卒業試験が間近に迫ったある日
珍しく男女合同での演習が行われていた。
卒業試験が近く、全員が受ける為皆教師の話を真面目に聞いている。
まあ、中には話半分で行為を持つ相手を見ている者や寝ている者もいるが。
そしてここにも、
影分身に授業を受けさせ木の上にいる者達がいた。
「試験近いだけあって皆真剣だね~」
暢気に呟いたのはライカ。
「卒業すれば下忍になるって訳でもねーのにな」
答えるのはナルト。
ちなみに影分身は寝ている。
「え!?卒業すれば下忍になるんじゃないの?」
驚いて問い掛けたのは日向ヒナタ。
彼女もすっかり染まってしまったのか・・・
「違う。下忍になる資格を手に入れるってだけ」
ナルトが答える。
暗部在籍者だけはある。
「確かに、分身の術だけで下忍としてやっていけるかわかるはずもないねぇ」
呆れたような、納得したような調子で呟いたのは朱雀。
現在の彼らの状態を説明すると、
ナルト
朱雀 ヒナタ
ライカ
という風に座っている。といっても枝の上だが。
そして朱雀はヒナタを抱えている。その為の成人形態だったりする。
初めの内はヒナタも遠慮したり真っ赤になっていたりしたが、現在ではすっかり慣れてしまっている。
「試験に受かったらどうなるの?」
ヒナタが質問する。
「3人1組のスリーマンセルを組む。組み合わせは上、大概は教師だけど、が決める。そして各班に担当上忍が1名付く」
「それで任務をこなしつつ指導してもらう、と」
「そーいうこと」
ヒナタはただ頷いている。
「ちなみに、スリーマンセルの基本は男2人にくの一1人」
ナルトが「面倒くさい」と思っている事が良くわかる。暗部の時も(護衛の時などは別だが)基本的には1人で動いているのだから。
「ナルト君は今年は卒業するの?」
ヒナタが尋ねる。
アカデミーでの"ドベ"が演技と知っているからこその質問。
「する。この学年名家揃いだろ。校内の護衛も兼ねてたんだよ。その前は日向ネジがいたし、その前は・・・」
「前は?」
「任務明けで休んだんだよ。さすがに1週間不眠不休は辛かった」
「2日間爆睡してたもんね」
「そうなんだ」
「よかったねぇ」
朱雀の言葉に真っ赤になるヒナタ。
「誰と組むのかな?」
誤魔化すように言うと
「僕は朱雀とだよ」
「嬉しいねぇ」
ライカがすぐさま答える。
「自分で決められるの?」
「決められないよ。けど教師陣にはもう暗示掛けてるからv」
なんて事をあっさりと笑顔で言うんだこいつは・・・
「他は・・・多分名家は纏められるね。親同士が仲が良くてバランスも取れてたし、子供達も特性似てるから・・・秋道・奈良・山中が組む可能性は高いかな」
「だな。後は、ヒナタと油女と犬塚とうちはの中から1組。で・・・残った1人と俺が組まされる可能性が高いな」
ライカの説明をナルトが引き継ぐ。
「下忍やるの?」
が、その言葉にライカが尋ねる。
てっきり卒業したら暗部に絞ると思っていたのだ。
「やれって言われた。護衛継続させる気だろ、あのじじい」
「ご愁傷様」
「2人の予想は当たるからねぇ。ヒナタとは組めないのかい、残念だよ」
「うん・・・」
朱雀の言葉に頷くヒナタ。
「けどナルト卒業できるの?」
「俺の実力疑うのか?」
「実力は疑わない。けどイルカ先生以外には教師受け悪いから。あいつ等が愚かなだけだけどね」
最後はヒヤリとするような口調になっていたが誰も気にしない。
「そうだねぇ。態と落とされかねないねぇ」
朱雀の言葉にヒナタも心配そうな顔をする。
「大丈夫」
その割には苦虫を噛み潰したような顔だ。
「どうしたのさ?」
「特上の誰かが出張る」
「なんだいそれ?」
「『教えていた教師にはどうしても贔屓が出る。公平を期す為に教師でない者が判定する』んだそうだ」
「何時から?」
「今年から。火影と馬鹿共発案。しかも今年のみ」
「どう考えてもナルトの為だね」
「まあ、卒業確実になったから文句は言わなかったけどな」
言わなかったが文句はあるのだろう。
「ならこうしたら?」
・・・・・・・・
「終わったね」
集まっていた生徒たちが其々動き出す。
途端に女子に囲まれた某男子生徒もいたが。
「今日も来るでしょう?」
教室へ荷物を取りに行く各々の影分身を眼下にライカが尋ねる。
「うん」
「折角だし泊まっておいき」
「・・・いいの?」
「俺等が断る訳無いだろ」
「うん」
そして4人の姿は消える。