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プリンス・オブ・ウェールズ。
大英帝国が誇る、今年就役したばかりの高速戦艦。
マレー沖にて、日本海軍航空隊の集中爆撃により、大破。
沈没。
ええ。知ってました。
ごめんね、フェアじゃなくて。
イギリスの落胆ぶりは当然として、アメリカも、ソ連も、ドイツも、驚愕しています。
日本だって、驚いてます。
熱狂の坩堝です。
真珠湾で米国を叩きのめして二日後に、英国の出鼻も挫いたんだから。
日本産ストラテジーでは数少ない、貴重な、盛り上がる序盤戦中でも最高の、クライマックス。
思えば私も、何百回となく、沈めたものです。
ごめんね、ウェールズ。レパルスも。
日本人が浮かれるのは無理もないし、せいぜい今のうちにハシャいどきな。
西洋文明恐るるに足らず。まあ、思っちゃうよね。浮き足立っちゃうよね。
そして、まさしくここが、英国と日本の結末を決める分岐点となるのです。
巨艦の威容だけでは、相手の士気を挫くことはできない。
対空装備あるいは航空戦力を持たない戦艦単独では、負ける。
ウェールズとレパルスの犠牲によって、イギリスはこのことを学びます。
日本は、この勝利を、分析できなかった。
攻守逆で同じ状況に陥ったらどうなるのか。
考えさえ、しなかった。
ただ喜び、酔い痴れた。
気づきもせず。学びもせず。緊張感すら持たず。
だから、二度目の勝利はなかった。
これが、マレー沖の教訓です。
翌日、ドイツが、三国同盟を理由に、対米宣戦布告。
日本への期待が一気に高まったことを示します。
太平洋で日本が暴れれば暴れるだけ、英米は欧州戦線から兵力を割かねばならない。
すでに冬。モスクワ周辺は真っ白でしょう。
ドイツもそろそろ、計画の失敗に気付いて焦り始めたか。
そんな風にも思います。
冷静に考えて、ドイツには、ここで新たな敵を増やす必要も、余裕も、無いんだもの。
自ら戦線を拡大させるなんて。浮き足だってやっちゃった、完全なる悪手ですよ。
私は、段階が進むにつれ、情報が得にくくなることを覚悟してたんですけど、やっぱり、そうでもないみたい。
どの国も、戦時下だからこそ、国民へ伝えるべきことが山ほど生まれる。
むしろ平時よりはるかに、本音とお国柄が出るものです。わかりやすい。
日本の新聞も、私は今、全紙手に入る限り集めて、読んでいます。
自己弁護に終始する。客観性に欠ける。真実とかけ離れすぎてる。
もちろんわかってます。こんなの報道ではありません。昔からです。将来もです。
犯罪者の手記なんだから。当然です。
そう理解して読めば、新聞ほどカルトの本質がよくわかる文献はありません。
同じ事件を報道し、分析し、解説を加えてくれる米国紙の力も借りてですが。
でも、米国紙だけでも不十分なのです。
真相へは、一方だけでは辿り着けない。
犯人はどこを見てるのか。何を気にしているのか。
その答えは日本語を読んで初めて、わかるのです。
だから、熟読します。
じっくりと、あぶり出しましょう。
時間は、まだある。