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夏が終わりかけてます。今年の冬は、早めにやって来るかも。
雪が降り始める前に、モスクワを陥とせるかどうか。
ドイツ軍、正念場です。
ウクライナは、占領されました。キエフも壊滅したとか。
ソ連の被害は甚大で、すでに死者は100万人を越えているという予測も。
かつての日本軍は、日本兵1千人と戦うには中国兵1万人が必要だと胸算用しました。今のドイツも、ソ連に対しては同じような計算式を組み立てているでしょう。
数字の罠ですね。
そんな公式つかってると、資本金の限界を見誤ります。
ライバルに売上差で20倍負けてても、まだまだ逆転できると思っちゃう。
アメリカだって対ベトナム戦以降は同じ轍を踏み続けることになるので、なかなか根深い問題だなあ、と思うんですけど。
ギャンブルは、負けきるまで終わらないものです。
止められないんです。気づけないんです。
勝ちたいなら、儲けたいなら、ビジネスをやらなくちゃいけない。その区別をつけましょう。
戦争とは、ビジネスであらねばならない。
ビジネスをわからない人間が戦争に手を出してはならない。
出してもいいけど、カモられます。我々が、いくらでも、カモります。
最近、そんな風に割り切ることを覚えました。コダマです。
重慶への遠足は、すでにギャンブルですらない。
あいかわらず、日本兵は徒歩です。燃料ケチって、航空も戦車も、姿だけ見せたらすぐ引っこませてるようです。
重慶も、モスクワも、仮に占領したところで敵政府はすぐ奥地へ逃げるのがわかりきってる。
日本も、ドイツも、そこまで考えて戦略を立案しているのだろうか。
首都へ到達できるかどうかを危ぶんでる時点でアウトです。
退路を断ってから、包囲して王手をかけないと。
それだけの余裕もないなら、そもそも始めちゃダメです。
将棋でもチェスでもいいけど、もっとゲームを真剣にやりましょう。学べることは、たくさんあります。
わざわざ無一文にならなくたって、リアルで身ぐるみ剥がれる前に、覚えられるのに。
高い授業料ですね。
カモりますけど。容赦なく。
上海の江先生は最近、圍棋を始めたそうです。日本だと囲碁ですね。
毎晩、マフィアの人たちに揉まれながら、中国語と一緒に覚えてるみたいですよ。
楽しそうで、なによりです。
その江先生からの又聞きですが、内地の憲兵隊が最近、とみに尖鋭化しているとの噂。
本来、陸軍人を対象に素行調査し、内偵し、検挙する。
それが憲兵の役割ですが。
兵務局という、陸軍管轄の軍隊内監視機関が、2・26後に、つくられました。
現在はこちらが軍隊内の綱紀粛正を担当。
憲兵のお仕事を完全に奪っちゃった格好です。
あぶれた憲兵が何をしているかというと。
一般市民を監視してます。
主に、思想犯やスパイを洗い出している。
警察とは連携せず、軍人目線で、軍機に抵触する民間人を、しょっぴく。
内地も剣呑になってきたもんだ。おちおちスパイ小説も読めやしません。
同種の警察組織が今や十以上ひしめいてる満洲にくらべたら、まだまだユルい段階ですけど。
それでも昨年、陸軍大臣となった東條さんの肝煎りで、予算も実績も、うなぎ登りなんだそうです。
江先生からは、くれぐれも、用心するよう言われました。
気をつけます。
用事がすんだら、すぐ帰ります。