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マレー半島まっすぐ縦断。
日本軍、2ヶ月で1000kmのジャングルを駆け抜ける。
ばっかじゃなかろか。
このスピードには英米も動揺しています。
英兵が逃げる、その更に先を、チハ車が爆走してたりとか。
日本兵は走り疲れたらゴムの実を食って寝転がり、起きるとまた走り出すとか。
クトゥルフ神話が、山ほど生まれてるんですよ。今、ここで。
マレー南端ジョホールバルへ辿り着いた日本軍が、対岸のシンガポールへ容赦ない攻撃を開始したのが、現地時間で2月9日。
そこから一週間も経たずして、東洋艦隊の一大拠点シンガポール要塞は、陥落しました。
香港島より、短時間で。
まさか日本がここまでやるとは。
ビルマ、フィリピンでも日本軍は勢いづいてます。
まったく。兵站を考えない侵略者は、強いです。
まるで大海嘯だ。
戦略的にやってるとはいえ、ひとまず英米の駐屯軍は、基地も物資も無傷で日本軍に明け渡し続け、退却を重ねています。
その戦況は本国へ逐一報告され、対日戦へ特化した戦術論が官民まきこんで盛んに議論されてますが、さすがに今日明日で増援を届けられるものではありません。
冬のヨーロッパ戦線はしばらく膠着するでしょうから、対独戦はもうしばらくソ連に引き留めておいてもらうことにして。太平洋へも、もっと戦力を割かねば。
連合軍はいま、基本戦略の転換を迫られているところです。
連合国共同宣言に調印した26ヶ国のうち、英米ソ中をビッグ4と呼びますが、主導権争いも熾烈なようです。
これもですね。そんな情報、戦時中にはまったく世間に出てこないだろうと思ってたら、意外とそうでもない。
たとえば今月、蒋介石はインドを訪問し、イギリス総督府とインド国民議会、それぞれの要人と会談しています。
その意義と、メッセージは、広く世界に知らしめるべきものなのです。
インドは古代文明の栄えた歴史ある大地ですが、チャイナ同様、支配民族もめまぐるしい変遷をたどり、直近180年ほどはイギリスの植民地でした。
蒋は当然、自分たちの苦闘の歴史と重ね合わせてインドの独立派に共鳴していますが、いまも重慶への支援に全力を尽くしてくれている英国の機嫌を損ねるわけにもいかない。
二律背反する立場を背負い、英印の調停役を買って出たわけですが、国内外で支持を集める宗教家のマハートマー・ガーンディー氏との会談をセッティングするにあたっては、チャーチル首相から全力で圧力をかけられたようなんですね。
それでも、対話した。
しかし蒋は、正論は言うけれども共に銃をとって闘おうとはしてくれないガーンディー氏へ、激しい失望もしたみたいです。
21日に発表された「インド民衆に告げる」という声明には、そんな苦悩のあとが痛切に滲み出ている。
面白く読みました。
ええ、面白いです。
私はとっくに、心配するのをやめたので。
この、各国のエゴがむきだしでぶつかり合うバトルロイヤルが、いま、面白すぎてしょうがないんです。
いいぞ、もっとやれ。
夜毎、神話が生まれ、たどりつくその先には、何が見えるだろうか。
この森の彼方から響く声は、大地を開き、闇にとけだし、きっと何かを映すだろう。