この小説の主人公はオリキャラなため、そう言うのが嫌な方は見ないことをお勧めします。
半分オリジナル設定のため、そう言うのが嫌いな人は見ないことをお勧めします。
感想も送ってくれたら嬉しいです。
プロローグ『裏切りの騎士』
それは懐かしく暖かった日々の記憶……
父や母と過ごした日々の思い出……
彼女との大切な思い出……
「初めましてアシュレイ。私の名前は…」
「アシュレイのお父様って私のお父様の部下なのでしょう?」
「アシュレイ…行くの?…ううん…元気でね…」
「夢か……」
目が覚めるとそこは見慣れた天井だった。
時々、見てしまう夢……
永遠に見ていたい夢……
そんな夢から覚めると目の前には見慣れた天井だ。
「寒いな……」
部屋の中は冷え込んでおり、そのまま寝ていたら凍死してしまうだろう。
仕方なく私はベッドから身を起こし、部屋に備えられた暖炉に向かう。
備えられた薪を暖炉に放り投げいれると火をつける。
ふと窓の外を見てみるとそこに写るのは黒い髪に黒い目と見慣れた顔とその向こうにある一面銀世界。
一見、美しい世界だが、実際は地獄のような環境ともいえる。
厳しい寒気と痩せた大地のせいで農作物は育たず、凍えるような寒さは、防寒具無しでは歩くことも困難である。
これがこの国の現状だ。
この事実を重く受け止め、そのため今日、私はアーリグリフ城の会議に呼ばれている。
会議に呼ばれたのは、アーリグリフが誇る三軍『漆黒』『疾風』『風雷』の団長だけなのだが、我が師であり、義父でもあるウォルター風雷団長に呼ばれてしまった。
その他の議題としては、隣国のシーハーツの侵略についてだ。
隣国シーハーツは、温暖な気候のせいか、農作物が豊富である。
そのため、アーリグリフは、自慢の三軍を用いてシーハーツを飲み込もうとしているのだ。
タカの派のヴォックス疾風団長を始め、シーハーツ侵略に大いに賛成しているが、私は出来ることなら戦いは避けたいと思っている。
しかし、現状はそうも言っていられない。食糧が無ければ、民は死ぬのだから……
「全面戦争ですか……」
何も良い案が出ないまま時間だけは刻一刻と過ぎていき、悩む俺に構うことなく、その時間は部屋の扉のノックとともに来てしまった。
「アシュレイ・ヴァンフォール様、ウォルター伯爵がお呼びです。」
「はい……わかりました」
ウォルター団長の使いの兵士に返事を返すと、私は自前の白銀仕様の鎧を体に纏い、腰に使い古された剣を携え、部屋の扉を開く。
泊まっていた宿のロビーには既にウォルター伯爵が待っており、私は早足でウォルター候の側に行く。
「遅くなりました。団長」
「ふう、構わんよ。…さてそれでは行くとしよう。向こうでは既に待ちくたびれた男もいるかもしれんしな」
私が遅れたことにも気にすることなくウォルター伯爵は、しわだらけの顔を寄せ、寒さに震えている。
この寒さは老体には堪えるようでいつもより厚着をしている。
そんなウォルター伯爵を待たしてしまって悪い気がしたが、特に時間を決めていなかったので言うのはやめておいた。
ウォルター伯爵の後を追い、護衛の兵士二人とともに、目的地であるアーリグリフ城に向かう。
途中、数人の住民を見掛けたが皆やはり痩せ細っていた。
やはり、食糧難の波の影響かと考えていたら、向こうの方で二人の兵が担架に何かを乗せて、こちらに向かっていた。
兵はこちらに気付いたのか敬礼をするが、私の目は担架に乗せたものに釘付けになってしまう。
痩せ細った老人の亡骸だった。
「その方の死因は、餓死ですか?凍死ですか?」
気になった私は仏様の乗った担架を運ぶ一人の兵に聞いた。
「はい……多分、凍死だと思います。昨日はここ一番の寒さでしたから」
「そうですか、仕事中すみません。その方を手厚く葬ってあげてください」
「はい、では。」
兵達は再び亡骸を乗せた担架を握りこの場を立ち去っていた。
それを私が眺めていると
「これがこの国の現状じゃよ……」
とポツリとウォルター伯爵が呟いた。
そうこれがこの国の現状……
もう手段を選ぶ時間は残されていないのかもしれない……
そして…私が生まれ故郷に刃を向ける覚悟を決めるときかもしれない……
そんな考えが頭に浮かび、弾けて消えた。
簡易主人公設定
アシュレイ・ヴァンフォール
(他の作品で登場するアシュレイとは関係ありません)
騎馬部隊『風雷』副団長
シーハーツのシランド出身
超おまけ
実は、このアシュレイが主役のリリカルなのはの小説をチラ裏で書かせて頂いてます。
パラレル的なので、少し感じが違いますが、読んでいただけたら嬉しいです。
感想も頂けたら……