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No.43694の一覧
[0] ダンジョン思考実験[浅井翼](2020/12/18 02:55)
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[43694] ダンジョン思考実験
Name: 浅井翼◆585528ae ID:901d15e1
Date: 2020/12/18 02:55
「つまり、美少女を庇いトラックに跳ねられ死んだ俺は神によって異世界転生をさせられ、ダンジョンマスター(ダンジョンを運営し冒険者などを撃退する者)になるってわけなんだな!?」
と、俺は目の前の金髪碧眼美少女に言った。

「そうです、それで私はあなたの補佐をするエミリーと申します」
執事服の彼女はそう言った。

「ああ、よろしく、俺の名前は彩人、どこにでもいる普通の引きこもりだ」

「よろしくお願いします。では状況を説明しましょうか
初めにここは、大陸史上最も平和なリルナヴィア王国の北部辺境に位置する洞穴の中です
この洞穴の付近には村が二つありますがそこに強力な冒険者は滞在していません。」

俺はどうやら洞穴の一番奥にいるようだった。
音が反響するような水のぽちゃんという音も聞こえてきそうなそんな物静かな、洞穴。
もともとは熊の住処だったのかもしれないし、シェルターのような存在だったのかもしれないが人や獣がいた気配は全くない。
特筆すべきは光り輝く球体が洞穴の最奥にあることだろうか、ただこの物体が何なのかは想像ができた。

「これは…ダンジョンコア的なものか?」
指をさしながらそう言うと、エミリーは頷いた。

「まさしく、このダンジョンコアを使ってモンスターや罠、生活道具などあらゆるものを取り出し使役することができるわけです。
これはシステム的な話になりますがダンジョンコアはダンジョンの任意の場所に置くことができますが入り口からふさがれた場所に置いたり人が入れないような場所に置くことはできません。」
なるほど、当たり前といえば当たり前である。

ダンジョンコアをどこかの密閉空間に閉じ込めることができるならば実質的に無敵となってしまう。

「早速ですが、ダンジョンコアを使ってみましょう」
とかなんとか急かしてくる。
俺が超速理解(レベルmax)の持ち主じゃなければこの時点で説明が多すぎて全く理解できていなかったところだ。

「そうですね、ダンジョンコアに手をかざすとウインドウが現れるでしょう?え?ゲームっぽい?ゲームとは?ああ、遊戯ですか」
「俺のようなゲームオタクにとって言えばとっつきやすいとも言えるな」

一番最初にゲームのUIに触るときほどワクワクするものはないともいえるし同時に面倒なものもないが…
ただダンジョン作成系のみならず国造りや運営系のゲームでよく見るタイプのUIだった。
例えば学士帽のアイコン、これは明らかに学習や研究をする場所だ
シャベルのアイコンはダンジョンを拡張したりするのだろう。
そして、左上にあるDP、間違いなくこれが最重要である。
だろ?エミリーさん

「はいこのDPというのがダンジョンポイントですね。
試しに何か買ってみますか?
そうですね例えばゴブリンなんかどうでしょう?
ダンジョンにいるモンスターの代名詞とも言えましょう
最もコストが安いモンスターであり最も弱いモンスターでもあります。」

分かった。
俺はそう言ってダンジョンコアのモンスターのアイコンをタッチしその中から一番上にあるゴブリンというものを選択した。
20DPを消費し確定した次の瞬間ダンジョンコアが光り、緑色のひどく醜いモンスターが現れた。
まさしくファンタジーの王道想像通りのゴブリンだ。

身長60cmほどのそれはボロボロの布をまといボロボロの短剣を持っていた、切りつけられれば刃は上手く通らず非常に痛そうである。
さらにあまりにも不潔なためもし切られたらば傷口は消毒しなければ膿み壊死することは想像に難くない。

今まではどこか現実味がなかった。
だってそうだろう金髪碧眼の美少女が目の前に現れダンジョンマスターだとか言い出すので、頭で理解できても夢のような“高い所から落ちても痛くない”ものと同じように思えていた。

しかしこのゴブリンの登場によって俺はこれが現実なんだなとようやく実感した。
少しの恐怖が芽生えたがそれ以上にワクワクしてきたのだった。
こういったダンジョン作るようなゲームは好きだった。

「初めての召喚、おめでとうございます」
とエミリーが言った

エミリーが続けて
「ゴブリンと言うのは本来ほとんど知能がない存在ではありますかダンジョンコアから作成されたものに限りある程度命令を聞くようになります。
拠点の防衛から村に対して攻撃を仕掛けるまで統率の取れたゴブリンの群を編成することもできますしある程度の雑用をさせることもできます。
ただ雑用をさせることを前提に召喚するのであれば他にもっと適したモンスターがいますがね。」
ダンジョンコアから召喚されたものは召喚者の言うことを理解することができる。
そして召喚者、ダンジョンコアを守ろうとする。
それは子が母を守ろうとするのと同じことであり自分の起源を本能として理解しているのだという。
「デメリットはあるのか?」
と俺は聞くと
「んー、野生のゴブリンの最たる特徴である繁殖ですが、これはほとんど機能していません、DPを40消費すれば無限のゴブリン軍団を作成できるという訳にはいかない…ということですね。
これは全種族に共通しています。
ただしゴブリンの苗床のように、ゴブリンを発生する装置というものも存在しています。」

なるほど、仕組みが分かってきた。
ようはモンスターというのは原則DPから作られるのが基本であるということなのだ。
冒険者に対し50体のゴブリンで相打ちにしたら1000DPが消費されるっていうことだな。

現在のDPが980、ゴブリンの戦闘力が高くないと考えるとコスパがいいのか判断ができない。

それは後ででいいか。

「とりあえず、チュートリアルは終わりか?死んだからかちょっと疲れた。眠い」

「かしこまりました、ちなみに木のベッドは50DPですがどうします?」
商人のような口ぶりである。
もしかするとエミリーは俺にDPを浪費させようとする悪魔なのかもしれない。
なわけないか。
「あー……買う、ところでエミリーは?」
エミリーは笑ってダンジョンコアを指さした。
「ダンジョンコアの妖精みたいなものなので、寝床もそこですねご安心を」
妖精だったから美少女だったのかーなんて、よくわからない納得をした。
ゴブリンが俺のベッドの横で胡坐を組み、襲撃者から守ろうとしてくれた。
いいゴブリンである。20DPは無駄ではなかったのだ。
そんなことを考えつつ俺は眠りに落ちた。




//以下コメント
//気が向いたら感想していただけると大変嬉しいです。罵倒でもなんでも良いので
//P.S.投稿した直後に前書きというかトップ面みたいなのがないことに気づきました。その内なんとかします。


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