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No.4586の一覧
[0] アナザーエムブレム【FE封印・憑依】[海猫](2008/12/17 08:42)
[1] 第1章第2話[海猫](2008/11/22 00:26)
[2] 第1章第3話[海猫](2008/12/17 08:43)
[3] 第1章第4話[海猫](2008/12/17 08:44)
[4] 第1章第5話[海猫](2008/11/22 00:31)
[5] 第2章第1話[海猫](2009/04/11 18:12)
[6] 第2章第2話[海猫](2008/12/17 08:55)
[7] 第2章第3話[海猫](2008/12/17 08:54)
[8] 第2章第4話[海猫](2008/12/17 08:45)
[9] 第2章第5話[海猫](2008/12/17 08:51)
[10] 第2章第6話[海猫](2008/12/17 08:52)
[11] 第2章第7話[海猫](2008/12/17 08:57)
[12] 第2章第8話[海猫](2008/12/17 08:58)
[13] 第2章第9話[海猫](2008/11/22 00:17)
[14] 第2章第10話[海猫](2008/11/19 02:32)
[15] 第2章第11話[海猫](2008/11/22 00:18)
[16] 第2章第12話[海猫](2008/11/19 03:21)
[17] 第2章第13話[海猫](2008/12/17 09:00)
[18] 第3章第1話[海猫](2008/11/22 00:05)
[19] 第3章第2話[海猫](2008/11/27 01:12)
[20] 第3章第3話[海猫](2008/11/27 01:12)
[21] 第3章第4話[海猫](2008/11/27 00:19)
[22] 第3章第5話[海猫](2008/11/27 00:54)
[23] 第3章第6話[海猫](2008/12/17 09:00)
[24] 第4章第1話[海猫](2008/11/30 01:08)
[25] 第4章第2話[海猫](2008/11/30 01:10)
[26] 第4章第3話[海猫](2008/11/30 01:28)
[27] 第4章第4話[海猫](2008/11/30 01:37)
[28] 第4章第5話[海猫](2008/12/17 09:01)
[29] 第4章第6話[海猫](2009/03/01 16:18)
[30] 第4章第7話[海猫](2008/12/01 21:29)
[31] 第4章第8話[海猫](2009/09/08 21:22)
[32] 第4章第9話[海猫](2008/12/17 09:04)
[33] 第4章第10話[海猫](2008/12/17 09:06)
[34] 第4章第11話[海猫](2008/12/17 09:07)
[35] 第4章第12話[海猫](2008/12/14 21:23)
[36] 第4章第13話[海猫](2009/01/08 04:46)
[37] 第5章第1話[海猫](2009/01/08 04:46)
[38] 第5章第2話[海猫](2008/12/18 20:27)
[39] 第5章第3話[海猫](2009/01/14 16:23)
[40] 第5章第4話[海猫](2009/01/08 09:57)
[41] 第5章第5話[海猫](2009/01/18 00:05)
[42] 第6章第1話[海猫](2009/09/08 21:20)
[43] 第6章第2話[海猫](2009/01/28 20:49)
[44] 第6章第3話[海猫](2009/01/17 23:21)
[45] 第6章第4話[海猫](2009/01/17 23:18)
[46] 第6章第5話[海猫](2009/01/17 23:23)
[47] 第6章第6話[海猫](2009/02/28 14:58)
[48] 第6章第7話[海猫](2009/01/17 23:58)
[49] 第6章第8話[海猫](2009/01/18 00:07)
[50] 第6章第9話[海猫](2009/01/29 01:16)
[51] 第6章第10話[海猫](2009/01/29 01:00)
[52] 第6章第11話[海猫](2009/02/28 16:28)
[53] 第6章第12話[海猫](2009/02/28 16:30)
[54] 第6章第13話[海猫](2009/02/28 14:52)
[55] 登場人物リスト(暫定)[海猫](2009/01/28 20:59)
[56] 第7章第1話[海猫](2009/02/28 15:54)
[57] 第7章第2話[海猫](2009/03/01 20:18)
[58] 第7章第3話[海猫](2009/02/28 16:01)
[59] 第7章第4話[海猫](2009/02/28 16:09)
[60] 第7章第5話[海猫](2009/03/01 20:26)
[61] 第8章第1話[海猫](2009/03/01 16:27)
[62] 第8章第2話[海猫](2009/03/01 16:33)
[63] 第8章第3話[海猫](2009/04/11 17:42)
[64] 第8章第4話[海猫](2009/10/04 20:37)
[65] 第8章第5話[海猫](2009/09/08 21:17)
[66] 第8章第6話[海猫](2009/09/08 21:55)
[67] 第8章第7話[海猫](2009/09/08 22:04)
[68] 第8章第8話[海猫](2009/10/04 20:38)
[69] 第8章第9話 ― ここから[海猫](2009/10/04 20:38)
[70] 第8章第10話[海猫](2009/10/04 20:48)
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[4586] 第8章第10話
Name: 海猫◆7a85c8bf ID:b53b5944 前を表示する
Date: 2009/10/04 20:48


 進退窮まったジュテ軍がブルガルを脱し、窮鼠猫を噛む覚悟で布陣している。ゲクランとエマヌエルは、すでに正信さんの傀儡だという。唯一の希望、ブラミモンド軍さえ突破できればエトルリアに帰国できるという餌に釣られたエトルリアの謀略家。生き残って家族と再会するために最後の抵抗に挑む兵士。そして、その図絵を描いた青年は、馬上で不敵な笑みを浮かべていた。

「人の心はある程度までは“利”で操れるのだよ、ベルトラン子爵。謀略で食っていくなら、まずそのことを心得ておくべきだったな」

 呟いて、ナーシェンは片手で玩んでいた細剣で手の平を叩いた。『ほそみの剣』。理不尽なことに、その剣を持つナーシェンには気品やら風格やらが漂っていた。何のことはなく、それ以上の重さの剣を持てないだけなのだが、その威圧感は大軍を率いることによって成長したということなのだろうか。

「さて、国盗りの最終段階だ。くれぐれもダヤンに功を取られるな。サカは、サカ人によって救われるのではない。我々ベルン人によって解放されるのだからな」

 諸将たちの武者震いを見詰め、ナーシェンは細剣を振り上げた。

 死に物狂いで突撃する敵兵。最前に置いたブルーニャとダヤンが衝突を始める。だが、まだナーシェンは動かない。微動だにしない。

 ブルーニャ、ダヤン、二将にとって功は喉から手が出るほど欲しいはずだ。望んで先鋒に就いていたのだが、敵は死兵である。功は大事だが、兵を減らすわけにはいかない。ほどほどに粘ってから体勢を立て直すために一度下がった両軍を見据え、ナーシェンは剣を振り下ろした。それまで微動だにしなかったブラミモンド軍が神速の突進を開始する。

 車懸り。付け焼き刃だったが、見たこともない戦法に、サカ軍は混乱。さらに、敵の戦法が下がって活路が見え始めていたところに、新手が襲いかかったのである。あっと言う間に崩れていくジュテ族の軍団。逃げようとすれば、下がっていたダヤン、ブルーニャ軍が襲いかかる。そのタイミングで、背後のブルガルの門が開く。溢れ出した暴徒が、これまでの圧政の鬱憤を晴らすかのようにジュテ族をのみ込んだ。命乞いすら許されない地獄が出現する。おそらくは、正信さんの仕事。やり過ぎだよ正信さん状態だったが、それすらナーシェンの謀略のように思えてダヤンとブルーニャは戦慄していた。


    【第8章・第10話】


 ブルガルの民たちは入城するブラミモンド軍を歓迎していた。あまりにもジュテ族の統治がアレだったため、ベルンが攻め込んでいなければブルガルの経済機能が麻痺していなかったという事実すら、民たちには見えなくなっているようだった。モンケがアレでも、交易路さえ繋がっていれば民は食っていけるのだ。

 さらされているモンケ、ベルトラン兄弟に石を投げつける民衆を見て、少年は石を拾い上げた。軽く力を込めて投げつける。

「終わった、か」

 少年はため息を吐いた。少年は顔立ちがベルン人に似ていると言うだけで、ジュテ族の兵士たちから不当な暴力を被っていたのである。それを庇おうとした両親が斬り殺され、少年は復讐を誓った。そして無鉄砲にも政庁に忍び込み、あえなく捕縛されたのだった。

 地下牢に繋がれて処刑を待つ身の自分に、あの老人は剣を渡した。不思議なことに少年が脱獄した時、地下牢はおろか廊下にさえ見張りがおらず、こちらが拍子抜けするほどあっさりとすべてが終わっていた。自分は復讐を果たしたのである。それは喜ばしいことのはずだった。しかし、どう言うことか、心の中身には何も残っていなかった。

 石が、ゲクランの首にぶつけられた。

「……そうですね。ようやく、終わったのですね」

 一目で、高貴な身分の者だとわかった。所々痛んでいるが、流麗な黄金色の髪はまだ芯まで輝きを失ってはいない。生まれついての美貌が、見る者の目を引きつけ、男どもの下衆な欲望を集めていた。裸足である。娼婦か、奴隷か。少年は声を失った。彼女もまたジュテ族によってすべてを奪われ、己の尊厳をことごとく踏みつぶされてきたのだろう。

 滅ぼされた部族の娘だろうかと思ったが、明らかにサカ人とは異なる容姿に、少年は確信を持てないでいた。

 だから、すべての疑問を差し置いて、空っぽの心に任せて言葉を紡いだ。

「結局……俺たちは、ただ不幸だっただけか」

「それもまた真理なのでしょう。世はおしなべて不条理に出来ているようです」

「それすらも、今となってはどうでもいいか。……お前は、明日の飯はどうするんだ?」

「ああ、そう言えば、困りましたね」

 わかるようで、わからない女だ。少年は空を見上げた。

 ああ、どうして、自分はこんなことを考えているのか。まったくわけがわからない。それでも、少年の口は空虚に任せて勝手に動く。

「俺のところに来るか?」

「はい?」

「剣の師匠のところに間借りしていてな、この顔だから匿われていたようなものだが。……この戦の所為で、ただでさえ少なかった門下生がことごとく死んだから、部屋は余っている。給仕ぐらいは……できるのか?」

 最後に、疑問になってしまった締まらない提案に、女は小さく吹き出した。

 憮然とした顔をする少年に、女は涙目で「ごめんなさい」と謝る。

「……あなたは、いい人ですね」

「誤解だな。所詮は人殺し、いい人も悪い人もない」

「それでも、です。私はクラリス。しばらくの間、お世話になります」

 丁寧な所作に、気品のある振る舞い。それなりの教育を受けた者だけに許される洗練された動作に、ルトガーは目眩を押し殺す。

「あなたのお名前は?」

「……ルトガーだ」

 やはり元貴族かと、少年は場違いな気分になって嘆息した。


    ――――


『久方ぶりの活躍の機会に、少々心が高ぶりました。反省はしておりますが、後悔はありませぬ。なに、結果よければすべてよし。息子夫婦も無事でサカの実質的な支配権も勝ち取り、万事丸く収まったではないですか』

 そう笑っていた老人、正信さんことバルドスに、ナーシェンは引きつった笑みを返すことしかできなかった。他の領主にすら秘匿された内通者は、姿を見られないように霧のように消えていった。ナーシェンの補佐役だった時には隠されていた、恐ろしいほどの謀才である。敵でなくてよかったと、ナーシェンは心底安堵していた。

「五ヶ月でサカ全土を掌握か。期限ギリギリだったな」

 これがイリア攻略だったら、こうもアッサリと決着が付いていなかった。マードック将軍は現在も冬将軍の真っ直中を突き進んでいるのである。禁じ手の敵地での略奪すら行っていると言うのだから、その過酷さはサカの比ではない。ベルン感覚では『北国の獅子』ナーシェンも、さすがにイリアには行きたくなかった。

 エトルリアの親友ことクレインと、ロケットおっぱい魔道軍将ことセシリアが、極寒の地に救援に向かっている光景を想像して合掌するナーシェン。

 彼らはナーシェンがサカから軍を動かして退路を断てば、飢えて死ぬ運命にあった。あまりに哀れで泣けてくる。

 まぁ、エトルリアにはできるだけ時間を稼いで貰いたいので、王命が下るまではやらないが。それではブラミモンド家の存続が危ういので、せめてエトルリアとの国境付近に要塞を築くことに決め、築城の名手アルフレッドを派遣していた。現時点では縄張りだけだが、サカが復興すれば資材を送ることになっている。

 ナーシェンはブルガルの政庁に入っていた。ゲクランと同じ物を使うのは嫌だったので、内装はすべて取り替えている。木製の安っぽい椅子に腰掛け、頻繁にやってくる北部同盟派の文官に指示を与えながら、ブツブツと独語していた。ナーシェンはいずれ引き上げなければならないのはわかり切っていたため、それまでに文吏を北部同盟派で固めて影の支配者になるつもりだった。

 おそらく、サカの支配はブルーニャが請け負うはず。しかし、その部下はすべてナーシェンの息がかかっている。……と言うような状況にするつもりである。将軍になって日が浅く、派閥争いに無縁だったブルーニャの弱点をここぞとばかりに突きまくるナーシェン。その嫌らしさを、本人はまったく自覚していなかった。むしろ生き生きとしているナーシェンは、これが天職だったのだろう。

 さて、あとは……。

「サカにあるのは……ミュルグレか。弓使いは……サラには荷が重すぎる。となると、ダヤンへの餌にするか」

 絶大な威力を誇る武器、神将器である。竜に三倍ダメージの効果は見逃せない。いずれ必要になるとナーシェンは考えていた。

 こっちでは歴史が歪みすぎていてロイが確保してくれるかわからないし、そもそもあの問題を人任せにするのは恐ろしすぎる。

 ナーシェンは、今の生活が気に入っているのだ。北部同盟の諸侯と馬鹿をやって、クレインを弄くり、リリーナと純愛する。そして、前の世界にはなかった大切な存在も、手からこぼすわけにはいかないのだ。こちらでは、生きているという実感があった。時折、前の世界の方がおぞましく、向こうがゲームの世界だったと思えるほどである。

 大貴族の当主という勝手な言い分もあるが、こちらの世界は居心地がいいのだ。

『しばらくは、使ってやる』

(しばらくはいいように使われてやるよ。だが……)

「なななナーシェン様! 1/80ナーシェンさまチョコレート飴の生産が追いつきません! 注文が殺到しています!」

「……ブルガルにも工房を置くか」







あとがき
そろそろ8章も締めになります。今回も謀略を目立たせすぎてアレだった。次回への反省点と言うことで。あと2~3話でイリア方面とリキア方面を描ききれるか、次章に持ち越しになるのか。

そろそろナーシェンの方針を明らかにしておかないと、こいつは何がやりたいんだ、になってしまいそうなので書いてみた。

あと、PCを新調した時にテキストデータがミスで吹っ飛んだ。ボツネタが消えたのが痛い。自分、教習所の車で塀に突っ込んでタイヤをパンクさせるほど鈍くさいので。プライベートなことを書いてごめん。


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