第零話 出会い
薄暗い森の中で、少年は一人膝を抱え泣いていた。
まだ幼くほんの5,6歳といったところだろう。
もう日はとっくに落ち今は真夜中だ。
普通なら親が心配し捜しに来ても良さそうなものだがその気配はまったく無い。
なぜなら少年はいつも一人だったからだ。
親もなく、友達もいない。
それどころか大人たちは自分を嫌っている。
なぜ自分がこんな目にあわなければいけないのか。
何もしていないのに・・・・・・・・・・・
少年はすべてに絶望し、もう生きていくのも辛かった。
この場所に来るのはいつものこと。
家にいても誰もいない。それどころか石などを投げつけられる始末。
だから彼はここに来ていた。
毎日、毎日・・・・・・・・・・・
虫の声が辺りに響き渡る。
ふと少年は自分の背後に人の気配を感じた。
振り返ってみるとそこには一人の青年・・・・・・いや少年といっても差し支えないかもしれない。
黒髪で黒い瞳。
忍び装束を着込み、その上から真っ黒な長い服を着込んだ男が立っていた。
「・・・・・・・・・・・・・・・」
少年はいきなり現れた男をしばらく見ていた。
なぜかはわからないが、どこか安心できる気がしたのだ。
「・・・・・・・こんなところで何をしているんだい?」
優しい声で男は少年に話しかけた。
「ふ~ん。そうか、そんなことがあったのか」
少年はコクコクと肯いた。
自分がなぜこんなところにいたのか。
なぜ泣いていたのかを包み隠さず話した。
男は木に持たれ掛けながら、少年の話を真剣に聞いていた。
「それでここまで来たのか・・・・・・・・・・・まったく信じられないことをする」
男は明らかに怒っていた。
話を聞いただけだが、その内容はこんな幼い子にする仕打ちではない。
例えこの子の中に化け物が居ようとも、この子自体に罪は無いのだから。
「なんで僕だけこんな目にあわなきゃいけないの・・・・・・・・・・」
少年は弱々しく呟く。
おそらくかなり精神的に参っているようだ。
その様子を見て男は少年の頭を優しく撫でてやった。
少年はその行為にかなり驚いたようだ。
「確かに辛いだろうな。その気持ち、よくわかるよ。だけどそれであきらめちゃだめだ。その悔しさをばねにして生きなければね。せっかくこの世に生を受けたんだ。その命は大切にしなくゃ・・・・・・・・・」
男は優しく言い少年を落ち着かせる。
「そうだ。君が望むのなら、俺と兄弟になろう」
「えっ!?」
男の突然の言葉に少年は驚いた。
今までやさしくされたこともなく、誰も自分を見てはくれなかったからだ。
「一人がいやなら、ね。君はどうしたい?決めるのは君自身だ、俺じゃない」
少年はしばらく考えたが、小さな声で――だがしっかりとした口調でこう答えた。
「うん!」
「よし、今から俺達は兄弟だ。そういえばまだ名前も言っていなかったな。俺の名前は竜野(たつの)リュウ。今からお前の兄になる男の名前だ」
男、リュウはそう言うと少年の顔をまっすぐに見つめた。
「僕の名前は、うずまきナルト!!」
少年、ナルトは先ほどまでとは変わり大きな声で名前を言った。
「ナルト、か。イイ名前だ。よしナルト!俺は今からお前のことを呼び捨てにする!お前も俺のことは好きによんでくれて良いぞ」
ナルトはうれしくなってリュウの名前を呼んだ。
「うん、リュウ兄ちゃん!!」
初めての家族、そして自分に優しくしてくれる人。
これが彼らの初めての出会いだった。
ここから彼らの新しい人生が始まった。
あとがき
はじめまして、陰陽師です。
ナルトは前々から呼んでいましたが、つい最近このサイトで凰牙さんの小説を読み自分も書いてみようと思いました。
凰牙さんほどうまくかけませんが何とかがんばって書いてみました。
感想などを掲示板等に書き込んでくれると幸いです。
がんばって書いていきたいと思いますのでどうかよろしくお願いします。