「公く~ん、朝だよ~、朝ごはんできたから起きて~」
ノックもせずにドアを開けて、まだ寝ている公にむかって跳びかかる。
「だ~いぶ♪」
ぼふッ!
「ふぁ~、ふかふか~だよ~」
布団(公)の上を気持ちよさそうにコロコロと転がる少女。
しかし、その下敷きになっている少年は寝苦しそうに寝返りをうとうと、
布団の中でうごめく。
「あっ! 公くんおはようございます、朝ごはんできてるよ」
「ん~、朝ごはん?」
「今日のは、ちょっと自信があるんだよ。
おばさまも美味しそうにできてるって言ってたんだから」
ぐいっと腕をひっぱって公を無理やり起こす。
「詩織の作った朝ごはんか布団かと問われたら…」
「???」
「………」
「???」
布団かな。もぞもぞと布団の中にもぐりこむ。
「ちょ、ちょっと公くん、ひどいよ~。今日のはぜっっったいに美味しいから、
だから起きようね」
ぐいっと腕をひっぱって今度は起こすのではなく、
ベットから引きずり落とそうとする。
「わかった、起きるからやめてくれ」
「えへ~、ご飯さめちゃうから早く支度してね」
着替えを渡して、パタパタと嬉しそうに部屋をでていく。
そんな詩織をみてため息をつく。
なにかと気にかけて、面倒をみようとしてくれるのはいいのだが、
平日だろうが休日だろうが、問答無用で起こされるのはつらい。
後1時間は寝てても平気なはずなのだが……。
まぁ、今日は入学式だから余裕をもって登校しますか。