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激動の時代を、迎えています。
国民政府革命軍、徐州を制圧。
ここでもいったいどれだけの民家が掠奪、暴行、殺害の被害にさらされたことでしょう。
新しい地名が出るたびに、あの日見てきた光景を思い出して、背筋が震えます。
私の場合は、次回コソハって武者震いも少し、入ってるかな。どうかな。
徐州といえば、三国志で呂布が出てくるあたりじゃなかったっけ。
この辺りなんだって地図で確認したのは、恥ずかしながら今世が初めてですが。
そのちょっと先に、山東省。
済南という都市があります。
山東半島といえば、WW1のドサクサで日本がドイツからぶんどって、そのまま居座ってる租借地。
徐州市からだと300kmほどの済南市に、約2万人の日本人が租界をつくっています。
ここが南京の二の舞になったらと、現地の不安は、いや増すばかり。
外相がシデハラだったら、ここでも、大丈夫問題無シってのらくらするんでしょうが、田中内閣はそんなヘタレッピじゃございません。
ただちに山東出兵を閣議決定。
満洲の関東軍から可及的速やかに旅団を送りこみ、山東へ上陸させるそうです。
日本の権益は自分たちで守り抜くぞと、はっきり行動で示す構え。さすがだぜ。
21世紀の自衛隊でも、海外に日本人居留地あったら、このくらい迅速に出動できたものかしら。
無理だろうな。私のいた世界では。
ヒトマル式戦車は世界最強だぜ~なんて言ってるけど、政府から出動命令下る前に駐屯地ごと敵国に接収されちゃうよん、なんて、自衛隊ジョークにすらなってたもんねえ。
一方、国民政府は南京での外国民への掠奪殺害行為について、どうコメントしてるかといいますと。
各国に対し、蒋介石の名において、ひたすら謝罪。
国民政府革命軍が北京政府に対するいろんな反抗勢力の寄せ集めで、ソ連の軍事顧問政治顧問の影響力もまだまだ大きく根深くて、内部では完全に分裂状態。
それでも蒋は、そのすべてに責任を負う覚悟である。
そんな、なんだか涙ぐましい状況です。
3週間前に、蒋政府の新任外交部長が、こんな声明を出したそうなんですよ。
「中華民国の領土解放は、政治的、合法的に行っていきたい。列強諸国は平和的に協力していただきたい。日本に対しても、袁世凱に結ばせた民国4年の条約をいったん放棄していただき、あらためて新時代に即した条約を、協議の上で結ばせていただけないだろうか」
これ自体は、誠意を感じる、ひとつの模範解答だとは思うところですが。
しかし日本は、南京領事館事件の賠償がまだついとらんぞオラァ、とこれを無視。
泣けてきますね。
うちら被害者なんやぞって徹底的に強気で構えるクレーマーってタチ悪いですからね。
そこをバランスとって、うまく折り合いをつけて、できるかぎり低コストで無駄な時間もかけないで、速やかに安定平和を目指すのが、政治家さんのつとめではないでしょうか。
なんてね、すみません。言ってて歯が浮く。
石原閣下ひとり口説き落とすのさえ妥協に妥協を重ねて、なんとか折り合いをつけて宮本社長へもなんとかかんとか根回しして、これだけ苦労してようやく
もう一度支那へ
ってプロジェクトを進めてる私としては。
政治だの交渉ごとって、ほんとくたびれます。
やってられね。
でも、じっとしてもいられないのです。