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No.5245の一覧
[0] エヴァ、乗ってみました (最新話4-5:投稿)[ユスケ](2010/12/20 03:06)
[1] エヴァ、乗ってみました 2[ユスケ](2009/04/17 03:35)
[2] エヴァ、乗ってみました 3[ユスケ](2009/04/17 03:35)
[3] エヴァ、乗ってみました 4[ユスケ](2009/04/17 03:36)
[4] エヴァ、乗ってみました 5[ユスケ](2009/04/17 03:36)
[5] SWITCH!あの子のハートを打ち砕け! 1[ユスケ](2009/03/02 01:04)
[6] SWITCH!あの子のハートを打ち砕け! 2[ユスケ](2009/03/02 01:05)
[7] SWITCH!あの子のハートを打ち砕け! 3[ユスケ](2009/03/02 01:02)
[8] SWITCH!あの子のハートを打ち砕け! 4[ユスケ](2009/03/06 19:56)
[9] SWITCH!あの子のハートを打ち砕け! 5[ユスケ](2009/04/17 03:36)
[10] ハハキタク、スグカエレ 1[ユスケ](2009/04/18 02:22)
[11] ハハキタク、スグカエレ 2[ユスケ](2009/04/20 19:10)
[12] ハハキタク、スグカエレ 3[ユスケ](2009/07/05 23:09)
[13] ハハキタク、スグカエレ 4[ユスケ](2009/08/29 13:53)
[14] ハハキタク、スグカエレ 5[ユスケ](2009/08/28 19:09)
[15] 人の創りしうんたらかんたら 1[ユスケ](2009/09/03 18:30)
[16] 人の創りしうんたらかんたら 2[ユスケ](2009/11/08 04:53)
[17] 人の創りしうんたらかんたら 3[ユスケ](2010/02/11 03:32)
[18] 人の創りしうんたらかんたら 4[ユスケ](2010/03/02 22:05)
[19] 人の創りしうんたらかんたら 5[ユスケ](2010/12/20 15:58)
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[5245] SWITCH!あの子のハートを打ち砕け! 5
Name: ユスケ◆f1c78a6f ID:85176eb0 前を表示する / 次を表示する
Date: 2009/04/17 03:36
「目標をセンターに入れて…スイッチ!」

「目標をセンターに入れて…スイッチ!」

「目標をセンターに入れて…スイッティ!」

あ…

そっとモニターを見たら、ミサトさんが僕をガン見していた。

そのまま口を開く。

「噛んだ?」

「噛んでないです」

「噛んだでしょ」

「噛んでないです、スイッティって言ったんです」

「そう、じゃあこの後もそれでお願いね」

そしてミサトさんは手元の書類へと視線を戻す。



ちくしょおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!

ドSめ…

恨みがましく見ていたら、ミサトさんは顔を上げて、ニコリと笑ってこう言った。

「何してるの、続けて」

あ、はい…

「目標をセンターに入れて…スイッティ」

「目標をセンターに入れて…スイッティ」

「目標をセンターに入れて…スイッティ」

「ごめんなさい、噛みました、だから勘弁してください」

僕はLCL内で土下座をするという高等技術を手に入れた。

「よろしい」

そう言って僕を見るミサトさんの目は、負け犬を見る勝者の目だった。

「大人なんて嫌いだあああ!」

そう叫びながら、モニターに浮かぶ巨神兵を撃ちまくる。



「あ、命中率上がりました」

マヤさんの呟きがシミュレーションルームに響いた。



そして、1分ほど前からシンジにユイのサルベージ事で相談があると告げようと来ていたゲンドウは、シミュレーションルームの微妙な空気に、扉の前でこう思ったという。





(・・・入りづれえ)













第二話 SWITCH!あの子のハートを打ち砕け!その5










SIDE-冬月



普段私とゲンドウしかおらず、静寂に包まれている筈の司令室に今日は来客があった。

シンジ君である。

ユイ君のサルベージの話しを聞く為にゲンドウが呼び出したのだ。

二人は来客用のソファーに座り、何故かピスタチオの殻を割りながら淡々と話していた。

「ユイのサルベージ…本当に出来るのか?」

確かにそれが一番の疑問点だ。

碇ユイのサルベージ計画は、過去何度か作られ、そして失敗してきた。

その成果の内の一つが綾波レイである。

科学者が総出で出来なかった事を、この少年は気軽に出来ると言う。

信じられぬのも無理はあるまい。

そして私とゲンドウが緊張して返事を待つ中、彼はこう言った。

「さるべーじってなんぞ?宝探しでもするの?」

おいゲンドウ、説明ゼロか。

この男は相手が理解しているのを前提に話を進める悪癖がある。

とりあえずフォローしておくか。

「ユイ君をエヴァの中から出す事だよ、シンジ君」

教えると、彼は「あぁ!」と掌を打って口を開いた。

「なるほど、それでサルベージね、すぐ出来るよ?今からする?メギャンって出せるよ?あ、ちょっと出して来るね」

そう言って彼は司令室を出て行こうとする。

ゲンドウが慌てて低空タックルでそれを阻止した。

バタービーン対美濃輪戦を彷彿とさせる鋭いタックルである。

「い、いや、ちょっと待て、落ち着け…こちらも準備が要るんだ、社会的にも精神的にも…」

「えー?早い方がいいじゃんか」

シンジ君はそう言うが、精神的にと言うのはともかく、社会的には少し拙い。

ユイ君が復活する事で、我々が人類補完計画に参加している必要性がなくなる以上、その場合ゼーレは敵になってしまうのだ。

しかし、今の我々にゼーレと敵対する程の戦力は無い。

その為にもユイ君の復活は内密にし、力が整うまで人類補完計画に参加しているフリをする必要があるのだ。

新しい戸籍も用意せねばならんだろうし、他にもやる事は山程ある。

だがそれが本当に分かっているのかいないのか、ゲンドウは暫し考えてシンジ君にこう告げた。

「明日だ、明日までには準備しておく」

おい…

一日程度で終わると思っているのか…

全部お前がやるんだろうな、私は知らんぞ。

いや、コイツならやりかねないな。

ユイ君絡みとなれば、碇ゲンドウという男は異常な能力を発揮するのだ。

そしてそれを聞いたシンジ君はシンジ君で、軽く返事をしてみせる。

「おkおk、じゃあ帰っていい?リツコさん待ってるし」

おkおkじゃねえよバーロー。

この少年は、きっと自分がどれだけ異常で途轍もない事を言っているのか分かっていないのだろう。

いや、あのユイ君の息子だ。

案外分かっていてこう振舞っている可能性もある。

「あぁ…言い忘れていたが、一応ユイは死んだ事になっている、それが生きていると知れると色々と拙い事になるのだ、くれぐれも内密にしろ…いいな?」

「ガデッサー!」

「よろしい、ではな」

「ではな!」

元気に返事をして、シンジ君は扉の向こうへと消えていった。

もう嫌だ…この親子。

後でネルふたばの司令スレで、ゲンドウのデマでも流しておかないと気が済まない。

そんな事を考えていると、じっとシンジ君が出て行った扉を眺めていたゲンドウがボソリと聞いてきた。

「冬月、本当に出来ると思うか?」

知らん。






















SIDE-シンジ


昼休みが始まって、レイたんにお弁当を渡そうとした所で突然携帯が鳴り出した。

でも着信音が僕の設定してる音じゃなくて、ピーピーピーピーってデジタル音だ。

おかしいなぁ、オーラロードが開かれる筈なんだけど。

ていうかそもそも学校だからマナーモードにしてたんだけどな。

そう思いつつ携帯を取り出したら、そこには見た事も無い番号が通知されていた。



知らない人からの電話は取りませんっ!

とりあえず料金が発生するように、一瞬だけ電話を取って即座に切っておいた。

今日もまた悪の根を少し潰してしまった…

気持ちがいいね!

そんな事を思っていたら、誰かが僕のシャツの裾をくいくいと引いている。

振り返るとそこにいたのはレイたんだった。

「非常召集」

「んゆ?何?」

てっきりお弁当の催促かと思っていたら、突然意味の分からない事を言い出した。

「え…だから…非常召集」

こっちが困惑していたら、何故かレイたんも困惑した表情で言う。

え?何これ?状況が全く掴めない。

とりあえず聞いておこう。

「非情消臭って何?」

するとレイたんは更に表情を困惑させて答える。

「簡単に言うと、ネルフに来い、って事だけど…」

「そうなんだ!了解!」

そうならそうって最初から言ってくれればいいのに。

その後はレイたんの言う通りに荷物を纏めて、校門の前に保安部の車が来るらしいので二人で待つ事にした。

待つ間暇なので、レイたんに聞いてみる。

「でもなんで急に呼ばれたんだろ?レイたん分かる?」

「え…」

この時のレイたんの表情を分かり易く言うと。



お前何言ってんの?



って感じだ。

もしかして、非常召集の事はNERVの常識?

まあ仕方ないよね、僕まだペーペーだし、そんな話聞いた覚えも無い。

レイたんは驚いた顔で僕を見ていたけど、暫くしてぼそりと呟いた。

「使徒、来たから…」

あ、なるほど。

そりゃ非常召集も掛かるか、僕パイロットだもんね。

そっか、またあの巨神兵みたいなのが来るんだ。

「ふーん、じゃあ今日も頑張るぞー!」

「貴方…絶対に反応がおかしい…」

また微妙な表情をレイたんが浮かべた所で、角を黒塗りの車が曲がってくるのが見えた。

絶対アレだ!

悪の組織過ぎる!

そしてふと思い出した。

あ、お弁当食べなきゃ。

「あ、レイたんお弁当、車の中で食べようよ」

そう言ってレイたんにお弁当を渡すと、レイたんはじっとそれを見つめて小さく僕に聞いた。

「…おいも入ってる?」

「入ってる入ってる、好きなの?」

そう言えばいつも芋の煮物を入れてたら真っ先にそれを食べていた気がする。

「…うん」

レイたんは頬を赤らめて呟いた。

よし、可愛いから今度から必ず入れちゃうぞ!













SIDE-リツコ



薄暗い発令所。

巨大スクリーンに映る、奇天烈な姿をした使徒を見つめながらミサトが呟いた。

「今回は一週間か…早いわね、リツコ、エヴァの準備は?」

「大丈夫よ、中の状況は分からないけどね」

エヴァの状態は完璧である。

元々初号機は前回の使徒戦で全く損傷を受けていない。

そして日々のコンディションを管理するのは私の仕事だ、抜かりは無い。

しかし見た目やデータによる状態が完璧でも、初号機は違う。

エレクトラ、碇ユイ。

この二人を内包するエヴァンゲリオン初号機、シンクロすら出来ない私には彼ら…いや、彼女達の状態等分かる筈もない。

シンジ君にしか分からないのである。

まあシンジ君の日頃の話振りからすると全く問題はないと思うが。

とりあえず、そのシンジ君が居ないと話は始まらないだろう。

「それで、肝心なシンジ君達は?」

マヤに聞くと、コンソールを操作し、モニターに現在の居場所が表示された。

シンジ君やレイの持つ携帯には発信機が内蔵されている、それにより居場所を特定しているのだ。

自分の持つ携帯に発信機が付いているとなれば良い気はしないだろう。



普通は。



何となく彼にそれを伝えたら、彼は目を輝かせて。

「じゃあマヤさんが僕の居場所を調べたら、エロい店に居てマヤさん赤面、何ていう羞恥プレイも可能なわけですね?」

「早く死ねよ」

というような事もあった。

現在の場所からすると、シンジ君達がこちらに付くまで10分と言った所か…

エヴァの発信準備は進行中だ、シンジ君が搭乗準備を終える頃には完了しているだろう。

後は作戦部長のミサト次第という訳だ。

…あのチート的な強さなら、作戦なんて必要ない気もするが。

そんな事を考えていたら、マヤが口を開く。

「こちらに向かって…あ…」

「どうしたの?」

何か問題があったのだろうか?

シンジ君が来れないという事はNERVの敗北に直結する事態なので、内心穏やかではない。

いくら彼がシンクロ率400%の最狂のエヴァンゲリオン初号機パイロットであっても、生身では運動神経の悪いただの少年なのだ。

心配しながら身を乗り出しモニターを見ると、マヤが見ていたのはメールフォルダだった。

どういう事かとマヤを見ると、本人も戸惑った表情でこちらを見る。

「何かメールでシンジ君から音楽ファイルが…」

「は?」

音楽ファイル?

この緊急事態に一体何を…

マヤが徐にファイルを開封する。

ファイルの題名はこのような物だった。

碇シンジ出陣のテーマ(発進の時に流してね!)

「どうしましょう…」

「ウィルス付きで送り返してやりなさい」











SIDE-シンジ






NERVに到着した僕は、ミサトさんから簡単に説明を受けるとエレクトラへと向けて走った。

やばい、今の僕、異常な程テンションが高い。

現れた敵!出撃する主人公!

何だこの夢シチュエーション!

あとはヒロインの存在だけだ、出来れば昼下がりの団地妻がいい。

現在エヴァ乗ってみましたではヒロインを募集しています!

超スピードで格納庫に到着すると、整備のおじさん達が声を掛けてくる。

「頑張れよ坊主!」

「怪我すんなよー!」

「風邪引くなよー!」

「歯磨いて寝ろよー!」

「やっちまえー!」

やってやるぜえええええええええええええええええええ!

おじさん達に軽く手を振って声援に応えると、僕はエントリープラグへと向かって走り、叫ぶ。

「チャージ三回!フリーエントリー!ノーオプションバトル!うぉぉぉぉぉおおおぉぉぉぉぉおぉぉぉぉおおおおぉぉぉぉぉぉぉおおおぉぉぉぉぉおぉぉぉぉおおおおぉぉ!」

行くぜ!

「チャアアァァァアァァアァアアァアァァァジ!イイィィィィイィイィイィイィイイイィィイン!」

そしていざエントリープラグに乗り込もうとした所で、整備長のおじさんが何かを手にこちらに駆け寄ってきた。

「坊主ー!プラグスーツー!」

そういえば制服のままだった。

だけどここは冷静に、僕のポリシーに従って応えておく。

「私はバンゲリに乗っても必ず帰ってくる主義だ、死にたくない一心でな、だから戦闘服だのプラグスーツだのは着ないのだよ」

そう言って、僕は物陰でプラグスーツへと着替え始めた。

「着るのかよ!」

「死にたくない一心でな…」

何でか知らないけど、整備班全員にフルボッコにされた。

あの…僕今から出撃なんですけど…












シンクロスタート。

全身が何かに包み込まれるような感覚。

エントリープラグの中に、世界の中に、確かにエレクトラと母さんの存在が浮かび上がってくる。

全身に電気が走るような感覚。

最初は弱く、徐々に強く。

みなぎってきたあぁあああぁぁぁぁああぁああぁぁあぁあああ!

この感覚!

高シンクロ状態って奴だ!

「エヴァンゲリオン初号機起動、相変わらずシンクロ率400%!行けます!」

最近シンクロしてる状態っていうのが肌で分かるようになってきた。

母さんは包み込むように、エレクトラは突き刺さるように。

僕と一つになる。

いつでも行けるぜべいびー!

「シンジ君、出すわよ!」

「うおおおおおお!俺TUEEEEEタイム!」

使徒でも何でもかかって来い!ぴっ殺してやる!

「シ、シンジ君?射出するけど…」

「俺は男だ!男だぞぉぉぉぉぉおおおぉぉぉぉぉおぉぉぉぉおおおおぉぉ!」

「聞いてよ~!」

ん?マヤさんの声が聞こえたような…

「あ、出しちゃって出しちゃってー」

「エヴァンゲリオン初号機、射出!」

「アッー!」

テンションが上がり過ぎてプラグの中で雄叫びをあげていたら、いきなり射出の衝撃が襲ってきて僕はひっくり返った。

射出するならするって言ってくれ!

僕の意思とは無関係に、バンゲリはぐんぐん地上へと向かって上昇していく。

そして、僕のトラップが発動した。

突然バンゲリの中に、NERV発令所内に、軽快な音楽が流れ始める。

ミサトさんはそれを聞いて困惑しているようだった。

「これは…何?」

というよりNERV全体が困惑ムードだ。

無理もあるまい。

だが必要なんだ!

ヒーローの出撃にはこれが必要なんだ!

先ほどのファイルを聞いたらしいマヤさんが叫ぶ。

「これは!碇シンジ発進のテーマっ!」

「タイガーマスクじゃないか…懐かしい」

冬月先生はそもそも聞いた事があったらしい、懐かしくも呆れたような表情で宙を見つめていた。

リツコさんは少し焦って問いただしてくる。

「ちょっと…シンジ君何時の間にこんな設定入れたのよ!?」

「流してくれないのは予想済みっ!この前の実験の時に先手を打っておいたのさ!」

マヤさん、機密の端末を付けっぱなしでトイレに行っちゃいけないな。

前日の実験の時にMAGIに入力しておいたのだ。

初号機の射出シークエンスに入ったらこのファイルを展開するようにな!

リツコさんは溜息をつくと、呆れたように言った。

「何という才能の無駄遣い…」

そしてエヴァが地上に出ると同時に曲が鳴り終わる。

前方1km程の場所に使徒がいるのが見えた。

マヤさんが射出台の固定具の解除を始める。

束縛から解放された自由に、エレクトラが唸る。

行くぞ!エレクトラ!

「エレクトラ!ショウタイム!」

…あれ、続きなんだっけ。

まあいいや、適当で。

「なんたらかんたら…ゆーのっとぎるてぃー!」

「なんと言ううろ覚え」

そう呟くリツコさんの顔は苦々しいものだった。

「後でググります…」

そうだよね…びごーに失礼だよね…

まあ気を取り直して!行くぜ!

エヴァの横の兵装ビルが開き、そこからパレットガンが現れる。

同時にミサトさんが言った。

「シンジ君!敵の鞭の速度はかなりのものよ!最初は距離をとって訓練通りパレットガンで応戦して!」

「オーケイ!使徒だろうが大統領だろうが殴って見せるぜ!でも飛行機だけは勘弁な!」

「パレットガンって言ってるでしょ!殴んな!」

はいごめんなさい、スレに書くのはやめてください。



兵装ビルから出てきたパレットガンを受け取ると、訓練通りに構え、ATフィールドを中和し、何かセンス爆発してる使徒へと撃ちまくる。

「使徒爆発しろぉぉぉおおぉぉぉぉおおお!」

射出された劣化ウランの弾丸が使徒に突き刺さる。

見える、見えるぞ!私にも! 敵の動きが!

そして着弾した弾が爆砕して、辺りに粉塵と弾煙が立ち込め…あれ?







何で砕けてんの?



思わずミサトさんに聞いた。

「ミサトさん!これ効いて無くない!?てか見えづらいんだけどっておわあああああああああああ!」

と、話しかけている途中で煙の中から使徒の鞭が現れた。

間一髪で避ける僕、格好悪いけどそのまま這い蹲って兵装ビルの陰に隠れる。

ったく…褌がなかったら死んでいた。

発令所では眉間に皺を寄せたミサトさんがリツコさんを睨んでいた。

「リツコ?」

溜息をつくリツコさん。

そりゃそうだろう、だってテスト時は劣化ウラン弾に完全に耐えてみせる装甲を持った使徒なんて想定していなかったんだから。

でもリツコさん、パレットガンはイデオンガン並の威力があるって得意気に言ったじゃないですか!嘘吐き!

「敵の強度が想像以上ね…硬度を重視して劣化ウラン弾にしたのも裏目に出たわ、砕けてる、効果は無いと思っていいわよ」

また作り直しよ…とリツコさんがぼやく。

命がけの僕の身にもなってください。

ミサトさんは暫し考えると、新たに作戦を提示した。

「シンジ君、危険度は上がるけど接近戦に切り替えて、コアを狙うわよ、こちらからも兵装ビルで援護するわ」

え…

接近戦?

思わずビルの陰から使徒を見る。

その瞬間鞭が飛んできて、咄嗟に頭を引っ込めた初号機の角を攫って行った。

エレクトラとか母さんが非難の声を上げる。

戦闘用ロボットだから仕方ないでしょ!

…これと接近戦しろと?

「帰っていいっすか?」

「さっさと逝け」

そんなご無体な…

それでも僕はビルの陰を這い回りながら徐々に使徒に近づいていく。

主人公の鏡だな、僕は。

そして地面から現れた装甲板の裏に隠れながら息を整えた。

あと少し、あと少しだ。

エヴァスラッシュの射程内まで、あと少し。

よし、10カウントだ、0で飛び出そう。

10、9,8,7,6,5…

「何じっとしてんのよ!」

「カウントとってるんですよ!アイツの鞭の動きにも慣れてきたんで、もうすぐエヴァスラッシュの射程内です」

「さっさとしなさいよ」

「僕には僕のタイミングがあるんですよ!いいか!?押すなよ!?絶対押すなよ!?」

「了解」

次の瞬間、背後の兵装ビルから突き出てきた謎の装甲板に押し出される形で、僕は使徒の目前に放り出された。

「アッー!」

使徒の目がキラリと輝いたように見えた。

そして僕に向けて一直線に二本の鞭が迫る。

う…

うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!

「主人公補正舐めんなあああああああああああ!」

エェェェエエエエヴァ!スラアアアアァァアァァアッシュ!

渾身のエヴァスラッシュが使徒の鞭を唐竹割にし、更に使徒の胴体を切り裂いた。







…ように見えた。

当たっていない。

使徒の胴体は小さな傷を付けただけで、コアには傷一つ入っていなかった。

「そんな!エヴァスラッシュが効かない!?」

「…外したんでしょ」

ウィンドウが開いて、ミサトさんがジト目で僕を見てくる。

「ハズシテナイ」

「何で急に半角カナになんのよ!」

怒っているミサトさんの横で、マヤたんが感心したように呟いた。

「SSならではですね」

「いや…マヤちゃん…」

まあ何ていうか、胴体にギリギリ届きませんでした、ご苦労様です。

でも大丈夫。

敵の鞭は無効化出来た。

他に攻撃手段があるのかい?

そして、僕は使徒の前に仁王立ちになる。







そんな僕の目の前で。

「え?」

唐竹割にされた使徒の鞭がビキビキと裂けていき。

「いや、ちょっと…」

やがて胴体までもが裂け始め。

「おい…」

その裂けた跡が塞がり。

「増えた?」

使徒の鞭は四本に増えていた。

何となく、使徒がどや顔で僕を見ている気がした。

そしてすぐさま二倍に増えた鞭が僕に襲い掛かってくる。

「おま!ふざけんな!」

追いすがってくる敵の鞭を、避ける避ける避ける避ける。

やばい、自分がこんなに動けるなんて思いもしなかった。

エヴァのスペックが高いからだろうけど…

でも全然捕まる気がしないぜ!

そう思った瞬間、僕はずっこけた。

え?こんな時に天然要素丸出しですか?とか思って足元を見たら、華麗に敵の鞭の一本が僕の足首を掴んでいる。

あ、調子乗ってすいませんでした。

でも使徒は僕の謝罪なんて受け入れる気無いらしい。

そのまま僕は宙吊りにされる。

「ええい!HA☆NA☆SE!」

「ふざけてる場合か!」

そして僕は葱みたいに地面に叩きつけられた。

プラグ内はまるでシェイカーのようにぐわんぐわんと揺れる。

一回、二回、三回、四回…





おい。





あんまり調子に乗るなよ?

僕は大揺れの中、足首に巻きついている敵の鞭を掴むと、一気にぐいっと引き寄せた。

作用反作用で、空中の僕は使徒に肉薄する。

そしてボディーアタックの要領で使徒を地面に薙ぎ倒した。

即座にマウントポジションを取る。

さてと。

「四回だぞ?」

肩口からエヴァドスを取り出して構える。

毎度毎度、言っているようだけど。









ずっと僕のターン!







てめえは俺を怒らせた。

丸出しのボディーに向け、エヴァドスを。

振り下ろす!

「うぁたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたた…アリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリ!」

「ジョジョに言い直してる暇があったらさっさとコアを潰す!」

怒られました。

「あぁぁあぁぁぁあぁ!唸れ!エヴァドス!」

叫びながら、何度も何度もコアへと向けてエヴァドスを振り下ろす。

何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も。

コアの欠片が散っていく。

使徒の断末魔のような声が聞こえる。

みなぎってきたぜええええええええ!

「この次も、その次の次のも、その次の次の次のも…その次の次の次の次のも…次の!次も!グロリアのぶんだあああーッ!これも!これも!これも!これも!これも!これも!これも!これも!これも!」

そして、エヴァドスが深くコアに突き刺さる。

使徒の声が止む。

それでも僕は振り下ろすのをやめない。

「パターン青!消滅を確認!」

マヤさんが何か言っているようだったけど、テンションが上がり過ぎて正直僕には聞こえちゃいなかった。

「よっしゃぁ!シンジ君、指示するルートから帰還…」

「そしてこれは…折られたモップの分!」

なんか動かなくなったけど!僕の怒りはこんなもんじゃない!

「…シンジ君?」

「もっとだ!もっと輝けえええええええええ!」

「…マヤちゃん?」

「精神汚染ありません、素です」

「…リツコ、お願い」

そして突然、呆れたようなリツコさんの声が聞こえた。

「シンジ君」

「うにゅ?何ですか?」

何だろうと思って聞いてみたら、何故か発令所の人達は尊敬のまなざしでリツコさんを見ていた。

どうしたんだろ?

リツコさんはそんな事気にもせずに僕に言う。

「ネタが色々混ざりすぎてるから落ち着きなさい、それと終わったわよ、帰ってきなさい」

「は~い」

なんか途中からテンションが上がり過ぎて記憶がないんだけど…

まあとりあえず。





完全撃破!
















今日も二人にまたねと言って、エントリープラグを降りる。

そしてその瞬間、凄まじい疲労が僕を襲った。

やばい…これ立ってらんない。

テストの時はそうでもないんだけどなぁ、何でだろう。

あまりの疲労感に座り込んでいたら、誰かが無言で肩にタオルを掛けてくれた。

誰だろうと思って顔を上げると、そこにいたのはレイたんだ。

思わず立ち上がる。

バテてる所を女の子に見せるなんて!ヒーロー的じゃないしね!

「レイたん!勝ったよ!」

笑顔100%で勝利報告をしたら、喜んでくれると思ったレイたんの反応は違っていた。

「そう…」

そう言って何だか切なそうな表情で俯いたのだ。

何かあったのかな?

「テンション低い!どうしたのさ!」

「私は…役に立てないから…」

そう言ってレイたんは初号機を見つめる。

ん?

役に立てない?

「ごめん、意味わかんない、どゆこと?」

全く意味が分からないので問いかけると…

レイたんの答えは、僕の想像を超えたものだった。



「私は、まだエヴァとシンクロ出来ないから…」































「えぇええええぇぇぇぇぇえぇぇえぇえええぇぇえええ!」


























驚いた。

死ぬほど驚いた。

いや、何でって。



「レイたんってパイロットだったの!?」



「最初に言った気が…」

呆れるように言うレイたん。

だって誰も教えてくれなかったじゃんか!










そして今日もリツコさんと駐車場に向かう道すがら、父さんと冬月先生がいたので僕はとある事を思い出して聞いてみた。

「あ、父さ~ん、さるべーじどうするの~?」

「「わー!わー!わー!」」

二人に凄い勢いで口を塞がれて死にそうになった。

あ、そう言えば秘密なんだっけ…











第二話、完








あとがき

追撃のエヴァ5・最後のシ者により、更にユスケのエヴァ熱は加速した。

6に続くとか言ってたくせに、短すぎたので5に追加してしまいました(*'ω'*)

さてはて。

さてはて。

そろそろあの人出てきます。

そしてシンジ君が調子に乗っていられるのもそろそろ終わりのご様子。

三話でお会いしましょう。





そして僕は気付いた。

もう10話もやってるのにまだシャムシエル\(^o^)/

*ユスケさんいい加減誤字自重して下さい、サーセン


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