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春節。
このおめでたい日に、なんでこんな喧嘩を。
山西省の軍閥を束ねる閻錫山が、南京の蒋介石に、こういう提案をしました。
「蒋が独裁をやめて下野してくれるなら、自分も並んで、一市民となろう。しばらく国の行方を見守って、頭を冷ます時間をつくって、それからまた、国家のために、話し合いをしようじゃないか」
これを、蒋は蹴りつける。
政府機関紙では、この辺の経緯も、「そう言いながら閻は軍を退かせてない、蒋総統を騙して無防備にしたところを襲うつもりだったのだ、その手に乗るものか」という論調で書き立ててます。
もうね。聞く耳すら持ってないのが、見てるだけでつらい。
明るいニュースもあります。私の就職についてです。
満鉄の方に面接していただきまして、3月から、大連図書館で働かせてもらうことに決まりました。
ウワーオ!
最高の勤務地です。オーバーアクションで喜びを体現してきました。
昨年、地下資料室へお邪魔した話も、面白がっていただけまして。
コンピューターの無い時代。図書の分類整理って、気の遠くなるくらい、大変な作業なのです。
これ、マジですよ。
検索もすべて人力です。
デキる司書さんというのは、国宝級に大切にしなくてはいけない、生き字引様なんです。
そういう人に、私はなりたい。
こう申し上げました。マジです。
図書館のお話は、おつとめ始まったら、いっぱいできると思います。ウフフフフン。
次のネタ。
東三省督弁として、敗将の烙印を押されてしまった、張学良くん。
蒋によって処分されるかな?よくても左遷は免れないかな?と思ってましたが、そんな気配はなさそうです。
ひきつづき、瀋陽を拠点に、東三省の政治軍事を司ります。
賛否両論はもちろんあるとはいえ、モダンボーイで破天荒な性格の学良くんは、民国の政治家の中では貴重な若手アイドルなんですね。
21世紀の日本でも、そんな奴ときどき出てきましたが、ハンサムな男の子に弱い女性からは勿論、直感だけが決め手の一部老人たちからも、若いってだけで期待される。
そんなオーラが確かに彼には、ある。
だから残されてるんじゃないかなと見ます。
客寄せパンダ。いいじゃない。
政治家としてシビアに判定するなら、気まぐれだし、発言はチャラいし、常にどっちに就くかわからない、危なっかしいオッドマンなんですけどね。
じゃあアルゴリズムのはっきりしてる、規定のレールの上しか走らない人が正解かと言われればそれもまた。という政治の難しさに、思いを馳せるところありますけど。
で。この学良くんが、対ソ戦での敗北を猛省してか、今年から気になる動きを見せ始めました。
満洲最大の商業港は、大連です。
海運は日本が完全に押さえてますから、瀋陽政府がどれだけの物量を輸入・輸出してるかってのは、丸わかりです。
こんな相手と戦うことは、無理ですよね。手の内見られながら金賭けてポーカーするようなもんです。
そこで学良くん、自前で新たな港をつくる計画を立てました。
裏はとれてます。コロトウという港町に、オランダの商社が建設を開始してます。そこへ通じる鉄道も準備中です。
なかなかやるじゃねえか学良。お父さん、見てますか?
でも、日本からの横槍を警戒して情報統制布いてますけど、大規模事業なんでバレてます。
関東軍ももちろんですが、お客を奪われるってんでこの件では満鉄さんが一番、神経をとがらせてるように感じますね。
しかし、一社独占てつまんないじゃないですか。
商売はライバルがいてこそ発展する。
三社による競合状態が一番理想的だとか習った記憶がありますよ。
今後はこれについても、追跡レポートしていきたいなと思うところです。
そんな民国19年のコダマでした。