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牡丹江から帰ってまもなく、南方で大事件が起こりました。
米軍、反攻開始です。本格的に。
ついに、きた。
7月10日までに私の手元に集まった情報でまとめますと。
ガダルカナル島より西方、レンドーヴァ島。
ニューギニア島東部、ナッソー湾。
および、対岸ウッドラック諸島。
これらへの上陸作戦が、6月30日、一斉に始められた模様です。
前日、一日中雨続きで、日本側の海上哨戒が甘くなっていた。その隙を突いた。
天候を巧みに利用する。戦術の王道ですね。
同時に、ボーゲンビル島やコロンバンガラ島の日本軍陣地へも、盛大な砲撃を開始。
戦闘機・艦爆機入り乱れる派手な空中戦も繰り広げられている模様です。
日本のうろたえぶりは、数日遅れで記事にしていることを見ても明らかですが。
日付も場所も曖昧で、敵をバンバンやっつけましたという内容だけのファンファーレ。
ごくろうさん。泣き顔が目に浮かびますよ。
特筆すべきは、米艦が夜間戦闘を「仕掛けて」き始めたこと。
従来は、あり得ませんでした。
これが意味するところは。
レーダーの運用が、いよいよ軌道に乗ってきた。
電波により、敵の位置を正確に把握し、無線でフォーメーションを指揮する。
暗闇では絶対的なアドバンテージ。
もちろん日中でも有利です。
弾幕の火煙。背後も見えない。そんな三次元無双のさなか、レーダーには、影が映る。
これまでも迎撃は重ねてきましたが、いよいよ機は熟したと、見たのでしょう。
用意周到、全力投入。
ほんとに、スポーツの極意をわかってる。
日本軍が聞いたら驚くであろうこと、もうひとつ。
レンドーヴァ島上陸担当は、第3艦隊。
海軍勢です。
ニューギニア島上陸は、マッカーサー指揮する第7艦隊。
陸軍勢です。
共同作戦では方針に折り合いがつかないので、だったら別々にやるがよいと統合参謀本部が許可を出した。
日付だけを統一して、二頭態勢で実行されました。
実はこれが初めてでもありません。
連合軍太平洋方面はアメリカ・イギリス・オランダ・フィリピン・オーストラリアなどの混成ですが、各軍の指揮系統や戦法・護るべきものの優先順位・言語まで含めて、あらゆるものがまちまちです。
これをいきなり、最大派に全員合わせろといっても、無理でしょう。
ならば各軍の力量と、達成可能性に応じた作戦を割り振り、報連相だけ共通化して、部隊ごとに任せる。
連合軍はこのノウハウも、着実に熟練させつつあります。
日本の陸軍と海軍は、思ってたほど仲悪くもないようですが、今だって、よく知らない相手への依存度が高すぎる。
これでは、家計に余裕がなくなっていくにつれ、責任のなすりつけ合いと、相互不信が募っていくことは、避けられません。
これから、ますます、残念な方向へ突き進んでいくことは、疑いないでしょう。
ラバウル防衛線は、何ヶ月で、いえ何週間で、突破されるでしょうか。
固唾を飲んで、見守りたいと思います。