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No.43642の一覧
[0] とあるアムネジアが往く旅路[ヤマモト](2021/05/30 12:31)
[1] 1話 アムネジアでも軽トラは運転でき、ない[ヤマモト](2021/01/24 12:26)
[2] 2話 アムネジアでも戦える[ヤマモト](2020/08/16 04:27)
[3] 3話 アムネジアでもガチャは回す[ヤマモト](2020/08/16 11:18)
[4] 4話 アムネジアだけど練習はできる[ヤマモト](2020/08/16 15:53)
[5] 5話 続・アムネジアだけど練習は出来る[ヤマモト](2020/09/06 17:01)
[6] 6話 アムネジアでも軽トラは運転できる [ヤマモト](2020/08/16 22:14)
[7] 7話 アムネジアでも怒られる(当たり前)[ヤマモト](2020/08/23 11:13)
[8] 8話 アムネジアでも困惑はする[ヤマモト](2020/09/06 14:43)
[9] 9話 アムネジアだけど人と戦う[ヤマモト](2020/09/06 14:44)
[10] 10話 アムネジアだけど欲情する[ヤマモト](2020/09/20 13:55)
[11] 11話 アムネジアだけど哲学はある[ヤマモト](2020/09/27 17:15)
[12] 12話 アムネジアだけど車で下山する[ヤマモト](2020/10/06 23:43)
[13] 13話 アムネジアだけど殺されかける[ヤマモト](2020/10/10 23:05)
[14] 14話 アムネジアだけど改造人でもあるらしい[ヤマモト](2020/10/18 09:51)
[15] 15話 アムネジアだけどガチャに翻弄される[ヤマモト](2020/10/18 09:59)
[16] 16話 アムネジアだけど度肝を抜かれる[ヤマモト](2020/11/01 13:08)
[17] 17話 アムネジアだけど好奇心は枯れてない[ヤマモト](2020/11/01 13:09)
[18] 18話 アムネジアだけど本能を信じる[ヤマモト](2020/11/08 20:46)
[19] 19話 アムネジアでも従者になれる?[ヤマモト](2020/11/22 16:43)
[20] 20話 アムネジアでも戦いに酔う[ヤマモト](2020/12/06 14:51)
[21] 21話 アムネジアでも食べるものは選びたい[ヤマモト](2020/12/06 14:52)
[22] 22話 アムネジアでもアレな病気は怖い[ヤマモト](2020/12/27 17:13)
[23] 23話 アムネジアでも達人は怖い[ヤマモト](2020/12/27 17:12)
[24] 24話 アムネジアでも悲しくなるときはある[ヤマモト](2021/01/10 00:43)
[25] 25話 アムネジアでも邪魔をされたら怒る[ヤマモト](2021/01/10 05:50)
[26] 26話 アムネジアでもSFに思いを馳せる、けどホラーは勘弁[ヤマモト](2021/01/31 12:40)
[27] 27話 アムネジアでも風呂には入りたい[ヤマモト](2021/02/07 15:59)
[28] 28話 アムネジアでは這い寄る姉に勝てない[ヤマモト](2021/02/14 10:08)
[29] 29話 アムネジアは空気を読めない[ヤマモト](2021/02/21 13:35)
[30] 30話 アムネジアでもガチャは楽しい[ヤマモト](2021/03/07 19:10)
[31] 31話 アムネジアは再び度肝を抜かれる[ヤマモト](2021/03/07 19:41)
[32] 32話 アムネジアは巻き込まれ体質?[ヤマモト](2021/05/16 15:35)
[33] 33話 アムネジアは理解不能な現実を知る[ヤマモト](2021/06/13 08:54)
[34] 34話 アムネジアでも人は殺せる[ヤマモト](2021/06/13 08:55)
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[43642] 18話 アムネジアだけど本能を信じる
Name: ヤマモト◆741e3e41 ID:c2a303a1 前を表示する / 次を表示する
Date: 2020/11/08 20:46

 衛士達に囲まれながら軽トラを走らせる。
 馬に乗る彼らは高さがあり、見下されているようでどうにも居心地が悪い。隣の助手席には不機嫌そうな甲冑ウーマンも居るので尚更だ。
 まぁ、彼らからすれば、身分のよく分らないヤツが最高指導者と対面するってことに気が気でないのだろう。オレも正直言って気が進まないが、先方が会いたいと言っているのだから仕方が無い。

 教祖と大宮司が住まう宮殿への道は粗悪なコンクリート製のようで凹凸が多い。
 窪みを通過する度に車が小さく跳ねるので、街の中央にある道がこんな整備状態でいいんだろうかと思うのだが、隣に座る近衛隊長が文句を言わないのでこれが此処に住まう人達の常識なのだろう。

 昨日から感じている違和感……御神体とそれを崇める者の文化レベル格差はかなり大きく、隔絶されているとみて間違いない。
 御神体からの恩恵はライフラインのみで、あの異次元的な技術は多くを伝えられていないのだ。そして恐らくそれをコントロールしているのは、御神体とそれを崇める者との橋渡し役――教団幹部達なのではなかろうか。

 ……少し観察しただけで色々な推論が湧いてくるあたり、頭の調子は悪くないようだ。
 やはり屋根の下で体を伸ばし、睡眠を取れたコトが効いているのだろう。まだまだ考えなければならないこと、確かめなければいけないことは沢山あるが、今は今後の運命を決める面談に集中するべきだ。


 教祖と大宮司が住まう宮殿は街の中央に位置する。
 そこは御神体から伸びる巨大ケーブルが固定されている場所であり、街にライフラインを供給する大元でもある。当然、建物としては大きく、宗教的な面もあって、見た目はチベット仏教のポタラ宮に近い。
 これはコレで圧倒されるのだが……残念なことに、あの変態的超巨大構造物が近くに在ると感動が薄い。

 宮殿横にある馬車を停めるスペースに軽トラを滑り込ませ、近衛隊長と共に車から降りた。すると直ぐ衛士達に囲まれ、行き先を誘導される。
 流石に警戒が過ぎるのではないかと思うのだが、よそ者を組織の重要設備に招き入れるのだから当然か? それとも大宮司からきつく言われているか……なんにしてもこの圧迫感に吞まれないように気を強く持たないと。

 建物の中は木と漆喰で構成されており、エキゾチックなお香の匂いが漂っていて、いかにも宗教建築物っぽい。その長い回廊を衛士達に囲まれて移動すると、まるでラスボスが控えているような大きな扉の前に辿り着いた。


「ここから先は我らの立ち入りは許されていない。くれぐれも失礼がないように……死にたくなければな」
「…………」


 大宮司は歓待するとか言っていたけど随分な物言いだ。怒らせては駄目というコトなんだろうな……忠告は有り難く受け取ろう。
 オレは一呼吸してから、ゆっくり開かれた大扉の中に進み出た。


「良く来た、待っていたぞ!」


 昨日ぶりとなる大宮司は相変わらず元気そうで安心した。軽トラで撥ねてしまったことによる後遺症の心配はないようだ。
 その彼女は広間の奥、一段高い御簾の掛った廟の右側に立っており、更にその前には8人の教団幹部と目される人達が居てオレを睥睨している。
 老若男女、偏り無く色々な人材が揃っているようで、向けられる視線の色も好奇、興味、疑問、嫌悪、拒絶とバラバラだ。
 共通するのは強い存在感だけだろうか? 種類は違うがオルトロス・チャイルドに対峙したときと同じ圧迫感を感じており、彼らが一角の人物であることが分る。
 けどなぁ……。

 これまでのコトから予想は付いてはいたんだけど、全員がネコ耳と尻尾を装着している。
 あの大宮司より少し年上の娘さんや、10代前半と思われる男の子は似合っているからいい。しかし、筋骨逞しいオッサンや、眼光鋭いご老人、主婦代表みたいな50代女性には全く似合っていない。
 着ている服もかなり独特で、オレは込み上げてくる笑気を必死に堪えて無表情を作った。


「L~%*の証であるG$HEを着用していないようですが? 楽しみでしたのに」
「教祖様を前に不敬である。いかに姫様の選択とはいえ、我輩は賛同できん!」
「そもそも、我らの神山を冒した犯罪者がなぜこの場に居るのか」
「兄さんになってくれるかな……」
「ようやっと姫サマがその気になってくれたんだ、逃がす手は無いよ」
「%=“&デバイスを着けた只人……じ、実験、解析、いひひ」
「これは……なかなかに……」


 なんだか変な視線も感じるが、幹部連中の心証の善し悪しは半々と言ったところか。
 今後がどうなるか分らないが誰が何を言ったか覚えておいて損はない。それどころか、命綱になる得るかもしれない情報だ。しっかり聞き分けて味方になり得るヒトを判断しないと。

 ざわつく幹部連中を眺めていると、大宮司が廟を支える柱をぶん殴り、それで出た打撃音で皆が静まり返る。
 良くやっているコトなのか、柱の一部がいくつも凹んでいるのが見えて少し呆れた。


「其方達の質疑は後にせよ、まずは教祖にレンジを紹介する」
「「「御意」」」


 うぅむ……どうやらちゃんと部下の統制は取れているようだ。場の雰囲気もあって、本当に人望と美貌を備えたカリスマに見える。コレで普通の、ちゃんとした、服を、着ていたら、完全に納得するんだけどな!

 取りあえず気を付けの姿勢で固まっていたオレの前に大宮司が立つ。
 着ているのは最初に会った時と同じく改造セーラー巫女服で、正気を疑うほど露出度が高い。こんな姿を目にしてなんで男幹部連中は大丈夫なのだろうか?

 オレは目の焦点をぼやかし、大宮司を直接見ない作戦で頑張っていると、いきなり右手を握られた。
 それは世間的に言って恋人繋ぎと言われる手のひら同士を合わせたもので……別の角度から言えば握力勝負を仕掛ける時の握りでもある。この力の入れようからすると確実に後者かな!

 口には出さないが、どうやらあのとき逃げようとしたことを察して怒っているらしい。
 ミシミシと軋む右手に相当の怨念を感じつつ、オレは廟の前に連れて行かれた。そして大宮司は御簾の奥に居るのだろう、教祖サマに向かって声を届かせる。


「教祖、この者が我がL~%*です。我のL~%*とします。良いですね?」


 許可と言うよりは規定事項のように断言し、返事を待たずに踵を返す。
 まるで何か言われる事を避けるような行動は大宮司らしくないのだが、此処で発言したら面倒な事になると思ったので大宮司の先導に従う。が――


「まあ待ちなさい。貴女の選んだL~%*を良く見せて頂戴な」


 御簾の奥から発せられたのは、母のような包容力と童女のような無邪気さを併せ持ち、更には獲物を確実に仕留める肉食獣の強かさと、当たり前のようにヒトを統べる偉大さ、その全てを感じさせる女性の声だった。
 その声はあまりにも蠱惑的で、大宮司の制止に気付かず、まるで操作されたかのように振り返ってしまった。
 振り返った先にあるはずの御簾はいつの間にか上がっており、隠れていた教祖サマの姿がそこに在った。

――男を破滅させる魔性の女(ファム・ファタール)

 一言で示すなら彼女は正にそれだ、本能がヤバいと見抜いた。
 彼女の微笑みが、オレには獲物を見つけた肉食獣の舌舐めずりに見えた。




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