File_1944-10-002D_hmos.
「私は帰ってきた」
ダグラス・マッカーサーが
実にヤラセくさい写真を撮らせながら
レイテ島レッドビーチへ上陸してから数日間のうちに
日本は大和型二番艦・戦艦武蔵ほか
なけなしの海軍戦力を
ほぼ総てといっていいほど
失ったようです。
東條さんはサイパン陥落を理由に辞職しましたが、小磯さんも、辞めるにはいい口実でしょう。
降伏してから交代するか、ジョーカーを次の首相へ引き渡すか、見ものですけど。
近衛はまだ、出てきそうにないですね。
マニラにいる山下さんが、大本営に逆らって、早々と降伏する展開もアリだと思います。
ドイツのパウルス元帥が、スターリングラードでソ連へ投降したように。
そして、終戦工作に尽力する。
無条件降伏は受け入れるけれども、焼け野原からの復興にはさせない。
責任あった将校と、近衛フミマロと、マスコミ共は、戦犯として裁く。
その道しるべを、我々が指し示す。
よくないですか。
山下さん。戦うばかりが華じゃない。こんな勝ち方だって、ありますよ。
ほんとの悪を倒すべきです。軍人冥利に尽きましょう。
タイミング的には、今しかないとも思うのです。
マッカーサー上陸と同じ日に、スティルウェル氏が中国を去りました。
2年ほど前から、「あの」ウェンデル・ウィルキー氏含め何人もの米大統領特使が重慶へ派遣され、蒋とスティルウェルの諍いの調停に奔走してたんです。
この度、スティルウェルの解任に至ったことは、米政府が、より蒋介石への肩入れを強めた決定打といえます。
スティルウェルの主張。
「蒋介石は支援物資をもらうだけもらって、放蕩三昧。
はえぬきの国民政府軍は華中で敗走を続けているのに対し、ビルマで訓練された中国人動員兵はメキメキ強くなって日本兵を駆逐している。
すでに蒋介石と側近たちは、この米軍式中国軍に対しても、共産党系の八路軍や新四軍に対してと同じくらい、警戒を強めるようになった。
蒋は対日戦終了後ただちに国内の反対派を徹底排除するつもりでいるが、日本の脅威がなくなると同時に、蒋政権の求心力も崩壊する。
米国はこれ以上、蒋介石個人への肩入れを、すべきでないと進言する」
非常に、よくわかってますね。見事な分析だと思う。
しかし、このスティルウェルが、罷免された。
日本が無条件降伏して
中国大陸内および台湾や南方の領土をすべて放棄した途端に
その利権をめぐって、蒋介石と毛澤東の戦いが、盛大に開幕するでしょう。
今ならまだ、連合国からの支援は、蒋政権が掌握します。
毛澤東を、追い詰めることができます。
毛澤東、別に嫌いではないんですけど、ここまで徹底的に物陰から様子を窺ってる睨みの鋭さは要警戒。
それに、蒋はなんだかんだ言って、日本を死ぬまで追い込むマネはしません。
彼に中国を束ねてもらっておく方が、日本にとっても、好条件ですよ。
スティルウェルという、お目付役がいなくなった今、条件は揃ったと見るのですけどね。
どうかなあ。
ところでシュトラウス脱獄のXデーは、1月1日に決まりました。
お正月は、さすがに、尋問なども、お休みするでしょう。看守も少なくなるはずです。
私も、仕事納めのタイミングで、満洲を離れられる。好都合。
戦局次第ですが、ひとまず国外へ、逃げ出します。
行き先候補はいくつか準備してますが、シュトラウスの意見も聞きたい。
げっそりやつれてるはずだから、一週間くらいは、平井邸で、お雑煮食べながら、静養ですね。