
そのまま樹の幹にもたれ掛かる様にして、ずるずると座り込む。
「なんか……一気につかれた……」
そんなことを呟きつつ……空を見上げる。
ここまで来れば、きっと大丈夫なはず……。希望的観測だけれども。
さっきまで俺が考えていたのが、ぜーんぶ杞憂だといいんだけどね。
『マスター、ユーノ様が来ました』
「……え? …………本当に?」
『はい。間違いなくユーノ様です』
なんか…………ものすごく断定的な言い方だなぁ。ちょっと違和感を感じるんだけど。
「ちょ、ちょっと待ってスティレット」
『なんでしょうか、マスター』
「なんでそんな風に言い切れるのさ、もしかしたら違ってるってことも……」
『そんなことはありません。魔力反応値から考えた結果、私はユーノ様と判断しました』
この口ぶりだと、スティレットは魔力反応から誰かを特定出来る……ってことは……。
「スティレット。もしかして……最初っからユーノさんだってわかってた?」
『はい』
「…………………」
『私がお教えしようとしたところ……マスターがいきなり行動なされたので、マスターの耳には届かなかったようですが』
「なんか…………ごめん」
つまりは一人で大慌てしていたワケですか…………恥ずかしくなってきたよ……。
自分の行動を思い返し、一人で悶絶していると……スティレットがチカチカと明滅して。
『次からは気を付けましょう、マスター』
「……りょーかい」
なんか諭されました。くそぅ……デバイスのくせに生意気なっ。後で思いっきり解体して整備してやる。
とにもかくにも、近付いてきているのがユーノなら、恐れることはなにもない。
飛行魔法をもう一度発動させ、ふわりと上空へ浮き上がる。
星が輝く寒空の下。スティレットの誘導に従い、飛んで行けば見慣れた人影が一つ。
「ユーノさーん、こっちこっちー」
「レシアちゃん!」
少し大きな声で呼びかけると、すぐに気が付いたようです。
大急ぎでこちらに近付くユーノがそこに居た。
<ユーノ・スクライア>
時空間を抜けた先は、見知らぬ街の上空だった。
街灯が電気に依存していることから、少なくとも高度な文明を持っていることだけは分かる。
そんなこの世界の文明だとか、ジュエルシードも今はどうでもいい!
あのジュエルシードを奪おうとした魔導師が放った魔法の余波で、レシアちゃんは時空間に落ちてしまった。
僕はジェルシードが時空間に落ちたのを気にして、結界魔法も使えずにただ見ているだけしか…………。
僕がもっと気をしっかり持っていれば、こんなことにはならなかったんだ!
「レシアちゃん!」
僕は自分の中の悔恨を振り切るように声を上げる。
だけど、そんな僕の声に返事は…………無く、虚しく夜空に響くだけ。
そして、広がる静寂。無音の空の中、僕の中に嫌な想像が浮かんでくる。
もし……僕とレシアちゃんは違う場所に飛ばされたとしたら。
そんなことになったら、探す術なんて……。
駄目だ! 絶対にレシアちゃんを見つけるんだ! くだならい想像なんてしている暇はない!
今の自分が冷静なんて思ってはいない。だけど、がむしゃらになってでも探さなきゃいけないんだ。
そう思い直して、飛行魔法を制御して一気に飛び立とうとして。
「ユーノさーん、こっちこっちー」
とても聞きなれた、そして聞きたかったレシアちゃんの声。
「レシアちゃん!」
声がした方を見ると、そこには僕に向かって飛んで来る……レシアちゃんの姿。
急いでレシアちゃんに近付いて、怪我がないかどうか確認する。
…………うん、大丈夫みたい。動きに不自然さは感じられないし、どこか痛めている様子もない。
不思議そうに僕を見るレシアちゃんは、いつものレシアちゃんで……。
「レシアちゃん、無事で……良かった。本当に……」
思っていたことを、そのまま言ってしまう。
普段と変わらないレシアちゃんを見て、心が落ち着きを取り戻したせいかもしれない。
「わたしは大丈夫ですよー。ユーノさんの方こそ平気ですか?」
「うん、僕も大丈夫。だけど……」
この世界とは…………魔力が合わない。
レシアちゃんはなんともないみたいだけど、僕の魔力と不適合な性質にあるみたいだ。
「…………ん、ユーノさん。いっかい降りましょう。いつまでも空にいる必要もないですし」
僕の表情からなにかを見出したのか、レシアちゃんがそう言葉を紡ぐ。
その言葉に僕は頷いて応えて、二人でゆっくりと降下していく。
幸いにも近くに海に面した公園があったので、その公園内にあるベンチに並んで腰掛ける。
一呼吸置いてから、レシアちゃんが口を開いた。
「……ユーノさん」
「うん…………」
これから、どうするか。みなまで言わなくとも伝わる疑問。
…………僕はどうしたい?
ジュエルシードは危険だ。途轍もなく危険なロストロギア。
それがこの世界に散らばってしまった。そして、その原因の一端は僕にある。
輸送艦に現れた、ジュエルシードを奪おうとした魔導師。それに遅れを取ったこと。そして僕の射撃魔法がトランクケースを破壊してしまった。
「僕は、ジュエルシードを……自分の手で回収したい。こんな風になったのは僕の"責任"だから」
そもそも、ジュエルシードを発掘したのは僕達スクライアなんだ。最後まで責任は果たさなきゃいけない。
「…………わかりました」
僕の言葉に、レシアちゃんは頷きながら答えてくれた。
ジュエルシードは願いを叶えるロストロギア。どんな危険が伴うかわからない。
それに……あの魔導師のこともある。きっと……あの子もジュエルシードを集めようとしているはず。
もし鉢合わせたら、また戦うことになるだろう。
「レシアちゃん。僕はジュエルシードを集めようと思う。だから――」
「じゃあわたしも手伝いますね」
――転送魔法で先に帰って欲しい。僕のその言葉は、レシアちゃんに遮られた。
「うん、考えたらわたしにも"責任"とやらがあるワケですし。是非手伝わせてくださいっ」
可愛い笑顔で言い切るレシアちゃん。だ、だけどダメだ。危険なことにレシアちゃんを巻き込みたくない。
「え、あ……ダメだよレシアちゃん。ジュエルシードは危険なんだ――」
説得する言葉の途中……僕達のすぐ近く、巨大な魔力反応が突然現れた。
青白い魔力光が公園内の森から放たれ……発光が収まった直後に聞こえる、獣のような咆哮。
おそらく、ジュエルシードに現地生命体が接触した。
願いを叶えるといっても、ジュエルシードはその願いを正しく叶えてくれるワケじゃない。
「ユーノさん、これって……」
レシアちゃんがスティレットを右手に立ち上がり、僕に視線を送る。
「うん、間違いない。すぐ近くで……ジュエルシードが発動したんだ!」
僕も即座にアイギスを構えて立ち上がり……封時結界を発動させる。
魔方陣が展開され……周りの景色が灰色に染まっていく。
この結界は通常空間から特定の空間を切りとり、時間信号をずらすことが出来る。
それにより、現実の世界には直接の被害はなくなるはず。
……この世界はジュエルシードとはなにも関係が無い。被害はなるべく抑えなきゃいけないだろう。
周りの景色が変わったのに驚いたのか、きょろきょろと辺りを見渡しているレシアちゃんを手で制して、僕は前に一歩進みでる。
少しずつ近付いてくる唸り声。それに加え……重く、響くような足音が前方の森から聞こえてくる。
足音とは別に…………何かを振り回しているような風切り音。
次第に大きくなるそれらの音。そして……遠目に、その姿を確認することが出来た。
人間を軽く越す巨大な身体、大きな赤い目に捻じ曲がった嘴が、現実では存在しないアンバランスさを醸し出している。
おそらく……ジュエルシードに鳥類の動物が触れて、取り込まれてしまったんだろう。
何度も聞こえてきた風切り音は、この猛禽類を思わせる鳥の羽ばたきだった。
周りの木々が邪魔なのか、強く羽ばたけないでいる。自重の関係で飛べるかはわからないけど……もし飛べるとしたら、飛ばすのは厄介。
その全貌を現す前に、さらに一歩足を踏み出して……アイギスを構える。
僕らの存在を認知したのか、その巨大な鳥は敵意に満ちた唸り声を上げる。
うん。レシアちゃんを説得するのは、こいつを倒してからにしよう。
<レシア・クライティ>
森の中から出てこようとするその鳥は……どう見てもジュエルシード効果を受けまくっていました。
なんといっても大きい。でか過ぎる。
もしかしたら三メートルくらいあるんじゃないだろうか。
なんていうか……今の俺くらいの身体の大きさだったら、一口でぺロリといけちゃいそう。
それに加えて…………なんというか、威圧感が凄まじい。さっきから見えない圧力が掛かっているみたいに感じる。
う、うぐぅ……落ち着かなきゃ…………慌てたって良い事なんかなにも無いんだからねっ。
「レシアちゃん。ここでちょっと待ってて」
「え、ちょ! ユーノさん!」
ユーノが俺にそう言って……アイギスを手に、飛行魔法を発動。一気に飛翔し、あの巨大な鳥に向かっていった。
ああもう! なんでよりによって単身特攻なんかしちゃうかなユーノは!
飛んで行くユーノを追って、俺も飛行魔法を発動して追いかける。
未だに森の中で動いているジュエルシード寄生体は、近付いてくる俺とユーノに威嚇の咆哮を上げる。怖いからやめてくださいっ。
そんな威嚇にもユーノは怯まず、木々を避けながらも寄生体との距離をどんどん詰め……接触一歩手前に、ユーノがアイギスを振り上げながら魔法を発動させた。
「チェーンバインド!」
振り上げる動作とほぼ同時に、ユーノのバインドが寄生体を木々に括り付けるようにして絡みつく。
ユーノを迎撃しようとしていた寄生体は、不自然な格好のまま縛り上げられることになった。
間髪入れず、ユーノがアイギスの魔力刃で寄生体の羽を斬りつけ……一気に距離を取る。
おお……なんというか、ユーノがもの凄く場慣れしている気がする……。
とにかく、先制の一撃を加えたユーノなのだけど、その表情はどことなく険しい。
「くそっ……対して効いてない!」
少しだけ悔しげに、ユーノがそう言う。
効いてないって……あれだけの勢い斬りつけたのに!?
寄生体を見ると……未だにチェーンバインドで動きを封じられてはいるけど、身体事態に支障はなさそう。
ユーノが斬りつけた場所も、少し羽毛が飛び散った程度で……損傷は特に無いみたい。
「それなら……フォトンバレッド!」
ユーノが追撃に、射撃魔法を放つ――が。
時空間で見たときより、ユーノの射撃魔法は明らかに威力が劣っている。
全弾命中こそしたが、寄生体は少し苦しげに声を上げるだけ。
うむぅ……なんで威力が下がったんだろう。さっきからユーノは少し居心地悪そうにしていたけど……なにか関係があるのかな。
そこでふと、自分の脳内にあった知識を思い出す。もしかしたら……。
……それを肯定するために、辺りを見渡して、このような大きな公園内にあるであろうモノを探す。
割とすぐ簡単に、それは見付かって……すぐにそれに向かって移動する。
公園内の地図が書いてある看板。そこにはしっかりと"海鳴臨海公園"としっかり書かれていた。
その文字を見て…………ああ、ついに原作の舞台に来てしまいましたかっ! なんて思ったり。薄々そうなんじゃないかとは思っていたけどねっ。
うん、それならばもうユーノの射撃魔法の威力が下がった理由は一つ。魔力の不適合による弱体化というワケです。
それでも……あれだけの頑丈さを誇るバインドを生み出せるユーノは、純粋に凄いと思う。
だって未だに寄生体は動けずにいるんですよ。俺のバインドだったらあそこまでは持ちません。
…………よしっ。とにかく、未だに寄生体が動けないなら、やることは決まっている。
「ユーノさんっ。下がってください!」
木よりを軽く上回る位置まで飛び上がり、ユーノにちょっとそこ危ないですよーっと伝える。
「レシアちゃん……うん、わかった!」
俺の声を聞いたユーノが、即座にその場を離れて……俺のすぐ近くまでやってくる。……もちろんバインドはそのままですよ?
こういう……こっちのやりたいことを、即座に理解してくれるのがユーノのとっても良いところだよねっ!
「スティレット、準備はいい?」
『もちろんです、マスター』
こっちも準備万全だったよスティレット。短いやり取りの後……スティレットの矛先を、未だにバインドでロックされている寄生体に向ける。
「スティレット、シューティングモード!」
『了解です、マスター』
その言葉の後……スティレットが高速で変形していく。
スティレットの先端にあった青い魔力刃が消え、より射撃に適した形に生まれ変わる。
「スティレット、ディバインバスター。もちろんフルパワーでっ」
『心得ています、マスター』
りん、と広がる大きな魔法陣。その魔方陣自体が足場となって、より照準しやすく、相手を撃ち抜きやすくなる。
スティレットの先端に音を立てて集まる魔力。胸の中のリンカーコアが疼きますっ。
「ディバイン――」
今すぐに……ジュエルシードから解放するから、ちょっと我慢して!
「――バスター!」
言葉と共に、放たれる砲撃。バインドに捕らわれた寄生体は、なす術も無く青い閃光に飲み込まれた。
…………魔力ダメージだから、命に別状はないよね?
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
「それじゃあ……ユーノさん」
「うん…………妙なる響き、光となれ! 赦されざる者を、封印の輪に! ジュエルシード、封印!」
原作そのままの詠唱で、ジュエルシードがレイジングハートに封印された。
おお、原作では失敗していたけど……今回は無事成功してよかった。
最大魔力値が高い方が安全みたいだし、今度からは俺がやった方がいいかも。
うむぅ……それにしてもユーノは……直接的な戦闘はアイギス、補助的な事はレイジングハートを使っているみたい。
とはいっても、ユーノ曰く……レイジングハートはお守りに近くて、緊急時以外はもう使っていないらしいけど。
とにかく、ジュエルシードが無事に封印できてよかった。ちなみにシリアルナンバーはⅦです。
ジュエルシードに取り込まれた鳥も無事でしたし、こちらもよきかな。
「ユーノさん、後でシーリングのプログラムくださいね。次からはわたしが封印するので」
「いや、ダメだよ……レシアちゃん。ジュエルシードは危険なんだから……これ以上手伝ってもらうワケにはいかない」
「むぅ……今更なに言ってるんですか。ここまで来て、そんなこと言われたって納得しませんよ? わたしは手伝いますからね」
「でも…………」
むむ……ユーノ、ここは大人しく手伝われなさい。
「危険だったら……なおさらユーノさん一人にやらせるワケにはいきませんっ」
「う…………」
「それにさっきだって。ユーノさんは魔力が適合してないんでしょう? 威力が下がっちゃった魔法では苦戦は必至です」
俯くユーノに、俺は言葉を続ける。こうでもしないと、ユーノは本当に一人でやりかねないし、ユーノが危ない。
ユーノ自身が危ないと思う……これは紛れも無く俺の本音。一人より二人の方が良いに決まってる。
俺は近しい人が、怪我するところなんて見たくないのですよ。
「だから、手伝ってもいいですよね?」
「…………わかった。だけど……」
ユーノが肯定して、顔を上げ……真剣な表情で言葉を続ける。
「危なくなったら、絶対に逃げて欲しい。それと……一人では絶対に行動しないで」
「はい、わかりました」
「…………約束、だよ?」
「もちろんっ。それでは……ジュエルシード集め、手伝わせていただきますね」
【あとがき】
また時間が掛かってしまいました……申し訳ありません。
プロットは無印終了まで書き終えました。
これからは肉付け作業だけなので、更新は気持ち早くなるっ……と嬉しいです。
もっとも途中で変更点や問題点などが見付かれば、修正でまた時間を取られるワケですが……。
この作品を見てくださっている皆様に、一つだけ御相談が。
序章までは文と文の間にある改行を二つ、無印編からは改行を一つにしていたのですが、どちらの方が見やすいでしょうか?
どちらかによって全文を修正させていただきますので、よろしければ教えていただけると幸いです。