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蒋介石。いまや、向かう処敵無し。
国民政府内乱にケリがついたところで、次なる敵は、共産勢力です。
上海では共産系の情報も手に入りやすく、船の中で読んで全部捨ててきましたけど、かなり理解が深まりましたよ。
ソ連のコミンテルンと密接に連携する中国共産党の軍隊は、紅い党旗と紅いバンダナを目印にしており、紅軍と呼ばれてます。
いくつかのグループにわかれて華南から西方にかけて展開してますが、中でも朱徳と毛澤東をリーダーとする、福建省の朱毛紅軍が最大の勢力です。
ここに年末、蒋が討伐命令を下し、圧倒的兵力をもって総攻撃を仕掛けました。
しかし、年明け早々に撤退します。
南京政府機関紙、といっても何紙もあるんですけど。それらが
「蝿を一匹残らず駆逐するのも無理だから」
とか威勢のいいこと書いてますが、実情として、紅軍はかなり手強い。
そもそものドクトリンが違いすぎてて、別次元です。
21世紀人なら、ベトナム戦争やアフガン・イスラエル・タリバンなどの非対称戦・ゲリラ戦を想像してください。
あれが今、中国で発明されちゃったんです。
蒋の軍隊は、まさにアメリカ流。近代兵器を大量投入して、秩序をもって攻め込み、陣を構えて物量で蹂躙します。
これに対してゲリラ側は、広範囲に分散し、一般市民に溶け込み、一撃離脱でじわじわと戦い続けます。
政府軍撤退の理由も、わかりやすい説明を見つけました。
食糧庫奪われて戦闘継続不可能になったため。
武器を置き去りにして、逃げ出したそうです。もちろん置き去られた武器も紅軍が鹵獲します。
面白くなってきちゃいましたよ。
蒋は態勢を整えて、第二回討伐戦を準備しているようですが。学習能力あればいいですけどね。
責任者を処罰して、血気はやる若手に引き継がせて、同じ戦法繰り返したら、紅軍を肥えさせるだけです。
これもまた、戦後、世界中で繰り広げられる光景です。
アメリカは世界最大の武器提供国となって血税をバラマキ続けてたのです。今日は何人殺したと、数と体力を誇りますが、費用対効果は最悪で、せいぜいハリウッド大作のネタを増やしてお金持ちの国に映画を売って儲けるのがせいぜいです。あ、武器商人も儲かりますけどね。
そのビジネスモデルの雛形が、今まさに、この中国で、誕生しようとしている。
良いことだとは思いませんが、私は歴史の瞬間にまたひとつ立ち会えて、感動を禁じえない。
ついでだからもうちょっと、思考をくゆらせますか。
西側と東側。
資本主義と共産主義。
自由奔放と国家統制。
記憶のかなたの、浅い知識ではありますが、世界が二分され、相手の喉元に核兵器つきつけながら、何十年も睨みあっていた時代が、これから訪れます。
私はそれすら終わったあとの、世界全体が混沌としていた時代から来たんですけどね。かつては西側だった国に住んでました。
共産主義は、暗くて貧乏で遅れてて憐れな世界だよと教えられてきました。
でも決してそうでもなかったよ、という話もあとからいろいろ聞けるような時代になってました。
ブラックチューズデイは世界を飲みこみましたけど、あのときソ連は助かった、というのが私にはすごく印象的だったんですね。
みんながみんな同じ事してると疫病がきた時いっぺんにやられちゃうよ理論とでも言ったらいいか。
前世で私、行列のできる店ってのに並んだことないんですね。
並びたい人に付き添ったことはありますけど。一人じゃ並ばない。
そんなのより、雰囲気が私にフィットする、すいてるお店見つけてフラッと入って、ひとときをゆったり楽しむ方が何倍もお得だって考えてました。
変ですか?
変じゃないでしょ。アリでしょ。
いろんな人がいていいと思う。いろんな国が、文化が、言語が、主義思想が、男も女もホモもヘテロも、トランスジェンダーだって何だってアリだと思う。
強制してひとつの鋳型に抑えこまなくていいと思う。
疫病にいっぺんにやられないために。むしろひとつになっちゃいけないとさえ思う。
日々ささやかな殴り合いでもしながら、お互いの違いを知っておいて、困ったときに相談し合える、ゆるやかな関係さえ保っていれば、イザってとき助け合えるじゃないですか。
全員が生き延びられるかもしれないじゃないですか。
いけないですかね。
変ですかね。どっか間違ってますかね。
気づいたら教えてください。また考えます。
もっともっと良い解答があるなら、どこまでも良くしていきたい。
みんなで考えましょうよ。
これが平和ってもんじゃないでしょうか?どうかな?
そんな、ゆるふわな未来を、描いています。
どうしたら、実現できるだろう。
こんなこと考えながら、今日も大連図書館で、わけのわからないロシア語の本をリストにしてます。
読めねーよ!誰か教えてよロシア語。