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「南京では、邦人の被害は、皆無です。
中華民国国民政府革命軍は、市民からの熱狂的歓迎に包まれつつ入城し、現在も市内各地で盛大な祝賀式が催されております」
これが、日本政府が即日発表した、公式見解です。
いやさすがに嘘バレバレにもほどがあるっつーか。
あらかじめ準備しておいた、最も理想的なシナリオを、疑いもせず確かめもせず、時間がきたから読み上げました、ってところかなと察しはしますけどもね。
私たちが見てきたあの惨状を、直接目の前で味わって、生還した方たちが、大激怒。
野党マスコミからも猛バッシングで、軟弱外交極マレリと叩かれまくって、倒閣秒読みとも言われてるんですけれども。
倒閣するにしても主たる理由は外交失敗のせいじゃなくて金融政策失敗のせいにしたいということで調整中みたいなんで。
いったいどれだけ糞ポンコツな連中が政権担ってたんだと。
私は目の前が真っ暗になってるところであります。
支那も支那なら、日本も日本だよ。
コダマです。帰国してます。
ひとまず会社と、石原閣下から、生還をさんざん喜ばれつつも。
二度とこんな危険な云々と、きびしく説教され。
閣下は閣下で、現地での話をそれはもう何から何まで聞きたがるし。
サノはきわめて情緒不安定で、
故郷へ還るかという話も出てるんですが本人が
「実家へは今回の旅のことも言わないでください。仕事は少し休ませていただきますが、必ず復帰しますので、どうか時間だけください」
とそれはもう泣きじゃくりながら懇願する始末なんで、ひとまず医者へも通いつつ、アパートで療養中という形になっています。
支那を今のうちに見ておきたい。とは言いましたけど。
ここまでのハードシナリオは想定してませんでした。
できるかバカタレ。
しばらく旅はいいです。
二度とごめんだ……とは言わんけど。つか、まだまだ序の口だよな。
なんなんだよ、この世界。
ヘビーにもほどがあります。