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南京が、ピークだと、思ってたんですけどね。
甘すぎました。今後はもっと自重します。用心します。
軍人と、商売人は皆、詐欺師。どれだけ疑っても、疑り過ぎることはない。
あらためて肝に銘じます。
ハルビンで精密検査を受けながら、会社の仕事を片付けながら、新聞を斜め読みしてます。
タムスク空爆と、それに続く師団の快進撃。これでもかと連日盛り上げに盛り上げてた新聞屋が、突如沈黙。
忘れた頃に脈絡無く、大勝利にて戦闘終結。という感じで締めくくられてます。
マスコミは詐欺師以前に人間以下ですから論外として。
従軍記者、まだ何人も現地にいるはずなんですけどね。
どう発表したものか、辻たちと頭をひねり続けてたんでしょう。
口実探しも、記事も、いいから。一刻も早く降参して撤兵し、須見さんたちを原隊ヘ戻し休養させてあげてほしい。
しかし、戦闘はまだまだ続いています。
ハイラルに残してきてるスタッフから、サイダーとガソリンの発注が、毎日、きてますもの。
その他にも、物資が、いくらでも必要と。
高橋是清さんというストッパーがいなくなってから、軍事予算はいまや天井知らずで跳ね上がり続けてます。
だからいくら掛け売りしても、踏み倒される心配は当面、無いんですが。
というより商売人としてはまだまだいくらでも戦争しとくんなはれって言うべき状況であるわけなんですけども。
このバブルに乗って浮かれていられるほど私も大人じゃないんだなあまだまだ。
たとえば昭和17年頃の南方戦線なんて、がっつり稼ぐには最高だと思います。
けど、行く気ありません。まっぴら御免です。
南京は、まだ、攻めて勝つ側だったから、いまのうちにこの目で見ておこうと思っただけです。
むしろ今しかない、と、あの時は考えた。
ハルハ河は、計算外でした。今後はもっと、慎重に動きます。
とはいえ、新聞しか読んでなければ、ハルハ河だって勝ち戦。
行って商売のネタを探してこよう、という気にならない者こそおかしい。
売りたい奴は山ほどいる。関東軍への接待攻勢は、アポをとるのさえ大変と聞きます。
私は特別枠なんで、せずにすんでますけど。
石原が参謀副長やってた時、軍の交際費をバッサリと断ち切りました。
庶民にはウケがよいかもしれませんが、大局的にはダメなやり方です。
これの何が間違いかというと、必然的に軍人は交際費を癒着企業やマスコミに頼るようになるから。
より依存度が強まって、弱みを握られるんです。
健全化に向かわせたいなら、一件一件をつぶさに調べてこれはOKこれはNGときちんと指導していくプロセスが必要。もちろん明示されたルールに従ってという大原則ありきです。
役職にかかわらず違反者には適切な罰を。
放逐するにしても、負債を完全に清算させた上で、お別れをする。
石原は、デタラメに横着して、しかも自分の好き嫌いを基準にして、勝手な正義感で独裁をしたんです。
そこをわかってた人間がどれだけいたかな。
いないことが、日本の病理です。
いまその連鎖が積み重なって、目の前に現出しているわけですよ。
これを矯正するのに、いったいどれだけのコストと時間をかけなくてはならないのか、と途方に暮れる私の耳元で。
「あと6年戦争やらせて日本をボロボロにさせちゃえば、そのあとで若い世代が本気で改革をするよ」
という、悪魔のささやきがきこえてくるという次第です。
腑に落ちちゃうんですけど、いいのか?本当に、合っているか?
どこかに論理破綻は無いか?これが完全解か?え、どうなんだ?