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No.4701の一覧
[0] 砲撃生徒異世界奮闘記(リリなの系オリ主(少々御大成分入り)→ネギま):小ネタ分多め [あず吉](2009/05/26 23:11)
[1] プロローグ「Missing In Action」[あず吉](2008/11/05 19:55)
[2] 第一話「ケ・セラ・セラ」[あず吉](2008/11/06 22:52)
[3] 第二話「執務室にて」[あず吉](2008/11/05 20:05)
[4] 第三話「モスクワは涙を信じない」[あず吉](2008/11/05 20:11)
[5] 第四話「初仕事」[あず吉](2008/11/05 20:19)
[6] 第五話「変に律儀」[あず吉](2008/11/06 06:08)
[7] 第六話「学園長直轄砲兵」[あず吉](2008/11/05 20:32)
[8] 第七話「ゴールデンクラッシャー」[あず吉](2008/11/09 23:33)
[9] 第八話「ライオンの皮を被った驢馬」[あず吉](2008/11/13 21:28)
[10] 第九話「キノコだと名乗った以上は編み籠に入れ」[あず吉](2008/11/16 16:03)
[11] 第十話「バタフライ効果」[あず吉](2008/11/21 22:53)
[12] 第十一話「地底図書室」[あず吉](2008/11/29 02:37)
[13] 第十二話「学園放浪&弟子二号交流記」[あず吉](2008/12/02 23:03)
[14] 第十三話「始業式前後」[あず吉](2008/12/08 21:22)
[15] 第十四話「荷馬車から落ちたものは、失われてしまったもの」[あず吉](2008/12/15 22:09)
[16] 第十五話「嵐の前」[あず吉](2008/12/31 18:34)
[17] 第十六話「暴風警報」[あず吉](2009/01/08 23:04)
[18] 第十七話「狸穴町」[あず吉](2009/01/17 21:49)
[19] 第十八話「晴れた空、そよぐ風」[あず吉](2009/09/20 21:07)
[20] 第十九話「デウス・エクス・マキナ」[あず吉](2009/02/13 16:19)
[21] 第二十話「"悪人"の仮面」[あず吉](2009/03/02 21:29)
[22] 第二十一話「"悪い"お兄さん」[あず吉](2009/03/13 22:10)
[23] 第二十二話「突撃砲兵(上)」[あず吉](2009/04/30 22:52)
[24] 第二十三話「突撃砲兵(下)」[あず吉](2009/04/01 05:42)
[25] 第二十四話「パスハ」[あず吉](2009/04/16 19:07)
[26] 第二十五話「乳母が七人いると子供に目が届かない」[あず吉](2009/05/19 01:15)
[27] 第二十六話「埼玉県警麻帆良署」[あず吉](2009/05/19 01:15)
[28] 第二十七話「一日をくださる神様だもの、一日の糧もくださるだろう」[あず吉](2009/05/26 23:10)
[29] 第二十八話「熊の親切」[あず吉](2009/06/09 23:47)
[30] 第二十九話「汝平和を欲さば、戦への備えをせよ」[あず吉](2009/06/25 17:55)
[31] 第三十話「雨降って地固まる」[あず吉](2009/07/10 21:45)
[32] 第三十一話「雨に唄えば(上)」[あず吉](2009/08/18 23:05)
[33] 第三十二話「雨に唄えば(中)」[あず吉](2009/08/18 23:05)
[34] 第三十三話「雨に唄えば(下)」[あず吉](2009/09/04 21:59)
[35] 第三十四話「会議は踊る」[あず吉](2009/09/19 22:07)
[36] 第三十五話「華麗なる日々」[あず吉](2009/10/08 22:11)
[37] 第三十六話「どんでん返し」[あず吉](2009/10/19 20:28)
[38] 第三十七話「祭りの後(上)」[あず吉](2009/10/25 22:17)
[39] 第三十八話「祭りの後(下)」[あず吉](2009/11/12 22:39)
[40] 第三十九話「不確定」[あず吉](2009/11/21 23:37)
[41] 第四十話「あら何ともなや きのふは過ぎて 河豚汁」[あず吉](2009/12/08 22:51)
[42] 第四十一話「戦線拡大」[あず吉](2010/01/02 15:44)
[43] 第四十二話「千客万来」[あず吉](2010/02/17 22:01)
[44] 第四十三話「開幕前後」[あず吉](2010/02/17 22:09)
[45] 第四十四話「運動の第一法則」[あず吉](2010/03/13 21:47)
[46] 第四十五話「苦労しなくては池から魚は引き揚げられない」[あず吉](2010/04/06 21:44)
[47] 第四十六話「メフィストフェレス」[あず吉](2010/05/06 23:33)
[48] 第四十七話「狐と狸」[あず吉](2010/06/16 23:01)
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[4701] 第四十四話「運動の第一法則」
Name: あず吉◆d1f0c29b ID:8dd07ffc 前を表示する / 次を表示する
Date: 2010/03/13 21:47
試合前、ぐにゃぐにゃくねくねしたウォーミングアップを済ませてバリアジャケットを展開する。相手が相手だからいいのだ。
それに今から使うのはこのモード限定の魔法だ。

「ジュラーブリクモード、発動準備開始」
バリアジャケットは最低限、ボーダーシャツとカーゴパンツ、そしてブルーベレー。それだけの格好。
『前回もそうでしたが、これを使うしか無いとは楓さんは恐ろしい方ですね』
滅多に使えない、切り札の1つ。高機動・軽装甲形態であるジュラーブリクモードでしか使えない。
前回は段階的に使ったが、今回は最初から全開で使う。

「会場では砲撃が出来ないからなあ。それで勝利を収めようと思ったら、これを使うしかないだろ?」
戦場は武道会の会場、狭いし、相手が高機動型忍者、悠長に照準をつける暇がありません。
対応策はあるが、場所の関係で一寸なあ…。
そういう訳で近接戦闘主体となり、そこから勝率を高める為にはこれを使うのが一番だ。


因みに、長距離砲撃主体の癖に高機動形態を持っているのにもちゃんとした理由がある。
一つは高機動目標対策。相対した敵がそんなのだった場合、対抗手段を持つ必要がある。
通常、長中距離砲撃による濃密な弾幕を張ると足止め出来る。それと連動したフロントアタッカーの迎撃で大抵の奴は仕留められる。
が、中にはその濃密な弾幕や迎撃を突破出来る奴も居る。ハラオウン執務官とかな。
そんな奴がこっちに来た場合に防御重視で加速があまり良くない、とは言え陸戦には十分だが、形態では翻弄されてお終い。
だから対抗手段を作ったのだ。

ただし、ほとんど使った事ないがな!演習や模擬戦で数回使っただけだ!
実戦投入は前の楓ちゃん戦が初めてだ!!


もう一つは移動目的。
砲兵は射撃地点から射撃地点への移動をよくする。カウンターバッテリーアーティラリー(対砲兵砲撃)対策だ。
居座っていれば、どこから撃っているのかがバレてしまって反撃を受けるからね。
依って、素早い撤収・移動・展開は近代砲兵の必須技能である。
展開は身一つの魔導師にはあまり関係ないが、撤収と移動は必要である。
次の射撃地点への迅速な移動は必要不可欠だからだ。と言う訳で最高速がすぐ出せるこれを使うのだ。

とは言え、長距離砲撃・狙撃モードであるククーシュカでもそこそこの加速性能なので急ぐとき以外使わないけどな!

最後にもう一つあるが・・・。まあいいや、一寸情けないし。



****




「さあー、第三試合の開始です。かたや特殊部隊、かたや忍者、歴史の陰で暗躍してきた者同士の戦いです!!」
パパラッチのアナウンスに合わせて舞台に向かう。
「帝政時代からの軍人家系、スペツナズの血と技術を受け継ぐ男、アンドレイ・セルゲビッチ・コンドラチェンコ選手!!噂では甲賀出身、分身の術まで使えば言い逃れは出来ないぞ!!くのいち、長瀬楓選手!!」
ちとハズい紹介。まあ、間違っちゃあいないけどな。

「このカード、どう見ますか豪徳寺さん」
「そうですね。長瀬選手が本当に忍者とすればこれは面白い組み合わせですよ。コンドラチェンコ選手の技術、システマと同じ源流だそうですが、はロシアの様々な伝統武術を元に理論的思考を用いて作られた物であり、かたや長瀬選手は歳月と共に培われ、継承されていった伝統技術です。双方ともコンバット・プルーフは十二分すぎるほどに済まされています。理論対歳月、これは楽しみですよ」
解説の豪徳寺さん、真っ当な勝負を期待している所悪いのですが、今から繰り広げられるのはその対極的構図です。
そうして、向かい合う。と、珍しい物を再び見る。
「アリョーシャ殿…、お主とは一度本気で当たってみたいと思っていたでござるよ」
両目を開いた楓ちゃん、本気なんだなあ。こういう時は全力で戦わないと失礼なので、首の後ろ、延髄辺りを触って一寸したお呪いをしておく。
じゃ、本気で行かせて貰うよ。

「Fight!!」次の瞬間、観客は目を丸くしたはずだ。
「流石でござるなあ」何時の間にか僕の立っていた位置に楓ちゃんが立っていて、楓ちゃんの立っていた位置に僕がいるのだから。
「縮地だったっけ?僕もとある魔法を使えば似たようなことが出来るのだよ。その一部だけどね」高速で移動した事は風が証明している。


「いつの間に入れ替わったの?」
「さすが楓姉ちゃんと言いたい所やけど、アン兄ちゃんもやんなあ」
「あれが「縮地」のほぼ完成形です。アンドレイさんの方は違う原理を使っているのでしょうが、同等の動きです」


再び向かい合い、「それではこれで」印を組む。と同時に現れる分身、その数四つ。
「出たぁーっ!!分身の術!」
分身による四方向同時攻撃、こういう時の対処は簡単。攻撃が修正不可なポイントに到達するまで動かず、その瞬間にブリッツアクションを使う。
そうすれば攻撃は空を切る。簡単すぎて逆に難易度が上がってるけどな。

躱した後、四人の内一人の足に足を絡めて重心を崩させ、任意の方向に倒して転がす。
すると簡易障害物の出来上がり。すぐに起き上がられない様に踏んづける事も忘れずに。
障害物のある方向は走り抜けが出来なくなり、飛び上がるか止まるしかなくなる。

飛び上がった方の足を掴み、そのまま跳ね上げる。
するとぐるりと回転し、重力により頭の方から地面に叩き付けられる。

止まった方は殴りかかってきたがボクシングで言う所のパアリングの要領で逸らし、その隙間に鳩尾狙いの肘カウンター。
ついでに踏んづけている方の足に重心を掛けてあげましょう。余計に動きにくく且つ痛くなります。顔だから余計にな!

最後、後ろからの回し蹴りには膝の力を抜いて屈んで躱す。
そのまま寝転がり、軸足に両足を絡ませる。我が家式やその原型となった近接戦闘術、更には親戚に当たるシステマはいやらしい足の使い方が特徴の一つなのだ。
足が絡んだまま腰を動かせば簡単に倒れる。背が高いと重心崩しに弱くなるのだ、片足立ちだと更に。


「いやあ、実に見事な、「柔よく剛を制す」な動きですね」
「と言いますと、豪徳寺さん」
「先程の一連の動き、ほとんど力を入れずに行っています。それにより身体が柔軟に動かす事が出来ます。しなやかであるが故の強さ、それを体現した動きですよ」


と、何時の間にか分身は消え、適当な距離を取っている楓ちゃん。
「以前に見たときも思ったでござるが、実に質の悪い戦い方でござるなあ。乙女の顔を足蹴にするとは」
軍隊、それも特殊戦部隊由来の格闘技だもん、質が悪くて当然。つーか、踏んづけてたのが本体だったのね、頬にうっすら靴の跡が。

「だからこそ、拙者も遠慮無く行けるでござるよ」再び分身が襲い掛かる、その数なんと15。3、4人ならさっきみたいに捌けるが、流石にこの数ではなあ。
今度は虚空瞬動まで使っての攻撃だ。
本来こういう相手には弾幕張って対処するのだが、観客席への付随被害がなあ。当たっても死なないからいいかもしれないが、色々と問題があるし。
だからこそこのモードであり、限定解除をしているのだ。

「な…何と、アンドレイ選手、15人からの攻撃全てを回避しているー!?まるでUFOの様な機動だーッ!!」
「これは?」
「いやーその、瞬動等を極めるとあの様な動きが…、出来ませんね。何なのでしょう、あの動き」

全ての攻撃を躱す。言ってしまえば至極簡単だが、常識外れの動きが要求される。
水平垂直両方向の直角ターンに鋭角ターン、絶対重心じゃねえだろな場所を軸とした回転等々。様々な変態機動を駆使して躱していく。
更には即時最高速・即時停止なメリハリ付き過ぎな緩急とを付けたら未来軌道の予測は無理で、見通し射撃が出来ません。
オマケに「魔女の眼」で天頂からの視界まで得ているのだから、躱せて当然と言っても良い。…それでも大変な事には変わりはないけどな。判断するのは自分だし。
楓ちゃんの攻撃、鋭いし、直感が優れているのかして、危うい弾道描くし。


「ハカセ、どう見るカ?運動の法則を無視している一連の動きを」
「…解りました。アンドレイさん、慣性制御を使っています。…と言うかそれでしか説明が付きません」
「そうカ、私もそれを考えていたヨ。あんな動きをされては流石のかえでサンでも当てられないネ、人間はどうしてもニュートン力学の範疇で物を考えてしまうものだからナ」
「あの機動の数々を説明しようとするとこれでしか説明がつけられません。何なんですかあれは!慣性質量がゼロの状態にするのは理論上は可能である事は解っています、アンチグラビティシステムや同原理の飛行魔法を使用すれば可能でしょう。しかし、実際に行おうとすると一体どれだけの演算能力が必要とされる事か解ったものじゃありませんよ。実行するにはカシオペアの制御用AI級の能力が必要ですが、何故アンドレイさんがその様な物を保有しているのか、そこも問題ですよこれは。ひょっとして渡した量子コンピュータ?三基を並列処理させれば可能だけど…、いいえ、それでは他の問題が処理出来ない。慣性質量をなくすだけじゃダメなんです、正負の加速度の問題も関わって来るのだから…」
「あー、ハカセ。自分の世界に入らないで欲しいヨ」



尚も続く左右上下遠近同時の気弾攻撃。このオールレンジっぷり、どっかで見た様な…。…ああそうだ、昔見たガン○ムのファ○ネルだ。
発射母体が自在に動き回って取り囲む様に撃ってくる様がそっくりなんだ。
そのシーンでは為す術もなく量産機が切り裂かれてダルマにされていったが、僕はそうは行かない。

なぜならば、ジュラーブリクモードの神髄、と言うか最大の目的はこれなんだから。

逃げ足の強化。この場合の逃げは敵の攻撃からの意味。

だって、限界で300km/h代な陸戦魔導師が高町三佐のショートバスター連射だの32連アクセルシューターだの、誘導制御を得意とする親父の40連HEーGバレット(誘導型HEバレット、板野サ○カスチックな動きをする)から逃げるには兎に角動き回って回避か、射撃諸元が得られない様な動きをするしかないでしょ。
多少の守りなんて、数の暴力の前には負けるのです。当たらない事が一番、その為の高機動です。
と、僕は考えているのだ。異論は認める。
ああ、言っておくが、防御が弱いとか低く見てるからの言い訳じゃないぞ。生存性の向上の為に必要不可欠なのは身をもって理解してるし。
言っておくが、ディバインバスタークラスならば全力を持ってすれば何とか凌げるぞ!一発だけだがな!!後は知らん。


この考えに基づき、どうすればいいのか考えた結果、導き出したのが慣性制御魔法。慣性質量をほぼゼロにすることで限りなく動きやすい状態にする魔法だ。
瞬間的な使用ならば高速移動魔法が使える全ての魔導師が行っている魔法だ。
これを常時発動状態にする。それが僕の回答だ。
しかし、これをする上で大きな問題が出てくる、だから普及しないんだよな、常時発動。


一つは制御用演算処理の複雑さ。専用の補助デバイスを用意しなければならない程だ。
その専用機、作るのに金が掛かる。インテリジェントデバイスを作っておつりが来る程高い。
んなもん作るぐらいなら他の事に金を掛けた方がいいと考える人が大半なので殆ど作られない。

僕の場合は、ミーシャが元々演算強化型インテリデバイスだった上に、祖父さんや親父が指揮用にと更に強化していたから可能だったのだ。
え、金?自分の奥さん(母親)がデバイスマイスターなんですよ、材料費だけで済ませられるじゃないですか。
その材料費も祖母さんに出させてるんだけどな、実家大金持ちだし。
当主の大叔父さんは祖父さんを「姉上と私の性別が反対だったら結婚を申し込んでいるよ」ってぐらい敬愛してるし、親父を我が子の様に可愛がってたそうだし。
僕には多めのお小遣いをくれるとってもいい親戚です。


もう一つが魔力消費の多さ。何もせずに立っていても消費されるが為に、「魔力の垂れ流し魔法」と言う悪名を付けられる程に消費が激しい。
これは僕の場合あまり問題にはならなかった、魔力が多いからだ。
現時点ではAAA+クラスの魔力量だ、一般的魔導師がドラム缶なら僕は50mプール。ドラム缶で問題になる量でも、50mプールでは大した問題にならない。
まあ、魔力がらみの問題はあるんだけどね。最大出力と未熟さの関係で致命的なのが。
時間を掛ければ解決出来るだろうが、今現在解決の目処が立っていない問題が。

そんなこんなで使える様になり、使用時専用モードとして作られたのがジュラーブリク。リソースを最大限に投入するが為に軽装甲となった。
そしてそれは現在真価を発揮し、分身と本体併せて15体の攻撃全てを躱せている。当たらなければどうと言う事はないのだ!

因みに、未完成であるが故に色んなツケが溜まって後々出てくるのが最大の欠点だがな!



だが、慣性制御魔法と真上からの視界と言う反則コンボを使っていても捕まる時もある。もう一体分身が加えられ、背中を取られた。
「気付かれずにもう一体ぐらいは増やせるでござるよ」
最大で16体出せるのは知っていたから、いつどこで出すのか、それを見つけ出して対処出来るのか、の読み勝負に負けてしまったのだ。修行が足りないなあ。
「反撃に成功だー!!アンドレイ選手、地に叩き付けられ…た?」
気弾が打ち込まる。慣性が働かない状態なので空気抵抗以外の抵抗が存在しない。限りなく動きやすい事は限りなく止まりにくいと同義なのだ。
まあ、こういう時の対処はとっても簡単だ。作用と同じだけの力、反作用を発生させればいいだけの事。
そうすれば力は釣り合い、ぴたりと静止する。

「ヒキョーでござるなあ、思い切り投げ飛ばしたというのに…。大した物でござるなあ、それがアリョーシャ殿の本気でござるか?」
半分不満、半分呆れ顔の楓ちゃん。そりゃそうだ、まともに食らえば只じゃ済まないだけの勢いだったってのに、ぴたっと静止されてはなあ。
「うん、近接戦闘時の本気モード。後で反動が来るから滅多に使えないの。実戦使用はこれが初めてよ」
忽ち嬉しそうな顔に変わる。まあ、口周りと眉が微妙に変わるだけだけどな。目元は変わりません。
「それはそれは、実に光栄でござるな。拙者がそれだけの強敵だと認められた証拠でござるからなあ」
そう言う事。一回目の時は段階的に行ったが故に苦戦しました。だから今回は最初から全開で行ってます。


「じゃ、次はこっちから行くよ」
300km/h代、その速度で片手を添えた手槌を打ち込む。無論末梢部も同じ速度域だ。
「ぐっ…」流石の楓ちゃん、何とか反応してガードするが、苦悶の表情を浮かべる。
新幹線かレーシングカー並の速度で打ち込まれるのだから当然だ、気で防御しなければ複合骨折間違い無しの威力。
それに加えて、我が家式の"防御ごと吹っ飛ばす"打撃法だ。踏ん張りきれずに蹌踉めく。

好機を見逃す様なバカでないので、のし掛かり馬乗りになる。マウントポジション状態だな。
「拙者ならばこの状態でも勝てるでござるよ?」
戦意を失っていない楓ちゃんが不敵な笑みを浮かべる。
確かにこの状態からでも反撃して勝つ事は出来る。僕もこの状態からの反撃方法を身につけているのだ。忍者なら言わずもがな。
「悪いけど、このままダウンして貰うよ。速く済ませなきゃなんないからね」
手に魔力針を隠し持ち、そのまま胸に刺す。

次の瞬間、楓ちゃんの上半身が大きく跳ね、そのままピクリとも身動きしなくなる。それを確認して立ち上がる。
「マウントポジションからのアンドレイ選手の一撃で、楓選手ダウーンっ!!と…、生きてるよね?と、ともかくカウントを取ります」
そのまま10秒が経過し、「アンドレイ選手勝利!!特殊部隊の勝利で二回戦進出です」僕の勝利となった。




「もうそろそろ効き目が無くなるはずだけど…、立てる?」
「…最後の、一体何を?指一本も動かせなかったでござるよ」
終了後、倒れたままの楓ちゃんに声を掛ける。
「針経由で魔法を直接身体に流し込んだの。運動神経からの信号伝達を阻害する魔法を」
バイアン先生に教わった技術の一つだ。抵抗して暴れる逮捕者を完全に動けなくする為の技。
「なるほど、拙者達で言えば即効性のしびれ薬を塗った針、それを刺されてはな。…なぜ途中で使わなかったので?」
当然と言えば当然の疑問、それにもちゃんとした理由がある。

「一つは、今の僕には本体と分身を見分けられない事。もう一つはツボというか、特定の箇所に刺した方が効果があるし、身体にも悪影響が出ない、だから正確に打ち込む必要があった。この二つ」
ミーシャが使えるのなら動き回っている最中でも解析出来る。突っ立っている状態なら補助無しでも解析出来る。戦闘機動を行っている目標だと僕一人では解析出来ない。
こういう構図なのだ。まあ、面制圧砲撃して実体も幻像も関係なく吹っ飛ばすのが基本だし。
で、ツボ以外に刺しても効果があるのだが、同じだけの効き目を及ぼそうとすると強くする必要があって、後遺症が出る可能性が出てくると先生が言っていた。
友人に後遺症が残る様な目には遭わせたくないだろ?明確な敵になったのなら別だけど。
「お気遣い感謝するでござるよ。とは言え、もし残ったとしても拙者は恨みはせぬ。そう言う育ちでござるからな」
割り切ってるねえ、まあ僕もそう言う所があるからなあ。だから気が合うんだろう。



****



「戦い終われば友人同士に元通りなのか、やや動きがぎこちない長瀬選手を支える様にして両選手が退場していきます」

一見、さわやかなこのシーン。行っている本人達はそれどころじゃなかったりする。ツケというか、反動がじわじわ来ているからだ。
「大丈夫でござるか?脂汗がスゴイでござるよ?」
「僕にも見栄ってもんがある。控え室まではこのままで頼む」
身体のそこかしこに反動が来て、痛くてしょうがない状態だ。開始直前にしておいたお呪いのお陰で何とか動けるが、無かったら倒れてるだろうなあ。

「何故に男というものは馬鹿が多いのでござろ?」男ってのはね、そう言うもんなんだよ。プライドやらで死ねる、そう言う生き物なのだよ。
正面に視界を移すと、「全く、無茶しちゃって」ヴィヴィオが怒ってる。と言うか、ジュラーブリクを本気で使うとどうなるかを知っている知り合いは皆同じ様な反応を示す。
そうして、無邪気に絶賛してくれているネギ一行と攻める様な視線を送ってくれているヴィヴィオと一緒に扉をくぐり、閉じた瞬間に見栄を張るのを止める。

即ち「アリョーシャ!!大丈夫なの!?」倒れる。
こらこら、命に別状はないから泣くな泣くな。






あとがき:やっとこさ書き上がりました。
慣性制御魔法なんて設定を作ったもんだから、説得力を出す為にwikiやらその手の本と格闘するハメになりました。一寸後悔。


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