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閣下と社長のお話が終わりました。
なんで当人を参加させないかな。まだ子供と思われてるのかな。子供っちゃ子供だけどさ。
数えで15。中学校か幼年学校へ入れられるべき年齢ではあるけどもさ。
それにしたって私の進路ですよ。
それを当人交えないで保護者と後見人だけで何時間も議論するってどうなのよ。
とはいえ21世紀でもそうでしたか。
この子の幸せを何よりも誰よりも深く考えてると自称する大人たちが、当人だけ外した場で、口角泡を飛ばして議論という名の罵倒合戦を繰り広げた挙句に、妥協の産物として当人の行く末は決定される。
古今東西、運命なんて本人の意思そっちのけで決定される進路のことを言うものでしょうな。
認めたくないものだが、逆らう術を知りません。
さて。私の進路です。
結論からいうと、週五日は石原閣下のもの。週二日は宮本社長のもの。
なんだよソレ。休みなしかよ。
とんだ奴隷契約だ。ちくしょうめ。
んでまあ。石原閣下からの、新たなるミッションです。
おつかいへ行かされます。
朝鮮へ。
おい、いきなり海外かよ。
海外つーても外国では…ない。みたいですよ。この世界?時代?では、朝鮮半島は日本の領土らしいです。
植民地、と言うと問題になるらしい。
国際法上ややこしいことをして手に入れたんでしょうなあ。
事実上、日本の支配下にあります。だから安心、とも言えない。
くれぐれも危険を避け、生きて帰ってくるべし、と閣下からのお言葉。
そんなところへ子供を一人で初めてのお使いにいかせるおつもりか。わけがわかんねえ。
京城府の総督府庁舎に警務局があるので、そこに書類を届けよと。
ついでに2~3日、安全に気をつけつつ遊んできて、レポートを提出せよと。
まあ閣下らしいというか。らしいのか?
ドイツで何を覚えてきたんだかしらないが。
安全にねえ。どーなんだろ。とりあえず見聞を広めてきます。レポートします。
来週、出立です。