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インパール作戦が、正式に、中止となったそうです。
やや遅すぎた嫌いもありますが、まあ、おめでとう。
17号の小林が、この知らせに動揺しています。
インパール攻勢と同時に大本営が決定した
もう一つの作戦も
中止になってしまわないかと
心配をしているんです。
ああ、大陸打通作戦のことね。
日本はシンガポール・蘭印・タイ・仏印を征服しており、中華民国領では華北から華中までを占領しています。
先月、長沙がとうとう陥落しました。
ここから更に南進し
仏印から北進する部隊と合流させ
中国大陸を縦断する鉄道をつなぎ合わせようという、壮大な計画です。
シンガポールから釜山までの、2500kmを、日本の管理する鉄道が走り抜く。
シベリア鉄道の何分の一かの距離ではあるけど、うむ、それはそれなりに、心躍らざるをえない夢のようには、聞こえるね。
敗戦一直線の今
このタイミングで
そんな道楽イベントに国力つぎこむ余裕なんてないだろと
口には出さないけど
言っておく。
よしんば打通して。
どこで空襲やゲリラの標的になるかと思えば、記念列車に乗る気にゃなれぬ。
満洲事変から何年かかったと思ってますか。沿線から匪賊の心配がなくなるまで。
それでも小林には
認めたくない数々の戦況報告が溢れる中
最後に残った
たったひとつの
すがりつきたい
道しるべ、なのかもしれない。
ちなみに打通作戦の兵站を担当しているのが、これまた辻政信で、小林は春頃から彼と連絡をとって、進捗を聞いていたんだそうです。
ところがインパール中止で方面軍の再編が生じ、辻は今月より華中からビルマへ飛ばされます。
辻がいなくて打通が叶うのかと、小林は狼狽してるわけです。
百人の辻を欲する者がここにもいたか。
南方では、ついにサイパンが陥落しました。
最後は、バンザイ玉砕だったらしい。
軍人だけでなく
居住してた軍属や民間人まで含めて一万人が
追い詰められて島北端の岬で崖から飛び降り
あるいは敵陣へ丸腰で突撃するという
自発的な全滅によって
戦闘を終結させたと。
日本人は自業自得でよかろうけど
連れていかれて同じことさせられた現地民と
最後まで投降を呼びかけ総攻撃を命じなかったゆえに、敢闘精神の欠如を咎められ、解任された米陸軍師団長に
申し訳なく思います。
もちろん、そんな日本人のしつこさを見過ぎてPTSDに苛まれているであろう連合軍前線兵士の皆さんにも、どうか、無事帰国して平穏な日常を取り戻していただきたいと、心より願ってやみません。
米軍は、サイパンの飛行場を、すぐに使い始めるでしょう。
来ますよ。本土空襲がはじまります。
もう、待ちません。
シュトラウスを、脱獄させます。
平井氏に疑いが向かない形で、むしろ、平井氏にもメリットのある計画を、考えます。
私は辻など頼りません。
要りませんよ、あんな脳筋。