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No.4701の一覧
[0] 砲撃生徒異世界奮闘記(リリなの系オリ主(少々御大成分入り)→ネギま):小ネタ分多め [あず吉](2009/05/26 23:11)
[1] プロローグ「Missing In Action」[あず吉](2008/11/05 19:55)
[2] 第一話「ケ・セラ・セラ」[あず吉](2008/11/06 22:52)
[3] 第二話「執務室にて」[あず吉](2008/11/05 20:05)
[4] 第三話「モスクワは涙を信じない」[あず吉](2008/11/05 20:11)
[5] 第四話「初仕事」[あず吉](2008/11/05 20:19)
[6] 第五話「変に律儀」[あず吉](2008/11/06 06:08)
[7] 第六話「学園長直轄砲兵」[あず吉](2008/11/05 20:32)
[8] 第七話「ゴールデンクラッシャー」[あず吉](2008/11/09 23:33)
[9] 第八話「ライオンの皮を被った驢馬」[あず吉](2008/11/13 21:28)
[10] 第九話「キノコだと名乗った以上は編み籠に入れ」[あず吉](2008/11/16 16:03)
[11] 第十話「バタフライ効果」[あず吉](2008/11/21 22:53)
[12] 第十一話「地底図書室」[あず吉](2008/11/29 02:37)
[13] 第十二話「学園放浪&弟子二号交流記」[あず吉](2008/12/02 23:03)
[14] 第十三話「始業式前後」[あず吉](2008/12/08 21:22)
[15] 第十四話「荷馬車から落ちたものは、失われてしまったもの」[あず吉](2008/12/15 22:09)
[16] 第十五話「嵐の前」[あず吉](2008/12/31 18:34)
[17] 第十六話「暴風警報」[あず吉](2009/01/08 23:04)
[18] 第十七話「狸穴町」[あず吉](2009/01/17 21:49)
[19] 第十八話「晴れた空、そよぐ風」[あず吉](2009/09/20 21:07)
[20] 第十九話「デウス・エクス・マキナ」[あず吉](2009/02/13 16:19)
[21] 第二十話「"悪人"の仮面」[あず吉](2009/03/02 21:29)
[22] 第二十一話「"悪い"お兄さん」[あず吉](2009/03/13 22:10)
[23] 第二十二話「突撃砲兵(上)」[あず吉](2009/04/30 22:52)
[24] 第二十三話「突撃砲兵(下)」[あず吉](2009/04/01 05:42)
[25] 第二十四話「パスハ」[あず吉](2009/04/16 19:07)
[26] 第二十五話「乳母が七人いると子供に目が届かない」[あず吉](2009/05/19 01:15)
[27] 第二十六話「埼玉県警麻帆良署」[あず吉](2009/05/19 01:15)
[28] 第二十七話「一日をくださる神様だもの、一日の糧もくださるだろう」[あず吉](2009/05/26 23:10)
[29] 第二十八話「熊の親切」[あず吉](2009/06/09 23:47)
[30] 第二十九話「汝平和を欲さば、戦への備えをせよ」[あず吉](2009/06/25 17:55)
[31] 第三十話「雨降って地固まる」[あず吉](2009/07/10 21:45)
[32] 第三十一話「雨に唄えば(上)」[あず吉](2009/08/18 23:05)
[33] 第三十二話「雨に唄えば(中)」[あず吉](2009/08/18 23:05)
[34] 第三十三話「雨に唄えば(下)」[あず吉](2009/09/04 21:59)
[35] 第三十四話「会議は踊る」[あず吉](2009/09/19 22:07)
[36] 第三十五話「華麗なる日々」[あず吉](2009/10/08 22:11)
[37] 第三十六話「どんでん返し」[あず吉](2009/10/19 20:28)
[38] 第三十七話「祭りの後(上)」[あず吉](2009/10/25 22:17)
[39] 第三十八話「祭りの後(下)」[あず吉](2009/11/12 22:39)
[40] 第三十九話「不確定」[あず吉](2009/11/21 23:37)
[41] 第四十話「あら何ともなや きのふは過ぎて 河豚汁」[あず吉](2009/12/08 22:51)
[42] 第四十一話「戦線拡大」[あず吉](2010/01/02 15:44)
[43] 第四十二話「千客万来」[あず吉](2010/02/17 22:01)
[44] 第四十三話「開幕前後」[あず吉](2010/02/17 22:09)
[45] 第四十四話「運動の第一法則」[あず吉](2010/03/13 21:47)
[46] 第四十五話「苦労しなくては池から魚は引き揚げられない」[あず吉](2010/04/06 21:44)
[47] 第四十六話「メフィストフェレス」[あず吉](2010/05/06 23:33)
[48] 第四十七話「狐と狸」[あず吉](2010/06/16 23:01)
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[4701] 第二十一話「"悪い"お兄さん」
Name: あず吉◆4ffe3c79 ID:8dd07ffc 前を表示する / 次を表示する
Date: 2009/03/13 22:10
修学旅行二日目の朝、朝ご飯のちょっと前。


僕とアスナさんと刹那さんはロビーで、長瀬さんと龍宮さんを待っていた。
昨日のお礼と、何で助けてくれたかを訊く為だ。


長瀬さんは「いつでも呼ぶでござるよ」と言っていたから判るんだけど、龍宮さんはそうじゃない

刹那さんが言うには「龍宮は気まぐれで助けに来るとは思えません。誰かが依頼したのでしょう」だし…。


「はあ~、担任はガキで魔法使い、エヴァちゃんは吸血鬼で茶々丸さんはロボ、アリョーシャのヤツも魔法使いで更には異世界の人間。そこに加えて剣士に忍者にスナイパー!?もうお腹一杯よ」
アスナさんがため息混じりに呟いていると二人が来た。

とりあえずは「昨夜はありがとうございました!」お礼を言わなくっちゃ。



****



「…以外ですね。そこまで大盤振る舞いするような人物とは思っていませんでした…」


昨日の手紙に書いてあった「甘いお兄さん」はやっぱりアリョーシャさんだった。
龍宮さんは初日の朝に依頼されて、僕の手助けをしてくれるそうだ。


でも、依頼には報酬が必要で、刹那さんが言うにはそれなりの額が必要なんだって。


ちょっと気になったから、その事を聞くと「ああ、アイツが奮発してくれたよ。何の迷いもなく「修学旅行から帰ったら、言い値を払う」と言ってな」
何て言うんだから、本当に申し訳ない気持ちになっちゃった。

プレゼントにくれたAMFグレネード…だったっけ?あんなスゴイ物をくれた上に、カートリッジもあんなに付けてくれて、そこに龍宮さんまで…。
でも、何でここまでしてくれるんだろ?


考えていると、長瀬さんが言った
「アリョーシャ殿の家は代々軍人の家系と聞くでござる。そのせいでござろうな、身内を大切に扱うのは」
「へ?どうゆうこと?」
「軍人の家系ってえことは、戦争の前後で身内の数が違ってくる可能性が高い家系。つーコトだな?」
「20世紀からのロシアは戦争の連続だからね。身内が殆ど居なくても不思議じゃないよ」
「あー、つまりは、アイツの家は戦争ばっかしてた国の軍人さんの家系で、そのせいで親戚があんまりいなくて、だから少ない身内を大切に扱うのが当たり前の家になった。…ってこと?」
「そうでござろうな。「身内は大切に」が家訓にでもなってるのでござろ」


それを聞いた時、本当に嬉しく思った。
赤の他人であるはずの僕を、本当の身内と同じ様に見てくれているんだって。

僕の顔を見たアスナさんが背中を叩きながら言う。「良かったじゃん、ネギ。「お兄ちゃん」が出来て」
そんなに嬉しそうな顔していたのかなあ?


****


「過激すぎる悪いお兄さんですが…」
刹那さんがこんな事を言った、どこか遠くを見ながら。

「え、過激ってどーゆーこと?それに悪いコトするヤツには見えないけど?不真面目っぽいけど、どちらかというと律儀でいいヤツだけど」
「ああ、お二人は知りませんからね。コンドラチェンコさんの悪行の数々を…」
そう言って、刹那さんが語り始めた。龍宮さんはちょっと困ったような顔をしているけど、アリョーシャさんって何をしたんだろ?




「…この前なんて、侵入者を罠を大量に仕掛けた森の中に砲撃で追い込んだりしてましたし、その前は痛いだけの魔力弾を相手が土下座して謝るまでぶつけ続けたりと、悪行三昧ですよ!
知ってますか?大学付属病院には私達が捕まえた時にケガをさせてしまった侵入者専用病床があるのですが、アイツが来てから増床するハメになったんですよ!?ああ、更にその前なんて…」

矢継ぎ早だったっけ?そう言う感じでしゃべる刹那さん。
アスナさんが「桜咲さんって、無口なイメージあったけど、結構しゃべるのね」って、言うぐらいに。

それを聞いて、顔を赤くしてしおらしくなっちゃう刹那さん。


アリョーシャさん、悪い人相手にだけど色々と悪いコトをしているんだなー。僕もやりすぎだって思うもん、全員病院送りにするなんて…。
そう思ってたから、龍宮さんが言ったことを聞いてビックリした。

「しかしだ、アイツは入院はさせるが"怪我"はさせてはいないぞ。全員ショック症状か転倒時の傷ぐらいで、一晩もすれば回復するような状態だ」

「え、どういうコトですか!?ケガさせないで病院送りなんてどうやったら出来るんですか!?」
「おや、ネギ先生は聞いていないのかい。アリョーシャが使う魔法は"非殺傷設定"と言うヤツが出来ることを」

非殺傷設定?それって文字通りの意味だよね…?

「魔力越しにダメージだけ与えて、身体には傷一つ着かないように出来るんだよ。他にも"非物理破壊"も出来るそうだよ」
「魔法って、そんなこと出来るの?」

ううん、僕もいろんな本とか読んで研究したけど、そんな攻撃魔法は今のところ無い。

「いえ、コンドラチェンコとその弟子二人にしか今のところ出来ません。だから、不利な状況をひっくり返そうと思ったら頼らざるを得ないのです」
俯いてくやしそうな刹那さん、何でくやしいんだろ?
それに、さっきから聞いてたらアリョーシャさんが嫌いみたいだけど、何で嫌いなのかな?

「どこで使っても敵だけやっつけれて、周りにゃあ被害無し。そりゃ、頼りたくなるよなー」
うん、修学旅行が終わったら、時間を作って弟子にしてもらおう。図書館島の時に「暇が出来たら弟子3号にしてやろう」って言ってくれてたもん。


****


「あ、そうだ。良かったらこれもらって下さい。はい、アスナさんも」
「何コレ、招待状?」

アリョーシャさんのプレゼントの一つ、招待状をみんなに渡す。
パスハ・パーティーの招待状だ。

「パスハって言うのは…」
「キリスト教の復活祭のことですね。ゴルゴタの丘で十字架に貼り付けられたイエス・キリストがその三日後に復活したことを記念する日で、キリスト教徒最大の祭日とされていますです。
カトリック・プロテスタント・英国国教会などの西方教会ではイースターと呼んでいますが、ロシア正教を始めとする正教会等の東方教会ではパスハ、日本語では復活大祭と言われています。
ちなみに、春分の日の後の最初の満月の次の日曜日がその日ですが、東西で用いている暦が違う為に日付がずれることが多々あるです。
今年の東方教会では今度の日曜日、4月27日がその日となるです」
「その通りです…」

いつの間にかやってきた夕映さん、僕が言おうとしていたことやそれ以上のことを言ってくれた。
そう言えば、もうすぐ朝食の時間だ。

「夕映は教会とかも好きだからねー、記念日とかも詳しいのよ。ん?その招待状…、ネギ先生も招待されたの?」
「されたのって、パルさん達もですか?」

ちょっと悔しくなった。
そりゃあ図書館探検部所属なんだし、パルさん達に渡してても当然だけど、僕より先に渡すこと無いじゃない。

「そうそう、知り合いみんなに配ってるみたいよ。律儀ねぇ」
「毎年、一族とその友人知人総出で壮大にしているそうなので、こちらでも壮大にするって言ってるです」

あ、それじゃあ…。
「悪いね、もう貰っているんだ」「拙者もでござるよ」
「へー、龍宮さんや長瀬さんも招待されたの?まきちゃん達もだし、ゆーななんてお父さんごと招待されたって言ってたから、こりゃあ賑やかになるわねー」

僕が最後じゃないの。身内みたいに思ってくれてるなら先に渡してくれてもいいのに。
「こーらー、何ムッとしてるの。お兄ちゃんにイジワルされたからって拗ねないの」

すねてなんかいないもん、最後にされたからちょっと怒ってるだけだもん。



****



修学旅行2日目は、全般的には平和だった。

途中、子供先生が鹿に取り囲まれてフクロにされたり、助平オコジョが何かしらを感じ取った男鹿(複数)に攻撃されてたり、引っ込み思案な女の子に告白されて知恵熱出して倒れたり、
猫を助けたらパパラッチに正体がばれたり、唇が勝手に賞品にされたり、関係者一同が朝まで正座させられたりしたが、
まあ平和だったと言えよう、つーか言わせろ。


明けて3日目、各班自由行動の日。
ネギとアスナはこの日を利用して、親書と共に本山へと行こうと思っていた。

龍宮真名と長瀬楓は護衛をすると主張したが、「一度きりしかない修学旅行なんです。僕のことはいいから、同じ斑の人達と楽しんで下さい」
と、頑として譲らず。

「こちらも仕事だ。依頼を受けたからには遂行させてもらうよ」
と、こちらも譲らなかった。

このまま平行線をたどるかと思われたが、龍宮真名が「しょうがないな、誰かさんの財布に更なるダメージを与えておくことで手を打とう」
と言って引き下がった。
何か耳打ちされた長瀬楓も「何かあったらすぐに連絡するでござるよ。ハイ、拙者の携帯番号」と、同じく引き下がった。


誰かさんとは無論アリョーシャのことだ。彼はどこぞのメガネと違って、結構金持ちだったりする。

相棒でデバイスのミーシャ、彼の演算処理能力は非常に高い。
元来高い能力を持つインテリジェントデバイスに、複雑なプログラムを多用するコンドラチェンコ家式魔法に対応すべく演算系を強化してあるからだ。

その能力を経済動向の解析に利用し、株に先物国債に為替とあれこれ手を出して成功を収めているからだ。
それを知っている真名は、転移魔法符などの高価な札や、各種術式付加弾を遠慮無く使う気でいた。

その頃ハワイの依頼主が多大な出費が必要になりそうな悪寒に襲われていたが、気のせいでしょう、多分。



****



京都市内某所、所謂ゲームセンター。
コッソリと向かうつもりだった二人と一匹、アスナが妙に勘のいいハルナに捕まった事により、現在に至る。

抜け出すチャンスを窺っていたが、誘われてプリクラ取ったり、ゲームをしてたりとそれなりに楽しんでいた。
ゲームオーバーとなって、視線を動かした先にいた"それ"を見るまでは。


年の頃は11、2歳程、白い髪に白い肌が特徴的な少年だった。
偶然、彼と目が合った瞬間、ネギは言いようのない感覚に襲われた。

脳が多大な酸素を要求した為呼吸が激しくなり、心臓は酸素を送るべく鼓動を強め、熱くなった脳を冷やす為に汗が出、顎を伝い床に着く。
喉が渇き、喉を鳴らして無理矢理つばを飲み込む。

それらが一瞬で訪れた。

今まで味わったことのない感覚に戸惑っている内に、先ほどまでプレイしていたゲーム筐体、
「GAME OVER」と「ネギ・スプリングフィールド」と表示された画面を一別して去っていった。


時間に直せば一分と無い短い時間、それがとても長く感じた瞬間だった。



短時間に大量の汗をかき、呼気を荒くし、顔が赤くなれば何かあったのかと気になるもの。
「んー?ネギ君えらい汗かいとるけど大丈夫なん?顔も赤いし」

ネギはそれを逆手に取り、席を上手く外すことに利用することにした。
「すいません、ちょっと熱くなりすぎたみたいです。ちょっと顔冷やしに行ってきますね」
トイレに向かう振りをして目配せする。

それに応じて、「ちょっとネギ、大丈夫?」とアスナも付いていく。
皆から保護者みたいなもの扱いされている為に誰も怪しみはしない。

そうやって、気付かれずに抜け出すことに成功した二人と一匹。
自分たちに付いてくる影には全く気付かずに。



****



「へへへっ、あっさり罠に掛かったやん」
「やっぱ所詮はガキやな。これで脱出不可能、足止めはOKや。アンタは奴らを見張っとき」

千本鳥居近くの竹藪。そこから戸惑う二人と一匹と一体を見ているメガネと犬耳。

指示はされたが、犬上小太郎の顔には不満がありありと浮き出ていた。
「うぇー、めんどいな。それに俺、こーゆー地味な作戦好きやないなぁ…。あいつら、特にあのチビ弱いで。一昨日ボコったった奴やん。正面からガツンと

やってまえるで」

「アンタは黙ってゆーこときーとき」
不満をあえて黙殺する千草、彼女はあの二人と一匹に対する誤解もあって、封じ込めることにしたのだ。
手数が少ない彼女たちにとって式神はそれを補う為の大切な駒で、その駒を無力化出来るあの二人は切り離さなければならない存在だったのだ。

切り離しに成功し、増援が来た様子もなく、一昨日のくのいちもいない、町中ならスナイパーも自由に動けまい。
今度こそ上手くやる、そうでなければ意味がない。




休憩所で話し合っているネギ一行、「無間方処の咒法」の罠に掛かってしまった現状をいかにして打破するかが議題となっていた。

「これが使えたら出られるかもしれないのに…」
「効果は実証済みだかんな。今は使えないってえのが痛いよな」

プレゼント袋から出したAMFグレネードを見て呟く。
自壊機能は壊してあるが、再使用するにはアンドレイが直すしかないのが現状だ。

「何それ?え、一昨日のカエルを綺麗さっぱり消したのそれなの!?」
「ハイ、アリョーシャさんがプレゼントしてくれたんです。後はカートリッジをこんなに」
袋からカートリッジを取り出してみせるネギ。

「コンドラチェンコさんのプレゼントですか…」
ちびせつなの顔が曇る、それを見たアスナが予ての疑問をぶつける。

「そういえばさ、桜咲さんはなんで、アリョーシャの奴が嫌いなの?昨日の朝は愚痴ってたし、さっきだって嫌そうな顔してたし」
「僕も聞いてみたいです。そりゃあ、悪い人相手に悪いことをいっぱいしていますし、ちょっとイジワルで不真面目で面倒がり屋ですけど優しい人ですよ?


二人して見る、ため息を吐きて語るちびせつな。

ちょっとおバカなちびせつなでもアンドレイは好きにはなれなかった。
「軟弱な所や使う魔法が好きになれませんし、金に煩い所が嫌いですし、あと馴れ馴れしくしてくる所も…」

「軟弱って?」
「突如麻帆良に現れたんですが、すぐさま白旗を挙げたそうです。そんな軟弱な人、見たこともありませんでした」
正しくは「面倒だったから」と言う見事なまでにしっかりした考えの元、投降したのだが、知っているのはタカミチと真名ぐらいである。


「使う魔法が好きになれないってどういう事ですか?」
「聞いた所に依ると、「目視外距離からの攻撃が基本で、近接戦は決定的に間違えたときに行う物だ」と言い張っているそうです。私達神鳴流剣士をバカに

しているとしか思えないです」
自分の根幹を成す物を間接的に侮辱されて怒るちびせつな。

とは言え、近接戦に置いても彼は強い。
只、敵が反撃出来ない距離で叩けば自分も仲間も傷つくことなく勝てるからそちらを優先しているのだ。

高確率で反撃を喰らう近接戦をせざるを得ない状況に至ってしまうことを決定的な間違いと彼は言っているのだが、嫌っている人間が曲解した結果である。


「金に煩いってどういう事でぇ?」
「警備に参加する替わりに、月に15万貰っているそうです。それだけならともかく、食費や寮費は必要経費扱い。研究室を貰っているそうですが、そこにかかるお金も経費で落として、と色々と学園側に払わせているそうです」

金に煩いのは事実であるが、挙げたことの大半は学園側との契約に基づいて支払われている。しかし、知らない人間から見たら支払わせているようにしか見えない状態でもある。

「月に15万も貰ってるの?…私も警備に参加しようかな…、あ、あと馴れ馴れしいって?」
「その…、あの…、私のことを、「せっちゃん」って呼ぶんです。顔を赤くして怒るのが可愛らしいからって…」

恥ずかしいのか、赤くなって(只でさえ小さいのに)縮こまるちびせつな。
それを見た二人と一匹は心の中で「確かに」と思ったとか思わないとか。



話は契約執行に移り、「ま、私が何とかするしかないのよね。アンタみたいなガキを前に出さすわけにはいかないし」
発した後だった。

「…へへへっ、ならこの俺と戦ってもらおか」
巨大な蜘蛛を模した式神と共に、見張りの役目を捨てて、戦う事を選んだのが来たのは。

「はな戦ろか、西洋魔術師。いや…、ネギ・スプリングフィールド。今日はあの糸目のねーちゃんもおらんことやしな」
「き、君は、一昨日の…」

ここに二度目の戦いの火ぶたが切って降ろされた。




「連弾・雷の17矢!!」
鬼蜘蛛と称される式神をアスナが片した後、敵が戦士と知っているネギは近づけさせない為の魔法を放つ、もう一つの狙いと共に。


護符で凌ぎつつ、近付く小太郎、「白き雷!!」連続攻撃で阻止しようとするネギ。

「なかなかやるやないか、チビ助!!」
その攻撃は、総ての護符と引き換えにして突破される。


護衛であるアスナ、オマケのカモとちびせつなは狗神に捕らわれ、詠唱は間に合わない。
渾身の力を込め真っ直ぐ向かう拳、勝利を確信した小太郎の拳は届くことはなかった。


「契約執行0.5秒間 ネギ・スプリングフィールド」我流の強化魔法によって。


次の瞬間、まだ勢いの残る小太郎の顔面に拳が突きつけられる。
身体が宙に舞い、起きたことの判断が付かない所へ魔法、それもカートリッジ付きの「白き雷」が放たれた。



****

「そう言えば兄貴、何時思いついたんだ?自分への魔力供給なんぞ」
「一昨日、この子にやられた後に思いついたんだ。昨日の見回りの時にちょっと練習してたんだ」
「ああ、昨日は帰るのが遅いと思ったらそんなコトしてたの」
「昨日今日で出来るようになるとは…、流石ですねネギ先生」

人の声が聞こえる、それも複数の。

「…と、これで良しと」「ねえ、こんなコトしていいの?」「仕方ありませんよ。こうでもしないと…」
「あ、目を覚ましそうです」「じゃあ、本屋ちゃんお願いね。ホントはこんなコトさせたくないんだけどねー」

犬上小太郎は、戻りつつある意識の中でこんな事を聞かれた。
「あなたのお名前は何ですかー?」

はっきりとしない中、反射的に「小太郎。犬上小太郎や」と答えた。

そこで意識の像が結びつき、もやが掛かっていた視界が戻る。
見えたのはさっきまで戦っていた連中と、見たことのないお姉ちゃん。

咄嗟に動こうとするが、手足が全く言うこと聞いてくれない。
「な、なんなんや!?身体が動かへん…、って縛られてもーてるやん!」

今彼は、後ろに回された腕をひねった上に手の甲を合わせた状態で手首と親指を縛られ、
両脚は交差した状態で曲げたヒザの前後を繋いで縛って、更には足首を縛られている、そんな有様だ。
縛っているのは所謂結束バンド若しくはケーブルタイ。ご丁寧に二つの輪を小さい輪で止めるやり方で、軽く肉に食い込むきつさで止めてあった。

忍者がよく使う「間接外して縄抜け」をしても全く抜けない状態、なので術を使おうとするが
「狗神!…な、何ででーへんのや!?」

「そりゃ、私のハリセン乗せてるもん。効果は知ってるでしょ?」
動けない上にハマノツルギで術まで使えない、犬上小太郎は完全に戦闘不能となっていた。

「こんなもん千切ったらええねん!ってなんぼ固いねんコレは!」
獣化して力任せにちぎろうともしたが、びくともしない。それどころか肉に余計に食い込んで痛いだけ。

「ザイ○ンって言う合成繊維で強化してあるから切れないそうだよ」
「現在最強の有機系合成繊維だぜ。イシダイでも噛みちぎれねえよ」

「にしても、こんな物騒な物もプレゼントにしてたのね。アイツってば何考えてんだか」
余った結束バンドをつまみながら、半分呆れ顔のアスナ。

そう、小太郎を縛っているザイ○ン強化結束バンド(工学部謹製)とそれを使った拘束法マニュアルはアンドレイのプレゼントの一つだ。
刺客を捕まえた時用に入れてあった、10歳の子供に渡すのは問題が多々あるような気がするが。

「あ、あの…ちょっと、か、可哀想な気もしますが…」物が物だけに使うことに消極的な意見もあったが、
「私の術では拘束しきれませんし、狗族の力を考えると普通の縄では千切られてしまいます」それぐらいしか拘束する手段がなかったことと、
「せっかくアリョーシャさんが用意してくれたんです。使っちゃいましょう」本当に慕い始めているネギの使おうという意志が勝ち、

あちらこちら焦げてる小太郎を縛り上げたのだった。


****


「いどのえにっき」で聞き出した「この広場から東へ6番目の鳥居の上と左右3箇所の隠された印を壊す」に従い、脱出に成功した三人と一匹と一体。
暫しの休息を経て本山へと向かおう、役目は間もなく果たされるのだ。






小太郎?結界内に封じ込めた上に縛ったまま放置ですが何か?






あとがき:次話、やっとこさ主人公登場です。意外な人も活躍予定。

 


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