File_1934-12-001D_hmos.
出世は男の本懐だ。
そんな台詞、よく聞きますけどね。
21世紀ではむしろ、
上にはあがりたくない。余計な責任ばかり増えて自由が削られる。何が哀しゅうてそんなもん。
究極的には、働いたら負け。
くらいの格言がオーソリティーになります。
私もそんな世代の一員として育ちました。
本来、それはおかしい。そうも思うんです。しかし。
どこに、その境目はあったのか。
今いる、この20世紀でも、しけた給料で割に合わない責任負わされるくらいなら、昇進なんて蹴っていいのではないか。
ゆとり第一ではいけませんか?
どうでしょうかね。到一さん。
ひとまず、満洲国軍軍政部最高顧問への就任、おめでとうございます。
春には少将への昇級も内定だそうです。ついに最終ステージの入口へ辿りつきました。
本人は意に介してないようですけど、世間体は、たしかにいいかも。
子供がいれば、うちの父さん少佐、よりは、少将だよって言えた方がカッコもつくのかな。
だからって笠に着て弱い者いじめするような子だったらお尻ぶちますけどね。
階級社会。やっぱり、私には、なじめませんね。
ああ。今年も一年、ほんとロクでもないことばかりでした。
銀の暴騰が止まりません。円高・元高ってやつです。
政府の対応は、南京の関税引き上げの方が迅速だったんですけど、かえって密輸が横行して流出が加速しました。さすがは中国。
満洲国も、上海や天津経由で中国から銀を買い付けてるなんて噂も。
ほんとシッチャカメッチャカ。
9月には国際連盟へソ連が加入。
いきなり常任理事国というVIP待遇で、まだ具体的な動きは出てませんが、連盟内での足並みが揃うかどうかは要注目ですね。
正直、難しいと思うんです。
ネタバレですがWW2後、国際連盟は国際連合へ生まれ変わり、本部もニューヨークへ移って、やがては国連軍も持つようになります。
そうはいっても冷戦中は、やたら中ソに拒否権を行使されて、有効なカードが切れず。
冷戦後はアメリカが、国連をバカにしはじめて、まるで今の日本みたいに暴君化していくっていう、負の歴史も築いていきます。
沈黙の艦隊というマンガでは、やたらカッコよくUNを国際正義の拠り所として描いてましたけど、そんなのファンタジーでしかありません。
昭和おじさん同士が口論してるのパソコンで読みふけって、私もいろいろ考えたなあ、あの頃。
前世での記憶ですよ。
いま国際連盟がアイデンティティに悩み抜いている姿を、私は真剣に見つめてるんです。
人類はまだまだ、まだまだ、成長途中なんだなって。
どうすればいいんだろう。どうあるべきなんだろう。
究極の正解なんて、おそらく永遠に、ありえないんです。
たったひとつの冴えたやりかた一つあれば、そいつにまかせてあと安心。こんなバカな考えが一番よろしくない。
願わくば、人類の一定数が、ある程度の教養を持ち、それぞれの利害をコソコソしないで堂々と主張し合った上で、個別に妥協点を探っていく。文句があれば、爆発しないうちに誰かがそれをきちんと聞いてやる。できる限り公にして、それをできる限り多くの、世界中の庶民が、やいのやいの言いながら注目しつづける。野次なんて飛ばさずに。
理想論ですけどね。その理想を、どうやったら叶えられるか。
そんなことを、お米とぎながら、考えていたり。
冬の炊事洗濯は、泣きたくなるほど、つらいです。
瞬間湯沸かし器に、洗濯機に、寒冷地仕様のエアコンに、空気清浄機に、そう、電子レンジが欲しい。
21世紀の文明社会を一度知ってしまった人間は、二度と過去には戻れませんね。戻っちゃったけど。戻しやがったな存在Xめ。つらい。何が一番つらいって。家電ほしいよう。
これほんと、世界中の庶民がほんと、待ち望んでる。
ゲームより先に家電だ。家電。ニッポンは戦争なんかしてないで早く家電産業にめざめろ。世界中から感謝されまくりながら征服できるぞ。早くそれに気付け。
たったひとつの、冴えたやりかた。
誰も気付いてないだけで、実はずっと、目の前に転がってたりして。そういうものだったりして。
どうなんでしょうね。