「目の毒ですねー」「いやはや全くもってねえ。でも…、新婚時代を思い出させるね」
苦笑いをする魔法教諭二人。
アンドレイとヴィヴィオの行いを見ての感想だ。
「止めなくていいんですか?アンドレイ君とその…彼女ですよね?あの子」
「久方ぶりに会えたんだよ?野暮すぎるよ。それに彼女で間違いないよ。ちょっと前にゆーなも呼んで御馳走してくれたんだけどね、その時に写真を見せてもらったんだ。あの子だよ」
当然の話だが、魔法教諭の仕事は告白阻止だけではない。
担任や顧問を務めていればそこでの仕事もするし、学園祭の円満な運営の為にかり出されることもある。
この二人もそうであり、それらの仕事を済ませて阻止指定箇所に向かう途中、計測機器が異様に反応した為に急行した所で出くわしたのだった。
行為が止まり、我に返る野次馬。蜘蛛の子を散らす様に逃げる。
「やれやれやっと終わったのかい。…仕事が増えそうだね」
「ええ、途中か他の所で決断してくれるのなら応援したいぐらい何ですけどね」
散った蜘蛛の子の中には男女連れもいる。告白を考えている間柄も。
さて、そんな関係の人間にフランス映画のキスシーン並みかそれ以上のを生で見せればどうなるか?
自分を投影してしまい、嫌でも意識してしまう物である。
結果、計測機器は危険水域を保ち続ける。石を投げたら要注意生徒に当たる、そんな状況であった。
大半は悶々とした状態で立ち去り、魔法関係者の手を煩わせる。
とは言え、歩いてすぐに告白する勇者も中にはいるのだが。
****
先程まで取り囲んでいた野次馬さんは大半が逃げたが、「私もあんな風にされたいですっ!」とその場で告白する勇者もいる。
耳まで真っ赤にしてまあ、頑張れ女の子。
唾を飲み込む男。お、肩掴んだ。行くのか?行くのか?
…おめでとう。魔法関係者の阻止行動を受けずに済んで良かったね!
と、現実逃避と野次馬根性はここまでにしてと…。さて、現状を見直してみよう。
隣を見てみる。やっぱり変わってないヴィヴィオ、もう少し悪化すれば発情しかねない状態である。
やり過ぎたと自己嫌悪。
逆の方には冷やかしモードのエヴァ、「別荘使っても構わんぞ。まあ、ラブホ代わりに使われるのは初めてだがな」
余計なお気遣い有り難くございません。
足下には「犯ッチマエヨ。ソコマデキテタラ食ッチマッテモ問題ネエゾ。インポナラ別ダケドナ」チャチャゼロ。
うるせぇ、若いんだから毎朝勃つわい。つーか、お前が発端だろが。
まあ、個人的には惚れた子だから、そこまで行ってもいいし、責任も取る気だ。
ただ、ご両親祖父母等々の関係者が恐ろしいのが問題なのだ。
特に男親方面、ユーノ司書長は結構親バカで、士郎さんは孫バカ。
更には恭也さんは親バカにシスコンが拗れたのが合わさって伯父バカ。拗れすぎだろアンタ。
逆に女親方面は応援してくれそうなのだが、これまた怒らせると恐ろしい。
全盛期よりも衰えたとは言えまだまだ強力な高町三佐の砲撃に、ハラオウン執務官の超高速攻撃、八神一佐による本物の広域殲滅魔法とまあ…、生きてられるかなあ。
と、不安感に包まれていると腕が引っ張られた。やっと意識が戻ったらしい。
激怒されておられるかと思い、恐る恐る振り向くと、俯いて耳まで真っ赤にされておられるではありませんか。
更には「いいよ」…って、更に次の段階に行っちゃってもOKと言う事でしょうか?
黙って頷く。
えっと、ベッドの上では紳士じゃなくなるけどいいの?
更に頷く。
先人はこう仰りました。
「据え膳と鰒汁(ふぐじる)を食わぬは男の内ではない」(夏祭浪花鑑より)と。
夜7時の夕飯時。昼営業時の評判のお陰か新規のお客様の割合が多くなっている。
先行販売の50名様の顔は控えてあるし、身内は記名付割引券使うからすぐ判る。
そんな中、
「彼女さん色っぽくなってね?」「そりゃ、半年ぶりに会ったんだからお前…」「恋人同士だもんね」「うん、もげろ」「ふう…」
色々と言われておりますが、一つだけ言わせてもらうと「寿命が75日延びました」ってこと。
まさか、裸Yシャツ(男物、着用済み、と言うかさっきまで着てた)で来るとはなあ、八神一佐の入れ知恵らしい。
いらん知識ばっかり付けてさせてまあ、あの人は…。
うん、今度会ったときに仕返しをしよう。
大ダメージを与えれそうなことを一つ知ってるというか推察出来るからな。
「はやてー、急に肩すぼめてどうした?」
「何や、さっき猛烈な寒気がした様な…」
「風邪かしら?卵酒でも作りましょうか?」
「いや、シャマル、それは止めた方がいい」
「うむ、同意見だ」
****
夜10時、閉店処理が終わり、賄いを食べてから女子3-Aの打ち上げ会場へと向かう。
皆に紹介しなきゃならないからね。
因みに夜の賄いは残った具を使ってのシーフードピラフ、エビカニタコにホタテ入り。
炒めて醤油ベースの和風タレで仕上げる。
スターブックスコーヒー前、ネギに念話で指示を出す。
「ハーイ、皆さん、ここでとある人を紹介しまーす。中には知っている人もいるかも知れませんが、ほとんどの人は初めてと思います」
「初めまして、高町=スクライア・ヴィヴィオです」
今日手伝いに来てくれた面々に図書館探検部三人組やせっちゃんに双子と楓ちゃん等々の知ってる奴は別として、
みんな誰だったけ?と言った顔をする。
だが、「あ、アリョーシャ君の彼女だ」
知ってる人もいる。親子一緒に見せてますからね、写真を。
「え、ゆーなそれホント?」
「うん、おとーさんと一緒に御馳走になったときに見せてもらったよー」
「ハイ御名答、この子は僕の彼女なの」
遅れて出てきて、肩を持つ。自然と身体を寄せてくる。
それを見て大盛り上がりな女子3-A。割と身近な人間の恋色模様を見せ付けられてんだからなあ。
そりゃ盛り上がるわな。
この後、凄まじいまでの質問タイムがあった。
喩えれば、夕方のパルの勢いの常数だからなあ。
疲れるのなんのって、ホント、女の子は恋色話が大好きだ。
質問攻めにされているヴィヴィオ、その輪から抜けだし、スキットルの酒をコーヒーに垂らし、それを飲みながら眺める。
同じようにしていたタカミチがこちらにやってくる。
「学園長からの預かり物。大至急で運ばせたそうだよ」
頼んでいたものを受け取る。三日目に必要な物で、サンプル用に一つ譲渡する様注文しておいた。
ご苦労様と、スキットルを渡す。
今日の中身はアルマニャック、ビターチョコと合わせても良い。
コーヒーの時はダークローストが合う、だからシアトル系コーヒーショップであるここのとは相性がいいのだ。
「相変わらず強いのを飲むね」
酒好きだもん。ワインや日本酒とかの醸造酒も好きだぞ。
男二人飲んでいると、タカミチが訊いてくる。
「予選の時の続きだけどいいかい?」未来の僕がなんか話したんだろう、詳しくは知らんが。
この後ネギと一緒に戻って参加する予定だからなあ。
「本隊が来たとして、僕や愛衣君にネギ君といった君の弟子一同はどうすればいいのかな。罰則とかはないのかい?」
ああ、その事ね。
「ほぼ心配はないと思うぞ?どうやらウチの祖父さんが司令らしいからな」
変える前はそうだった、コレからは知らん。
「まあ、現地協力者扱いして貰えるだろうし、入局の意志がある様に見せかければ悪い様にはされないと思うぞ」
「ならいいんだけどね」
ま、いざとなりゃ咸卦法を見せて教えると言えば取引成立で放免されること間違い無しだけどな。
と、「アリョーシャく~ん、助けてー」
ヴィヴィオの情けない声が聞こえてきた。3-Aの面々の勢いに対処しきれない模様。
「そう言うわけで、助けに行くからこの話はここまで。また明日にでも話をしよう」
「はいはい、大事な彼女だもんね。…大切にするんだよ」
そこそこに切り上げ、人垣の方へと向かう。
…最後、やけに気持ちがこもっていたな。過去に何かあったのだろう。
が、必要もない他人の過去は詮索せず、追求もしない、それが粋ってもんでしょ。
****
何とか救出し、抜け出せた。今からネギと合流する。
「勢いのある子達だったね。ネギ君毎日相手してるなんてスゴいねぇ」
うんうんと頷く、あのバイタリティーは驚嘆に値する。
ウチ(統合士官学校)の生徒と張り合えるんじゃねえの?ってぐらい。
ケンカしたら絶対勝つけどな!こっちゃドンパチの専門家候補よ!!
と、まあ、大人げない話は置いといてだ。
今から戻るんだが…、犬がこっち睨んでる。
犬ってのはそこにいる犬上小太郎の事な。
耳とかが犬っぽいから犬。本人は狼だといっているが狼はイヌ科イヌ属動物で犬と同じだからなあ、対して変わらんぞ。
それはさておき、犬は僕のスタイルが気に入らないらしい。
基本は遠距離からの物量戦で、近接戦では急所攻撃等々何でもあり、そんなやり方が気に入らないらしい。
特に予選のやり口を見て余計に気に入らなくなったらしい。
「男は正面から殴り合ってナンボやろ。兄ちゃんみたいなやり方して何がオモロいねん」
そうか?課程を重要視するか、結果を重要視するかの違いだけであって、結果として勝利を収めるという目的には違いはないと思うぞ?
そして僕は目的の為なら手段を選ばない主義なのさ。
「兄ちゃんの言っとる事も間違ってへんのやけどな。俺は気に入らへんねん」
まあ、そう言う思想の違いで睨まれているのだ。
それに加えて前日に弟子二号に酷い目に遭わされたことでそれに拍車を掛けているのだ。
何でも、投げたはいいが反撃で股間の急所を「コリッ」とされたとか。
無論、悶絶。その時の恨みが師匠である僕にも転嫁されているという訳だ。
まあ、弟子二号も「反撃に繋げるべく手を伸ばしましたら、咄嗟に掴んじゃいまして…」と言っているから故意にしたわけではないぞ。
「そらそうや。あん歳で平気で潰しにきよる女がおったら怖いわ。…まあええ、明日に両方とも負かしたるわ、見とれや兄ちゃん」
と言い切る犬。まあ、結果は知ってるが頑張れ。
まあ、そんな話をした後、時間を巻き戻す。
一日目、午前十一時半へと。
****
まず向かう所がある。世界樹広場近くの鐘楼、そこのヒットマンに会いに行く。
一日目の打ち上げ会場にいなかったからね。
後々敵対するとは言え友人に彼女を紹介するのに何の問題があるか?否と言えよう。
仕込みもするけどな。
「照準器の調子はどうだ?」
後ろから問いかける。
「アリョーシャかい、なかなか快調だよ。もう一人分気配がするんだが、誰だい?紹介してくれないか」
真名はボルトを操作しながら答える。視線は標的方向を向いたまま。
流石だねえ、あの状態で気配を感じ取るとは。
風・湿度目標の動き等々、それらの情報を敏感に感じ取れる射手はいい射手の証拠だ。
長距離狙撃の基本を教えてくれたトウゴウさんが言ってた。
そいや、あの人何歳なんだろ?
祖父さんの若い頃の写真に一緒に写ってたのを見たこと有るけど、その頃から見た目が全く変わってないし。
ま、長命不老種族の出身なんだろ。
「それが噂の彼女かい、話は聞いてるよ。君の彼氏とは気の合う仕事仲間だよ」
「初めまして、狙撃手さん」
小康状態を利用してメンテナンス兼細工中。
こちらでデバッグしてても、実際使用していると気付かなかったのや見落としていたのが出てくるものです。
兵器ってのはそんな声を聞き、問題を潰していって熟成させる物なのです。
そう言う訳で調整中。
「…面倒だから白旗を揚げるんだぞ?こんな魔法使いは初めてだったよ」
「面倒くさがり屋の所があるアリョーシャ君らしいね。そのくせ面倒見がいいんだもん、矛盾してるよね」
「保証期間付で初回無料だからね。どこの電機メーカーかいと言いたくなるよ」
戦場経験がある者同士なのか、そこそこ気が合っている様で何よりだ。
エヴァの時見たくなるのはまっぴらゴメンだからなあ。
と、告白生徒以外の阻止目標が出てきた。阻止するのは告白だけではなかったりする。
「何よっ!あなたがそんな人だったなんて思わなかったわ!!」「いや、俺はそんなつもりじゃないんだ。ちょ、待ってくれよ」
怒る女と、言い訳をしようとするが聞いて貰えない男。
「しつこいわねっ、いいわ。別れ…」
追いすがる男にとうとう堪忍袋の緒が切れた女、カップルにとっての禁句を持ち出そうとした次の瞬間、
「なに言っ…、へぶうっ!?」
いい感じの金属音が男の頭から響いた。
「え…?!何で金だらいが??!」
何が何だかさっぱり解らない女、解るのは金だらいが男に直撃したという事だけ。
呆然としている女の心境を勝手に意訳するとこんなもんだろう。
あ…ありのまま、今、起こったことを話すわ!「別れ話を切り出そうとしたら彼の頭に金だらいが直撃した」
な…何を言っているのか分からないと思うけど、私も何が起こったのか分からなかった…。
頭がどうにかなりそうだった…
ドリフタ○ズだとかいかり○長介だとか、そんなチャチなものじゃ断じてない。
もっと恐ろしい物の片鱗を味わったわ…。
因みに、金だらいを落としたのは僕で、別れ話の阻止が目的だったりする。
訳のわからない事、○時だよ全員集合の長さん的な事が起こればあんな感じのパニック状態になってそれどころじゃなくなるだろ?多分
。
そう、別れ話の阻止も仕事の範疇に入る。
心に干渉する作用を起こすこのポイント、ここで告白すれば120%成就する。
と言う事は逆もまた然り、別れ話をここですれば120%別れられるという事だ。
個人的にはそのまま別れさせりゃいいじゃん、本当に好き合ってるのなら焼けぼっくいに何とやらで縒り戻すだろうし。
と思っているが、悲しいことかな上の指示には従わねばならないのが下っ端の性。
結果、告白阻止と平行して行っているのだ。
「それはいいとして、何で金だらいなんだ?」
いや、「普通落ちてくる訳がない物が落ちてくる事による混乱」が狙いであって、物は何でもいいのよ。
ただ、商店街の金物屋でいい感じの金だらいが売ってたから使ってるだけ。
「そこで金だらいを選ぶ感性が変に思われる原因だと思うよ」
いいじゃん、周りの人もコントの撮影かと勘違いしてくれるし。
****
「その包み何?」
途中で寄った洋菓子店のシュークリームを囓りながら「美味しいけど、お祖母ちゃんの方が上ね」次の目的地へと向かう。
「特注品」この前の一件の時の報酬として特注しておいた一品だ。
あそこの店の店主はなかなか腕がいいので特注したのだ。
それを持って向かうは学園一周イベント宣伝ブース。さんぽ部の面々が詰めている所だ。
そこにいる忍者への贈り物なのだ。
「お名前はかねがねお聞きしているでござる。早速に戴いてみてよろしいか?」
ちょっとだけ抜けさせてもらい、近くのオープンカフェでお茶にする。
包みを開き、適当な厚みに切り分ける。
「ほう、なかなか芳醇で良い香りが。味の方は…、これはまた、贅沢な気分にさせてくれるでござるなあ」
「うーん、ブランデーのいい香りが染み込んでるよー。生地もすっごくしっとりしてて美味しいね」
そう、修学旅行の時のお礼に用意したのはブランデーケーキ。イケる口だというのを知っていてのチョイスだ。
使用したブランデーはカミュ、それもエクストラエレガンスを贅沢に一割使用。
それを一ヶ月ほど熟成させた一品だ。
店主曰く、「こんな贅沢な注文は初めてだ」とのこと。
そりゃそうだ、僕も初めてだ。参考にした大阪の某ホテルのだってXOエレガンスだもの。
「甘みがくどくない上に後味が良いでござるな。和三盆を使ってるのござるか?」
お、解ってもらえるとうれしいねえ、そうなのよ。
「どうせ贅沢にするのなら砂糖もいい物を使いましょう」と唆されたので使ったのよ。
因みに卵は近所で平飼い養鶏を営んでいる加藤さんちの烏骨鶏、それも産みたて。
牛乳は農学部畜産課の恵子(ジャージー種・雌)のお乳を朝一で搾って65℃30分の低温殺菌して使用。
バターは同じ生乳を使う一時間前に精製して使用。
とまあ、徹底的に贅沢にしてみました。
「いやはや、そこまでした一品を食べられるとは。"口福"と言う字はこの様な時に用いるのでござるなあ」
****
さて、この挨拶回り。今から向かうのが最後にして最大の相手。
そう、三日目に大事を起こす超鈴音の所へと向かう。
この時間は肉まん売り回ってた。一回目の時に「遠距離恋愛で一人寂しく巡ている人に一個進呈ネ」と貰ったので確かだ。
何かしょっぱかったなあ、あの時の肉まん。
「さて、今から会うのが今次事件の首謀者。でも、泳がせる予定だから手出しはダメだよ」
念話で念を押しておく。
「うん、わかってる。それに、これだけ大規模な計画だもん。首謀者がいなくなっても計画の重みで勝手に動き出すのは火を見るより明ら
かだしね」
「分かればよろしい。それに、個人としてみれば結構いい奴だから、割り切って接してやってね」
悪い奴ではないのよ。マキャベリスト的行動に走って、それが大いに迷惑をかけただけで。
「おや、アリョーシャサン、昼時だと言うのに店の方は大丈夫なのカ?」
自分も商売人なので、店の方を考える超。
「ちゃんと切り盛りしてるぞ。ここにいられるのはネギに渡したアレのお陰だ。感謝するぞ」
「ああ、ネギ坊主とアリョーシャサンは兄弟分だたネ。兄貴と一緒に使てもおかしくないネ」
店の事やらあれやこれや織り交ぜた世間話をする。
確かこの最中ににあのセリフが出てくるはずだが…。
「そいえばアリョーシャサン、一人で学祭を巡ているのか?」
普通はとっても聞きづらいことを訊いて来やがる火星人。後で泣かす。
「遠距離恋愛中、相手はこっちに来られません」
「それはツラい事ネ。仕方が無い、遠距離恋愛で…」
言おうとする超を「筈でした」遮って止める。
「筈でした?」
「紹介しよう。僕の彼女だ」
「初めまして、アリョーシャ君がお世話になったそうで…」
セリフを変えることに成功したのでした。
「いやー、実に良かたネ。アリョーシャサンは当然として、彼女サンも愛しの彼に久方ぶりに会えて良かたナー」
この時点では敵対もしていないし、お互いの正体も知らないので素直に祝福してくれる。
素直に祝福されてヴィヴィオも嬉そうだ。
「それではお祝い代わりにアリョーシャサンに肉まん進呈ネ」
二個渡された。ヴィヴィオの分は?
「何言てるネ。彼女サンは既に2つ持てるではナイか…、ああ失礼、自前のだたか」
何オヤジギャグを言っているんだお前は。と、思わず裏拳でツッコミを入れていた。
ハリセンで頭を叩いた方が良かったと後悔した。持ってないけど。
「中国式冗談の一種ヨ、仲良く食べて欲しいネ。まあ、アリョーシャサンはこれよりも彼女サンのを食べたいやも知れぬが」
まだ言うかお前。まあ、もう食べた後だがな!
「ほう、既に味見は済ませていると。最近の若い者は進んでるネ。…美味しかたか?」
「ええ、大変美味しゅうございました」
何故か猥談を始める我々。
それのネタにされた人はと言うと、「一体何言ってるのよっー!」
当然の事ながら怒っていました。
****
全体的に和やかな空気、それが打ち砕かれる時は静かに着実に近づいてくる。
その事を知りながらもこの空気を楽しむ3人であった。
あとがき:脳内であれやこれやが化学反応を起こしたらこんな文章が…。
一応全年齢で問題ありませんよね?
作中に出てくる某ホテルのブランデーケーキは高い(¥5250)ですが美味しいので懐に余裕がありましたら注文することをお勧めします。