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No.4709の一覧
[0] ナルト異伝 第1話 [丸与](2015/04/19 01:10)
[1] ナルト異伝 第2話[丸与](2010/01/03 00:05)
[2] ナルト異伝 第3話[丸与](2010/01/03 00:06)
[3] ナルト異伝 第4話[丸与](2010/01/03 00:06)
[4] ナルト異伝 第5話[丸与](2010/01/03 00:06)
[5] ナルト異伝 第6話[丸与](2010/01/03 00:07)
[6] ナルト異伝 第7話[丸与](2010/01/03 00:07)
[7] ナルト異伝 第8話[丸与](2010/01/03 00:07)
[8] ナルト異伝 第9話[丸与](2010/01/03 00:08)
[9] ナルト異伝 第10話[丸与](2010/01/03 00:08)
[10] ナルト異伝 第11話[丸与](2010/01/03 00:08)
[11] ナルト異伝 第12話[丸与](2010/01/03 00:09)
[12] ナルト異伝 第13話[丸与](2010/01/03 00:09)
[13] ナルト異伝 第14話[丸与](2010/01/03 00:10)
[14] ナルト異伝 第15話[丸与](2010/01/03 00:10)
[15] ナルト異伝 第16話[丸与](2010/01/03 00:10)
[16] ナルト異伝 第17話[丸与](2010/01/03 00:11)
[17] ナルト異伝 第18話[丸与](2010/01/03 00:11)
[18] ナルト異伝 第19話[丸与](2010/01/03 00:11)
[19] ナルト異伝 第20話[丸与](2010/01/03 00:12)
[20] ナルト異伝 第21話[丸与](2010/01/03 00:12)
[21] ナルト異伝 第22話[丸与](2010/01/03 00:12)
[22] ナルト異伝 第23話[丸与](2010/01/03 00:13)
[23] ナルト異伝 第24話[丸与](2010/01/03 00:13)
[24] ナルト異伝 第25話[丸与](2010/01/03 00:13)
[26] ナルト異伝 第26話[丸与](2010/01/03 00:14)
[27] ナルト異伝 第27話 (改訂版)[丸与](2010/01/03 00:14)
[28] ナルト異伝 第28話[丸与](2010/03/10 23:54)
[29] ナルト異伝 第29話[丸与](2010/01/03 00:14)
[30] ナルト異伝 第30話  (増記改訂版)[丸与](2010/03/23 01:46)
[31] ナルト異伝 31話[丸与](2010/04/14 23:54)
[32] ナルト異伝 最終話[丸与](2010/04/14 23:58)
[33] ナルト異伝 外伝[丸与](2010/06/19 00:01)
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[4709] ナルト異伝 第1話 
Name: 丸与◆90a9f496 ID:83672562 次を表示する
Date: 2015/04/19 01:10
暗い森、その中で複数の影が高速で移動していた。

だが、唐突にその動きは止まってしまう。
否、止まらざる負えなくなったと言った方が正しいであろう。
影達が止まってしまった理由、それは自分達の周りを殺気が取り巻いたからである。

彼らは、迅速な動きで円形に陣を組み背中合わせとなり、その殺気を放つ者からの襲撃に備える。
そんな中、今まで感じていた殺気が急に霧散したのだ。
その変化に疑問を持ち始めたと同時に、彼らを霧が包んでいく。
霧の中で僅かな変化をも逃しまいと彼らは、警戒する。

霧が彼らを完全に包み込んだ時、その状況は一転する。
彼ら自身霧だと思っていたそれは、突然に渦を巻き始める。
その霧の動きは、まるで巻き上がる火炎の如く。

その動きが現れたと同時に、自分達を殺気とチャクラが包み込んだ。
最初に感じた殺気とは桁が違った。
自分達自身の体が異常をきたしたのではと、思えるほど体は震え上がっていた。
その理由は、簡単だこの上限をも知らないようなそれら以外ありえない。

彼らは、忍者と呼ばれる者達で任務をこなす為、現在作戦行動中であったのだ。
この職についている以上、死に対する抵抗はあれど覚悟はあった。
何故なら、自分たちも今の今まで敵国の忍者などを殺してきたからだ。
それが今回、自分たちにその役が回ってきただけなのである。

彼らは忍者の中でも上忍と呼ばれ実力や経験を加味し、その位に位置づけられている。
そんな彼らですら、身震いを禁じ得ないほどの殺気とチャクラが彼らを包み込む。
これほどまでの殺気を放てる者を彼らは知らない、この放っている者が本当に人間なのであろうかと
疑問に思えるほどであった。

炎の様な渦の動きが、より一層激しさを増した時、彼らの耳にある音が響き渡る。
その音とは、ある動物の威嚇した様な鳴き声であった。

そして、その炎の渦がその動物の姿を一瞬浮かべる。
その動物とは、狐であった。

激しく燃える炎の色をした狐の姿を一瞬象ったのである。
その情景が彼らの恐怖心を煽る。

狐の姿が消えたと同時に、その渦の中に人影が現れ始めた。
彼らは、その人影を注視する。
そして、今まさにその人影がハッキリとする。

腰まで届くほどの眩い金髪に瞳は同じく、金色をし、頭部には狐耳が一対存在し
その尾には、九本の髪と同じ色の尻尾がユラユラと揺れている。
着ている服は、白装束であった。

服はともかく、その容姿は最早、ただの人間でない事は一目瞭然であった。

そんな姿の者に彼らは問うた。

「何奴!?」

「死に行くお前らに名乗る事は無いが、冥土の土産に教えてやる。
俺の名前は、妖狐、木の葉の暗部だ」

その名が出た瞬間、彼らはまだ何もされていないと言うのに、心臓を抉り取られたかの様な
錯覚を覚えた。何故なら、その名を知っていたからだ。
ここ3年ほどで台頭してきた忍者の名前であり、その実力は計り知れない。
今回の任務の際にも、注意事項としてその名前を持つ者が現れたら、退却しろと言われたほどであった。
しかし、命令を下した者達もその忍者の容姿や特徴などは、何一つわかっては居なかった。
唯一、わかっているのは、その暗部名だけであった。
何故なら、出会ったら最後今の今まで生き残れた者は一人として居なかったからだ。

だが、彼らは注意はしていた物の自分たちのメンツと実力を加味すれば、逃避、または退ける事は無理でも
相手に手傷を負わせて撤退する事も可能であり、尚且つ、その要注意人物の特徴を里に持って帰る可能性があると
考えていたのだが・・・・その考えを、今まさに後悔していた。

逃避や退ける所か、出会った瞬間、体がまるで金縛りに合ったかのように動かないのだ。
相手がその様な忍術を使っているわけでもない、ただ、殺気と自分たちも内包している
忍術の根源であるチャクラを放っているだけなのだ。

たったそれだけの行為で、こちらの体の自由を奪える存在が居ようとは思っても見なかった。

そう彼らが思い直している頃、目の前の妖狐が口を開いた。

「お喋りの時間は終わりだ、この里に悪為す者には死を与えよう。
まぁ、お前達も動けぬまま殺されるのは、同業者としても忍びない。
今、動けぬ体を自由にしてやるから、精々抵抗してみよ」

すると、先ほどまで包まれていた二つが、霧散して体の自由が戻った。
彼らとて誇りがある、そして何より唯で殺される訳には行かない。
里の意地、自分達自身の意地の為にも彼らはその存在に攻撃を仕掛ける。

彼らの人数は、9人。
そのそれぞれが自分の最大の力を相手に叩き込む。
自分らの力が、目の前の存在に一斉に襲い掛かる。
だが、相手はその術の数々が迫る中、実に涼しい顔をしていた。

そして・・・・・。

暗い森に、まるで大地震でも起きたと錯覚するほどの大揺れが辺りを襲う。
それだけ、彼らの術の威力を物語っている。
その彼らの顔には、先ほどまでには無かった、若干の笑みも浮かんでいる。
今までに無いほどの威力とタイミング、その全てが絶妙に噛み合った申し分の無い攻撃に
自信を深め、あの相手を正しく木っ端微塵に出来たのではと言う淡い思いが合わさっていたのだ。

しかし・・・・現実と言うのは、それほど甘い物ではないらしい。
術の中心は、その影響を受け爆風は去った物の炎などは現在も巻き上がり、周りにあった
木々を焼き尽くしていく。
だが、唐突に木々が薙ぎ倒されるほどの突風が、その中心部から発せられ巻き上がるほどの炎も霧散し、
その中心の情景が露になる。その場所には、悠然とまるで何も無かったかの様に、あの存在が両腕を組み佇んでいた。
体はおろか、服や髪の毛すら焼けていない、あれだけの爆発と炎の中で。
現れた時の姿のままで、存在していたのだ。

最早、彼らには声を発するだけの気力もなかった。
9人がかりの術ですらこの様である、自分たちの運命はやはり、あの時、既に決定していたのだ。

その存在、妖狐は彼らに死の宣告を告げる。

「さて、各々自分の後悔の無い様に力を出し切れたな・・・・。
ならば、早速ですまないがお仕置きの時間だ・・・」


妖狐がそう宣告した瞬間、彼らの見ている眼の前でそれは掻き消えた。
術で消えたわけではない、ただ移動したに過ぎない。
たった、それだけの行動ですら、自分たちでは眼ですら追う事が出来なかった。

彼ら9人がその光景に唖然としている中、ピチャピチャと雫が滴り落ちる音が響く。
最初は、何の音なのかそして、何処から聞こえてくるのかまるでわからなかったその音は、
自分たちの中心から聞こえてくるのがわかった。

自分たちがその場所に視線を向けると、胸の中央から白い腕を生やしてる仲間の姿が映っていた。
その仲間の表情から自分の体から腕が生えている事に、今の今まで気が付いていなかった様だ。
痛みの感覚を、自身で認識するよりも早く妖狐は、その男の胸を貫いたのだ。

男が漸く、その痛みで呻き声を上げる。

「グッ・・・・・・」

しかし、その腕は見事に心臓を貫いており男は、普通よりも短い間の痛みだけで絶命した。
だが、その男にとって見れば良いかも知れないが、周りで見ていた者達にとっては絶望感を煽るだけでしかない。
それを為した妖狐は、涼しい顔をしていた。まるで、自分が殺しという行為を何も感じないかの如く・・・。

その妖狐の冷徹な視線が次の獲物を捕らえる、僅か数分の間で9人共に同じ様に絶命して逝った。
そして、妖狐は、その死体を重ねる様に掻き集め、手を翳した。

すると、深紅の業火がそれらを一瞬で包み込む。
死体に着火してから物の1分とかからずに、灰と化していった。
普通であれば、死体を燃すのに軽く2時間はかかる。
それを9体纏めてである。

それだけでその炎の熱量が分かるという物である。

ちょうどその時である、また別の存在がそこに姿を現した。
その存在は、今いる妖狐と瓜二つである。
唯一違うのは、男か女かの違いであるだけだ。


その後から現れた者が口を開いた。

「ナルト・・・終わったのね」

「ああ・・・経った今ね」

「ご苦労様、私の方も終わったわ」

「そっちもご苦労様。玉藻」

「ええ、さっ・・・火影殿に報告に行くわよ」

「わかってるよ」


その瞬間、この場には誰も居なくなった。
後に残ったのは、9体分の死灰だけであるが、又もや突然の突風に
それらも攫われて行き、やはり、何も残る事はなかった。



その場所から移動して行った二人は、半時ほどで自分たちの住む木の葉の里へと戻り、その里の
一番奥にある建物へ入っていった。

そして、その建物の最上階にある執務室へと赴いた。
そこにはこう書かれていた。

{火影執務室}

その扉をノックしてから入室すると部屋の主が出迎えた。

「おお、ご苦労であった」

その主とは、部屋の名前の通り火影という役職でこの木の葉の里の長であり、
そして、この里に住まう全ての忍者の頂点に位置する人物である。
彼には、猿飛という実名がある物の最早火影=猿飛という図式が成り立っている為に
名前で呼ばれる事は、滅多に無い。
呼ばれる場合は、立場の近しい者か旧友であるかだ。

今、入室した二人もその他と同じく火影と呼ぶのである。

「火影殿、任務完遂してまいりました。
始末した人数は、全部で18名でした」

「そうか、やはり以前より増えておるな。それでも被害が出ていないのは、
これもお主達の活躍のお陰じゃよ。だが苦労をかけるな、玉藻殿、そして・・・ナルト」

男の妖狐の本名は、うずまきナルト、そして、女の妖狐の名前は、玉藻という。

「構わない、火影殿」

「そうですよ、火影殿。ナルトはともかく、私の行った愚行に比べれば、これぐらいの事は
当然です。私達の行動でこの里の人々が平穏に暮らせるのであれば易いものです」

「そう言ってくれるとありがたい、さて、任務は以上じゃ。ゆっくり休んでくれの」

「「はい!!」」

そういうと二人は、退室していった。
そして、彼らは、その下の階に設置してある控え室に足を運んだ。

そこには先客が数名居た。
先客達は、この二人を暖かく出迎えた。

「おかえり、二人とも」

「よっ、ご苦労さん」

「お疲れ、玉藻さんそしてナルト」

その言葉に二人は、手を上げて答える。
二人に対して、一番最初に声をかけた人物が、暖かいお茶とお団子を差し出した。

「ありがとう、アンコ」

「すまぬな、アンコ」

「いいのよ、これぐらいわ」

彼女の名前は、みたらしアンコという。

そして、二番目に声を掛けたの猿飛アスマ。
最後に声をかけたのは、はたけカカシという。

そのカカシが、二人に質問した。

「でっ、お二人さん。今日は何人だったの?」

それにはナルトが答える。

「俺と玉藻で合わせて18人だった」

「相手の強さは?」

それに追随してアスマが質問をした。

それにはナルトと玉藻の二人が答えた。

「そうねぇ、私の方は上忍と中忍の混合だったわ」

「俺の方は、上忍のみの編成だったな」

その答えを聞いて、アンコが口を開いた。

「すると、ナルトの方が本命だったのかしらね。
でも、敵ながら可哀想ね。この二人が相手じゃ・・・」

「全くだ、上忍と中忍で18人じゃ・・・数分と持たんな」

アスマがタバコを吹かしながら追随する。

「本当だよね、二人が味方でよかったと思うよ」

最後に、カカシが手に持っている本から眼を離し口を挟む。
それには玉藻が答えた。

「でも、減らない襲撃には疲弊するわ。ここの所、毎晩の様に各里から来るんですもの」

そして、ナルトも口を開く。

「だけど、この里の人達には、指一本触れさせない。
俺と玉藻の目標の為にも、敵は容赦無く潰す」

ナルトが冷ややかな口調で話す、玉藻を含め他の3人も彼の並々ならぬ決意と意思を知っている為に
何も言わずに頷く。
そのナルトの綺麗でクールな顔立ちから、放たれる言葉にウットリするアンコの姿があったりする。

そんなアンコは。

―――普段の愛くるしい笑顔と容姿とのギャップがまたたまらないのよね・・・。
それにあの姿になった時のフサフサした毛も暖かくて良いのよね・・・。

アンコがそんな思いに駆られている中、アスマが口を開いた。

「さっ、二人とも後は俺達に任せて家でゆっくり休みな」

それにカカシが付随する。

「そうだよ、二人ともここ2週間近く寝ずの任務だったでしょ。
疲れている筈だから、帰りなよ」

それには玉藻が受け答える。

「しかし、こう頻繁に襲撃があるのだ寝てなど居れん。それに私達なら大丈夫だ。
休憩の際に、仮眠を取っているから。まだまだ数日は行動出来るわ」

アンコがそれに口を挟む。

「そうかも知れないけど、二人とも休みなさいよ。何かあったら位の一番に知らせてあげるから。
それにナルトは、今の外見はともかく中身はまだまだ7歳の子供何だから、寝ないと背だって大きくならないわよ。
そんなんじゃ、女の子にもてないわよ」

最後の方は、カラカイ口調であった。
そのアンコの台詞には、ナルトではなく玉藻が反応した。

「そうね・・・それは困るわね・・・じゃ・・・皆の言葉に甘える事にしよう。
ナルト帰るわよ」

「・・・わかった、でも、アンコ絶対に知らせてね」

「わかってるわよ、あんたこそゆっくり休みなさいよ」

「わかった、ありがとう。じゃ・・・3人ともお休み」

「ああ、お疲れさん」

「お休み、ナルト、玉藻さん」

そういうとナルトと玉藻は出て行った。
残った3人は、開口一番アスマが口を開いた。

「しょうがねぇとは、言いたくねぇがあいつらに働かせすぎだな」

それには残りの二人も同意見の様で頷き、カカシが追随する。

「全くだ、これだけ里の力が弱まっているからとは言えるが。それをそのまま埋める形で
あの二人が動いている。しかもそれでその部分を補って余りあるほどに」

そして、最後にアンコが話し始める。

「そうね、ナルトは流石4代目の忘れ形見と言われて納得できるほどの実力だものね。
まだ、7歳よ。全く末恐ろしいわ、それにそれを上回る玉藻の実力もね」

―――本当の実力の理由は、流石にこの二人にも言えないけどね。
まぁ・・・時が来れば、里中に話すみたいだし、その時の二人の驚愕の顔が思い浮かぶわ。


上記に記載したナルトと玉藻の姿、1対の狐耳と九本の尻尾は、この里に入る前に消している。
その消さなければならない理由は、今この時点では多くの者に知られる訳にはいかないのである。
例え、仲の良い仲間だったとしても。

その理由とは、この里にとって絶大な意味を持つからである。



一方、詰め所を去った玉藻とナルトは、自分たちの住むアパートに帰っていた。
玉藻の姿は、同じく狐の耳と尻尾がないだけで同じであるが、ナルトの姿は変わっている。
否、元の姿に戻ったと言った方が正しい。

現在のナルトの姿は、金髪なのは変わりないが同じ金髪でも寄り黄色がかかった金髪に青い瞳をして
体の大きさも先ほどの姿からは想像出来ないほど小さくなっている。
先ほど、詰め所に居た時は、180㎝位だったのに対して現在は140㎝ほどであろうか。

あの姿の正体が現在のこの姿である事は、極一部の人間には知れている。
先ほどの3人と火影は、当然知っている。

そして、今現在、玉藻と共にベットで布団に包まって寝息を立てている。
その愛らしい姿に一緒に寝ている玉藻は、まるで聖母の様に微笑み見つめている。
ナルトの頬に起こさぬ様に、優しく口付けをして彼女も眠りについた。





寝ているが改めて自己紹介を。



「俺の名前は、うずまきナルト。今年でちょうど7歳になった、俺には生まれつき両親と呼ばれる者達は居ない。
父親は、7年前のとある事件で命を落とし、母親は俺を生んだ時に亡くなっている。
何故、俺がこの様な事を知っているのかというと、それは今俺と一緒に寝ている彼女、玉藻に教えてもらったからだ。
もっとも、母親の生死については先ほど、会った火影の爺ちゃんに教えてもらったのだけど。
この玉藻と初めて出会ったのは、今から3年ほど前だった。
あの時は、突然自分の目の前に姿を現したからとても驚いた。
 それまで肉親と呼べる者は、無くて、毎日寂しくて悲しくて、辛かった。

 そんな俺の前に、玉藻は現れた。その時の玉藻の表情は、3年過ぎた今でもハッキリと思い出せる。
本当に暖かくて陽だまりの様で、春の微風の様に優しい顔をしていた。ただ、少しばかり悲しい顔をしていた。
当時の俺は、7年前の事件の影響でこの里の人たちに、苛烈とも言える暴行を受けていた。
それもほぼ毎日の様に、その時は何故その様な事になるのか、全くわからなくて、同じ様に毎日疑問を浮かべていた。
そして、彼女の出現と同時にその理由を全て教えてくれた。

 彼女は、今現在人の姿をしているけど、本当の正体は、7年前の事件、そうこの里において最大最凶の出来事と称される
九尾襲来の当人だったんだ。最初に出て来たでしょ、狐の耳を生やして、九本の尻尾を持った存在を。
その姿は、九尾が人型になった姿なんだ。その力は、九尾そのもの。本来の九尾は、山の様にとは言い過ぎかも知れないけど
それでも大きく、金色の体毛に人型とは違い、深紅の瞳を持つ正に、火の化身とも呼べる姿なんだ。
 
 何故、俺自身もその姿をしているのかというとね、それは俺の父親の使った術の影響だったんだ。
 
 その術は、本来であれば俺に九尾の力を俺自身の力として変換する筈だったのだけど、何故か俺と九尾は融合してしまったんだ。
でも、九尾の姿であった玉藻が必死に抵抗したお陰で、完全なる融合にはならなかったのだけど、それでも俺に九尾としての力が
宿ってしまった。だから、俺も九尾の人型の姿も出来るんだよ。それともちろん獣の姿にも変わる事が出来る。
本来なら、そんな力の源である玉藻に怒るか恨むかするんだけど、彼女が現れて泣きながら全てを話してくれたお陰で
そうはならなかった。
 
 玉藻をはじめとする九尾一族は、この木の葉を含む火の国の守り神だったんだ。
そんなある時、玉藻にも子供が居たんだ。もちろん、子供でも特徴的な九本の尻尾は存在するんだけど、その子供達をね
この里の誰かが、殺してしまったんだ。それが故意だったのか、偶然だったのかは、今となってはわからないんだけど。
お腹を痛めて生んだ我子を殺されても最初は、玉藻も耐えたんだ。
 
 自然の摂理、弱肉強食というものには、如何な大妖九尾と言えど逆らえないから、でも、それが何度も何度も繰り返されたんだ。
それを食したりするのであれば、玉藻も悲しい気持ちに苛まれるであろうけど、納得も出来る。
だけど、それが唯単に玩具の様に殺されて、玉藻の中には悲しみと憎悪が生み出されてしまったんだ。
当然だよね、人間なら一人の子供を殺されて黙っている親など居る筈も無い、それが何度も繰り返され果ては、玉藻から
全ての子供を奪ってしまったんだ、同じ要領で・・・。その時、玉藻は怒りと悲しみ、そして、憎しみに苛まれ我を忘れていたんだ。

 そして、あの事件が起こった。
 玉藻が我に返った時、目の前には火の海と化した里と、大蝦蟇に乗った俺の父親である4代目火影の姿があったんだ。
親父も玉藻を何度も説得しようとしたみたいなんだ、九尾という存在がこの里と国にとってどういう存在であるか
知っていたから。でも、我を忘れた玉藻にはその声は届かなかった。
 我に返った玉藻は、術をかけられていた。
だけど、それでも最後には漸く親父の言葉が届いたんだ、その心の底からの思いと共に。
最後に親父は、玉藻にこう呟いた。
{息子の力になってやってくれ}とそして、親父は息を引き取った・・・。
それと同時に、玉藻は俺の体内へと内包された、そこで起こったのが融合し始めた玉藻と俺であった、
そして、玉藻は必死にそれを防ぎ、完全な融合には成らず、自分の意思と僅かな力を残す事に
成功したんだ。でも、その作用で俺には九尾の力と能力が注ぎ込まれてしまったんだ。
その事態に気が付いたのは、玉藻が出てきた4歳の時。

 それまでの間、玉藻は内側から俺の様子を眺めていたそうだ。
事情を全く知らない俺に毎日の様に浴びせられる罵声と暴行、その全ての原因が自分であるとわかっていた玉藻は
思い悩み、苦しんだんだ。自分は、本来であれば護らねば成らぬ里人を殺し、この様な幼い子供の虐めの原因に
成った事に。そして、何より集団で暴行を受ける俺に、自分の殺された子供達が重なって見えたそうだ。
それに悔やみ苦しんだ玉藻は、自分が殺される覚悟で俺の前に姿を現したんだ。
 幼い俺を怯えさせない様に、優しく暖かい表情で。
でも、全ての事情を聞いた俺は、玉藻を怒る事なんて出来なかった。
だって、程度の差はあっても、玉藻のした事は仇討ちだったんだから・・・。

でも、その理由を簡単に里人達に話す事は出来なかった。
彼らが怒るのも当然だし、だけど、今の状況が長く続くのはとても悲しい・・・。
だから、俺は、罪の無い里の為にもそして、罪な無い玉藻の為延いては、九尾一族の為にも頑張ろうと思ったんだ。
そして、俺の力の事を聞いてからそれを活かせる様に、玉藻に修行を見てもらってそれから、俺と玉藻は
二人で話し合った結果、火影の爺ちゃんに事情を全て話したんだ。

最初は、驚いた爺ちゃんだったけど、玉藻の真剣で真摯な行為と襲撃の理由を聞いて納得してくれた。
そして、それから3年俺達は、この木の葉を護るべく、暗部として任務を遂行しているんだ。
いつか、九尾一族とこの里人達とを和解させる事を夢見て。
だからこそ、里人達には俺達が、指一本触れさせない。
という思いは、他の誰よりも強い、玉藻の場合は罪滅ぼしの意味もあるんだけどね。


その第一歩と言う訳ではないけど、暗部仲間の一人でさっき詰め所に居た、みたらしアンコには
俺と玉藻の正体は、知っている。
最初は、少しずつでいいから火影の爺ちゃん以外にも知ってもらいたかったんだ、例え、罵声を浴びさせられようとも
でも、以外にもアンコは、普通に受け入れてもらった。
しかも最後には{そんな事されたら、私だったら里人全員殺してるわ}だった。

あまりにもスンナリ受け入れられた事に驚いたが、焦りは禁物だ。
少しずつ話せそうな人を見つけて、理解してもらえればと思っている。

自己紹介が長くなってしまったね、そろそろ、夜も明けるからこの辺りで終わろう。
また、明日から頑張らなくっちゃ」




翌日、時間にすれば朝8時に眼が覚めた。
俺が目を開くとそこには、玉藻の優しく微笑んだ顔が目の中イッパイに広がっていた。

「おはよう・・・ナルト・・・もう起きる?」

「おはよう・・・うん・・・起きるよ、玉藻はずっと起きていたの?」

「違うわ、さっきまで寝ていたの。だからごめんなさい、朝ご飯もう少しかかるから」

「いいよ、ゆっくりでさ。どうせ、昼間は殆どする事はないんだからさ」

「そうね、さっ・・・顔を洗ってきなさい」

「うん・・・・」

洗面台の前に行き、台を置いてその上に乗り、鏡の中に自分の顔が映り込む。
当然の様にいつもと変わらない顔だった。
でも、3年前のあの時以前は、もっと暗く淀んだ顔と瞳をしていた。
やはり、幼い年齢で両親が居ないという事に寂しさを感じていた毎日。
それが突然終止符がやってきて、母親であり、姉である玉藻が家族になってくれた事が
彼にとって一番嬉しい事であった。

それから少しずつではあったものの、淀んでいた顔が彼本来の太陽の様な笑顔を取り戻していった。


ナルトが、テーブルに戻る頃には朝食は出来上がり、暖かい湯気をたてていた。
席に座り、二人一緒にご飯を食べ始めた。

そこで玉藻がナルトに聞いた。

「ナルト、今日はどうするの?」

「うん、久しぶりに森に行って来るよ。最近、忙しかったから全然行ってないからね」

「そう、気をつけてね。私は今日買出しとかに出かけるわ、何か欲しい物があったら後で教えてちょうだい」

「わかった」


それから半時ほど経って、食事も終えて歯を磨き、黒っぽい洋服を来てナルトは玄関に立った。

「じゃ、行ってきます!!」

「いってらっしゃい!!」

玉藻の言葉を背に受けてナルトは、下の階に続く階段ではなく、上の階に向かって走っていく。
その屋上に着くと、素早い動きで屋根を飛び移りながら移動する。
街中に出て運が悪ければ、また暴行を受けるからだ。

そして、その傷ついた姿で部屋に帰れば玉藻が悲しむ事を彼は知っている。
だからこそ、極力移動は屋根を通り里人と出会わない様にするのだ。
しかしそれが、彼にとっては歯痒い。
もっと大手を振って街中を練り歩き、出会う人々と笑顔で挨拶がしたいと
小さい望みではあるけれど、今の彼からすれば大きすぎる望みでもあった。

暫く、ナルトが屋根を移動していると声がかかった。

「おお、ナルト」

「あっ・・・イビキさん、おはようございます」

「ああ、おはよう。昨日はお疲れさん、今日は、火影様が休みにして良いって言っていたぞ。
俺もこれからその旨を、玉藻さんに告げに行こうと思っていたんだ」

「えっ・・・そうなんですか?わかりました、玉藻なら今家に居るから教えてあげてください」

「ああ、お前も気をつけてな」

「はい、ありがとうございます」

そういうと彼は、去っていった。
今の彼の名前は、森野イビキ。
彼もまた、ナルトの本当の正体を知らないけれど、同じ暗部として行動する仲間の一人だ。
強面の顔と声色からは、想像も出来ないほど根は優しい人物である。
昨晩は、彼も別任務の為にあの場所に居なかっただけである。

クスッ・・・・。

ナルトは、一つ笑みを浮かべてまた移動を開始する。
こういう何気ない光景が、彼にとっては何より嬉しかった。

ナルトが暫く移動すると森にやってきていた。
この森は、通称{火の森}と呼ばれており、滅多な事では里人はおろか
忍び達もやって来ない、何故ならこの森こそ7年前に玉藻が姿を現した場所だからだ。
そして、この森の先には、大きな山並みが広がっている。
その山の名前は、狐来山と言ってその名前の通りここも7年前の九尾襲来に因んで名づけられた。

だけど、彼にとってみればそんな事は、どうでもよかった。
そして何より、彼にとって一番安心して遊べる場所でもあったからだ。
その森に入ると、多くの動物達がナルトを出迎える。

その彼らは、知っている彼が九尾一族である事を。
しかし、それでも彼らは拒絶などしない。
本能的に彼に全く敵意が無い事を知っているからだ。
そして何より、九尾という存在の意味を理解しているからだ。

深い森の中まで進む頃には、ナルトの周りを動物達が囲んでいた。
幼い動物の子供達は、ナルトと遊ぼうとじゃれて来る。

それをナルトもわかっているので、精一杯遊ぶのだ。

時間の経過とは、あっと言う間で気が付けば昼を過ぎ、闇が森の中を支配する。
ナルトは、動物達と別れを告げ街へと戻ろうとした時、彼の鼻に匂いが漂ってきた。
その匂いは、微かな人間の匂いであった。

ナルトは、九尾との融合の折、嗅覚や聴覚までもそれに準じていた。

「敵意は、全く無いな。数は一人?こんな時間に・・・誰だろう。
でも、夏ならともかく今は冬だ。このままじゃ・・・凍えちゃうな・・・
あまり、今は関わりたくないけど・・・見捨てられないな。
大人じゃなければ、いいんだけどなぁ・・・」

そういうとナルトは、匂いのする方向へと走っていった。

何故、彼が大人でなければ良いと言うのかと言えば、やはりあの事件に起因する。
大人達の間で、ナルトが九尾だと言う噂が立ったのだ。
それを聞きつけた火影が、これ以上それが広まらない為に、緘口令が敷かれたのだ。
その為、現在子供達の多くは、この噂自体知る事はないのである。


ナルトが匂いの元に辿り着くとそこには、綺麗な桃色の髪の毛を持つ、小さな女の子が木に寄りかかり
俯きながら泣いていた。
どうやら、この森に迷い込み、奥の山の麓までやって来てしまった様だ。

日も暮れて久しく、辺りの気温は、冷え込みを増していた。
その証拠に、少女は体を小さく震わせていた。

少女の親も今頃探し回っているかも知れないが、ナルトの嗅覚と聴覚が届く範囲には、他の人間の匂いも
足音、そして声も聞こえない。
恐らく、別の場所を探しているのであろう事が想像できる。

ナルトは、少女にそっと近づき声をかけた。

「どうしたの?」

その声に、少女は涙に濡れた瞳をナルトに向けた。

「うっ・・・道に迷っちゃったの・・・それで帰れなくなっちゃったの・・・」

「そう・・・ここから里までかなり距離があるね・・・」

「えっ!!それじゃ・・・私・・・ここで死んじゃうの?」

「大丈夫だから泣かないで・・・でも、ここは寒いからあそこの洞窟まで行こう」

ナルトは、少女の目線まで体を落し指を指す。
そこには、あまり大きくは無い洞穴が開いていた。
ナルトは、少女の手を優しく取るとそのまま洞穴までやって来た。
そこで、ナルトは木々を集めて、術で火を熾した。

暗かった洞穴が、焚き火の火で露になり辺りを照らしていく。
それと同時に、冷え込んでいた空気も遮られて、少女とナルトを暖かさが包み込む。

「あの・・・ありがとう」

「いいよ、もう寒くはない?」

「・・・ちょっとだけ、まだ寒いわ」

「そう・・・」

ナルトは、少し困った顔をする。
彼女をこれ以上暖かくする方法を、ナルトは知っているが
それをすると、少しばかり不味い状況となる。
だけど、今だ若干の不安の残る顔をしている少女を見ると
そんな事は、どうでもよくなった。

「君、名前は何ていうの?」

「私は・・・春野サクラよ、あなたは?」

「俺?俺は・・・ごめんね、名前は言えないんだ」

「お名前、無いの?」

「ううん、そうじゃないけど。今は言えないんだ」

「・・・わかったわ、聞かない」

「ありがとう・・・それよりサクラちゃん」

「何?」

「もっと暖かくしてあげるよ、でも、これは君と俺との秘密だよ」

「秘密?」

「うん、お父さんやお母さんには内緒だよ。出来るかい?」

「・・・わかったわ、内緒ね」

「うん、ありがとう」

その言葉を聞いてからナルトは、自身の体を変化させた。
一瞬、ナルトを白い煙が覆った。
その光景に、驚いて眼を見開くサクラ。

しかし、その煙が晴れると彼女の目前に大きな狐が現れたのだった。
その大きさは、全長5・6mはあろうかという程であった。

ナルトが、顔を向けると今だ驚きで固まっているサクラの姿があった。
そんな彼女に、ナルトは優しく語り掛ける。

「さっ・・・サクラちゃん。俺に抱き付きな、そうすればもっと暖かいから」

その言葉に我に返ったサクラは・・・。

「うっわぁぁ・・・大きな狐さん!!」

「サクラちゃん、怖く無いの?」

「ふぇ!?怖くはないわ、ちょっと、ビックリしちゃっただけよ。
ねぇ、この毛触っても良い?」

「もちろん」

「うっわぁぁ・・・フサフサしてる・・・。それに暖かくて良い匂い、あっ・・お日様の匂いだ」

サクラは、その手触りの良い体毛に体ごと抱きついた。
そんな彼女をナルトは、体を丸める様に優しく包み込む。
暫くすると、余程疲れていたのか、それとも暖かさに不安だった心が一掃された事により
安堵したのか、彼女は寝息を立て始めていた。

ナルトは、その幼い寝顔を少しの間見つめていた。
しかし、彼女の震えも止まり、暖かさに包まれてこちらは解決したが
彼女の両親は、今も必死に探している事であろう事は容易に想像できる。

そう思ったナルトは、洞窟の外に顔を向けて遠吠えを二回ほどした。
幸いにもサクラは、それには気が付かないで眠っていた。

時間にすれば、半時ほど経つと、その洞穴に人影がやって来た。

「ナルト」

「玉藻・・・ありがとう、来てくれて」

「それはいいのよ、でも心配したわよ。またあなたが怪我をしたんじゃないかって」

「ごめんなさい、それより玉藻。この子を家まで送り届けて上げて欲しいんだ」

「それは御安い御用よ、この子の名前わかる?」

「うん、それは聞いた。春野サクラちゃんだよ。
たぶん、両親は心配しているだろうね・・・。」

「そうね、でも、ナルト。この子あなたのこの姿見たの?」

「うん、寒そうにしていたからね、しょうがなくね。でも、驚かせてしまったみたいだけど
怖がる事はなかったよ」

「そう・・・よかったわね。いいの?自分の自己紹介しなくて?」

「うん・・・残念だけど、まだ言えないよ。
だから、彼女にはこの事を夢だと思ってくれれば良いんだけどね」

「まぁ、今はそれで良い事にしましょう。さてと」

そう言い終ると玉藻は、優しくサクラを抱え姿を消した。
ナルトは、去った跡を暫く眺め、火を消して姿を元に戻して自分の家へと走っていった。
やはり、彼は寂しいのである。
何故なら、彼には居てもおかしくない同年代の友達と呼べる者は未だに居なかった。

だが、あの少女サクラとは数年後、また出会う事をこの時ナルトは、知らなかった。



一方、里ではナルトの考えていた通り、サクラの両親が必死に彼女を探していた。
その両親だけでなく、知り合いの忍者にも協力を仰ぎ探していたのだ。

だが、それでも見つからない。
そんな中、探している者達は集まった。

「何処に行っちゃったんだろうね、サクラちゃんは?」

そう言ったのは、この里の上忍であり、旧家と呼ばれる家柄で
山中イノイチという。

「全くだ、これだけ探していないとなると・・・」

それに追随したのは、同じく上忍であり、旧家である奈良シカクという。

「森のほうか・・・・・」

最後に付け加えたのは、秋道チョウザと言い、上の二人と同じ上忍であり、旧家である。
この3人、里では知らぬものは無しと言われるほど有名な忍びで、猪鹿蝶トリオとして有名である。
その実力も、里内でも上位に位置している。

その3人の呟きに、サクラの両親は顔面を蒼白にする。

「そんな・・・火の森だなんて・・・何でそんな所に・・・」

「まさか、狐の化け物に攫われたんじゃ・・・・」

その両親の呟きに、イノイチが反応した。

「お二人ともその事は言わない方がいい、それに狐が化け物だなんて滅多な事を言うものじゃないですよ」

「そうだ、それに九尾だって何か事情があってこの里を襲った見たいだしな」

「ああ、俺達も当時4代目と一緒に前線に居たからなぁ、どうもあの九尾は、訳ありな感じだったよ」

イノイチの言葉に、シカクとチョウザが追随する。

「そうだとしても・・・あの森には他の獣だって居るんですよ」

サクラの母親がそう呟いた時、彼らに声がかかった。

「あら、お三方。どうされたんですか?」

それに気が付いたイノイチ。

「おや、玉藻さんじゃないですか」

そして、シカクが付け足す。

「いや、ちょっと子供を捜していましてね。5歳ぐらいの、桃色の髪をした女の子なんですが。
見ませんでしたか?」

「ええ、見ましたと言うより、この子では?」

そういうと玉藻は、背中を向けた。
それを見たサクラの両親は、嬉しさと安堵感で声を上げようとしたが、玉藻に止められる。

「お静かに、今グッスリ寝ていますから。起こすのはかわいそうですよ」

「ああ、そうですね。どうもありがとうございます」

「さっ・・お家に連れ帰って寝かせてあげてください。疲れているみたいですから」

「わかりました、本当にありがとうございます。玉藻さん」

サクラの両親は、サクラを背におぶって家路に付いた。
それを見ていたイノイチが玉藻に話しかけた。

「玉藻さん、あの子は何処に居たんですか?」

「あの子は、ちょうどこの森を抜ける辺りで凍えながら蹲っていました」

「そうだったんですか」

それにシカクが、反応した。

「でも、本当に見つけたのは私では無く、ナルトなんですよ」

「えっ・・・ナルト君がですか?」

それに少し驚いてチョウザが聞いた。

「ええ、あの子には今友達が居ませんから。森でしか遊ぶ場所がないですから・・・」

「「「・・・・・」」」

その答えに口を閉ざすしか出来ない3人。
だが、この3人は、本当の事実を知っている。
ナルトが九尾の化け物でない事も、そして、彼らの尊敬すらしていた4代目火影の忘れ形見である事も
知っている。いや、これはこの3人に限った事ではない。

所謂、旧家や名家と呼ばれる者達は、皆この事実を知っているのだ。
ただ、本当の意味での事実が別にある事は知らない。

そうだと言うのにも関わらず、ある意味では里の英雄と言っても過言ではないナルトを
追いやり、里の外でしか遊ぶ場所を提供できない事実に3人は、実に情けなくなった。

そんな中、イノイチが口を開いた。

「玉藻さん・・・良かったら今度、家にナルト君を連れてきてあげてください。
私の所にも、娘が居ますから、ナルト君より二つ年下ですけど。
あの子なら彼を受け入れてくれるでしょうから・・・」

「そうですよ、家にも一人馬鹿息子がいます。それにチョウザの家にも男の子が居ますからね。
よかったら、来てくださいよ。」

「ええ、ナルト君なら大歓迎です」

「・・・ありがとう・・・その言葉を聞いたらあの子は、飛び上がって喜ぶでしょう。
今ちょうど、お友達が欲しいとは口にはしていませんが、思っている筈。それぐらい私にもわかります。
同じ年頃の友達と遊べず、知り合いは、皆年上ばかりで、それも少数の暗部の人達ばかり。
あの子には、もっと年齢相応に遊んで欲しいと思っていた所なんです。
だから、今度是非お伺いさせてください」

「ええ、いつでも来て下さいね。じゃ・・・俺達は帰ります・・・」

そういうと彼らは、去っていった。
残った玉藻の表情も何処か嬉しそうであった。
そして、今頃家でお腹を空かせている我子に、この話をするべく
足早にその場を去った。


後日、サクラは森での出来事を確りと覚えていたが、決してナルトの事を両親に言う事はなかった。
ただ最初は、サクラ自身夢であると思ったのであるが、衣服についていた金色に輝く体毛がそれを夢で無いと教えてくれたのだった。
そして、その彼女はナルトの事を森に住む神様だと勝手に誤解をしていたのだ。
その神様の体毛を彼女は、綺麗な白いハンカチで包み小さな巾着に詰め、お守りとして大事にするのであった。


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漸く、ナルトを復活させられました。
以前の物と設定は、同じですが、話の進み具合が若干違いがあります。
外伝で載せていた物を本編に折り込みましたので、前回以上に原作の始まりまで行くのに数話要すると予定しています。

後、前回イタチの登場は、原作通りの進行で記載しましたが、今回は、次回の第2話で登場します。

前回からお読みいただいている方、それから今回からお読みいただく方、これからよろしく、お願いします。

EVAの方も着々と出来上がっていますので、近々アップさせていただきます。
両者ともに、完結まで頑張ります。


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