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No.5245の一覧
[0] エヴァ、乗ってみました (最新話4-5:投稿)[ユスケ](2010/12/20 03:06)
[1] エヴァ、乗ってみました 2[ユスケ](2009/04/17 03:35)
[2] エヴァ、乗ってみました 3[ユスケ](2009/04/17 03:35)
[3] エヴァ、乗ってみました 4[ユスケ](2009/04/17 03:36)
[4] エヴァ、乗ってみました 5[ユスケ](2009/04/17 03:36)
[5] SWITCH!あの子のハートを打ち砕け! 1[ユスケ](2009/03/02 01:04)
[6] SWITCH!あの子のハートを打ち砕け! 2[ユスケ](2009/03/02 01:05)
[7] SWITCH!あの子のハートを打ち砕け! 3[ユスケ](2009/03/02 01:02)
[8] SWITCH!あの子のハートを打ち砕け! 4[ユスケ](2009/03/06 19:56)
[9] SWITCH!あの子のハートを打ち砕け! 5[ユスケ](2009/04/17 03:36)
[10] ハハキタク、スグカエレ 1[ユスケ](2009/04/18 02:22)
[11] ハハキタク、スグカエレ 2[ユスケ](2009/04/20 19:10)
[12] ハハキタク、スグカエレ 3[ユスケ](2009/07/05 23:09)
[13] ハハキタク、スグカエレ 4[ユスケ](2009/08/29 13:53)
[14] ハハキタク、スグカエレ 5[ユスケ](2009/08/28 19:09)
[15] 人の創りしうんたらかんたら 1[ユスケ](2009/09/03 18:30)
[16] 人の創りしうんたらかんたら 2[ユスケ](2009/11/08 04:53)
[17] 人の創りしうんたらかんたら 3[ユスケ](2010/02/11 03:32)
[18] 人の創りしうんたらかんたら 4[ユスケ](2010/03/02 22:05)
[19] 人の創りしうんたらかんたら 5[ユスケ](2010/12/20 15:58)
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[5245] 人の創りしうんたらかんたら 4
Name: ユスケ◆6e34495b ID:41e4cd5d 前を表示する / 次を表示する
Date: 2010/03/02 22:05
SIDE-レイ

最近いつも春日博士と一緒にいる。

それというのも、私のチルドレンとしての管理担当者が赤木博士から春日博士に変わったからだ。

今まで住んでいた部屋も引き払い、NERV内で春日博士と一緒に暮らしている。

最初は自分のオリジナルといっても過言ではない人間という事もあり、拒絶に近い態度をとっていたのだが、最近はそうでもない。

やはり雰囲気が碇君と似ているせいだろうか、話しやすいというのもあるし、むしろ放っておいてもあちらから話しかけてくるのである。

そういう所は碇君と同じだ。

そんな訳で、最近は春日博士と一緒にいる事が多い。

少し前まで学校とNERVではほぼ碇君と一緒にいたのだが、現在強制休養をとらされている碇君とは最近話してすらいない。

となると、当然の事ながら食事もNERVの食堂の物ばかりになってくるわけである。



…誰にも言っていないのだが。



碇君の作ったご飯が食べたい。



そんな事を思いながら今日も実験が終わり、春日博士と食堂で共に食事をとる。

いつも通り山菜定食を頼み、春日博士は日替わりランチを頼んで二人でテーブルについて食事を始める。

何でいつも山菜定食を頼むのかと言うと、料理名は知らないが、お芋を煮たのが入ってるのがこれだけだからだ。

お芋は美味しい。

特に煮たのは美味しい。

多分使徒が日本のお芋を全滅させる為にやって来る生き物だったら、即シンクロも出来てしまうだろう、その位美味しい。

日本のお芋は私が守る。

他に理由があるとすれば山菜定食にはお肉が入っていないからだ。

碇君にはお肉も食べるように言われているけど、元々苦手だったものである。

何というか、血の匂いがして嫌なのだ。

碇君にそれを言ったら、次の日作ってきてくれたお弁当にはお肉が入っていて、とても美味しかった。

何とか食べられるようになったけど、それはやはり碇君の料理だからだ。

食堂のお肉は依然として血の匂いがして嫌いである。

量の少ないお芋を煮たやつを大事に大事にちびちびと食べながら食事を進めていたら、春日博士が話しかけてきた。

「レイちゃんって、朝ご飯はどうしてるの?」

朝ご飯…

食べた記憶がない。

むしろ生まれてこの方食べた事がない。

前に碇君に教えてもらうまで、人間は朝昼晩の一日三食サイクルで食事をとる事を知らなかった位だ。

ゆっくりと首を横に振ると、春日博士は何故か釣られて一緒に首を振りながら答える。

「食べないの?」

「はい」

多分春日博士も碇君と同じタイプなんだろう。

ゲームすると体が動くタイプ。

そんな事を考えていたら、春日博士は困ったような顔でこう言った。

「だめよ~ちょっとでいいから口に入れなきゃ~」

そんな事を言われても、今更朝からご飯を食べるだなんて胃が受け付けるだろうか…

「昼ご飯は?」

「碇くんが…」

「シンちゃん?」

「お弁当作ってきてくれてたので」

昼ご飯も以前はあまり食べてはいなかった。

食事と言えるような物をとっていたのは晩御飯だけだったし、それ以外は錠剤や軽いレーションで済ませていたのである。

今では昼晩と食事をとるようになったが、完全に碇君の影響である。

と言うより、碇君がお昼にお弁当を作ってきてくれるのでそれ以外食べる気がしない。

「へえ~美味しいの?」

「はい」

そう言えば春日博士は碇君の作った料理を食べた事がないんだったか。

人生を損してる。

「煮物」

「ん?」

「美味しいです、お芋とか」

お芋は神様です。

碇君の作る料理はこれが美味しいあれが美味しいと、そんな話をしていたら春日博士がパッと閃いて言った。

「あ、山菜定食しか頼まないのって、レイちゃん野菜好きなのね~」

野菜…お芋は好きだけど。

「多分…好きです」

「多分?」

「あまり色々食べたことが無いので」

碇君の料理を食べるのもお昼のお弁当だけなので、お弁当の中に入れるものとなるとそこまで豊富にバリエーションがある訳ではない。

碇君はもっと色々と食べさせてあげると言っていたが、私にはよく分からないけど早起きして作るとなるとどうしても色々は無理らしい。

なので、一時期どうやったら赤木博士の家で夕ご飯を食べる事が出来るか考えていた事がある。

と言うより、今も考えている。

「じゃあ他のも注文してみたら良いのに」

「碇君がよく頼むんです、よく分からないから、真似して」

最初に一緒に食堂に来た時、私は元々よく分からなくてAランチというのを頼んでいたのだけど、碇君が「山菜定食がレイたん一番好きだと思うよ!」と言うので頼み、それからずっとそのままと言うだけである。

肉が入っていないメニューとなるとAランチか山菜定食位しかなく、碇君曰くここの魚料理は酷いらしいので、これしか頼む気になれないのだ。

「なるほど~」

春日博士もそう言って納得したのか、再び食事を始める。

しかし、暫くしてふと何かに気付いたような顔で口を開いた。

「…あれ?」

頬をぽりぽりと掻いて考え込んでいる。

どうしたんだろう。

やがて春日博士は首を傾げて聞いてきた。

「今もシンちゃんのお弁当なの?」

「いえ」

碇君が休養中なのにお弁当を持ってきてもらえる筈がない。

「だよね、休養中なのにおかしいな~って…えっと…」

分かってるのに何で聞いてきたんだろうか。

不思議に思っていると、春日博士は小声で「まさかね…」と呟き、引き攣った顔でまた聞いてくる。

「じゃあ…何食べてるの?」

「特には」

更に春日博士の顔が引き攣る。

「それってつまり…食べてないって事?お昼ご飯」

「はい」

学校で碇君のお弁当以外の物を食べるとなると、当然売店のパンだとかおにぎりだとかになる。

碇君が休養に入った初日、何となく食べてみたのだが、酷いものだった…

何だろう、変な薬品のような味が微かにして、まるでレーションを食べているような気がしたのだ。

それからというもの、全く手をつけていない。

そういえば一度、名前は忘れたけどクラスの委員長が私にお昼を食べないのか聞いてきた事がある。

正直その頃碇君のお弁当を無性に食べたくてイライラしていたので無言で首を振っておいたのだが、やたらと心配そうな顔でチラチラとこちらを見てくるので、何だか悪い事をしたかもしれない。

「あ、宗教的な問題?らまだーんとか」

「いえ、特に宗教には…断食とかもありません」

一体どうしたんだろう…

「えっと…えっと…」

そう言いながら何かを必死に考えている春日博士の目に何故か涙が浮かんできた時、春日博士は突然叫んだ。

「ばかー!」

怒られた。

何でだろう…













エヴァ、乗ってみました

第四話 人の創りしうんたらかんたら その4













SIDE-シンジ



ヒャッハァー!学校だぁー!



別に頭がおかしくなった訳じゃない。

何でこんなにテンションが高いのかと言うと!

強制休養解けました!

まさか僕が学校に行くのを楽しみにする日が来るなんて…

世も末だぜ…

そんな事を考えていたら、通学路の途中でレイたんと鉢合わせた。

聞くと母さんから今日から僕が登校すると聞いてここでずっと待っていたらしい。

あまりのときメモ的な展開に、ついに僕の春ハジマタ!とか思ったりしたけど、僕が今日は学校が午前中しかないのでご飯はNERV食堂で食べるという話をすると、まるで世界そのものに絶望したかのように地面に崩れ落ちていた。

ごめん…今度お弁当作ってきてあげるから…

そんなこんなで登校していると、レイたんも僕のテンションが異常に高い事に気付いたのかこう言ってきた。

「今日、元気いいのね」

「久しぶりに学校行けるって思ったらテンション上がり切っちゃって!別に頭はおかしくなってないよ!」

「うん、頭はいつもと変わらない」



…あれ?



登校前に精神的ダメージを食らうというアクシデントがあった訳だけど、気にしない!

そうこうしている内に学校につき、クラスへと入ると真っ先にジャージの人が声を掛けてきた。

「おー!碇!綾波が怪我したゆうとったけど、もう出てきてええんか?」

「もう絶好調だよ!今ならオープニングでムドー倒せるよ!」

「頭の方は相変わらずやな」

ジャージ君のその一言に、クラスのみんなはうんうんと頷きながら。

「いやーよかったよかった、相変わらずで」

「相変わらずでよかった」

「よくはない気もするけどよかった」

と、それぞれ納得していた。

…えっと。

明日から不登校になるかもしれない。



まあ、洞木さん曰く、今日のレイたんは楽しそうだったらしいからいいや。














「ど、どうかな!?」

夕方、NERV内の食堂で食事をとる僕とレイたん、それにリツコさんにマヤさんの姿があった。

食堂でといっても僕が食べているのは定食とかじゃない。

マヤさんのお弁当である。

これだけ聞くと僕に春が来たように聞こえるかもしれないけど、全然そんな事はない。

マヤさんが頑張って作ってきたお弁当の味見をしているだけだ。

目ぼしいのを何個か食べて感想を言う。

「うーん、率直に言うと味薄過ぎ」

「だよねえ…」

マヤさんが苦笑いでそう返す、何でかと言えば毎度毎度マヤさんの料理は味が薄いからだ。

色々とアドバイスしていると、横に座って隙を窺っていたレイたんが徐に口を開く。

「このにものをつくったのはだれだー」

「は、はい!私です!」

レイたんが一度言ってみたかっただけの台詞に、律義に反応するマヤさん。

何となくだけど、一生弄られたり、巻き込まれたりしながら生きていくんだろうな…ってそんな事を見ていて思った。

その後も色々と下らない話や訓練の話、これから先どんな使徒が来るのか、誰がカイザーソセなのかなんて事を話していたら、リツコさんがふと思い出したように口を開いた。

「そう言えばマヤ、明後日休みよね?」

「え?そうですけど、どうしたんです?」

何の話だろうと首をかしげながら聞き返すマヤさん。

社会人でその動作が似合うだと!?

24歳でこのスペック…NERVのオペレーターは化け物か…

そんな感じでマヤさんのスペックに脅威を感じていると、リツコさんは小声で「…いけるっ!」と呟いてこう言った。

「暇でしょ、シンジ君とレイに付き合ってくれないかしら?」

「えぇー!」

明らかに嫌そうな声で叫ぶマヤさん。

「そんなに嫌がらなくてもいいじゃん!」

「だってその日は溜まってる本を…」

そういえばマヤさんも物凄い休み少ないんだっけね…

まあリツコさんに至っては丸一日休日なんて日は月一回あるかどうかだし、やっぱり科学者ってのは忙しいんだろうね。

他人事でサーセン、フヒヒ。

とりあえずぼそぼそと言い訳しているマヤさんに、お説教をしておく。

「漫画ばっかり読んでると馬鹿になるよ!」

「何で漫画って分かっ…あ」

マヤさんが反射的に返したその言葉で、周りが若干微妙な空気になる。

「ホントに漫画なんだ…」

リツコさんは盛大に溜息をついているし、レイたんは生温かい目で僕とマヤさんを交互に見比べている。

話が聞こえていた他の職員に至ってはあからさまにヒソヒソと何かを話し始めた。

残念だったねマヤさん…

今のNERV内において!漫画を読む人間の地位はここまで低いのさ…

まるで異常者のような扱いを受ける、全く…誰の所為なんだか…

漫画を読んでいる事をカミングアウトした本人は、今ではテーブルの上にうつ伏せになってさめざめと泣いていた。

こうやっていじけてしまうと正直相手にするのがしんどい人なので、僕とレイたんは無言でリツコさんをじーっと見つめた。

やがて、視線に気付いたリツコさんがこれ以上ない位面倒臭そうに声をかける。

「マヤ、貴女ね…この前シンジ君に漫画ばっかりじゃなくて文庫をって言ってたわよね」

「だって~!」

あ、ダメだ、リツコさん別にフォローするつもりないや。

むしろ叩くつもりだ。

僕はリツコさんが二の句を継ぐ前に、とっさに口を開く。

「マヤさんも僕の事言えないんじゃん!」

リツコさんに撃沈される前に僕の方でどうにかしておこうというこのフォロー。

「ち、違うわよ!私は読むだけだもの!シンジ君は根っこのところまで浸食されてるでしょ」

なんか酷い事言ってんぞこのアマ。

頬を引き攣らせながらも、レイたんが横でどうどうと僕を諌めるので、極めて冷静にマヤさんに質問する。

「どんなの読んでるの?」

この質問に、マヤさんは頬を真っ赤に染めると完全に俯いてしまった。

「えっと…色々…」

「例えば?」

マヤさんが何読んでるかなんて全く想像つかない。

「うーん…」

凄く恥ずかしそうに考え込んでしまっている。

…まさかBLじゃないよな。

しまった、あり得そうで困る。

もしここでマヤさんがBL系の本を読んでいた場合、レイたんが後に「BLって何?」という質問をしてくる事は最早必然。

僕はどんな漫画でも大好きだが…BLは無理だ。

あの日…上機嫌でゲットしたレアものの漫画のZIPファイルの中身が、実はくそみそな内容の漫画で、何も知らずに読んでしまった僕は暫く立ち直れなかったのだ。

うん、仕方ないね。

とりあえず漫画の種類の話から、具体的に何かに質問を変える。

これならレイたんが気にしてもいくらでも誤魔化せるだろう。

「一番最近読んだ漫画は?」

ちなみに僕が休養明け一発目にレイたんに貸した漫画はとある少女漫画だ。

僕は別に現実でそんな夢のような展開あり得ないんだから、少女漫画位は別に大人の女の人でも読んでいていいんじゃないかと思っているのだ。

そんな事を考えていたら、マヤさんは恥ずかしそうに顔を赤らめてこう言った。

「む…むこうぶち」

「…御無礼」

まさかのガチである。

その後も色々と話したけれど、分かったのはマヤさんはベルセルクの初期の方が好きだという事ぐらいだった。

知らなきゃよかった…

数日後レイたんが「むこうぶちって何?」と聞いてくる事になるんだけど、その時は丸一日教えていいものか悩んだ。

まあそんな感じでマヤさんも弄り終わって、リツコさんが時計を気にしながらマヤさんに言う。

「じゃあ…マヤ、お願いね」

あ、そういや元はそんな話だったっけ。

マヤさんは仕方ないとばかりに、諦めた表情で頷いた。

「いいですよ~あ、ところで何すればいいんです?」

「シンジ君の三者面談よ」

何でもないようにさらっと告げるリツコさんはさすがである。

数日前、三者面談がある事を告げると僕やレイたん以外の子供がわらわら居るような場所に行くのは必要な限り嫌だと、半分酔っ払いながら駄々をこね続けた人間には見えない。

どうやらリツコさんは子供、しかも五月蠅いのがお嫌いなようだ。

あれ?このSSのシンジ十分五月蠅くね?そう思った貴方は夜道に気をつけた方がいい…

何だかよく分からない事を呟いてしまった…話を元に戻そう。

マヤさんは三者面談ですかーと納得して、話が終わろうとする。

「なるほど~分かり…まし…」

が、終わる訳がなかった。

マヤさんが途中でビシッと固まり、リツコさんを見つめ、確かめるようにオウム返しに聞き返した。

「さんしゃめんだん?」

「うん」

何故か僕が頼んだメロンソーダを飲みながら頷くリツコさん。

どうでもいいけど、うんって…もう完全に人事になっている。

そんなに行きたくなかったのか…

暫く考えていたようだったが、数分後やっと意味を理解したマヤさんは席を立ち上がり叫んだ。

「って、ええぇぇぇええぇぇえぇぇぇえぇぇええぇえ!な、何で私が!?春日博士とか!先輩とか!司令とか!」

「司令は当然無理、エリさんは論外、私は明日時田重工のアレがあるでしょ、明後日はそれの書類整理で手一杯」

必死になって回避しようとするマヤさんだが、残念ながらその日がフリーなNERVメンバーで僕とレイたんに一番近い人間となるとマヤさんになってしまうのだ。

というより僕とレイたんどちらとも喋れる人類という時点で10名居ないのだが…

マヤさんは自覚がないようだが、レイたんは当然の事として、比べて話しやすいと認知されている僕でもNERV内でまともに話しかけてくる人間は稀である。

何も考えていないようなのほほんとした笑顔で「シンジく~ん、レイちゃ~ん」と大声で声を掛けるような真似ははっきり言ってマヤさんにしか出来ないだろう。

前にレイたんがこう聞いてきた事がある。

「もしかして…伊吹二尉は碇君の親戚なの?」

未だにどういう意味の質問だったのか全く分からないのだが、とりあえずその時は血縁関係は全くない事を説明しておいた。

まあそんな事よりもだ。

今、聞き捨てならない単語を耳にしたような気がする。

今、リツコさん、時田重工って言わなかったか?

「そんなぁ…どんな顔していけば…」

「姉代わりとでも言っとけばいいでしょ」

マヤさんはまた半泣きになってぶつぶつ言っているが、それに答えるリツコさんは本当にどうでもよさそうだ。

そんなリツコさんを見て、尋ねる。

「何なんです?時田重工の…アレって」

その質問をすると、リツコさんは数秒だけしまったといった感じの表情を浮かべていたが、やがて何か閃いたのか…

ニヤッと笑みを浮かべてこう言った。

「シンジ君…ロボット好きよね?」




















その日の夜の事である。

僕がそろそろ寝ようかと思っていると、珍しい事に僕の携帯が鳴っている事に気付いた。

誰からかと思って見てみると、なんとレイたんからである。

実は、僕の電話の履歴ってリツコさん・母さん・レイたんがその大半を占めるんだけど、レイたんから掛って来るというのは中々珍しい事なのである。

基本的にレイたんからかかって来る時は前もって何時に電話するという事を告げられる。

実は大分前から、それって携帯の意味ないよね…と思っている事は内緒だ。

とりあえず電話をとってレイたんに声を掛ける。

「レイたん?どしたの?」

そう言ってみたものの、返事がない。

やだ…これっていたずら電話かしら…

「レイた~ん?」

ちょっと心配になって呼び掛けると、今度は返事が返ってきた。

『うん』

うんと言われても困る訳だが…

「どうしたの?」

とりあえずレイたんからこんな感じで電話があるのは珍しいので、聞いてみると素っ頓狂な返事が返ってきた。

『どうもしない』

…え?

電話しておきながら…どうもしない?

何だか混乱してきた。

「え?何これ、新手の嫌がらせ…?」

『そういう訳じゃないけど』

そう言うレイたんも何故か困惑気味である。

まあ別に用がないと電話するなって訳じゃないけど、レイたんがまさか特に用も無いのに電話してくるとは思わなかった。

「えっと、別に特別に用があるってわけじゃないんだよね?」

『ええ』

「…暇だった?」

『暇?』

「何かしてた事とか、する事とかあった?」

まあ聞いといてなんだけど、レイたんが家で何かやる事があるとは絶対に思えないねっ!

当然のごとくこんな返事が返ってくる。

『特には』

「それそれ、それが暇って事」

『そう…私、暇なのね』

「てかレイたんって基本暇そうだよね」

『よく分からないけど碇君だけには言われたくない、絶対に、言われたくない、大事な事だから二回言いました』

「あ、はい…」

…どう言う事だろう。

何だかショックだったので、話題を変える事にした。

「そう言えば、レイたん明日起動実験でそ」

『ええ』

何かレイたんって自分の話とか殆どしないから知らなかったんだけど、長々と延期になっていた零号機の起動実験、明日行われるらしい。

明日はリツコさんが居ないから、母さん主導で行われるって聞いて大丈夫なんだろうかと不安になったけど、話によるとエヴァって母さんの時代からシステム的には大きな変化がないらしく、そう言った意味で言うと母さんはむしろリツコさんよりもエヴァに詳しいのだとか。

うん、よく分からん。

とりあえず零号機がシンクロに成功すれば、戦闘の際出撃できるエヴァが二機に増えるって訳だ。

「じゃあ明後日から一緒に出撃できるね!」

単純に嬉しくてそう言うと、レイたんは珍しく沈んだ口調でこう返した。

『…成功すればだけど』

ああ、そういえば今まで10回以上失敗してるんだっけ。

そりゃ成功するとは思える筈ないか。

まあでも、僕はこう思う。

「え、するでしょ」

『…何で断定するの』

だってレイたんが一人でエヴァを動かそうとしていた時とは違う。

今じゃ中の人が居る事が分かってるんだから、そっちとコンタクトをとれば簡単だと思うんだよね。

「中の人に動かすの手伝ってもらえばいいじゃん」

『中の人なんていない』

「えー絶対レイたんのにもいるって!じゃないとロボットとシンクロ何て出来る筈ないじゃん」

て言うか中の人が居ないと、意識が存在しないものとシンクロとか訳わかんないよね。

零号機は過去に暴走した経歴があるらしい。

それはつまりシンクロに失敗しているという事だが、逆に言うとやり方を間違えただけでシンクロは可能だということの証明でもある。

僕の理論では中の人が居ないエヴァは動かないのだから、つまり零号機の中にも中の人が居る、と。

そういえば零号機が暴走した時の事故が原因で、父さんの両手の火傷があるらしいんだけど、今の技術なら傷跡まで完治できるんだからさっさと直せばいいのにね。

それをしないのはやはり、トップとしての貫録をつける為何じゃないかと密かに思っていたりする。

そんな事を考えていたら、暫く無言で何かを考えていたレイたんは徐に僕に尋ねてきた。

『…どうやるの?』

「何て言うかねーシンクロしようとするんじゃなくて、ぼーっと探してたらあからさまにおかしい奴居るからさ!そいつに話しかけてみる感じ!零号機を探せ!みたいな!」

『よく分からない』

うん、実は僕もよく分からない!

「レイたんなら出来るよ!」

『何でそう思うの?』

「だってレイたんヒーローの素質全開だもん!絶対出来るよ!今まではシンクロ出来ないー!って、自分の中でいっぱいいっぱいだったからダメだったんだよ」

根拠何てないけど!

「落ち着いて、エヴァをよく見て、感じて」

完全に何となくなんだけど!

「大抵の漫画じゃ、レイたんみたいな子が一番格好いい事したりするんだからさ」

レイたんからは仄かに主人公臭がするのだ…

「頑張れ!頑張れ!出来る!出来る!絶対出来る!頑張れ!もっとやれるって!やれる!気持ちの問題だ!頑張れ!頑張れ!そこだ!そこで諦めるな!絶対に頑張れ!積極的にポジティブに頑張れ!頑張れ!使徒だって頑張って
るんだから!」

僕の熱過ぎる応援に、レイたんは暫しの沈黙の後、ぼそりと答えた。

『じゃあ頑張る』

その後レイたんが遠回しに起動実験の前に僕のお弁当が食べたいみたいな事を言ってきたので、明日は保安の人にレイたんに届くようにお弁当を渡しておこうと思った。
















翌日。

時田重工の新開発二足歩行ロボット、ジェットアローンの完成披露記念会へと向かう車内。

運転を務めるのは飯沼さんと佐竹君。

つまり、サードチルドレンである僕の護衛の人だ。

要するに、そこに僕も居るという事である。

車内で顔を合わせてからずーっと僕が見えないを振りしていたミサトさんだったが、とうとう溜息をつくとぼそっと口を開いた。

「えっと…一つ聞いていい?」

何だろうと僕とリツコさんはミサトさんの顔を見る。

「なになに?」

「何よ?」

リツコさんは車内でもノートPC片手に仕事をしており、完全に邪魔しないでよムード丸出しである。

そんな事にも怯まず、ミサトさんはビッと僕を指さすと自分の胃の辺りを押さえながら呟いた。

「…なんでシンジ君がいるのかしら」

「僕も行くからだよ?」

他に居る理由ないじゃん。

「…何しに?」

「出席しに、むしろ見学しに」

他に行く理由ないじゃん。

「…何で?」

「だってロボットだよ!?ロボット!もうモゲラかメカゴジラかってワクワクしてるんだよね!」

ロボットを見ずにはいられ無いじゃん!

僕の熱い叫びを聞いて、ミサトさんはリツコさんの胸倉を掴むと半分涙を流しながら言った。

「何で一番のトラブルメーカーを連れて来るのよ!」

「んー、だって言ったら行くって聞かないし…」

昨日色んなものと引き換えに同行を許可してもらったのさ…

等価交換の法則なんて現実世界では通用しない事を証明するような取引だった。

さめざめと泣くミサトさんの肩にそっと手を置き、呟く。

「ミサトさん」

「何よ」

振り向いたミサトさんは完全に目が据わっていた。

そんなミサトさんに僕は全力全開のサムズアップをきめると同時にこう告げる。



「まかせとけって」










数秒の硬直の後、ミサトさんは泣きながら叫んだ。



「何をよ!」



さあ…見せてもらおうか、時田重工の新型の性能とやらを!













あとがき

今回の第四話はつなぎの話なので書いていてものすごくつまらないです。

使徒も出てこないし、ネタも載せづらいし。

次で第四話も終わりなのでガンバルガン。

どうでもいい話なんですが、沖海2のラブ☆ダッシュのラウンドのアニメがエロゲーのOPにしか見えなくてテンション上がってきた。

時代はワリンちゃんですね。

マリオ→ワリオ

マリン→ワリン

ルイージ→ワルイージ

と来たのだから次は

サム→????

のハズです。

みんなで名前を考えて編集部におくr(ry

*3/2 誤字?ただのカカシですな。


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