ザーーー……。
止む気配のない雨の中、一人の男は道の真ん中で倒れた。
「さすがに…もう動けないな」
すでに痛みすら感じない中、虚ろな目で己の身体から流れ出る血を見ていた。
「別に俺が死んでも誰も気にしないし…なにより疲れた」
死に際に思い出すのは…
この子は呪われているのよ!!
こいつが居るだけでで我が家は穢れる!!とっとと出て行け!!
殺せ!!こんな者、存在すること自体が許されざることだ!!
忌み子が、近寄るんじゃない!
死ね!消えろ!!お前なんか生きてることが間違いなんだよ!!
…今までの人生…
「は、よかったな。ようやく…俺も死ねるぜ」
男は仰向けになりながら呟く…
「たく…よ、どうせ見るんなら…もう少しマシなのを見たかったぜ」
雨と共に流れていく血とは別に男の目から涙が一筋流れた。
「くそ…誰にも望まれないかったなら……何のために生まれてきたんだよ…」
気を失う直前に目に映ったのは止む気配のない雨と己の心を移すような厚く暗い雲だった……