File_1933-02-001D_hmos.
2月14日付、外電による速報。
24日の連盟採決に先立ち、19人小委員会というのが満洲国承認についての協議を行っていたのですが、
その結論が出ました。
「リットン報告書を全面的に採用した上で、満洲事変は不当な侵略と見做す。国際連盟としてこれを容認できない」
私としては、複雑な心境です。
事変そのものは認めた上で、その後の行為によって不当性を批難されるなら納得なんですが、
事変からの全てをひとまとめにされちゃうと、くやしい。
それにしてもリットン報告書って、最後、満洲国自体はせっかくできたのだからやらせてみようじゃないかって結論なんですけど、それを全面採用した上でって。
真逆やん。
ソンタクかなあ。西洋風忖度なのかなあ。
モヤります。
10日後、各国一票ずつの投票によって、審議が確定するのですが、さてどうなるか、ですね。
これも外電ですが、1月30日にドイツでヒトラー内閣が誕生しました。
アドルフ・ヒトラーです。
ついに、来ました。
昨年末の米大統領選でフランクリン・ルーズヴェルトが次期大統領に決まったのも衝撃でしたけど、この二人、同じ年に国家元首デビューするんだ。
これほんと?
どうでした未来の皆さん。
教えて。私、わからない。
アメリカの大統領って、最長で二期8年間までって規則なかったでしたっけ。
いま、西暦1933年だから、ルーズヴェルトが1941年に大統領を退くとすると、私のいた世界とは違ってきます。
彼たしか1945年に、太平洋戦争終了前に突然死して、副大統領のトルーマンが後を継いでからの原爆、終戦という流れなんですよ。
だから「原爆許すまじ」論者であると同時に「ルーズヴェルトは哲人だ」主義者なんてよくわからないクラスタもいました。
原爆ねえ。この世界でも、いずれは登場するんだろうなあ。さて、どうなるのか。
極寒の中、熱河では戦闘が続いておりますが、トーイチさん情報によりますと、遂に満洲国軍へも、派兵の命令が下ったそうです。
25000人出せと。
そんなにいねーよ!って今、揉めてるそうです。
注意すべきは、非日本人だけで構成され満洲国が指揮権を有するべきであるはずの満軍へ、関東軍から直接命令が下されていること。
トーイチさんたちは満洲国に雇われているわけではなく、関東軍所属のまま出向して顧問してるんですけど、属国扱いも甚だしい。
アメリカ軍の黒人兵とか、ソ連軍のエストニア兵とかと一緒でしょ。
最前線に配置して、弾よけに使うつもりでしょ。
トーイチさんもそんなことわかってて、粘って揉めて引き延ばしてるみたいです。
誰が着任早々、一年生に、実弾の標的になってこいなんて言えますか。
3月1日の建国記念日に、総攻撃開始予定だそうです。
何が日本軍をそこまでさせるかについては、こないだ遠藤君と会ったときに言われて腑に落ちた解釈があります。
遠藤君というのは、石原組の一派で、今もまだ関東軍の参謀チームにいます。時々コッソリ情報交換してます。
石原・本庄・多門と、満洲事変の立役者が内地へ戻るときって、国民の熱狂的歓迎がすさまじいんです。
アインシュタイン博士来日時の何倍もの人が、駅に群がる。
その後、勲章もらって、マスコミの取材申込みが殺到して。
本庄さんなんてラジオに出てこない日がないほどだって噂です。
満洲国で溥儀のお世話係やってる板垣さんが「俺も戻りたかったなあ」っていつもボヤいてるらしいんですが。
次はオレも同じくらいの手柄を上げたい、と関東軍や支那駐在を希望する、二匹目の泥鰌狙いが、内地でもわんさか出てくるのは、当然すぎるくらい当然ですよね。
そう。今の関東軍て、私たちも満洲事変を!と先人をただ真似したいだけのフレッシュなバカさんたちを山ほど抱えてるんです。
そのくせ満洲の地理もよく知らず、中国語の勉強すらまったくせずに乗りこんでくる。
しかも東京政府が、否、日本国民全体が、そんな夢だけ貪ってた青二才ばかり歓喜して送りこんでくるんです。
そりゃ熱河だろうが北平だろうが、もっと先まで、どこまでも西へ西へと、考えもせず侵略していくに決まってますよ。
バブルが弾ける、その時まで。
腑に落ちました?
さて、どうなるか。
リットン報告書だけを表面的に読んで、小委員会の結論へは達しないと思います。あれは表向きのパンフレットで、真相は別口で連盟へ提出されてんじゃないでしょうか。今はそんな風にさえ思います。
それでこそリットン卿かな、とも。
ここまで考えると、すべてが腑に落ちます。
さて、どうするか。