<このWebサイトはアフィリエイト広告を使用しています。> SS投稿掲示板

SS投稿掲示板


[広告]


No.43686の一覧
[0] ブラッククロニクル・ホワイトアポカリプス[994](2021/01/31 01:43)
[1] 序 ヤキュヌバキににて[994](2020/11/24 13:16)
[2] 朝議、忍び寄る気配[994](2020/11/24 20:22)
[3] フィアセラ・トーディス・ルーゼン[994](2020/11/25 03:34)
[4] 知識の蛇[994](2020/11/26 15:50)
[5] 銃か剣か[994](2020/11/26 20:56)
[6] No7.Chariot[994](2020/11/27 20:03)
[7] God children[994](2020/11/29 03:49)
[16] Because we are Legion,colony. 我らはレギオン、群団であるが故に。[994](2020/12/02 14:41)
[17] 人生を賭ける価値は?[994](2020/12/02 14:58)
[18] BackGround Leaders 背景の主役達[994](2020/12/02 22:08)
[19] 集合家族[994](2021/02/01 02:33)
感想掲示板 全件表示 作者メニュー サイトTOP 掲示板TOP 捜索掲示板 メイン掲示板

[43686] フィアセラ・トーディス・ルーゼン
Name: 994◆1e4bbd63 ID:d10f212d 前を表示する / 次を表示する
Date: 2020/11/25 03:34
「窮屈ではないですか、ご主人」
「窮屈だよ。なにしろ移動が制限される。がまあ仕方ない、レギオンには顔を出さないといけない」

殿の執務室、大仰な机についたアディヴェムの前にはメイドが1名立っていた。

「シャーナ、何か変わったことは?」
「ついさっき、フィアセラ様の親衛隊がお一人、お越しになりました。昨晩なぜあいさつに来なかったのか、と皇女様がおっしゃっているそうです」

留守を守っていた最初のメイド、選任メイドであるシャーナ・ティスルは真顔のまま、事務的に報告する。淡々とした彼女は中性的な顔立ちも相まって、不愛想な印象を与える。がなにより印象に残るのは、濃淡のみで変化する黒一色のメイド服だ。

「暇になったのは夜だ。約束も無しに行けば失礼にあたるだろう」

執務室の扉が音をたてて開き、渦中の人物が進んできた。

「おはよう! 勝手に心配していると思って、私の方から来てやったぞ!」

美麗なウェーブの青い髪は乱雑に切られ、睨んでいるかのような澄んだ目、真紅の口紅。着ている服と言えばドレスなどとは程遠い軍服。

「……おはようございます。フィア様」
「そんな他人行儀はやめろと言っただろう!」

腰の剣を外して右へ、マントを外して左へ、後方の親衛隊に渡すとフィアセラ・トーディス・ルーゼンは左手を肩の位置まで上げる。親衛隊は部屋を出ていき、シャーナが手近な椅子を用意する。

「しかし、礼儀ですし。皇族なんですよ」
「それが私を怒らせるなら、その礼儀は無礼だろ? そこに座れ、ここはお前の城だ」

フィアセラは自然な動きで左側で待っていたシャーナから椅子をもぎ取り、背もたれをアディヴェムに向けて座り込んだ。

「フィアさ」
「フィアだ! 私をそう呼べ。公式の場以外はな」

噛みついてきそうな勢いでフィアセラが言い、アディヴェムは折れるしかなかった。

「ふぃあ、その座り方はちょっと、貴族はそんな座り方をしない」

パンツスタイルとは言え、健康そうな太ももを見せつけ股を開く姿は上品とはとても言えなかった。それでもフィアセラはしてやったりと笑った。

「心配するな、私と結婚する夫はそんなことで離婚できん」
「そういうものでは無いことは理解できるけど」
「なんだ、うれしくないのか?」
「まあうれしい」

顔が完全に隠れるフードでは言葉の真意はわからず、刺繍された金色の4つ目相手では目線も追えない。

「この話はここまでだ。まずはお帰りだ」
「ただいま」
「うん。私は明日、バカ父を諭しにヤイメンに向かわねばならん。無事を祈っておいてくれ」

返事に満足したらしい表情のフィアセラは急に真面目な表情で、それこそ睨むように眼光を光らせる。

「しかし血を分けた娘に手を上げる父親がいるのか? 愛のあまりに他の男に渡さないとばかり、仕舞い込むなら理解できるが」
「それは支配したい言い訳に、愛を気取ってるだけだ。それにまともな親が息子に退位を迫ると思うか。もはや王道すら踏み外している。その嫉妬狂いの父親がどうだ、平和ボケした妹とタッグを組んでる。愚かさが香ばしいだろ?」
「なんならこれ、お貸ししましょうか?」

アディヴェムが出したのは、斜線の仕切りを中心に互いにそっぽ向いた白黒の蛇のバッジ。

「いらん。お前が作ってくれた鎧が有るからな。いざとなったら家族の首を手土産に、這ってでも帰ってくる」
(貴女は本当にやりそうだから笑えないんだよなあ)
「用はこれだけだ。見送ってくれ」

アディヴェムが立ち上がり、生え揃った羽の量に翼と錯覚しそうなほど黒いコートが揺れる。フィアセラが椅子を適当にどけ、シャーナが扉を開けて廊下に出ていた2名に声をかける。

「お前は部下を貰うそうだがそれは本意なのか?」
「(確かニーマの歳が) 3年後なら本意だが、今回は違う。皇様が気の赴くままに」

大黒柱が定期的に並ぶ廊下を進みつつ、フィアセラは身支度を整える。

「弟ならやりそうなことだ。で、採るのか」
「わかりませんが、丁寧に下調べもしてあるのでしょう? よく考えます」
「まあいい」

つまらなそうなフィアスは日差しの下に出ると振り返った。

「アディヴェム、私の事を良く祈るのだぞ。朝一番に、お前が祈っている神に祈れ。無事にお帰しくださいと、私達が五体満足に帰って来るまで続けろ。私との約束だ、絶対守れよ」
「誠心誠意、祈りを捧げますから。どうぞご武運を」
「では頼むぞ」
(信心深いお人だ)

去ってい行くフィアセラをアディヴェムは慇懃な礼で玄関先から見送る。


前を表示する / 次を表示する
感想掲示板 全件表示 作者メニュー サイトTOP 掲示板TOP 捜索掲示板 メイン掲示板

SS-BBS SCRIPT for CONTRIBUTION --- Scratched by MAI
0.024894952774048