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No.480の一覧
[0] チンパンジー以下の恋[子薄](2006/04/16 17:20)
[1] チンパンジー以下の恋 第一話[子薄](2006/04/17 22:52)
[2] Re:チンパンジー以下の恋[子薄](2006/04/18 00:45)
[3] チンパンジー以下の恋 第三話[子薄](2006/04/19 00:22)
[4] チンパンジー以下の恋 第四話[子薄](2006/04/22 17:42)
[5] Re:チンパンジー以下の恋 第五話[子薄](2006/04/30 22:35)
[6] チンパンジー以下の恋 第六話[子薄](2006/05/22 00:12)
[7] Re:チンパンジー以下の恋 第六話[子薄](2006/06/18 23:47)
[8] チンパンジー以下の恋 第七話[子薄](2006/08/23 01:16)
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[480] チンパンジー以下の恋
Name: 子薄 次を表示する
Date: 2006/04/16 17:20
私立きらめき高校。
ここに、一人の地味な生徒がいる。
おれの名は、
寺見透(テラミトオル)
すべてのパラメーターが平均以下な男
当然何の順位も下から数えた方が早いし、バレンタインは義理チョコ貰ったことすらなし。
休んでいても先生が5時間目まで気付かない。





そんなおれは今、幼馴染の藤崎詩織に恋していたりする。









「おれ、詩織のことが好きなんだ。」




今日、初めて、俺はその事実を人に話した。









「お、お前が藤崎さんのことをぉ!?」
8秒くらいの間をおき、キンキンの大きな声で早乙女好雄は叫んだ。
部屋中に好雄の声が響く。



「え?全然気付いてなかったのか!?」
そう言っておれは友人達を見る、全員呆然としていた。どうやら全く知らなかったらしい。
好雄は叫んだままの口の形だ。
伊集院は目を白黒させている。
進藤達也の手に握られていた牛乳パックからはだらだらと乳白色の汁が流れ出ていた。






昼休み、勝手に入って占拠した理事長室でのおれの告白は、その場にいた全員に衝撃を与えたようである。
仕方ないことかもしれない、おれと詩織は月とすっぽん。
しかも、もう2学期が始まっているのだというのに一度も彼女をデートに誘えていない。
いや、一緒に下校したことはおろか誘ったことすらない。隣の家なのに。






「嘘だろ…。」
呆然とした表情そのまま、牛乳垂れ流しで、達也は呟くように言った。
「本当だって。」
真剣な目をしているつもりだが、それでも信じられないといった顔をされた。
未だ声を発しない伊集院は達也の手を拭いてやっている。




「・・・・・・・・・。」
どう考えても現実逃避している顔だ。
これだったらいっそ嫌味を言われた方が百倍マシだった。



「あーなんていうか・・これは受け入れなければならない事実だ。何か透に言ってやれ、伊集院。」
しばらく待ち、沈痛な面持ちで達也は伊集院に告げた。
「え?ゲンジツ?」
きょとんとした表情と女の子のような声が伊集院の動揺を物語っていた。



し、失礼すぎるだろ・・・いくらなんでも。





「いや・・・まさかお前がなぁ・・。」
顎をさすりながら好雄はおれのほうを見る。
達也も伊集院からおれに視線を移しじっとこちらを見つめた。
ようやくコレが現実だと認めたらしい伊集院もおれを見つめる。



「・・・・・・・・・・・・・・・・。」



そのまま20秒が経過した。



全員俺から目を逸らし、一言。
『…頑張れ。』



「ちょッおい待てよ!そんなにおれ望み無いのか!?」
おれの言葉を三人とも聞かなかったような顔をし、何故か理事長室の掃除を始めている。



「あ・・・俺窓拭こっと、可愛い子は見えるかなーっと?」
「早乙女ーお前そんなことばっかだな、じゃあオレと伊集院は床磨きを。」
「そうね、いつもこの部屋使わせてもらってばっかりじゃ悪いものね。・・・牛乳で汚れちゃったし。」
不自然すぎる、特に女言葉の伊集院。



「お、お前ら思ってることは正直に言えよ!!」
いくらおれでも流石にコレはくるものがある。
いっそ切り捨ててもらった方がマシだ。
俺は覚悟を決めた。



「い、いいのか正直に言って・・。」
「う、あー・・・アドバイス形式だともっと嬉しいがな。」
「オレ結構きついぞ・・。」
「構わない。でもアドバイスでな?」
「本当にいいの?」
「伊集院、お前はまず女言葉を直せ。」









そして一分ぐらい考えた後、大きく息を吸うと三人は立て続けに言った。


「お前勉強できなさすぎ、全部10点以下とかやばすぎどころじゃねえよ、藤崎さんの名前漢字で書けるか?」
「オレ的にお前の運動神経は人間じゃないと思う。人間しかアイツは相手にしないと思うぞ。」
「君には容姿と常識が欠如している、何とかしたまえ。今の君はまるで野生のチンパンジーだ。」


ズバッと言い、三人は一度深呼吸をして、顔を見合わせる。


『チンパンジーに失礼じゃね?』


ざく
好雄と達也の最後のとどめがおれの胸に突き刺さる。


いくらなんでも・・
いくら事実でも・・・
いくらきつくてもいいと言ったとしても・・・・


ひ・ど・す・ぎ・だ・ろ・う!!!!!




「お、お前らなんてもう友達じゃねエエエエエエ!!!」








「おい、待てよ!」
「きつくてもいいって言ったくせに、あの根性なし!」




こうして、俺は牛乳くさい理事長室を飛び出した。




「・・・・・・・・しかし本当に庶民は走るのが遅いな。」
『え、アレ歩いてるんじゃねえの?』




本当に酷い。










しかも、その直後、チャイムが鳴り・・・・・・
俺たちは席が近くなため・・・・・・すぐに顔をあわせることになった。
実に、最悪な展開だ。







「・・・・・。」
おれは黙ってノートを見つめていた。
どうせ授業聞いてもわかんないし。
横とか後ろにはあいつらがいるし。
ラクガキをするにも自分でも見るに耐えない画力なのでそれも出来ない。




はぁ、とため息をつく。




つまらないな、と窓の外に目線をやった瞬間、後ろからヒュンと音がした。
続いて丸まった紙がノートに落ちる。
後ろ・・・ということは達也か伊集院である。




「開けてみろよ。」
顔は前に固定したままで小さく横で好雄が囁く。
釈然としないものがあったが、しつこくされるのも嫌なので渋々紙を開く。
別に寂しかったわけではない。
本当に。







ルーズリーフの切れ端に汚い字で走り書きがしてある、達也の字だ。
必死に文字を解読する。
そこにはこう書いてあった。
「一応俺たちが手伝ってみてやるから期待せずにがんばれ 」


「・・・・・・・・。」








言葉にはますます釈然としなかったものの悪気は無いみたいなので許してやることにする。
まぁ・・・今のおれに対しての言葉としてはコレが最大限の優しさだろう。




おれは前を向き、詩織の少し遠い背中を見つめる。
勉強、運動、容姿も性格も。
何もかもおれより優れた彼女は後姿も美しい。
幼い頃からの想いが胸の中で膨れ上がってくる。




待ってろよ、かならずお前を振り向かせてみせるからな!!


チンパンジー以下でもいい男になれることを証明してやる!!


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