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No.5057の一覧
[0] ひとがた。[はいはいテストテスト](2016/08/11 23:25)
[1] 1.はじまり[high2test2](2011/12/18 21:42)
[2] 2.目覚め[high2test2](2011/12/18 21:42)
[3] 2a.[high2test2](2011/12/18 21:42)
[4] 3.蝕むもの[high2test2](2011/12/18 21:43)
[5] 4.その視線の先には[high2test2](2011/12/18 21:49)
[6] 4a.代替物[high2test2](2011/12/18 21:49)
[7] 5.魔法[high2test2](2011/12/18 21:49)
[8] 6.予備素体[high2test2](2011/12/18 21:49)
[24] 6a.意地[墨心](2011/11/20 14:45)
[25] 7.始まりの少し前[墨心](2011/11/27 02:23)
[26] 7a.プロローグの終わり[墨心](2011/11/27 02:26)
[27] 第1回「来訪者」[墨心](2011/12/31 20:33)
[28] 第2回[墨心](2011/12/17 14:16)
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[5057] 6a.意地
Name: 墨心◆d8e2e823 ID:ff49da9c 前を表示する / 次を表示する
Date: 2011/11/20 14:45
「私とフェイトにとってのアイデンティティ。
貴女の娘である事。
イグズィスタンスは奪わせない。決して。絶対に」

「何を言いたいのかしら。オルタナ」

「母親の自殺は認めない。ということかしら。
プレシア母さん。今スクライアが一族が発掘している話題のロストロギアジュエルシードを使って
アルハザードに行こうなんて、野暮な事を考えててるなら捨てる事ね」

「…………!」

「何それ、顔芸?」

「それ以上口を開くのはやめなさい!
アリシアの顔で!」

「代替品が以前と同じように動くと思ったら大間違い。
その子はその子。私は私。アリシアと代替品は、違う」

「黙りなさい!」

「いいえ。……ねえ母さん。悪いけど、貴女の計画は頓挫する。
どうやってもジュエルシードは集まらない」

「どういうことかしら」

「まず初めに、フェイトを貴方の手駒にはさせない。
私がさせない。私やフェイト以外の代わりを作ろうとも」

「代替品が、随分と偉くなったわね」

「母親にお願いしてるだけよ?」

「よく言えるわね」

「だって私、お母さんの娘だもん」

「………………」

「一つ。貴女は手駒がない。
一つ。アルハザードなんて夢物語は存在しない……………」

「あるわ!」

「それは希望的観測に過ぎない。
金塊の有無なんて本当は誰にも解らない。
最初に言ったけど、私はお母さんに賭けはさせないの」

「悪魔ね」

「無神論者よ。
一つ。貴女には時間がない……尖兵たるフェイトが手駒として使えない以上
時間がかかる。これから代わりを作るのも無理。母さん自身が動く事も出来ない。
病に全身が蝕まれるのが先」

「貴女がそうさせるのよ」

「自殺は認めないわ。愛してる母親に無残な死は遂げさせたくないもの」

「違うわ! 私は……!」

「同じよ。私もフェイトも貴女を母として見ているのに……
アルハザードに行くのにも虚数空間に跳び込むなんて自殺行為そのものじゃない」

「違う……違う!」

根拠を示さず否定する様は哀れでしかない。

「一つ。……これが最後。
解ってる筈よ……そこに眠るアリシアの体は、もう良い状態とは言えない
脳も、仮にアルハザードにあったとしても。手遅れだわ。
人間は時間を戻せない」

「…………………」

「私もフェイトも。アリシアの真似をしていればそこにいる子になれたの?
もどきがなれたっていうの? 違うわ母さん。違うでしょう?
貴女が求めていたのは、アリシアでも、私でも、フェイトでもない。
ただ今を忘れていたいだけ……」

「…………ッ!」

図星か屈辱か。プレシアは手にしているデバイスを強く握りしめる。
反射的に魔法が構築されるとオルタナに影響が及び、体はよろめき顔が苦痛に歪むのを堪え、苦悶の表情を作らないように努めるのをプレシアは目の前で見つめる。
体はよろめき顔が苦痛に歪むのを堪え、苦悶の表情を作らないように努めるのをプレシアは目の前で見つめる。

「母……さん……」

抵抗の余地も無く、オルタナの両膝が床に突きそのままうつ伏せに倒れる。
そのまま、強い痙攣を何度か繰り返しながら沈黙してしまう。
無音が周囲に轟く。






誰かがいるのを、オルタナは見た。
同じ金髪で同じ顔。フェイトやアリシアを回想したが相貌が微妙に違っている。
相手を見ていると優しげな笑みは包まれるようだったが、反射的に理解する。オルタナ・テスタロッサの中にある
「俺」――かつての男性人格にあたる部分が懐かしさに似た感覚を見出したのだ。相手の笑い方は男性特有だった。
女であるのに包み込むように深い男だった。だが、名も知らぬ金髪が一言だけこう言った。

「同じ轍は踏まないようにね」

光が逆流する。世界は暗転し終わりを迎える。何もかもが掻き消えた。
意識が再点灯するとプレシアの顔が飛び込んできた。安堵の吐息をつかれる。

「無事のようね」

私は長い眠りから目覚めた人と同じように数秒無言だった。
頭の回転が追いつかず、現状を理解できない。ただ、横になったままプレシアを見続ける。

「…………母さん?」

「いいわ、今は解らなくていいのよオルタナ。
無理に動いては駄目。そのままでいなさい」

夢見心地の中プレシアの手で撫でられる。母親特有の優しさが伝わってきて戸惑う他になかった。
あの母が私を認めてくれている。喜ばしい事だけど何故とは聞けなかったしよく解らなかった。
尋ねるな、と言われた以上聞きはしないが、眠気に負けた。

再び瞼を閉ざし私は眠りの中に落ちていく。
母さんの優しい手に撫でられながら。

「……?」

その中で涙を流した。
私の母が、実の母が。
こうやって撫でてくれた記憶が蘇った。

「母さん……」

俺は私か私は俺か。
人格と記憶は溶け合っては消えていく。










翌日。目を覚ますと自室のベッドの上にいた。


「…………あれ?」

why?


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