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満洲事変勃発の夜から、一週間が経ちました。
吉林、占領。
これにて、東三省内の大きな日本人居留地はほぼ全都市、押さえましたかね。
吉林へは満鉄線通ってないので、厳密には関東軍が出て行っちゃいけないんですけど。今さらですよね。
東京政府は、これ以上の戦域拡大を断乎として禁じ、吉林からも状況がゆるせば即時撤退すべし、とヌルい通達を送ってきてます。
天皇陛下からの勅命じゃなきゃ聞かないよ、ってのにまだ気づいてないんだな。
閣下は笑って、その電文を折り紙にしてました。
一方、新たなる勢力が登場してます。
国際連盟。
ついにキター。
奉天城陥落からほどなく、首都南京の蒋介石が、連盟に助けを求めたんです。
東北辺防軍では勝ち目もないし、北京や天津から援軍を出す余裕もない。
下手に交戦区域が拡大すれば、満洲ばかりか北京まで日本に占領されかねない。
「この度の事変では、国際社会に正義が存在するか否かを問われている。我々は全国が一致して愛国精神を発揮し、外患を防ぐことができるかどうかを試されているのである」
南京政府は、こんな声明を出してます。
軍にも国民にも、日本と戦えとまでは言ってませんね。
連盟がなんとかしてくれるまでは、耐えろ?
ニュアンスを勘繰るに、独裁者である蒋にとってはソ連も日本も、外患であると同時に救世主でもあるのかな。
危機を前に、国民の一致団結を鼓舞できますもんね。
なんだか共産主義の便法ですが。
この際だから共産党とも連帯したらどうですか蒋さん。
対ゲリラ戦続けてる場合じゃなくないですか。
なくナク泣く鳴く無く啼くない?
それはさておき国際連盟。
さっそく緊急理事会を開催して、満洲問題を協議するというところまで発表してます。時間かかりそうですね。
日本の連盟大使は芳澤さんという方です。
ジュネーヴ、スイスにいます。この人がワカツキやシデハラみたいなヘタレじゃないことを祈ります。
タネさんの旅団および、多門師団ほか関東軍諸部隊は、吉林制圧でいったん小休止。
再編され、この後おそらくハルビンへ向けて、ソ連との戦闘に備えるでしょう。
まったく新しい局面を迎えることになるので、実際ソ連ともコトを構えるつもりなのかどうか、固唾を飲んで見守ります。
と同時に、既制圧地域における便乗襲撃というか、匪賊や暴民による掠奪・破壊活動などへの対策もこれ、関東軍や地元警察らの大事なお仕事で。
これが今シャレにならないくらい頻発してますので、その治安維持のためにも、対ソ戦への全力投入なんてできっこないんですけどね。
おそらくソ連との戦闘は、しないと思います。
では話し合いで結着つくのか?つけられるのか?
どんな密約を交わしてる?北満はソ連に獲らせる?
アリっちゃアリですが、閣下だって相当なアカ嫌いだったはず。
いつの間に宗旨替えしてました?
謎です。