プロローグ
あるところに、ヲタク一歩手前のアニメ好きな少年がいた。
彼は毎日のようにアニメを見、インターネットでいわゆる二次小説を読みふけってはいたが、アニメ関係の本やグッズは一切買わなかった。
もちろん、コミケやアニメイトなんて、誰かに会って自分がアニメ好きだと知られるのが嫌だから、もってのほか。
決して友人の前ではアニメの話はしない。
その彼が今一番好きなアニメはコードギアス。
特に好きなのがC.C.、カレン、シャーリー、神楽耶、ユーフェミア、ナナリーといった美少女達。
それに加えてコーネリア、モニカ、ヴィレッタ、セシルといったお姉さま方達も大好き。
コードギアスはもちろんのことR2も欠かさず見て、後でこっそりとDVDをネットで借りてダビングし、少なくとも3回以上は見るほどのお気に入り。
そんな彼に、天文学的に低い確率でしか起きないはずの不幸が訪れた。
人気の無い道を歩いていたところ、彼の頭に隕石が直撃したのだ。
ごく小さな隕石だったのだが、彼の命を奪うには十分な大きさだったようだ。彼は即死した。
だが、彼の魂が体を離れ昇天しようとした時に、なんと神様が現れた。
そして、彼が天界の何らかの手違いで死んでしまったことを説明し、何かお詫びをしたい、言うことを何でも聞くと謝った。
彼はかなり戸惑いながらも当然ながら生き返りたいと願ったが、一度死んだ人間を生き返らすと宇宙全体が混乱するので、さすがにそれはかなえられないと断られた。
そこで彼はしばらく考えた後に、コードギアスの世界のルルーシュになりたいと願った。
ルルーシュならば、C.C.やカレン、シャーリー、神楽耶を落とせるだろうと考えてのこと。
最悪でも、カレンやシャーリーとキス出来ることだし、C.C.と一緒に暮らしているときに狼に変身すればイイと考えた。
そして、隠れヲタクの本領発揮というか、更に様々な願いを追加した。
ATフィールドを使いこなせるように、ギアスの力を使えるように、魔法を使えるように、超能力を使えるように、ニコポ・ナデポの能力が使えるように、超人並みの身体能力が身につくように、宇宙一の天才になるように、などと思いつく限りの願いを言った。
神様は、彼が願い言うたびにうなずき、彼が願いを言い終わると同時に言った。
「君の願いはみな聞いた。どうか、次の世界では幸せになって欲しい」
その言葉と同時に彼の姿は消え、彼はコードギアスの世界へと旅立って行った。
すると、そこに可愛らしい天使が現れ、整った顔をしかめながら神様に意見した。
「神様、あんなに願いを聞き入れて大丈夫なんですか?世界のバランスが崩れませんか?」
いくらなんでも、神様並みの力を与えられた人間が存在することは、その世界のバランスを著しく崩すに違いないからだ。
だが、神様は笑ってこう言い返す。
「なに、私は彼の願いを聞くとは言ったが、全部叶えるとは言っていないよ。まあ、彼がうまくやっていけるかどうかは、運次第かな」
それを聞いた天使は、ほっと胸をなでおろした。だが、待てよ。これって詐欺じゃないのか?
◆ ◆ ◆ ◆
「うわあっ!ここはどこだ!」
彼――今後彼をXと呼ぶ――は、公園らしき場所で目覚めたのだが、見慣れない場所だったので激しく驚いて飛び起きた。
それまでベンチに座っていたのだが、いったん転げ落ちた後に立ち上がってあたりをきょろきょろと見回し、自分に一体何が起きたのか賢明に思い出そうとした。
「あっ、そうか。ボクは一回死んだんだけど、神様に頼んでコードギアスの世界に送ってもらったんだっけ」
Xは、時間が経つにつれて落ち着きを取り戻し、自分に何が起こったのかをゆっくりと思い出していく。
そうして、もう少しで憧れのお姉さんや美少女とイイことが出来ると思うと、次第に顔に笑みが浮かぶ。
「おっと、鏡を探さないとな」
Xは、うきうきしながら辺りを探し、程なくトイレを見つける。
だが、喜び勇んでトイレに駆け込んで鏡を見つけたXが見たのは、ルルーシュとは全く違う自分の姿。
「な、なんですとーっ!」
Xは、鏡に映った自分を見てびっくり仰天。元の自分よりは遥かに顔立ちが整っていたのだが、それでもルルーシュには及ばない。
「ま、いいか。ルルーシュじゃなくても、超能力さえあれば」
神様といえども時には間違いを起こすだろうと思い直し、Xはすぐに頭を切り替える。
例えルルーシュではなかろうと、神に近い能力さえ持っていれば、C.C.やカレン達を我が物にするのはたやすいことに気づいたからだ。
「ようし、それでは早速試すぞ。やあっ!」
Xは、手近な石を念じて動かそうとしたのだが、石は微動だにしない。
「あっれえ、おかしいなあ」
Xは、他の能力も試してみたのだが、何度試しても上手くいかない。そして、時間だけが無為に過ぎていく。
「や、やられた……。神様にだまされるなんて……」
Xは、がっくりとひざを着いた。こうして、Xの悲劇が始まる。
◆ ◆ ◆ ◆
さて、Xがコードギアスの世界に来て1週間が経ったが、相変わらずXは何の能力も使えない。
今日は最後の頼みの綱の能力、ニコポを使ったのだが、スレンダーで長い茶髪のお姉さんに
「クソガキ、キモイ!死ね!」と言われて、腹を強く蹴られて悶絶した。
この世界に来てからろくな食べ物は口にしていないわ、野宿するしかないわ、散々な目に遭っているため、体力も気力も殆ど失って残っていない。
「ちくしょう。なんでこうなるんだよ。この世には、神も仏もいないのかよ」
神様に会ったはずのXなのだが、そんなことはもう忘れてしまったかのようだ。
Xの頭は朦朧としてきて思考能力が低下し、もう頭の中は無茶苦茶だ。
「なんだよ、なんでこうなるんだよ、酷いじゃないかよ……」
Xは公園のベンチで横になり、静かに目を瞑る。
何も起きなければ、これでXの第二の人生は終わっていたはずなのだ。
だが、ここでお約束のアクシデントが起こった。
とっても優しい顔をしたお姉さんが、興味津々といった顔をして近寄ってきたのだ。
「ねえ、ボク?こんなところでどうしたの?」
どことなく、ラウンズのモニカ似だがちょいと若い感じのお姉さんが尋ねると、Xはゆっくりとまぶたを開く。
一瞬驚いた顔をした後何かしゃべろうとしたのだが、のどが乾いていたせいもあり言葉にならなかった。
いつまでたっても何もしゃべらないXを見て、お姉さんは興味を失ったのかその場を去って行く。
Xは落胆したが、もうどうしようもなかった。このままでは、本当に衰弱死するしかないだろう。
Xは、あまりの不甲斐なさに涙を浮かべる。
「ねえ、こっちを見て」
そこに、さっきのお姉さんが戻ってきた。右手にペットボトルを持って。
このお姉さんは、死にかけたXにとってまさに天使。
Xがお姉さんを見つめると、お姉さんはにっこりと笑う。
「ボク、のどが渇いているんでしょ?これ飲んで元気出して」
それを聞いたXは、最後の力を振り絞って起き上がった。
だが、お姉さんの差し出すペットボトル受け取るだけの体力すら残っていなかった。
腕は、体を支えるだけで精一杯で持ち上げられない。
あまりの惨めさに、Xは目に涙を溢れんばかりに浮かべる。
「うーん、しょうがないなあ。飲ませてあげるから、口をあけてよ」
そう言うなり、上手く体を動かせないXを見かねて、お姉さんはペットボトルをXに飲ませてくれた。
Xののどを冷たい液体が潤し、ほんの僅かだが力が湧いてくる。
「ありがとう、本当にありがとう」
Xは心の底からお姉さんに感謝し、純粋な気持ちで微笑んだ。
この笑顔が、Xの第二の人生の決定的な転機であることを、Xはまだ気づくはずもなかった。
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あとがき
現実世界から来た少年が、ルルーシュに憑依するはずが、なぜかオリキャラに憑依する話です。
最初はどういう方向に話を持っていくのか定まっていませんでしたので、テスト板に投稿しましたが、方向性がある程度定まってきましたのでこの板に移ることにしました。タイトルも「策動のゼロ」から変えました。
ただし、R15程度のちょいとエロい程度の話になると思いますので、エロにはあまり期待しないでください。
今のところ、主人公はルルーシュとオリキャラの二人で、ハーレムものになろうかと思います。
ご都合主義満載の作品になろうかと思いますが、それが好みであるという方にお勧めです。
最強主人公に、女性オリキャラの濫用、原作キャラの空気化作品に耐性がある方にもお勧めです。
この作品は、オリ設定満載になる予定ですので、原作の設定を重視する方にはお勧めできません。
キャラの性格も原作と大きく変わっている場合がありますので、原作重視の方は読む前にご注意ください。
ぶっちゃけた話、
『ルルーシュが死ななければなんでもOK!』
『ハーレムさえあれば、とりあえず許す!』
『あまりエロくなくても、ノープロブレム!』
という大らかな人向けの作品です。
なお、オリ主人公はルルーシュとキスしたことがある3女性キャラ(C.C.、シャーリー、カレン)とはくっつきません。
また、原作CPも、なるべく尊重するつもりです。(但し、ヴィレッタを除く)
※2008/11/17 21:14 初投稿です。
以後、何回か微修正しました。
※2011/5/4
最近、小説版R2のTURN4を読みました。
アニメを補足するエピソードが多く含まれていました。
そこで、この話をもう一回見直すことにしました。
R15からR14に変更し、エッチシーンは削除又は修正しました。これに伴い、近々投稿板を変えます。