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9月1日。
ドイツ軍、ポーランドを侵犯。
国境手前にあったラジオ局が、ポーランド人過激派組織に占拠され、反ドイツのアジテーション放送をガナり始めた。それを鎮圧するために全軍を出撃させた。
という口実です。
日本と、大して、やってること変わんないなあ。
8月末まで一週間かけて国境付近に大集結させていたドイツ陸軍機甲師団が、一気に、首都ワルシャワまで突撃を開始。
もちろん、ゲルニカで経験を積んだ空軍も全力で参加していることでしょう。
ポーランドは、独ソ不可侵条約が締結された翌々日には、英仏との安全保障条約を更新し、ドイツへの牽制を求めてました。
この条約を根拠として、9月3日、英仏がドイツに対して、宣戦を布告。
第二次世界大戦。
とうとう、開幕。
時を同じくして、ハルハ河では、第23師団が完全に壊滅したという、噂を聞きました。
うん、そうなると思ってた。おつかれさま。
須見さん、来世では平和な時代に生まれてください。日本人じゃない方がいいですよ。
宣戦布告。
今度のは、戦争、なんですよね。
ふしぎな気分だ。
日本軍と中国軍は、何年間も戦い続けてます。
日本軍とソ連軍も、さっきまで戦ってました。
それらは戦争ではない。
言葉の綾みたいなものですけど。事変だったり、事件だったり。
はっきり、戦争と銘打たれて始まった欧州のコレは、今までのと、何が違うのか。
まだ、ピンときません。
おそらく、人類の大半は、いま始まったばかりの戦争が、世界中を巻きこんでこれから6年間も続くなんて、考えてないでしょうし、信じたくもないでしょうし、知れば、なんとか止めたいと、思うはず。
戦争を、止めたい。未然に。
起こしちゃ、ダメだ。
そんな風に、私も、考えていたことが、あったような。
いえ、ありました。
この点は、はっきりさせよう。
一度目も二度目でも、人生において現実の戦火にまみれたことのなかった私は、戦争というものを、ひたすら悪の象徴だと、すべての人を不幸にするものだと、考え、おそれていました。
まちがいなく。数年前までは、そうでした。
今は、違います。
外地での戦争なんて、最大の商機。
しかも私は、これからの、だいたいの流れを知っているし、同時代人より一生分上乗せした知識と経験を持っているんです。
これを最大限、活かさなくちゃ、おかしいだろ。
結果論ですが、軍人になってなくて、よかった。
コネだけを作っておいて外側にいて正解だった。
これが私のチートです。
めいっぱい、活用して、生き抜きます。
ところで、今後はどこで情報を得たらよいものか。
英語系の新聞も、これからは報道規制が格段に強まるでしょうけど、可能な限り、拾わなくては。
上海は、日本の占領下になって以来、新京並みにつまらない街になっちゃってます。共同租界はまだブリテンが治安維持してるので、そこそこ自由ですけど、私は西洋人には化けられないので、情報蒐集にも、おのずと限界があります。
香港へは、実は、行ったことがないんですけど。
あそこは、完全に英国領なので、足を拡げる甲斐はあるかも。
商売しに来ましたって、歩き回って来ようかな。
ちょっと、検討してみます。