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No.43686の一覧
[0] ブラッククロニクル・ホワイトアポカリプス[994](2021/01/31 01:43)
[1] 序 ヤキュヌバキににて[994](2020/11/24 13:16)
[2] 朝議、忍び寄る気配[994](2020/11/24 20:22)
[3] フィアセラ・トーディス・ルーゼン[994](2020/11/25 03:34)
[4] 知識の蛇[994](2020/11/26 15:50)
[5] 銃か剣か[994](2020/11/26 20:56)
[6] No7.Chariot[994](2020/11/27 20:03)
[7] God children[994](2020/11/29 03:49)
[16] Because we are Legion,colony. 我らはレギオン、群団であるが故に。[994](2020/12/02 14:41)
[17] 人生を賭ける価値は?[994](2020/12/02 14:58)
[18] BackGround Leaders 背景の主役達[994](2020/12/02 22:08)
[19] 集合家族[994](2021/02/01 02:33)
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[43686] Because we are Legion,colony. 我らはレギオン、群団であるが故に。
Name: 994◆1e4bbd63 ID:d184e793 前を表示する / 次を表示する
Date: 2020/12/02 14:41
食事から帰り、仕分けの仕事に戻る。まだ仕分けすら終わらないというのに、時間だけが刻一刻と過ぎて日は高くなった。

「ご主人、お時間でございます」
「わかった。準備する」

アディヴェムは外していた武装を身につけ始める。
刃の黒いバックソードを左腰へ、柄が3本突き出た盾を右腰へ、それにクロニクルとアポカリプスがひっついた大剣、ユニヴァースを背に浮かせる。

「ご主人、ァリウス様です」
「支度を終えたところだ」

アディヴェムは出ようとしたところでァリウスと出くわし、そのまま抱きしめられる。

「もう大きくなって。お母さんと呼んで頂戴」
「お義母さん」

懐かしむ様な口振りのァリウスの要求にアディヴェムが応える。

「そっちじゃないわぁ。一緒にお風呂も、お布団にも入ったでしょう?」
「(どうやって聴き分けてるんだ) 小さい頃はね」

不満を剥き出しにする彼女を抱きしめ返し、アディヴェムは離れる。

(機嫌が悪くなるかと思ったけど。どうやら嫁姑戦争は勃発しそうにないな)
「ああでも、そんな事より今はレギオンよね」

ァリウスは強引に腕を絡ませ外へ引っ張っていき、マキニヤがそれを追いかける。施錠が終わるとァリウスが魔法を使って5人は移動した。
移動先であるコロシアムは、二重螺旋に囲まれた円錐状で、今天井が開き始めたところだった。

「さあ行きましょ」
「やっぱり人が多いのかな?」
「どうでもいいわ」

舌を伸ばした2匹のカメレオンの門を潜り、真っ黒な廊下を抜けて観客席に出る。

「いらっしゃいませ」

旗印が刺繍された豪華な椅子の後ろから、4人のメイドが挨拶する。
天幕で弱められた太陽に照らされるグラウンドを間近に見られる特等席。西側の椅子にアディヴェムは腰かけ、西端で半分引かれた椅子にマキニヤが座る。

「頼めば飲み物はでるのかしら?」

ァリウスが言うとメイドが壁に据え付けられた棚机からルビー製のコップを手に取って、ピッチャーから飲み物を注ぐ。

「アップルティーでございます」
(なんか暇だな)

金の茨が刺繍がされた手袋を膝の上に置いて、ァリウスは差し出されたコップに無言で口を付ける。

「本でもだそうか?」
「出してくれ」

属性教典と背表紙に書かれた本を受け取り、早速読み始める。本を広げた最初こそ静かに読んでいたアディヴェムだったが、グラウンドの確認が終わり、観客席に人が集まるに比例して表情が険しくなっていった。

「お義母さん、今読んでる本には、火は水をかけると消せるから、火は水に弱いってあるけど、火は水を蒸発させるよ。それに海の上でも燃える物さえあれば火は燃え続ける。結局のところ一方的に強いとかはなくて、どっちの量が多いかで強さが決まる気がするんだけど、どう思う?」
「決めておかないと、人間はなにもできないからよ。それに頭も使わないし」
「ルールみたいなものか」
「そう。大体、魔法も魔法で作った物も、どれだけ魔素を注いで作ったかで強弱が決まるんだから、気にしてはだめよ。あまり実用的とは言えない知識ね、雑学ならいいけど」

アディヴェムは本を景色へ投げ捨て、係員が軽食を配り始めた観客席を見上げる。

「彼らは何を求めているんだろう?」
「言葉にできない色々じゃない? 騎士団候補と一緒に興奮して感動するのよ。それに皇様主催の賭けもあるから、お楽しみはこれからね」
「いらっしゃいませ」
「珍しいな。先に来ているなんて」

逆立つ板が幾つも生えた甲冑姿のレドヴィアが東端の椅子に腰かけ、ヤイパがその西隣に座る。

「気が向いたらすぐにでも来るわよ。わかってるでしょ?」
「そうだったな」

レドヴィアはァリウスに迷惑そうな表情を向け、コロシアムにラッパが鳴り響き、イーヴィとノーガが入ってヤイパの西側に陣取る。

「……そろそろ皇様がいらっしゃる」

右手に位置する東の乳白色の柵、左手に位置する西の橙色の柵が上がり、国章を掲げた皇帝騎士団が行進を始める。

「やはり帝国の国章はいいものだな」

万雷の拍手の中、皇帝騎士団は赤い柵を測ったように列は止まり、旗で屋根を作る。

「中々鍛え甲斐のありそうな連中じゃないか」

最後に北に位置する柵が上がって、候補者たちが先導されて現れる。屋根を通り抜けた旗が左右に分かれて候補者たちが露わになり、レドヴィアは聞こえるはず無い評価を下した。
ラッパの一隊が響き、コロシアムは静寂に目覚める。

「カイセス・ゲイルス・ルーゼン皇帝! ご入場!」

年寄りの、お世辞でも声量が足りていると口にすれば侮辱にさえ当たるような声は、はためきに隠れながら集まった民に伝わった。その孤独とも静寂とも取れる静けさを滑車の音が駆け抜け、コロシアムに廊下が下ろされる。
2階の大臣が総立ちになり、右手を振ってカイセス皇が現れる。

「帝国万歳! カイセス皇帝万歳! 勝利万歳! 自由万歳!」

観客・大臣は声を張り上げ、手を叩き、足を踏んで、コロシアムを揺るがす勢いで皇を歓迎する。皇が手すりを放した左手を加えて声援に応じ、より一層の言葉を献上する。

「帝国に栄光あれ! カイセス皇帝に栄光あれ! 未来に栄光あれ! 臣民に栄光あれ!」

シュプレヒコールの波は皇が手を握った瞬間に止み、静けさを取り戻した。

「聞け! 祝福されるべき我が帝国臣民よ」

両手を広げた皇は苦労しない声で宣言を始める。

「我は最近思い出すのだ、乗り越えてきた万難を! ハッスマ、ストイレア、ユセイド、ヤキュヌバキニ、コンティウラ、ソレイユ。ギゼア、アストロンド。どれも赤子の手を捻るように簡単に、王国など滅ぼすことのできる、できた大国だった。だがどうだ? ルーゼン王国は逆にうち倒し、ここまで繁栄した! ある者は言う! 相手の運が悪かった。いや、帝国の運が良かった。勝ちを拾っただけ、次は負ける。相手が侮って手を抜いた、本気を出していなかった」

皇は一度止め、ややあって絞った声で再開する。

「……これは真実か?」

臣民は答えないが、皇自身が否定を宣言する。

「これは嘘だ! 偽りだ! 帝国は! 勝利するのを約束されていたのだ! 一体だれに!? 神だ! 神に導かれているのだ。ではなぜ!? 自由だ! 帝国に自由を広げろと仰っているのだ。臣民に不自由を強いる他国を打倒し、開放しろと仰っているのだ。学を奪い、動物同然に扱っている他国にお怒りになっているのだ。帝国にこれを代行しろと役目をお与えくださったのだ!」

皇は叫びながら空や左右、地面を指さす。

「帝国は今や折り返しだ! 残り10の大国を倒さなければならない! この大地に、帝国以外の大国を無くさなければならい。私達はそれまで勝ち続ける運命にあるのだ! それ以外は真実にはなりえないのだ。決して敵を侮らず! 自惚れず! 目的を見失わず! これをやり遂げることができるのは帝国だけだ! 帝国ならばできる! 我らならできる! できて当然だ! 皆で栄華の道を突き進もう!」

皇が両手を力強く上げれば、臣民は自信に溢れて右手を上げる。

「帝国万歳!!」

圧迫感すら覚える合唱は皇が席に座り直すまで続き、側近が出て宣言を行うまで続いた。

「最初にカイセス・ゲイルス・ルーゼン皇帝のお言葉を頂戴する」
「力ある152名の者よ。まずはここまでこれた事を祝おう! 我は確信している、ここにいる諸君らは名を残すのに匹敵する兵達だと。されど今一度見せてほしい、諸君らの力を、意思を、器をだ。それがさらに帝国を強固にする。栄華と繁栄の先頭に加わりたい者は死力を尽くし、止められない情熱を猛々しく放つがいい! ここにレギオン開始の宣言する! チャンスはここに、今ここにある。取り逃がす理由は無い! 諸君らの全力を期待する!」

思い思いの恰好で騎士団・輩候補の拍手喝采でレギオンは幕を開けた。


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