シンクロ率だとかハ―モニクスだとか適応者だとか理論限界値だとか。
はっきり言って何も分からないけど、とりあえず、どうやら僕とコイツは気が合うらしい。
意識を向けると、エヴァが答えるように雄叫びを上げた。
そして目の前の巨神兵を見る。
「あれ、倒しちゃっていいんですよね?」
「え、えぇ」
戸惑うようにミサトさんが答えた。
とりあえず距離をとって、エヴァの動きを確かめる。
前進、後進、ステップ、ジャンプ、体育座り、怒られる。
「何ふざけてんのよ!」
「えっと…とりあえずテンプレで…」
僕は叫んだ。
「無茶だ!こんなOSで!」
「私が作ったのよ?」
リツコさんが物凄い笑顔で答えてくれた。
「…」
「…」
「エヴァドリ「ドリルは未搭載よ、残念ながらね」
そんな!ドリルが搭載されていないなんて!
残念すぎるよリツコさん…
「…じゃあエヴァビーム?」
「無いわ」
「唸れ虚空よ!エヴァヴォイス!」
「無いわ、エヴァスパークもエヴァフィンガーもエヴァハンマーも無いわ…いや、ハンマーなら予算さえ下りれば…」
「…大エヴァおろしとか」
「それはシンジ君のここ次第よ」
そう言ってリツコさんは二の腕をポンポンと叩いた。
「こうなったら、ニトロとマクロを乗っけてファミリアとか…」
「シンクロの邪魔ね」
ですよねー。
「必殺技すら無いなんて…こんなのスーパーロボットじゃないよぅ」
「自分で編み出すしかないわねぇ…」
LCLは良いね…泣いてもばれないし…
そうしてさめざめと涙を流していたら、ミサトさんが溜息混じりに口を開く。
「あの…そういうの後にしてくれると助かるんだけど…」
「…ハッ!まさか!」
「シンジ君?どうしたの?」
「今特訓フラグ立った?」
「知るか!」
「だって!必殺技も無いんじゃ倒せませんよ!」
殴る蹴るで敵を倒すヒーローなんて聞いた事もない。
するとリツコさんが真面目な顔で口を開く、でもやっぱり猫は抱いたままだ。
「シンジ君ならいけるわ、400%なんて…波動砲も戸愚呂弟も目じゃないわよ?」
「無理ですよ!だってあいつ絶対ルカの町とか守ってるのと同じ種属でしょ!?せめて笛が無いと…」
そんな事を言っていたら、母さんじゃない方の気配が何かを告げてきた。
「え?何?」
「シンジ君?」
ミサトさんが何か言っているけど、気にならない。
何故ならその気配が告げたのは、僕が待ち望んだものの事だったからだ。
「え!そんなのあるの!?」
「シンジ君!?」
「マヤ?精神感染は?」
さすがにまずいと思ったのか、リツコさんがオペレーター席のマヤさんに尋ねる。
するとマヤさんは困った顔をして言った。
「異常ありませんけど…これは元々の異常は出ませんから…」
「貴女さりげに酷い事言うわね…」
聞こえてますよー。
まぁとりあえず、気配の提案に乗るとしよう。
「よし、じゃあいくよー」
僕と母さんと、その気配が混ざって一つになっていく感覚。
原理だとか中身の事は分からないけど、そっちの方は母さん達がやってくれる。
僕は振るうだけでいい。
その、力を。
そして、空気が変わった。
マヤさんが叫ぶ。
「ATフィールドを確認!初号機からです!」
「なんですって!?」
目の前の空間が歪んでいく、赤いのか黄色いのか、それさえも分からないような空間の断裂。
「うおおおおおおおおおおおおおお!」
巨神兵がたじろぐのを感じた。
ごめんね、でも。
もう遅いかな。
「いくぜええええええ!超!時空殺法!」
僕はエヴァを巨神兵に向かって走らせた。
そして、目の前に展開されたその力場を。
力の限り、解き放つ。
「エヴァスラァアアアァァッァァアアァァァアァアッシュ!」
歪みに歪んだ空間、その中の閉ざされ暴走していたベクトルを巨神兵の方向に向かって解放する。
純粋な力の奔流。
巨神兵も慌てて同じような力場を作ったのが分かった。
でも関係ない。
僕が放ったソレは、巨神兵のソレごと飲み込んで巨神兵を襲う。
目の前が真っ白に染まっていく。
そして…
その光が消えた時には、目の前に巨神兵はいなかった。
辺りを静寂が襲う。
世界から音が消えた感じ。
指令室の人達だって、何が起こったのか分からず、唖然としていた。
そんな中、やっとリツコさんが口を開いた。
「ATフィールドを…武器に使ったというの?」
「これも次元連結システムのちょっとした応用だ!」
「無いわね」
やっぱりリツコさんは冷静だった。
Side - 冬月
初めての使徒戦、その勝利に沸き立つ指令室の中で、冬月は顔をしかめ、ゲンドウに呟いた。
「どうする碇?こんなシナリオはないぞ?」
言動は暫く無言だったが、やがてボソリと口を開く。
「問題ない…」
またこれだ。
この男の言う事は信用ならない。
面倒事を片付けるのは自分だというのに…
溜息をついてモニターを見る。
そこには初号機と、この男の息子である碇シンジが映っていた。
ふと思いを巡らせていると、ゲンドウがまたボソリと口を開く。
「いや、一つだけ問題がある」
「何だ?」
この男がこういう風な事を言うのは珍しい。
まぁ自分から見れば今起こっている事態は問題だらけな訳だが…
「奴のネーミングセンスはゼロだ」
「誰もお前に言われたくないだろう…」
まぁ確かに、エヴァスラッシュはどうかと思った。
またモニターを見る。
そこに映る、少年を見て。
そういえば彼の母親も、良い生徒ではあったが、一番扱いに困る生徒だった。
そんな事を思い出した。
あとがき
今回ちょっと短いです。
エヴァスラッシュだとか、シンジ君は偉そうに言っていますが、何の事はありません。
ATフィールドでぶっ飛ばしただけです、アスカがやったのと同じですね。
それと、少し引っかかる部分があるので、のちに丸ごと書き直すかもしれません。
あ、後…
初っ端から400%は
やり過ぎたと言わざるを得ないな!!!!!!!!!!
ホントは昔書いたのがここら辺までだったので、続きを書く上で100%にしようと思っていたんですが、今さら書き直すのもあれなのでこのままで行きます。
読んだ知り合いに「いきなり400%とか、馬鹿なの?死ぬの?」とリアルウザテーされて意地になったとかそんなんじゃないです。
断じて違います。
まぁシリアス路線も含まれてきますが、基本ギャグですし・・・
そもそもこの後の流れだと関係n(ry
ゴホンゴホン
後、勘違いされている人がいるみたいなので一応付け加えておくと。
これ、断じてスパシン物じゃないです。