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閣下って、先生してたんでしたっけ。
そういえば、授業風景を参観したことなかったですね。無理だけど。
陸軍大学校でも、いつもこんな調子だったんですか?
まるで噺家さんか、活弁屋さんのようなノリ。ウケ狙いすぎですよ。
智學先生リスペクトも、しすぎです。
来たるべき世界最終戦争!ってどこまで本気かわからない。
コダマです。満鉄調査課大研修室にて、石原莞爾漫談の宴を拝聴中。
子供の学費を稼ぐべく、道化役者やってくれてる親父さんの姿を見てるような気分です。
満鉄の偉い方々は、シャレのわかる人たちみたいですね。よかった、ウケてます。
ありがたや、ありがたや。
私の満鉄でのお仕事も、図書館で見習いをさせていただいて、二週間ほど経ちました。
いろんな意味で、刺激的な毎日を過ごしています。
本を読んでいただけでは窺い知れぬ戦場の姿というものを知って、反省しきりです。
私は閣下みたく、人を笑わせる才能がないので、ド直球でお伝えしますよ。
図書館というのは、満鉄が手広くやってる事業のひとつで、文化支援的な側面も、勿論あるんですけど。
職員には、障碍を持ってる方、多いんですね。
それぞれ、ご本人から聞いてるんですが、現場で負傷されたのでこちらへ配属替え、というケース多いんです。
満鉄の運転士さんて、常に匪賊との戦闘を意識してなくてはならない、イノチガケのお仕事なんですよ。
旅順線みたく、静かなところはいいですが、長春や安東までのような路線になると、年に何回かは、匪賊の襲撃に遭遇します。
身ぐるみはがされ、金奪われるくらいですめば、超ラッキーです。
脱線・転覆させられてお亡くなりになられることも決して珍しくないという。
それが大陸の実情ですね。
さすがに、びっくりでした。
もちろん、常に一般乗客を守るのも、乗務員の努めです。乗客を逃がす係、匪賊の目を反対側へ向けさせる係など、年に何度か、防災訓練で体験するんですって。
でも乗客と思ってたら強盗だったというケースもざらにあるそうです。
トーミヤとかも、そういう戦闘を何度も経験してるはずですね。ちょっと認識が改まりました。お仕事ごくろうさまでした!もう滿洲にはいないけど。
あるとき、携帯電話って言葉を不意に聞いて、驚いたりもしました。
この時代に、ケータイデンワあるんですよ。
さすがにスマホやガラケーはありませんが。まぎれもない、携帯電話です。
背負います。
かなり重いそうです。実物はまだ見てないです。
遠距離を走る列車には、この携帯電話が配備されていて、緊急時は最寄り駅に通報するんです。
イザという時につながらない、って冷笑されてますけど。信頼性はまだまだ、難ありとみます。
日特の出番かもしれません。
運転士さんたちの、命綱ですから。おろそかにはできません。
驚いてばかりの日々を過ごしています。
そんな今日は、晴れて父親参観を楽しませていただいてます。
お父さん、いつもありがとう。
あ、サゲだ。満場の拍手。
うちの課長も、ご満悦ですね。
ブラボーです閣下。エアーおひねり投げちゃいます。