File_1937-12-006D_hmos.
制限時間:2昼夜。コンティニュー不可。
完勝条件(できれば):南京城内外全域の完全掃蕩。
勝利条件(必須):中山門からの入城式予定区域周辺のドレスアップ。
ミッション報酬(完勝時):昇級もあるかもよ。
ミッション報酬(勝利時):よろこばれるでしょう。
ミッション報酬(未達時):粛清必至。
朝香宮殿下から
「式中の防空態勢は警戒厳だが、それ以外は無理せぬよう。できれば諸外国へも日時を知らせ、可能であればご参列いただきたい」
とのお言葉があったそうです。
そんな世迷い言抜かしてる暇があったらせめて1ヶ月は延期してくれるよう参謀本部へ掛けあっていただきたいものですが誰一人そんなこと言えるわけもなく。
私たちは、疑わしきものをターミネートし、デリートし、クリーンナップまでしなくちゃならないのです。
悩む余裕も、泣いてる暇すら、無いのです。
私も、駆り出されました。
旅団には、中国語を話せる者は、ほとんどいません。
情報を持ってそうな俘虜は、運がよければ、司令所へ連れて来られます。
私が通訳し、城内外でまだ食糧や物資などが掠奪されてない場所ですとか、残党の隠れ家ですとか、いろいろ、聞き出すわけですね。
数をこなさなくてはいけませんから、容赦なく殴りつける係も脇にいるんですが。
君はにらみつけてるだけでいい、その横で私が優しく語りかけるのが、一番早く情報を引き出せるから。
そう言い含めて、我慢させます。
目の前で拷問ショーなんて見たくないもの。
私が欲しいのは情報だけです。提供者には、できればお礼も差し上げたいし、せめて生かして帰してあげたいんですが。
そこまでは見届けられない。
ごめんね。ほんとごめんね。
それにしても国府軍、思ってた以上に内情は悲惨でした。
多くの少年兵は、半年くらい前から、拉夫され南京へ連れて来られ、俸給も支払われず、毎日拷問のような訓練と共に、日本への憎しみを叩き込まれて今に至る。
そして、死んでこいと突き飛ばされる。
かれらの心は憎悪ではち切れんばかりです。
いえ、はち切れすぎてます。
仮に、いま、魔法で日本軍が一瞬のうちにデリートされて、世界に平和が訪れたとしても、いったいこの子たちの心のケアに、どれほどの時間と、コストと、周囲の人たちの忍耐が必要なのだろうかと考えたら、絶望的な気持ちにしかなりません。
五人目くらいまでは、少年たちに罵倒されながら私だけボロボロと泣いてたりもしたんですが、だんだん慣れてくると、無表情で尋問できるようになってくるのも、いいんだか悪いんだか。
能率は上がってます。
拷問係くん、眠いなら向こうで寝てていいよ。
休憩もらって、外に出ると、また別の少年兵を、数名で殴る蹴るしてました。
うちの兵たちもストレスまみれなんでしょうけど、見苦しい。
聞けばかなり反抗的な態度だったそうで。
ただ殺すだけでは虫がおさまらないと。
あのねえ。あなたたちは、いやしくも、皇軍兵士でしょう。
それが正義と文化を誇る日本軍人のすることですか。
彼はほら、ここを撃ってひと思いに殺せと、自分の喉を指さしている。
せめてこれ以上苦しませず、とどめをさしてあげなさい。それが武士道というものでしょう。
ああもう。やりきれないなあ。
夜、到一さんから聞いた話。
私の尋問で、ある倉庫が手つかずだとわかり、こじ開けさせたら、南京米がギッシリと備蓄されていたそうなんですね。ネズミまみれで強烈な臭いを放ってたけど。
それを報告したら、この米が尽きるまでは後方からの糧食補給を停止されたそうです。
ひとおもいにころせえええええ!!!