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五里霧中。なにも動かず、神無月。
驚くほど何も進展せぬままに、10月を迎えました。
コダマです。
河本査問。政府は、関東軍の仕業ではなかったという結論だけを発表。
これに野党がえんえん噛みつく。
噛みついてるだけです。
事件当日に現地で外交官が調べようとしたら関東軍に妨害されたケシカラン。だから調査ができなかった。調査をさせろ。そんな要求から先へ一向に進んでない。
正面から攻めるしか能がないことをいつまで自慢しておられるのか。
将棋でも覚えなさい。
これに対し政府も、11月に天皇即位大礼という盛大なイベントをやるのでその準備で忙しいとか、噛み合ってない回答で逃げまくり。
どっちもどっちやらですわい。
4ヶ月もそんな感じで足踏みしてる日本ですが。
支那では、世紀の一大イベントを控えてます。
北伐完了を祝する観兵式を、今月10日、民国建国記念日に、首都南京にて。
詳しいことは引越してから確認するつもりですが、中華民国、すでに英米とは昨年度南京事件の賠償および今後の通商・外交・領土問題についての協定に入ってます。
フランスとはまだみたいですが、招待はされてるみたいです。
日本は、被害無シ発表取り消してないので有耶無耶なまま。
田中首相は未だに、張一族との連携ありきでしか支那との関係を想定していない。
だから南京政府との外交事案も、外務大臣不在の状況で、現地の領事や公使らに丸投げ。
権限もないのに話が進むわけもない。
蒋介石から相手にもされてなくて、首相も乗り気でないんでしょう。あいかわらず閣議すっぽかしてゴルフ三昧。
秋晴れでさぞやスコアもよろしいでしょうねえ。
日本の思い上がりとやる気の無さを示して軽蔑以上の何物も生み出さない、負のスパイラルだけを醸造しています。
わかってないのかな。
そんなことすら、わからないのかな。
ええ?田中さんよ。
野党もそこを突けよ、ってイライラしながら見ているんです。
一方で、準備も無く父の後を継いだ張学良に対する現地日本機関の圧力。
エゲツないことこの上なし。
関東軍はじめ、奉天領事や北京公使・満鉄のおえらがた・朝鮮総督府・日本からの外交官、あげく野党の視察団体までもが連日押しかけてはギャアギャア注文つけてるみたいですよ。威圧しながら。
新聞には、こんなこと言ってやったぜ自慢があふれかえってます。
泣けてくる。
こんな調子なので満洲の治安て今すごく悪くなってて。
石原閣下も私も、相当に身構えてます。
私の住まいは関東軍で手配してくれてるんですが、司令部と警察署がすぐ見える場所なんでひとまず安心。
むしろそこまでされなくちゃ不安という。
関内すなわち万里の長城より西側から、難民が大挙して満洲へ入ってきてます。
全満洲内でも、満鉄付属地は、現在最も安全な区域なんですね。
だから支那の中でも裕福な人はそこに住みたがりますし、家賃も値上がりが烈しいそうです。
かれらもまた、匪賊の恐怖に脅えているはずですよ。
日本人も怖いけど、支那人だって白人だって。家族以外は誰も信用できないんです。
そんな日々のなかで住居と、仕事を見つけて、なんとか生きていかねばならない。
想像するだけで、たまりませんよ。
こんな世界をどうにかして変えられないだろうか。
今後の私の、新たなるテーマです。
それをこの目で見て、考えるために、満洲へ行ってきます。
しんみりしつつ、おやすみなさい。