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No.4709の一覧
[0] ナルト異伝 第1話 [丸与](2015/04/19 01:10)
[1] ナルト異伝 第2話[丸与](2010/01/03 00:05)
[2] ナルト異伝 第3話[丸与](2010/01/03 00:06)
[3] ナルト異伝 第4話[丸与](2010/01/03 00:06)
[4] ナルト異伝 第5話[丸与](2010/01/03 00:06)
[5] ナルト異伝 第6話[丸与](2010/01/03 00:07)
[6] ナルト異伝 第7話[丸与](2010/01/03 00:07)
[7] ナルト異伝 第8話[丸与](2010/01/03 00:07)
[8] ナルト異伝 第9話[丸与](2010/01/03 00:08)
[9] ナルト異伝 第10話[丸与](2010/01/03 00:08)
[10] ナルト異伝 第11話[丸与](2010/01/03 00:08)
[11] ナルト異伝 第12話[丸与](2010/01/03 00:09)
[12] ナルト異伝 第13話[丸与](2010/01/03 00:09)
[13] ナルト異伝 第14話[丸与](2010/01/03 00:10)
[14] ナルト異伝 第15話[丸与](2010/01/03 00:10)
[15] ナルト異伝 第16話[丸与](2010/01/03 00:10)
[16] ナルト異伝 第17話[丸与](2010/01/03 00:11)
[17] ナルト異伝 第18話[丸与](2010/01/03 00:11)
[18] ナルト異伝 第19話[丸与](2010/01/03 00:11)
[19] ナルト異伝 第20話[丸与](2010/01/03 00:12)
[20] ナルト異伝 第21話[丸与](2010/01/03 00:12)
[21] ナルト異伝 第22話[丸与](2010/01/03 00:12)
[22] ナルト異伝 第23話[丸与](2010/01/03 00:13)
[23] ナルト異伝 第24話[丸与](2010/01/03 00:13)
[24] ナルト異伝 第25話[丸与](2010/01/03 00:13)
[26] ナルト異伝 第26話[丸与](2010/01/03 00:14)
[27] ナルト異伝 第27話 (改訂版)[丸与](2010/01/03 00:14)
[28] ナルト異伝 第28話[丸与](2010/03/10 23:54)
[29] ナルト異伝 第29話[丸与](2010/01/03 00:14)
[30] ナルト異伝 第30話  (増記改訂版)[丸与](2010/03/23 01:46)
[31] ナルト異伝 31話[丸与](2010/04/14 23:54)
[32] ナルト異伝 最終話[丸与](2010/04/14 23:58)
[33] ナルト異伝 外伝[丸与](2010/06/19 00:01)
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[4709] ナルト異伝 第29話
Name: 丸与◆90a9f496 ID:984f6b55 前を表示する / 次を表示する
Date: 2010/01/03 00:14
世界の存亡を揺るがす出来事の発端は、唐突であり、静かなものだった。


世界中に点在する国々の中で、然程大きくも無く、また木の葉や砂隠れの様に
忍びの隠れ里も無い鬼の国でそれは起ったのであります。




夜も更けた深夜未明、鬼の国にある祠が、突如襲撃に合いました。
その襲撃を行った者達は、全部で5名であり、その中の1人が
首謀者となっておりました。

その首謀者の名前は、黄泉という男でありました。
彼は、特殊な術を見につけており、それを暗黒医療忍術と言う。
ただ、その詳しい詳細については、全くの謎であり、誰が口伝あるいは、伝えたのか
定かではありません。

しかし、今回の出来事は、彼なしでは成し得なかった事でしょう。




襲撃した5人は、守人数名を惨殺した後、黄泉だけがその祠に入り
奥へ奥へと足を進めた、その祠内部は、予想以上に広くそして長い物でありました。




黄泉は、その最深部と思しき場所まで足を運ぶと、目の前には、円形の術式に囲まれた
祭壇が設けられ、その戸には、幾重にも術式が施され、内からも外からもこじ開けられぬ
仕組みになっておりましたが、この黄泉の前には、その術式も皆無であり、瞬く間に
その祭壇の戸が開かれたのであります。

開かれた瞬間から、最深部には異様な雰囲気が立ち込め、皮膚を針で刺したと感じえるほどの
存在感が溢れ出したのであります。

黄泉は、それを感じ取るが彼の目的がそれであった以上、引くなどと言う事はせず
事も無げに、その戸の内側に居る圧倒的な存在に語りかけたのです。

「魍魎様・・・お迎えに参りました・・・」

黄泉は、架の物の事を魍魎と呼びかけたのである。
その魍魎とは、過去幾度とこの世を破壊し、未曾有の危機に晒してきた
化け物の名である。

魍魎は、暗黒色で巨大な八岐の龍と思しき容貌しており、その力は、体格や体の色が
体現するかの如く、強力で無慈悲でありました。
ただ、祭壇を開かれ、復活したのは、魍魎の魂のみで、それ自体には強力と言える程の力を
持ち合わせてはおらず、そればかりか、このまま時間が経過すれば魂全てが消える事となるのです。

しかし、この時の為に、黄泉と呼ばれた男は、暗黒医療忍術を習得した様である。
黄泉は、魍魎に語りかけた。

「さぁ、魍魎様、そなた様の肉体を復活するまで、我肉体をお使いくださりませ」

そう言った黄泉は、持参した手術用のメスで胸から腹下にかけて、切り開き
その部分の両端を掴み、徐に開け放つが、そこからは赤い血は、噴出せず
暗い闇が存在するのみであった。

これが暗黒医療忍術の真髄なのかも知れない。

眼に見えるは、自らの肉体を開いたが、本当は、自身の魂を或いは、心を開け放ったのであろう。

黄泉の開け放たれた内部は、まるで魍魎の様に、暗黒色をしていたのである。
それを敏感に感じ取り、自身と同じ匂いを感じた魍魎は、祭壇に居座る魂全てを
黄泉の中へと移し入れたのである。

その瞬間からである、黄泉の体を寄り代にした魍魎の力の一部が、黄泉自身に流れ込んだのである。
それと同時に、黄泉は狂気に叫んだのであります。

「ついに!!この時が来た!!出でよ、幽霊軍団達よ!!」

祭壇を取り囲む様にして、夥しい数の石像が、出来上がり、自我が目覚めた様に
瞳を一斉に光らせたのである。
その後、夥しい石像達は、移動を始め、鬼の国の中心部に向うのでありました。
途中、鬼の国警備隊の常駐する城壁に攻入り、瞬く間にそれは陥落したのであります。
ただ、そこで生き残った警備兵が、世界中に点在する里々に火急の知らせを自分達の
思いを伝達鳥に乗せて、飛ばしたのでありました。




その知らせは、世も明けぬうちに各里が知る事となり、早朝から緊迫した空気が支配するのであった。




それは、木の葉でも同じであり、早朝から多くの忍びが、火影の命を受けて、出立していったのである。


一方で、それよりも一時遅れて、残された忍びにも召集がかかった。
今、五代目火影である綱手の前には、白、春野サクラ、そして山中イノが居る。
何故、ここにうちはサスケがいないのかは、後々わかるであろう。

火影は、書類を見て視線を白達に向けた。

「さて、先日鬼の国から救援の知らせが舞い込んで来た」

それを聞いた白は、聞いた。

「救援ですか?確か、鬼の国に隠れ里はなかったと記憶していますが・・・」

それに綱手は、答えた。

「そうだ、この知らせは、鬼の国の警備隊から送られてきた物だ。
そして、襲撃してきた連中は、石像の群れだと言う」

白は、眉を潜めて聞き返した。

「石像・・・ですか・・・」

「ああ・・・その通りだ・・・私も最初は、何かの冗談かと思ったが
その知らせが来た時、偶々、玉藻が居て、その話をしたらとんでもない答えが
帰ってきた」

「玉藻さんの言った、答えって何だったんですか?」

「うん・・・玉藻の話では、魍魎という化け物の仕業らしい・・・」

その言葉に、白も聞き覚えがあった。

「魍魎?魍魎って・・・確か、お伽話に出てくる巨大な八岐の龍の事ですよね」

「そうだ・・・だが、あれは単なる作り話ではなく、実話のようだ」

白は、眼を見開いた。

「そんな!!あのお話に出てくる化け物は、話半分でもとてつもないじゃないですか!!」

「うん・・・玉藻が言うには、既に過去幾度と無く復活を繰り返し世界を壊滅寸前にまで
追い込んでいると言う話だ」

それを聞いた白は、驚きで固まると同時に、サクラとイノも目を見開いて聞いていた。
綱手は、話を続けた。

「話を続ける、玉藻の話では、石像が動くと言う現象も過去にも起きているが、
それは初段階に過ぎず、魍魎の魂のみが復活しただけだという。
しかし、魍魎の魂を復活させた首謀者は、自身の肉体に魍魎を宿らせ
力を得て、石像の群れと共に、その魂の祭壇から、鬼の国を挟み、沼の国の一番奥に
封印されている肉体を目指すと言う、その際、鬼の国に居る巫女を殺しに来る可能性があるらしい」

話を聞いたサクラが、質問をした。

「巫女を殺す、それは何故ですか?師匠?」

師匠とは、綱手の事であり、以前ナルトに宣言していた通り、サクラは
綱手に弟子入りして医療忍術を教わり身に着けていたのである。

その綱手は、答えた。

「うん・・・その巫女には、不思議な力があり、世界で唯一魍魎を封印出来る力を持つからだ」

それを聞いて、なるほどと頷く3人。
しかし、ここで一つ疑問が、浮かび白が聞いた。

「綱手様、過去の復活の際にもやはり、その巫女が封印して、各里が防衛に回ったのでしょうか?」

「うん・・・だが、それは、以前の襲撃の時のみだ。それ以前の襲撃は、今から300年ほど前の話。
その当時、世界にまだ忍びは居なかったし、巫女などもいなかった」

「では、いったい誰が魍魎を封印、或いは、撃退したのですか?」

「これも玉藻の話だが、世界中に点在する尾獣の一族が魍魎の力を抑え、封印したと・・・。
つまり、この話が正しければ、尾獣とは、本来今の様に戦いの道具などではなく、
世界の危機に対して、それを取り除いたり、魍魎の様に人知を超えた存在を打破するべく
存在していた事になる・・・だが、その存在理由も、我々忍びの祖先達が、歪めてしまったのだろう。
悲しい事だがな・・・」

あまりの話に、声を失う3人。
だが、サクラが綱手に言った。

「じゃ!!ナルト・・・じゃなかった・・・九尾一族も嘗ては、この世界を護る本当の神様だったんですか?」

それに綱手は、頷いて答えた。

「ああ・・・だから、こそ、尾獣は、各国の守り人して世界に散らばっていたのだ。
そして、彼らは、人間にもそれに対抗出来る様、忍術あるいは血系限界、更には、鬼の国の巫女の様に
魍魎などを封印する特殊な力を分け与えたのだろう。だが、皮肉にもその事が、人間に心の余裕を生み出し
そこから自身の力を試そうと思うものが現れた、結果、世界は争いの耐えない時代を迎えてしまい、
危機の抑止力となる力は、尽く戦争の道具に成り果ててしまった」

世界に居る霊長類所謂サルは、人の行動を真似る事で物を使ったり、数字の羅列を覚えたり
様々な芸が出来る様になるが、誰にも教わらない限り知能の高いとされるサルですら、そんな芸当は出来ない。
それと同じ事が、人間にも言えた、忍術と言う強力な武器、それまで存在していなかった術が
何故身についたのか?何故口伝されたり、教えられる世の中になったのか、それは、尾獣達から
教わったに過ぎないのだ、それを過去の始祖達は、自ら編み出したと言う虚偽の歴史を残したのだ。

「・・・私は、もし無事にこの危機を乗り越えたなら・・・最悪木の葉の里人全員に伝えるつもりで居るし、
それは、猿飛先生・・・いや・・・三代目も了承している、恐らくその時点で、九尾襲撃の真相も話される事となるだろう」

それを聞いたイノは、嬉しい言葉なのだが、今だ信じられずに居たが、それを察した綱手は、イノに眼を向けて言った。

「よかったな・・・イノ・・・お前達一族の悲願、そして、アイツの免罪を証明してやれるかも知れん。
もっとも、すぐに改善されるとは思えないが、まだこちらには秘策があるから、安心しろ」

イノは、綱手に元気よく頷き、知らず知らず涙を流していた。
それを見たサクラは、イノに言った。

「よかったね、イノ・・・」

「うん!!」

一瞬和んだ雰囲気も、綱手に掻き消された。

「さて、喜ぶのはまだ早い・・・我々は、お前達3人に任務を申し伝える。
世界で唯一魍魎を封印できる術を持つ、鬼の国の巫女を死守し、更に沼の国まで
護送せよ、封印を発動させるには、魍魎の肉体を封印した祠でなければ
効力を発揮しないらしい・・・だから、頼むぞ!!3人と少し心もとないが
白とイノは、既に上忍であり、サクラも来年行われる上忍試験の出願を許可されている程
実力も高い、それにお前には、私がこの2年間医療忍術を叩き込んだんだ、万が一にも
対応出来る・・・ただ、ここに上忍うちはサスケが居ない事が悔やまれるがな」

それを聞いた白は、言った。

「タイミング悪いですね・・・サスケ君・・・今頃は、船酔いの最中でしょうか?」

そして、サクラも追随した。

「そうかも知れないわね・・・何もこんな時に、小雪さんと雪の国に行かなくてもね」

それを聞いた綱手は言った。

「しょうがないだろ、雪の国から散々送られて来た依頼だったんだ。
いい加減、はねつける訳にもいかん、それにまさかこの様な事態が起こるなど想定外だ」

綱手にイノが、言った。

「確か、雪の国でサスケくんの遊説があるとか・・・」

「そうだ・・・遊説とは言っているが、高々一介の上忍が、遊説もないだろう。
恐らく、サスケを国王にする前に、勉学をさせるのか、或いは、風花家の親戚周りでもするのだろ
だからこそ、半年という長期を依頼して来たのだ・・・」

「「「「ハァ・・・」」」」

そう言った綱手も含め、4人は溜息をついた。
だが、綱手は、すぐに気を持ち直して言った。

「・・・では、改めて任務を命じる。
すぐに鬼の国へ赴き、鬼の国の巫女を護衛し、沼の国の祠まで
護送せよ!!ただし、一刻一秒を争う自体だ、移動は、山中イノ。
お前は、獣の姿となり、迅速に向って欲しい、頼めるか?」

それを聞いたイノは、言った。

「もちろんです、これには、我々九尾一族の命運もかかっているのですから」



そう言った後、3人は、執務室を出て鬼の国へと向った。





余談だが、この後すぐに石像の群集が、世界中の国々に進攻を始めたと言う連絡が入った。
それを聞いた綱手は、慌てる事はなかった。
何故なら、その事も既に玉藻から聞いており、里に居た忍びの殆どをその迎撃に向わせたのである。
ただ、里には、現在五代目火影の部隊と三代目火影の部隊、それから僅かな暗部しか残されていない為、また
そうなると予想されていた為に、綱手は、玉藻からある巻物を貰っていた。

その巻物とは、口寄せの術式が書かれたものであり、当然その中からは、九尾一族の誰かが
呼び出される事になっている、そうなれば、急な襲撃にも耐える事どころか、蹴散らす事も容易であるからだ。



白達一行が、鬼の国に急行している頃、ナルトの居る九尾の里では、ナルトが
旅立ちの為、皆と顔を突き合わせていた。
ただ、この九尾の里には、魍魎復活の報は、まだ届いていなかった。

ナルトは、玉座に居る玉葉を見据えていた。
その玉葉は、ナルトに言った。

「ナルト・・・よくこの2年間耐え忍びました・・・これで私達が教えるべき事は何も有りません」

それを聞いたナルトは、答えた。

「ありがとう・・・玉葉・・・。俺がここまでこれたのも全てこの里に居るみんなのお陰だ・・・」

2年間ここで過ごした、ナルトは、肉体的にも大きく変化し、また容貌も成長の変化や妖狐との融合の影響で
様変わりしていた、もっとも親しい間柄の者達には、すぐ彼であるとわかる程度の変化なのだが。
更に、2年前以上に精神的にも成長を遂げていた。

ナルトの言葉を聞いた玉葉は、言った。

「礼には及びません・・・我らは、あなたの味方なのだから・・・、それよりもナルト・・・」

「何です?」

「あなたが、木の葉に戻って以後、火影の座に付く事もあるでしょう・・・。その事については、私達は心から歓迎します。
ただ、その後、あなたが火影の職を退いた後、出来る事ならこの里に戻ってきて欲しいのです。
そして、私に成り代わって、この里を導いて欲しい・・・」

ナルトは、それを聞いて思考を巡らせてから答えた。

「・・・わかりました・・・いつの日か必ず戻って来ます」

「ええ・・・お願いね・・・私達は、その時を首を長くして待っています。
もちろん、それ以前でもいつでも遊びに来なさい、その時は、伴侶や子供達も一緒にね」

「ああ・・・」

それを聞いて玉葉は、微笑み言った。

「では、ナルト・・・体には十分気をつけなさい。
もっとも戦いに関して言えば、何も心配はしていません。
外気孔と内気孔を身に着けた貴方であれば、様々な困難を乗り越えられるでしょう」

「ありがとう・・・玉葉・・・」


ちょうど、そんな時であった。
玉葉の重臣であり、ナルト自身も世話になった棗が、血相を変えて走りよって
膝をついた。

「申し上げます!!」

「許す」

「鬼の国にて、魍魎が復活を遂げましてございます!!」

それを聞いた玉葉は、目を見開いた。

「それは真か!?」

「はい!!今し方、玉藻様より文が届いたのでございます」

「・・・わかりました・・・よく知らせてくれました」

「いえ、ナルト様のご出立の日に、この様な報を持ってくる事になり
大変心苦しいのですが、そして、どうやら、木の葉の火影殿が鬼の国の巫女の
救援に部隊を送った様であります」

「なるほど・・・火影殿が動かれたか・・・」

「はい・・・更に、火影殿は、各里の長達と連携を取る模様であります」

「そうですか、確かにこれは、世界が一丸となって立ち向かわねばならない問題ね」

「はい・・・そして、部隊の中に、山中イノも含まれていると情報にありました」

「なんと・・・イノが・・・確かに、あれに対抗するには、必要な措置ですね。
わかりました・・・ナルト」

玉葉は、話を終らせ、ナルトに話しかけた。

「何があったのだ、玉葉?」

「今から話す事覚えておきなさい」

そして、玉葉は、口頭でナルトに魍魎についてと、今回の事を話して聞かせた。

「と、言う事です・・・」

ナルトは、全てを受け入れた顔をして玉葉にはなしかけた。

「わかった・・・予定は、変更して今すぐ鬼の国へと向おう」

「ええ、お願いね・・・この世界を護って頂戴・・・棗!!お前は、ナルトと共に向え!!
そして、蘭・牡丹・楓は緊急の事態に備えよ!!更に、椿!!お前は、猫又一族と連絡を取り合い
戦闘の用意をするように伝えよ!!」

「「「「「御意!!!!!」」」」」

ナルトの前では、優しい玉葉だが、部下達の前では確りと毅然とした態度で臨んだ。
その言葉に、呼ばれた4人はすぐ行動に移り、ナルトは、玉葉に一礼をしてから棗と共に
鬼の国へと駆けて行った。

残された玉葉は、呟いた。

「やれやれ・・・慌しい旅立ちになってしまったな・・・もっとゆっくりと
別れを惜しみたかったものだな・・・ナルト、お前が来るのをこの玉座にて待っている。
また、元気な姿をみせてくれ、そして、世界を救ってくれ・・・」





移動を開始したナルトと棗は、走りながら話していた。

「棗!!鬼の国までの距離は?」

「はい・・・ここから木の葉隠れの里よりも距離は御座います」

「そうか・・・木の葉の部隊が出立した時間を考えれば、夜通しで移動すれば、明日の昼には到着するな」

「そう思われます、派兵された中には、ナルト様の旧友達も混じり、更に同じ一族の山中イノも
含まれて居ますので、もう少し時間的には早まるかも知れませんが・・・我々は既に、僅かではありますが行動遅れとなっております」

「ああ・・・そうだな・・・それより・・・」

「はい」

「棗、そのナルト様と言うのを止めてくれないか?小恥ずかしい」

「何を仰いますか、貴方様は次期我らの長です」

「しかし・・・俺は、基本的に他人と序列ある事があまり好きではないし
それに、俺はまだ長ではないだろう?一介の九尾一族に過ぎん」

「・・・わかりました、ナルト様・・・いえ、ナルトがそう仰るのであれば従います」

「ありがとう・・・それと敬語も不要だ・・・」

「・・・御意・・・いいえ、わかったわ、ナルト・・・」

「ああ・・・」

「あなたは良い、先導者になるだろう」

「まだ、自信はないが、出来うる限り頑張るさ」

「はい!!」

そして、2人は高速で鬼の国へと向うのであった。






ナルトの予想通り、翌日の昼前に、木の葉を発った白達は、鬼の国に到着していた。
しかし、白達が到着する僅か前から、首謀者の一団と思しき連中が、鬼の国の警備隊と
鬼の国の巫女を守る精鋭部隊と交戦していたらしいが、敵の一団の力の前に次々と
倒されていたのだ。

白達が到着した際は、警備隊と精鋭部隊は尽く壊滅して、死体の山が築き上げられていた。
ただ、幸運な事に敵の一団は、これから巫女の居る社へと向おうとしていた所に鉢合わせたのだ。


白は、この部隊の部隊長としてサクラとイノに言った。

「サクラさんは、巫女の保護に向ってください!!僕とイノさんで、奴らを迎撃!!」

「了解!!」

「わかったわ、白さん!!」

サクラは、移動速度を上げて社内へと向った。
残った2人は、3人の敵と対峙していた。

「こいつら・・・何でありんす?」

「まぁ、鬼の国の誰かが要請したんだろ」

「そのようだな・・・木の葉の額当てをしている」

これは3人の敵が、言った言葉である。
そして、上からギタイ・シズク・セツナと言う。


ただ、イノは、彼らから嫌な気配を感じ取っていた。

「あいつ等・・・何だろ・・・この嫌な気配は?」

イノの言葉に、白が聞いた。

「どうしたんですか?イノさん」

「うん・・・何か・・・そう・・・昔サスケ君が大蛇丸に付けられた呪印と似た気配を感じるわ」

「呪印ですか・・・」

「ええ・・・ただ、それとはまた別の物みたいだけど、注意が必要ね」

「ですが、僕らは何としても彼らを退けなければ」

「そうね、もっとも私達に勝てるとは思わないけど」

「僕は、あの女性と男性を相手にしますので・・・イノさんは、口に布を巻いた男をお願いします」

「ええ・・・任せて・・・それより、サクラは大丈夫かしら?」



その頃、社内へと向ったサクラは、間一髪巫女と従者の前に、躍り出る事が出来た。

「私は、木の葉の者です。私がこいつを引き受けますから、早く巫女を!!」

サクラの言葉を聞いた従者は言った。

「忝い!!さっ、紫苑様!!」

そういうと紫苑と呼ばれた少女と共に、掛け軸の裏にある扉から姿を消した。
それを確認したサクラは、前の敵を見据えて言った。

「さぁ!!ここから先は私が通さないわよ」

「なるほど、鬼の国は木の葉に救援を出したのか」

「そういうことよ」

「しかし・・・魍魎様復活の為には容赦はしない、それに貴様などすぐに片付けてくれる!!」

そう言ったのは、クスナと言い先ほどの3人と合せてチームを組み、リーダー格になっている。
彼が言った言葉に、サクラは答えた。

「随分と嘗めた事言ってくれるじゃない・・・だけど、彼女を失っては、また彼らの力を借りなければならなくなる。
それは、人間として彼らに申し訳が立たない、だから、全力を持ってあなたを倒す!!」

サクラの言った彼らとは、過去に魍魎を封じた尾獣達の事である。
そのサクラは、言ったと同時に瞳を静かに閉じた。

それを見ていたクスナは言った。

「フン・・・死への念仏か?準備が良いではないか」

サクラは、瞳を閉じて言った。

「馬鹿ね、言ったでしょ、全力でってね」

そして、サクラは、閉じていた瞳をカッと見開いた。
するとクスナは、驚いて後退りをする。
それは、何故なのか?

「赤い瞳!!」

それを聞いたサクラは、自分に秘められた力を解放した。
そうその秘めた力とは、妖狐ナルトの力を借りた物であり
既に、この2年間の間で、完璧にコントロールが出来ていたのだ。

好きな時、好きな場所でその力を振るえる様に。

そして、サクラの体から赤いチャクラが溢れ出し、それと同時に攻撃を仕掛ける為に
クスナへと、一瞬にして距離を縮めた。

サクラは、拳を後ろ手に握り、力を溜め込み歯なった。

「喰らえ!!桜花衝!!」

これが師匠である綱手直伝の金剛力を用いた攻撃である。
金剛力とは、精密なチャクラコントロールによって肉体を強化するものである。
そして、桜花衝は、サクラがつけた名前である。
更にこれは、チャクラ量が多ければ多い程、攻撃力が増す単純な物である為
今、妖狐ナルトの力を借りたサクラが、放てば壮絶な威力を発揮する。

ただ、相手のクスナも敵のリーダー格と言う実力は、伊達ではなく
そのサクラの攻撃を間一髪、避けたが攻撃の際に出来た風圧で吹き飛ばされ、
体勢を立て直して、狭い社内を脱し、外へと向った。

そのクスナを追ったサクラは、上空に飛び上がり、クスナ目掛けて印を組んだ。

「喰らえ!!風遁!!真空斬刃嵐!!」

クスナに向って、真空の刃が嵐の如く襲い掛かり、避けた所は、地面を深く切り刻んでいく。
そのあまりの威力に、クスナは、撤退を余儀なくされた。

「クソッ!!何と言う威力!!これでは、何の対策も持たぬ今、対抗出来ん!!」

クスナが合図を送ると、他の3人も撤退をして行った。
それを見ていた、イノと白は、言った。

「ああ・・・残念ね」

「そうですね、後一歩で殺せたんですけど・・・」

「そうね、でも、隊長としては良い判断だわ・・・もっとも敵だけどね」

「それは言えてますね」

そう話している所に、サクラがやって来て、白が話しかけた。

「サクラさん、巫女は?」

「ええ、無事よ。今、従者の人と裏手に居る筈だから」

「なるほど、では、行きましょう」


そして、白達は、巫女を追って裏手までやってくると、サクラの言う通り
そこで身を潜めていた。

その後、巫女達と移動をして、別の拠点へと向った。
そこで、今後の段取りを話すと、従者である足穂という男性が、白達と共に
沼の国へと向うと言って来た、当然彼は、忍びではない為に、移動に制限がかかる。
時間の余裕が、あまり無い今は、控えてもらいたかったが、決して言う事を聞かなかった。
諦めた白は、了承せざる終えなかった。

ただ、巫女は、イノを見据えて言った。

「お前は・・・人間ではないな・・・」

それを聞いたイノは、言った。

「ええ・・・よくお分かりになりましたね・・・そう、私は人間ではなく、九尾です」

「やはり・・・」

「ご不満でもお有りですか?」

「いいや・・・それより、私は紫苑だ・・・、年齢も変わらぬ様子、出来れば名前で呼んで欲しい」

「わかりました、そう呼ばせてもらいます」



そう話した後、夕方前には、その拠点を出発して沼の国の祠へと向った。



出発してから、数時間休み休み行っている為に、行動速度は早くない。
原因は、やはり従者の足穂と巫女である紫苑の体力が持たないのである。
そんな休憩をしている時、白が言った。

「そろそろ夜に入りますが、移動は続けます。
ただ、これより先、襲撃がある事が予想されます」

昼の襲撃から、数時間敵が体勢を立て直すには、ちょうどいい時間でもある。
そんな時である、従者の足穂が言った。

「私に秘策があります、それならより速くそして、確実に紫苑様を祠へ迎えるでしょう」

それからその秘策を聞いて、意見が飛び交ったが、それしか方法はなかった。



そして、再び移動を開始すると案の定、敵の襲撃が行われたが、深追いはせず
遠距離からの忍術を繰り出して来た。
それを見ると、白達は、二手に別れて移動を開始した。



サクラは、今、紫苑を背に背負って木の上を移動している。
もちろん、祠へと向う為に。

闇で視界の悪くなった森を移動するサクラは、気がつかなかった。
自分に敵が迫っている事に。
そして、それは唐突だった。

サクラに向って、クナイが飛来して来た。
それを察したサクラは、事も無げに避けて、背負っている紫苑を木の枝に座らせて
迎撃をしようとした時である、首筋に何かが噛み付いた。

それと同時に、サクラの体は、毒が周り身動きが取れないまま
地面へと落下していく、残された紫苑の前には、サクラが昼間に撃退した
クスナが立っていた。

一方、落下したサクラが、受身すら取れないまま地面に叩きつけられようとした刹那、
誰かにその体を受け止められ、落下が止まった。
サクラは、朦朧とする意識の中で、眼にした。

自身を見詰る、青い瞳に揺れる金髪の髪。
それは、顔立ちが大人へと変貌し、妖狐の要素も入ったナルトだった。
顔が変わった事など、一瞬で見抜いたサクラは、声の出ない口で言った。

「・・・」

それはナルトも気がついたのだろう、サクラを地面に下ろして言った。

「サクラちゃん、暫く待っていてくれ。棗!!サクラちゃんを!!」

「わかった!!」

すると、サクラも見覚えのある棗が、心配そうな目で自分を見ていた。
ナルトは、棗に任せると紫苑の元へと向った。

その紫苑に、クスナの凶器が向けられ振り下ろされた時である。
凶器が、紫苑に突き刺さる前に、クスナの腕を強力な力で掴み取っている男が居た。

全く気がつかなかった存在に、クスナは言った。

「クッ!!何と言う力だ!!腕が!!」

その男ナルトは、言った。

「消えろ!!クズが!!」

クスナは、ナルトの瞳を見た瞬間縮み上がった。

「ヒッ!!」

そのナルトの瞳から発せられる気配には、人間を簡単に怯えあがらせるほどのものであった。
クスナは、ナルトに拘束されている腕を振り解き、撤退した。
ナルトは、それを確認すると紫苑へと向き直った。

「もう大丈夫だ・・・そうか・・・」

ただ、ナルトはその紫苑を見て感じ取った。
紫苑は、ナルトに言った。

「ありがとう・・・ですが・・・」

「何も言うな・・・君が巫女本人ではないんだな?」

「ええ・・・私は従者の足穂と言います・・・」

そうサクラが背負っていた紫苑は、特殊な術で変化した足穂だったのだ。
足穂の言った秘策とは、自分を囮にしたものだったのである。
ただ、上手く行っても自分が死ぬ確立はかなり高い事も辞さない覚悟だった。


ナルトは、その紫苑に変化した足穂を背負い、地面へと降りて来た。
すると、棗に話しかけた。

「棗、サクラちゃんの様態は?」

「ええ・・・何か毒を入れられたようです」

「そうか・・・」

ナルトは、紫苑を地面に下ろしてサクラに顔を寄せた。

「サクラちゃん、今から治療を行う」

それを聞いたサクラは、頷いた。
そして、ナルトは、棗に言った。

「棗、この者を里に連れて行き、玉葉に見てもらえ。
そうすれば、元の姿に戻れるかも知れん」

棗は、それを聞いて頷いたが・・・。

「しかし・・・それではあなたの負担が多いのでは?」

「いや・・・大丈夫だから安心しろ、それより棗、行く序でに
イノには、サクラちゃんの治療を終えてから合流すると伝えろ」

「わかった・・・その様に伝えよう、そして、この者の治療任せてもらう」

「ああ・・・頼む・・・」

そういうと棗は、足穂を背負って去って行った。
残されたナルトは、動けないサクラに言った。

「サクラちゃん、これから毒の治療を行うから」

そういうとナルトは、毒を打ち込まれた首筋を見て、流れでた血を
指で掬って、嘗めた。

「なるほど・・・筋肉を凝固させる作用のあるタイプか・・・」

ナルトが、毒の成分を見極めていた時、サクラがナルトの手を掴んで
何かを言いたげである。
それを察したナルトは、耳をサクラの口へ近づけた。
すると、サクラは必死に口を動かして、伝えた。

ナルトは、サクラから聞いた通り、サクラのポーチから注射器を取り出し
ケースに入っている解毒薬をサクラに注入した。
そして、10分程経つと解毒の効果で、サクラは、元に戻った。
サクラは、今だ心配そうに見ているナルトの首筋に腕を回して抱きついて言った。

「ナルト・・・会いたかった・・・」

「ああ・・・それは俺もだ・・・」

「でも、ナルトが来てくれるとは思わなかったわ」

「俺も、九尾の里で魍魎の事を聞いてすぐにこちらに向かったんだ」

「そうだったの・・・でも、ありがとう・・・お陰で足穂さんも死なずに済んだわ」

「そうだな・・・」

「でも・・・」

サクラは、ナルトから体を離して顔を見詰て頬を染めながら言った。

「こんなにカッコよくなっちゃって・・・大人っぽくなったね」

「そう?自分ではわからないけど、でもサクラちゃんも綺麗になったね」

ナルトの台詞に、恥かしげにサクラは答えた。

「そっ・・・そうかしら?」

「ああ・・・女の子は、2年も見ないとだいぶ変わる様だな、
あの時はまだ、幼さが伺えたが」

「それはね、私だってもう16だもん」

「そうだったね、それより、イノ達はどうしてる?
俺達の情報で、こちらに一緒に来ていると聞いたが?」

「ええ、本物の紫苑さんと一緒に、沼の国へ向っている筈よ」

「なるほど・・・わかった、では、俺達も向おう・・・、正し
サクラちゃんは、まだ動いてはダメだ。俺が背負っていく」

そういうとサクラが何か言う前に、ナルトは、サクラの膝裏に手を回して
もう一方の手で背中を押さえて、抱き上げた。
それは、所謂お姫様抱っこであり、以前、アンコから教えられた
正しい女性の運び方である。

突然のナルトの行為に、驚くサクラは、頬を染めて落ちない様に
腕をナルトの首筋に回した。

「じゃ・・・落ちないように確り掴まってくれ・・・」

サクラは、夢見心地で頷く事しか出来なかった。




ナルト達が移動を開始しした頃、イノと白、そして巫女の紫苑は、追手の襲撃を回避してから
体を休めていた、もっともこれは、イノ達と言うより紫苑のためなのだが。
それに、先ほど、自分達も良く知る棗がやって来て、ナルトもこの地にやって来ている事を知ったのだ。

そして、ナルトからの伝言を伝えて、里に戻って行った。
その時からである、イノの表情が如実に変わったのは。
やはり、2年ほどとは言え、離れ離れになっていた事が寂しかったのだろう。

もっともそれ自体は、白も同じ事が言えたが、立場的なものが大きく違う。

イノがナルトを好きだと言う事は周知の事なのだから。


それから暫くすると、イノ達の元に声がかかった。

「待たせたな・・・イノ・・・そして、白」

声のした方を見た時、イノは、驚きのあまり固まり
そして、白だけは、笑顔で出迎えた。

「お久しぶりです、ナルト君・・・、すっかり体の様態はいいんですか?」

「ああ・・・1年いや・・・もう少し前に体の変調は終わりを告げている」

「そうだったんですか・・・」

「それにしても白、お前は随分強くなった様だな・・・」

「それ程でもないですよ・・・ナルト君」

「そうか・・・イノ・・・」

ナルトは、最後にイノに話しかけた。
驚き固まっていたイノも、すぐに元に戻って言葉を返した。

「久しぶり!!ナルト、でもね、その状態はどうかと思うわよ」

イノの言うその状態とは、サクラをお姫様抱っこしていしる事を指している。
しかも、サクラの顔は、まさに夢見心地であり、頬を赤らめて半ば放心状態とも言える。
流石のナルトも、イノの意図を理解して抱えているサクラを見て言った。

「サクラちゃんは、先ほど敵の毒を貰い、治療をしたばかりだったんだ。
だから、体を労って抱えて来たのだが・・・」

それを聞いたイノは、溜息をついてナルトに近づき、サクラの頭を思いっきり引っ叩いた。

「痛い!!何するのよ、ナルト!!」

だが、サクラが見上げたナルトの顔は、優しく微笑んでいるだけで、それを見た瞬間
再び、サクラの意識は、幸せの渦に流されようとしていたが、怒声が返ってきた。

「この馬鹿サクラ!!いつまで、ナルトの腕の中に居るのよ!!」

サクラは、ゆっくりと視線をずらすとイノが、憤怒の表情で怒っている。
だが、しかし幸せの絶頂で余裕が出来ているサクラは、言った。

「あら?イノさん、どうしたのかしら?」

「どうしたもないわよ!!あんたね、治っているんでしょ!!だったら、さっさと降りる!!」

「いや・・・まだ体に痺れがね・・・」

「嘘仰い!!」

2人の言い合いが続くと思われた時、ナルトが喋りかけた。

「サクラちゃん、この体勢では、負担がある。だから、木に寄りかかった方が
なお更、体を休める・・・」

そういうとナルトは、さっさとサクラを木によりかかせ下ろした。
サクラが何か言う前には、地面に座っていた。
ただ、ナルトの行動は、サクラを心配している所から来ている為に、
何も言えなかった。

しかし、イノの表情は、如実に変わり笑顔を見せた。
そこで、ナルトがイノに話しかけた。

「イノ、その姿を見る限りお前も、変調を終えたのだな・・・」

ナルトが言ったのは、イノの容姿が変わった事である。
ナルトが、妖狐と融合したのと同様に、イノにも同じ事が起きていたのだ。


イノは、答えた。

「そうよ、あの後半年ぐらいしたらね、それから玉藻さんと蒼妃と合同で
徐々に変って行ったわ、だから、今、妖狐イノも普通のイノも無くてね。
二つが完全に掛け合わさったの」

「そうか・・・」

「でも、ナルトは大分変ったのね・・・すっかり大人ね」

「そうかも知れない、先ほど、サクラちゃんにも同じ事を言われた。
それより、これから如何する?」

ナルトは、話を変えて白に話しかけた。

「はい、もう暫く休んでから出発しようと思っています、
ただ、襲撃は確実にあるでしょう、もっとも今は、こちらも4人居ますから
撃退は、簡単だと思います、あの複数のチャクラ性質は、少しばかり厄介ですけど」

「そうか・・・」

そういうとナルトは、紫苑に近づいて言った。

「俺は、木の葉のうずまきナルトです・・・これより、私もあなたの護衛に回ります」

「ああ・・・よろしく・・・頼む・・・」

途切れ途切れに言った紫苑は、ナルトの顔を見て頬を赤らめてしまった。
それを見ていたイノとサクラの眉が如実に上ずっていく。
世界の存亡を救える巫女ですら、落としてしまうナルトの笑顔は、まさに最強の凶器と言えた。




それから1時間ほどしてから、一行は再び移動を開始したが
すぐに、敵の追手がやって来た。
場所は既に、沼の国に入っていた。


ナルトは、腕に抱えていた紫苑をサクラに託して、イノと白と共に迎撃を開始した。


ナルトの相手は、2人で敵のリーダー格クスナとセツナ。
イノの相手は、ギタイであり、白は残ったシズクを相手にする事となった。


紫苑やサクラが見守る中、その戦いは圧倒的とも言うべきものであった。


まずは、イノ。
ギタイが土遁系の忍術を連発するも、イノには全く効果が無く
彼らの取っておきとも言うべき方法で、自身の体を変化させるだけに留まらず
チャクラなども桁違いに上がったのだ。

しかし、妖狐イノと融合を果たしている現在のイノにとっては、やはり相手ではなかった。

「これでお終いよ!!封獄死霊砲!!」

イノは、両手を胸の前で開かせるとその中心に何処までも黒いエネルギーの弾を作り出した。
その技は、以前木の葉崩しの際、音忍達に使った物である。
そのエネルギーの膨張が、限界を超えた時、イノはそれをギタイに向けて放ったのだ。

その刹那、ギタイの体は、強固な物に変化したにも関わらず、何の抵抗も見せないままに
木っ端微塵となった、それを見ていた他の敵3人は、驚きの表情を見せる。
恐らく、ここまであっさりと終るとは思わなかったのだろう。


続いて、白の相手シズクは、水遁系忍術を使って攻撃を仕掛けてきた。

「水遁!!水龍弾の術!!」

白は、それを見るや印を組み始めた。
その印の数は、水龍弾よりも多く、複雑だったのだ。

「行きますよ!!氷遁!!極零烈凍波!!」

白の両掌から吹雪を伴った極低温の爆風が吹き荒れると、水龍は、瞬く間に
凍り付いて動きを止めてしまった。

その光景に唖然とするシズクに白は、言った。

「水遁のみでは、僕には勝てませんよ・・・さて、こちらも時間がありませんので
さっさと終らせますよ!!」

そういうと白は、印を新たに組み始める。

「忍法口寄せの術!!」

そして、白の前に白煙が上がるとそこから、白い着物を纏った女性が現れた。
その女性は、口寄せされた瞬間、白の首筋に腕を艶かしく絡ませ耳元で囁いた。

「あら、白・・・やっと私の出番ね・・・待ちくたびれたわ、このまま出番が無いんじゃないかと冷や冷やしたわ」

「すいません、雪さん・・・、ですが、力を貸してもらいますよ」

「ええ・・・もちろんよ・・・白・・・喜んで、貴方の力になるわ」

「ありがとうございます、今の僕では、これを使うのに1人では無理ですからね」

「任せて、愛する人の為、愛する人の敵を共に討ちます!!」

そういうと白と雪と呼ばれた女性は、共に同じ印を同じタイミングで組み始める。
そして、長い印を組み終わると白は言った。

「コンビ忍法!!氷遁!!絶対零凍波!!」

白の前方にある空間が、突如周りとは違った幾重にも層を作り出し、終いには球体となっていた。それを白は、シズクに向って撃ち放った。

その空間は、瞬く間にシズクを飲み込んだ刹那、シズクの体は一瞬にして凍り付いたと共に、爆発して粉砕されてしまったのだ。
この技は、恐らく考えうる氷遁の中ではほぼ最強と思しき術である。
何故なら、白が作り出したのは、絶対零度と言うこの世の中でもっとも冷たい温度とされている空間を作り出して
それ自体を対象に叩きつける荒業なのである。

それは当然、目標に当たれば、一瞬身も血液も全て氷漬けになるのだ。
ただ、あまりにもチャクラ消費が激しい為に、1人では無理なのである。
そこで登場するのが、白が口寄せをした女性である。

彼女は、以前白が任務中に助けた雪女なのである。
詳しい経緯は、省くがそれ以後、彼女は白を慕い心から愛する様になってしまったのだ。
まぁ、この世界には、九尾を始めとした多数の妖魔が居るのだから、雪女の1人や2人居ても可笑しくはない。
その結果、自ら白に口寄せの術式を施し、好きな時に呼んでくださいと言っていたのである。

氷遁を扱う白にとって、彼女の存在はこれ以上無い援軍とも言える。
何故なら、雪女はその性質上氷遁に似た術を扱える為に、白の補助としても
最高の存在となっているのだ。

また、再不斬以上に彼女は、白の心の支えともなっている存在。
最早、知る者にとっては、仲睦まじい事は周知の事なのだ。
ただ、雪女としての性なのか、あまり暑い場所を好まないので、
常に一緒に居られないのが悲しい限りである。

もっとも、殆ど寿命の無い彼女である為に、白が忍びを引退するその日まで
一緒になる事を待ったとしても厭わないと思っているが、
この数年後、まだ若く力も充実しているうちに2人は、一緒になる事になるが
これは今後語るとしよう。



一方、ナルトは、敵2人を相手取っている。

ただ、この戦いは呆気なく終了を迎えた。
まず犠牲になったのは、セツナである。
一瞬にして迫ってきたナルトに、頭部を殴られた瞬間
あまりの威力に、そのまま頭部が吹き飛んだのである。

忍術もあったものではないが、これが今のナルトの実力なのである。
もはや、ただの人間が相手になる筈は無い。
頭が吹き飛んでしまったセツナは、首から上がないまま力なく仰向けに倒れて行った。


それを傍らで一部始終を見ていたクスナは、表情を強張らせる。
誰が想像出来たであろう、たった拳一発で頭部を吹き飛ばすなどと言う芸当を。
正直な感想としては、恐怖以外の何物でもない。

そのナルトは、冷たい視線をクスナに向けた。
それを見たクスナは、完全に縮み上がってしまったのだ。
結果、仲間のうちでは隊長格に有ったにも関わらず、ナルトの手が一閃すると
セツナとは違い、首を跳ね飛ばされてしまった。



イノ、白、そしてナルトの戦いを一部始終見ていたサクラと紫苑は、その絶大な戦闘能力に
驚きを隠せない。
特に、ナルトが来てからのイノと白は、明らかに以前よりも強さを増しているように感じるのだ。
彼が居るから遠慮なく戦える、既にこの2人もちろん、サクラもだがナルトと言う存在は、
絶対的な心の支えでもあるのだ、それは嘗て、ナルトの父波風ミナトが木の葉の忍び達に与えていた
印象と何ら変りはなかった。





敵を圧倒的な力で捻じ伏せたナルト達は、再び移動を開始する事となった。
しかし、その移動途中に、ある物を目撃した。
それは、石像の大軍である。

長さにすれば、約数キロにも及びそうなほどの数である。
まさに、夥しいというに相応しく、それらは、一様に封印の祠の方角を目指して
突き進んでいた。

それを横目で見ていたナルトは、腕に抱えている紫苑に聞いた。

「巫女・・・」

だが、紫苑は膨れっ面になり、言った。

「何度言わせる、私は紫苑だ!!呼び捨てで構わぬと言うのに!!」

「すまない・・・では、紫苑」

素直に言い直したナルトに、紫苑は笑顔で答えた。

「何?ナルト・・・」

「その封印の儀式は、どれ位で終る?」

それを聞いて紫苑は、答えた。

「・・・恐らく、10分から15分・・・それ以上はかからん」

「そうか・・・最大で15分・・・ここから祠まであと僅か・・・」

紫苑の言葉を聞いてナルトは考え込む。
そして、顔を上げていった。

「イノ、白、そしてサクラちゃん出来る限りで良い、この石像の大軍を足止めしてくれ・・・。
みんなが足止めをしている間、俺は、紫苑と共に祠に向い、封印の儀式を終らせる。
頼めるか?」

イノも白も、サクラもこの大軍を見てそれしか方法がないと悟った。
それに何より、自分達の任務は、この紫苑を迅速で尚且つ、安全に祠へと連れて行かねばならないのだから。

ただ、魍魎が操っている石像だけに、危険性も含んでいる可能性が有る事も否定出来ない。
これだけの大軍である、たったの10分・15分ですら、体力が持たない可能性ものある為に
ナルトは考え込んだのである。

ナルトの様子を察して、イノは言った。

「いいわよ、ナルト。貴方は無事に紫苑さんを送り届けなさい」

それに白も追随する。

「そうですよ、それに僕らだけでなく、雪さんも手伝ってくれるみたいですので」

相変わらず白の首筋に抱き付いている雪が言った。

「九尾の青年、行って来い。ここには私と白、そして九尾の娘と怪力女が居るのだ、心配はない」

ただ、雪の言った怪力女と言う言葉に、サクラは、怒りの交差点がビシッと音を立てて額に浮かび上がっていた。
そう、この雪は、いつもサクラの事を怪力女と呼んでいるのだ、もっともその師匠である綱手の事は、大怪力女と
呼んでいる。

しかし、それを聞いたナルトは、言った。

「わかった・・・頼む・・・」



そういうとナルト達は、二手に別れた。
白達は、石像の大軍の先頭に立ちはだかった。

それと同時に、大軍対4人の戦いが始ったのである。
イノは、大軍を見て姿を巨大な九尾に変え、サクラは、妖狐ナルトの力を引き出し
白は、雪と共に氷遁を駆使して大軍を次々破壊していった。



一方、ナルトと紫苑は、祠に向っていた。


そして、無事に祠に着き中に入ると時既に遅く、黄泉が復活の祭壇で儀式を終えて
紫苑の到着を待っていた様である。

その黄泉は言った。

「フフフッ・・・巫女か・・・もう遅い・・・既に魍魎様復活の儀は終った・・・」

それを聞いた紫苑は、膝をつき唖然とする。

「クククッ・・・遂に遂に始るのだ・・・この魍魎の力を発揮する時が!!」

黄泉は、喋っている途中から、声色が変り更に、体が内部から爆して、巨大な八岐の龍が出現したのだ。
その復活した魍魎から発せられる気配は、人間の心など軽く圧し折るほど壮絶だった。
最早紫苑の体は、金縛りに有ったが如く動けなくなった。

だが、ここに居るのは紫苑だけではない。
ナルトは、そんな紫苑を察して、前に出て言った。

「こいつが魍魎か・・・確かに、とんでもない力だ・・・が、人間の力を甘く見るなよ・・・」

それが聞こえたのだろう魍魎が言った。

「フン、人間など無力!!我前には塵にも等しい、ムン!!」

魍魎は、ナルトに向って衝撃波を飛ばして来た。
ナルトは、声を出し気合を入れた。

「ハァ!!」

すると、その衝撃波は、ナルトの気合に弾かれて逸れていった。
それを見ていた魍魎は唸る。

「う~ん・・・その力、人間ではないな・・・」

「ああ・・・俺は・・・九尾一族!!」

「なるほど・・・あの憎き九尾か!!数百年前に我を封じた張本人と言うわけか・・・」

「そうだと言いたいがな、最早、九尾一族にも貴様を封印する力はない・・・あるのは、貴様を滅ぼす力のみ」

「アハハハハハッ!!そうか、世代も変り封印する術がないか・・・これは面白い・・・ならば、貴様を滅ぼせば済む」

「フン!!俺達を甘く見るなよ、魍魎!!」

ナルトはそういうと紫苑に語りかけた。
紫苑は、相変わらず呆然と魍魎を見たままであった。

「紫苑・・・紫苑・・・」

肩を揺さぶられ正気に戻った紫苑は、ナルトの瞳を見た。

「紫苑、よく聞け。俺には、アイツを封印する力はない・・・それに、恐らくアイツを倒せるまでの力はないかも知れない。
そこで確実に奴を倒す為に、俺とお前、2人の力で魍魎を打ち倒す」

それを聞いた紫苑は、言った。

「無理だ!!私には封印する術しか持って居ない、忍術など使えぬ・・・」

だが、ナルトは、笑顔で言った。

「それでいいのだ、俺の聞いた話では、封印術を教えたのは、九尾一族だ。なら、俺の力とお前の力が共鳴する可能性がある」

それを聞いて紫苑は呟いた。

「私と・・・ナルトの力が共鳴?」

「そうだ・・・お前は、眼を閉じて意識を集中し、俺と意識を同調させるんだ・・・奴を倒すと心で強く念じろ。
それから先は、俺がやる・・・いいな、もう後がないんだ、俺達が失敗すれば、奴の暴走を止められるものは居なくなる。
俺とお前、2人の力にこの世界の命運が懸かっている」

ナルトの言葉に、紫苑はゆっくりと頷いた。
そして、視線をナルトに移した時、既に巫女の顔になった紫苑が居た。
それを確認したナルトも意識を集中させた。

「奴を倒す!!」

「あいつを倒す!!」

「「奴を倒す!!」」

二人の意識が同調し、共鳴した瞬間、そこに大きな白煙が巻き起こった。
そして、その中から現れたのは、巨大な九尾であり、その大きさは、魍魎にも劣らない。
しかし、普通の九尾ではなく、その特徴である9本の尻尾ではなく、10本目の尻尾が生えていたのだ。
全てを慈愛の力と破壊と言う相反する力が合わさって、神々しいまでの姿を晒していた。

そこには、紫苑の姿もナルトの姿もなかった。
つまり、紫苑とナルトが共鳴した結果、この姿を取れたと言える。

そして、その神の様な存在は、大きな口を開いた。
その口からは、ナルトと紫苑2人の声が聞こえて来て、魍魎を完全に封印する言葉を言った。

「最強封印破壊術!!制魔神積層縛呪 !!」

それは、魍魎を七層もある封印結界で圧縮して押し潰そうとしている。
その力は、魍魎の魂の一欠けらすら残さず破壊しつくし、その意識すら、永久に滅せられた。
その封印の七層は、まるで虹色の様に輝いていた、その聖なる力は、悪の権化とも思しき魍魎にとって
耐え難いものだったのだろう。




世界を震撼させるほどの存在が、今ここに永久の封印と共に消滅していったのだ。





紫苑が、次に眼を覚ました時、心地よいそよ風が頬を撫でていて
知らず知らずに朝日を向え、その綺麗な日は、まるで紫苑を始めとする人間と
この世に対して祝福を贈っている様にすら感じ取れた。

紫苑は、無意識の内にまさに神の一類と化したのだ。
それと同時に、同じ存在へと変化したナルトの心が一気に自分の心へと流れ込んだ。
究極的な一体と言えるだろう。

だからこそなのだろう、ナルトの過去、現在に至る全ての辛い悲しみや寂しさ、楽しかった思い出までもが
流入してきたのだ。
つい、数時間前まで見ず知らずだった彼に、紫苑は愛おしさすら感じ取るまでになっていたのだ。
もっとも、出会った瞬間に微笑まれた時には、既に彼女の心の中に、ナルトと言う存在には、永住権が
与えられていたんだが、この経緯によって、それは確実な物になった。

それと同時に、あの魍魎がまたいつの日か蘇る可能性を秘めている事も察した為に、
それを抑えられる存在を作らねばと頬を染めながら思ったのである。

今彼女の横では、同じ様に仰向けになってそよ風を満喫しているナルトが居る。


ナルトは紫苑の視線を感じて振り返り、微笑みながら言った。

「紫苑、よくやったな・・・見ろ、朝日だ・・・この世の夜明けと言うべきだろう。
世界が闇に閉ざされなかったのは、お前のお陰だ・・・、この世界の代表としてまずは
礼を言いたい・・・ありがとう」

紫苑は、見詰られている事に頬を染め、視線を逸らして答えた。

「なっ・・・何を言うか、お前の言葉がなければ、私は絶望していた。
やはり、この世界を救ったのは、お前だよ、ナルト」

「・・・まぁ、結局は、世界を救えたのだ、どちらでもいい・・・。
だが、この先、魍魎が復活する可能性も高い、お前がもし生きていたならそれでもいいが
また何百年先か、千年先かわからない今、お前の力を残さねばならん。
後世の未来の為にもな・・・」

それを聞いた紫苑は、更に頬を染め上げて言った。

「その事なんだが、先ほどから私も同じ事を考えていた・・・。
その・・・一番手っ取り早いのは・・・わっ・・・私と協力して
子孫を残すことでは無いかと・・・」

ナルトは、この言葉を完全には理解していなかった。
もっとも紫苑も私と誰がと言わなかったのも、悪かったのかも知れない。
そのナルトは、こう答えた。

「ああ・・・その時は、是非力になってやる・・・」

その言葉に紫苑は、ナルトの瞳を見詰て言った。

「ほっ・・・本当だな・・・なら、未来は安泰じゃ・・・頑張ろうな、ナルト・・・」

「ああ・・・」



しかし、2人の会話を途中から聞いていたイノとサクラが、背後で鬼の様な表情でナルトと紫苑を見詰ていて言った。

「「異議あり!!」」

だが、その鬼気迫る言葉にも紫苑は、余裕の笑みで答えた。

「何、お主等の意見など聞いては居らん・・・ナルトが了承したのだ・・・
これ以上の大いなる意見はなかろう?」

そして、2人の怒りの矛先は、ナルトに向けられた。

「そうだわ!!ナルト!!あんたって言う奴は、何でそうホイホイ何も考えず了解しちゃうのよ!!」

「イノの言う通りだわ!!今、紫苑さんの言った言葉をもう一度ゆっくり復唱してみなさいよ!!」

ナルトは、2人に言われたまま紫苑の言葉を思い出すが・・・。

「後世の未来の為には、紫苑を死なせる訳には行かないと言う意味だろ?」

それを聞いたイノとサクラは、叫んだ。

「「全然違う!!」」

「いい、ナルト、耳の穴開いてよく聞きなさい!!」

「紫苑さんが言ったのは、私と協力してと言ったの!!それって紫苑さんとナルトの子供を作りましょうって
言っているのと同じでしょうが!!解ってんのそこのところ」

それを聞いたナルトは、改めて紫苑に言った。

「そうなのか?紫苑・・・」

紫苑は、改めて言うとなると恥かしげに俯きながら答えた。

「そっ・・・実を言えばその通りだ・・・ナルト」

紫苑の返答を聞いたナルトは、彼女の瞳を見て言った。

「そうか・・・だが、紫苑・・・」

「何だ、ナルト?」

「俺とお前は、まだ出会って間もない・・・それに俺はまだまだ若輩者でまだやらねばならない事がある」

それを聞いた紫苑は、ナルトの言葉を遮って言った。

「ナルト、それで良いのじゃ・・・お前も色々これからやらななければならない事が沢山有るだろう。
だから、私の申し出は、それが全て片付いてからで良い・・・もっとも、私が若いうちにと言う事だけは言っておく」


それを聞いたナルトは、頷きながら答えた。

「わかった・・・なるべく早い内にな・・・」

ただ、これまで聞いていたサクラとイノも追随した。

「ナルト・・・私達も紫苑さんの提案通りで良いからね・・・」

「サクラの言う通りよ、前にね、ナルトの事で女だけで集まって話し合ったのよ。
もちろん、私達だけじゃなくて、ヒナタなんかも交えてね。
その時、結論としてあなたが、誰か1人を選べないだろうって言う事になってさ。
だから、私達は、結婚とかそういうんじゃなくて、みんなで一緒に仲良く暮らしましょって言う事になったの。
そうなれば、もちろん紫苑さんも歓迎よ、もっともこれから紫苑さんと色々親交を深めないと行けないけどね」


ナルトと共に過ごして来た彼女達は、彼の性格など全てお見通しだったのである。

幼少期、玉藻が現れるまでは、愛情の一欠けらもなかった生活を送っていたナルト。
その事実を初めてイノから聞いて知った、サクラとヒナタは、自分達がその間に受けられなかった分沢山の愛情を
上げましょうとなったのだ、だからこそ、不誠実であるかも知れないし、道理に反しているかも知れないだけれども
1人よりも2人、2人より3人となったのだ。
もっとも、これ以上増える可能性も捨てきれない、何せ、彼を心から愛する女性は、多いのだから。

それに、どんな形でもずっと彼と一緒に居たいと思う心の現われとも言える。


それらを聞いたナルトは、言った。

「そうか・・・その時が何時になるのか、まだわからない・・・ただ、その様に思ってくれたみんなの想いに
答えられる様に頑張るとしよう・・・俺達には、まだまだやらなければならない事が多いからな」

それを聞いたイノやサクラ、そして紫苑は、笑顔で頷き、
その光景を白と雪も、静かに見守っていた。



こうして、世界の存亡の危機は、静かに終わりを迎える事となった。



ただ、木の葉に戻ったナルトに驚くべき事が待っているとは、この時彼は知らなかった。








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