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新年明け早々、ルーズヴェルト大統領が、レンドリース法案を合衆国議会へ提出しました。
これから下院と上院で審議されます。早ければ来月にも、スタートするでしょう。
レンドリース・アクツ。武器貸与法。
WW2でミリオタが驚喜する瞬間です。
これによって、連合国側の兵器開発が混じり合うんです。
進化発展が加速し、革新的発明が連続的に爆発します。カンブリア紀のはじまりです。
レンドリース法自体は、シンプルです。
アメリカは、参戦はしないが、友邦に武器を貸し与える。実質無料で。
とにかく、勝ってくれ。それしか望まない。
食糧や、生活必需品と違い、軍事技術には高度な機密が伴います。
だからソ連も、破壊された戦車の回収を、必死でしてました。
その重要性を軽視している日本は、まぎれもなく後進国です。
外貨獲得のために輸出する場合でも、最新版は売ってくれないもの。それが普通。
むしろ、時代が進み、技術が上がるほど、最新鋭兵器の貸与なんて、通常はありえないことになっていくものです。
アメリカが今、これをするのは、一つにはまだ軍隊に外地で戦争する準備が整っておらず、戦闘レベルで惨敗する危険を承知しているから。
精巧を誇るドイツ軍の各種兵装に立ち向かうだけの技術も、持っていない。
しかし、生産力だけなら、負けない。
それでもよければ放出する。使ってくれ。
そして、どこをどう改良すればいいのかを教えてくれ。我々はそれを学ぶ。
そして、ドイツと戦える武器をつくれるようになった暁には、作戦にも参加する。
いかがだろうか。
当面は、イギリスへの援助です。
今は、ソ連は敵側なので対象外ですが、独ソ戦が始まってからは、ソ連へも技術が渡ります。
四年間に渡ってソ連と米国がいかに兵器開発で協力し合ったかという内実が明かされるのは21世紀を迎えてからですけど、これこそ超絶に面白い物語なんですよ。
私はいま、その最初の瞬間に立ち会っている。
感無量です。
今日は涙もろいぜ。
対日同盟を結んでいる重慶国民政府へのレンドリースも、早晩、行われるはずです。
米国は国民政府への支持と全面的協力を表明し、昨年までに5000万ドル近い融資を行っていますが、年末さらに1億ドルの追加支援を発表しました。武器と資材の物納という形で、提供しています。
仏印とビルマからの援蒋ルートは日本が止めさせたはずですが、今はどこから輸送しているのだろう。
揚子江経由も不可能なので、陸路でどうにかしてるはずですが。
しかし中国は兵器開発史においてこの機会を活かすことはできず、国産戦車開発なども、戦後から始まることになります。
やむを得ません。
だって日本が中国の産業を徹底的に破壊して回ってるんだもの。
レンドリース効果が限定的になるのは致し方ありませんよね。
中国には、ふんばってほしい。もう少しだけ。
それは英米のみならず、私の強い思いでもあります。
私は満洲に育てられました。中国大陸がふるさとです。言い切ります。
血塗られたこの大地には、私にとって悲喜こもごも、語り尽くしても尽くせないほどの、愛憎と愛着がある。
果たさなくてはならない、道義と責任もある。
だから、この流れを加速させます。
その先にはきっと、ツァラトゥストラとデイジー・デイジーの融合する夜明けが来るはずだから。